〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
「劇団」に仕込まれた闇の種の影響により、人格が反転したましろ。
抱えていた闇は大きく、それは世界に影響を及ぼすもの。
停止した星は、時間が止まってしまいありとあらゆる生命が活動を止めてしまうのも時間の問題だった。
静寂な世界…それこそが、「劇団」の「舞台」の目的だった。
一同に迫られた選択肢、それは……。
〜ソラシド市〜
プリズム「アハハハハハッッ!。さようなら…せめて、私の手であの世に送ってあげるッ!!。」
禍々しい気を放つプリズム。
彼女を主体に、街の至るどころに張り巡らされた黒い蔦は広がっていく。
ソラ「ましろさん!!。やめてくださいッ!。」
プリズム「やめてよ、ソラちゃん?。私ね、今すごく気分がいいんだ?。」
右手にエネルギーを込める。
やばい…そう感じた鷹夜は、座り込むソラを抱えて走り出す。
鷹夜「離れろソラ!!。」
ソラ「ッ…なんで…なんでこんなことに…!。」
大粒の涙を流すソラ。
ツバサとあげはも、放心状態。
今、動けるのは…自分と園子、そしてスレイヤーだけだ。
そう感じた鷹夜はキュアアグニに変身。プリズムに向かって走り出す。
アグニ「ましろォオオオオ!!。」
プリズム「鷹夜君…随分と、逞しくなったね?。」
黒い蔦がプリズムを覆う。
アグニは炎を纏った拳を突き付け、蔦を焼き払う。
アグニ「ッ…そんなもんに呑まれんじゃねェよッ!。」
プリズム「呑まれる?。ううん、違うよ?。」
アグニの横から蔦が放たれ、突き飛ばされる。
アグニ「がは…ッ…!?。」
プリズム「何度も言わせないでよ、今の私は本当の私。溜め込んでいた気持ちを全部前に出した本当の私。世界が変わったみたい、もう…優しいましろを演じることも無い。これからは、自由に生きるんだ。」
アグニ「嘘…つけよ…。」
弱々しく、立ち上がるアグニ。
アグニ「本当に…優しさを演じてたなら…そんな作り笑い…してねェだろ…。」
笑みを浮かべるプリズムに、違和感を覚えるアグニ。
その笑顔の本質を見抜いており、必死に訴える。
アグニ「お前は優しい奴だ!!。それは紛れもねェ、本当の事だッ!。だから返せよ…本当のあいつを…返せよッッ!!。」
拳に炎を再度宿らせ、殴り掛かるアグニ。
しかし……。
プリズム「…私を…殴るの…?。」
アグニ「!!!。」
拳を突きつける直前、プリズムの表情が悲しい表情に変わる。
そして、脳裏に浮かぶのは…。
ーーーーーー
ましろ「鷹夜君…!。」
ーーーーーー
自分を呼ぶ、ましろの姿。自然と、拳の勢いが弱まる。
殴れる…訳がない。
そう思うアグニの炎の勢いが一気に弱まってしまう。
それを好機と見たのか、プリズムは邪悪な笑みを浮かべて。
プリズム「チャーンス!!。」
貫手による一撃を腹部に当てる。
食い込んだそれは、アグニの腹に傷を与えて血が噴き出る。
アグニ「ぐっ……ぁ……ッ…!!。」
力無く倒れるアグニ。
ダメージの許容量を超えたのか、変身が強制的に解除された。
園子「タカ坊ッ!!。」
プリズム「甘いよね、鷹夜君。腕っぷしは強いのに、こーんなに簡単に騙されるなんて…。」
プリズムは空に上がる。
プリズム「ねぇ、これから面白いものを見せてあげる!。」
手を天にかざす。すると、闇のエネルギーを勇者世界に向けて放った。
〜勇者世界・四国 大橋・慰霊碑〜
友奈「何…これ…。」
ソラシド市からプリズムの放った闇が海に直撃する。
その直後、後を追うように漆黒の蔦が同じ場所に伸びていき海に着水。
その瞬間、周囲の色がどんどん失われていく。
風「色が無い…!?。何が起こってんのッ!?。」
烈火「これ…空から来てねェかッ!?。」
蒼葉(…並行世界で何が起こっている…!?。それにこれは…!。)
蒼葉「何かヤバい…変身して全力でその場から離れろッ!。この蔦に触れるな!!。」
焦る蒼葉の指示を聞き、変身する一同。
素早くその場から離れて山の上にある神社へと辿り着く。
そこから見えるのは、蔦がすごい勢いで街を侵食する光景。
何が起こっているのか…皆目見当もつかない。
ただただ、その悍ましい光景を見届けるしかできなかった。
東郷「空の事象といい、この事態といい…何が起きているの…。」
蒼葉「…これは…!。」
蒼葉は自分の時計を見る。
針は止まっており、周辺の風も吹かなくなった。
海の水面は完全に停止、波すらも全く立たない静寂な世界へと変貌していた。
蒼葉「……星が…停止している…?。」
烈火「はぁ!?。どういうこったッ!?。」
蒼葉「時間も…自然も全て停止しているんだよ!!。ここからわかるのは星そのものが動いていない…つまり、自転が停止しているんだッ!。」
樹「それって、まずい事なんですか…!?。」
蒼葉「まずいなんてものじゃない、時間を失えば生命は維持出来ない…時間と自然、そして命の巡りは常に一定であり乱れることがない…いわば、一寸の狂いもないんだ。そこが止まれば、その全てが活動を進めることが出来ない…待っているのは…滅びだ。」
風「そんなの…どうしたら…乃木の事、まだ探せてないのにこんな事になって…!!。」
蒼葉は、苦渋の決断をする。
それは、向こう側にいるスレイヤーも同じだった。
蒼葉「……この事態を止められるのは、お前達しかいない。ここで、お前達を失えばそれこそ…世界は終わる。」
………………。
スレイヤー「今は辛いかもしれねェ…けど、俺達が生きてないと出来ることも出来ねェ…だから、今はこの事態をどうにかするよりも生きることを考えよう…。」
………………。
蒼葉「…これは、危険な賭けになる。けど…最善の方法はこれしかない…。」
………………。
スレイヤー「行こう!!。生きる為に…この事態を解決する糸口を探す為にッ!!。」
………………。
「「もう一つの世界線へ!。」」
………………。
ソラ「もう一つの…世界線…!?。」
………………。
友奈「それって…貴方が居た世界のことッ!?。」
蒼葉「ああ、その通り…だが、次元境界線を突破するのは至難の業だ。俺は確実な方法でここに来た。俺個人が戻るなら造作もないが…この人数だ…飛ばされた先に全員がいる保証は出来ない。」
………………。
フレア「…仕方あるまい…我の残りの力を使って突破しよう。」
フレアはトカゲの姿から巨大な黒いドラゴンへと変わる。
その風貌はまさに王たるもの、しかし力が完全に戻っていないフレアが本来の姿を維持できるのは僅か、2分。
次元王フレア「今の我の力では、全員が同じ場所に辿り着く確率は極めて低い。だが、保証しよう。五体満足で同じ世界へと辿り着ける事を。」
………………。
蒼葉「…奇跡を信じる…「向こう側」の神樹の種の力を…!!。」
蒼葉は金色の種子を取り、空に投げ込む。
すると、その場にゲートが開く。
漆黒の蔦は一同の眼前に迫っていた。
選択の余地は無い、それぞれの世界にいる一同は決心する。
………………。
ソラ「…分かりました…今は生き残りましょう…ましろさん…必ず、貴方を…。」
気を失った鷹夜を担ぎ、立ち上がるソラ。全員も涙を拭いて、フレアの周りに集まる。
………………。
東郷(そのっち…必ず、見つけてみせるから…!!。)
友奈「東郷さん。」
東郷「友奈ちゃん?。」
友奈「もし、離れ離れになっても…きっと…会えるよね…?。」
東郷「ええ、必ず…全員が同じ世界にいるのなら、必ずまた会えるわ。」
風「樹、あたしから離れちゃダメよ?。」
樹「うん!。」
夏凛「…やってやろうじゃない…誰がこんな事しでかしたかわからないけど、こっちには初代勇者の件もある…負けたままで終われるか…!。」
烈火「はっ、違いねェ!!。俺も姉貴をぶん殴るまではしぶとく生き残ってやるさッ!!。」
全員が輪になって、手を繋ぎ合う。
もし、離れ離れになっても…必ず、また集うと信じて。
蒼葉「行くぞ…しっかりと手をつなぎ合っていろ!!。誰かと同じ場所にたどり着けるようにッ!。」
勇者部は蒼葉と共にゲートに飛び込み、この世界から姿を消した。
………………。
あげは「ましろん!。必ず…迎えにいくからねッ!?。」
ツバサ「待っていてくださいッ!。優しいましろさんを必ず…!。」
園子(きっと、向こうも同じ決断をしているはず…私は、ここのみんなと手を取り合うよ。もし、同じ世界に飛ばされたらその時は…必ず会えるから…だから頑張って…また会う為に。)
プリズム「逃がさないよ…ここで、死んでもらうんだからッ!!。」
プリズムは凄まじい勢いで接近する。
ソラは咄嗟に変身、プリズムの攻撃を弾き飛ばす。
プリズム「酷いなぁ…ソラちゃんッ!!。」
スカイ「…もう…崩れたいくらい泣きたいです…涙が止まらない…でも…これ以上、貴女のそういうところを見たくない…だから、決めたんです…貴女を救う為に私は…もっともっと、強くなって…理想以上のヒーローになるんですッ!。」
ボロボロと涙を落としながら、スカイは拳を固める。
その瞬間、フレアが咆哮を上げる。
次元王フレア「跳躍するッ!!。」
黒い光に包まれ、一同は姿を消す。
その場に残ったのは、スカイが最後に流した涙。
消える瞬間、決意を固めた表情をしていた。
プリズム「あーあ、行っちゃった。」
アデル「まぁいいでしょう、跳躍先は把握しております。では、改めまして…。」
アデルとナイアルは、頭を下げる。
アデル「ようこそ「劇団」へ。我が物語の主人公…破滅の姫君。」
プリズム「アハハ、ありがとう?。では、始めよっか?。世界に静寂をもたらす為に。」
ーーーーーーー
破滅の物語を。
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〜異空間〜
フレアと蒼葉の懸念通り、異空間の中は乱気流のように渦巻いており、ありとあらゆる感覚が異常を来す。
離れまいとしっかりと手を握ってはいたが、あまりの力に全員がバラバラになる。
その中で、プリキュアと勇者達はお互いに顔を一瞬だけ見合わせた。
スカイ(あの人は……。)
友奈(あの子は………。)
……………………………。
〜もう一つの世界線・森林区域〜
晴れた空に、囀る小鳥の声。優しく流れる風に煽られ、枝葉を揺らす木々達。
烈火と友奈は同じ場所に飛ばされ、互いに手を繋ぎながらその場で意識を失っていた。
最初に目を覚ましたのは友奈。
変身は解けており、ゆっくりと身体を起こす。
友奈「ここ…は……あ…良かった…烈火君ッ!!。」
知っている人間と一緒だったのが安心し、友奈は思わずホッとする。
烈火「…いてて…ゆ…友奈!。あ〜、良かった〜…俺だけ全然違う場所だったらどうしようかと…って…ここがそうか…。」
目を覚ました烈火は、先ほどと違う光景に辺りを見渡す。
烈火「やっぱ、全員離れ離れになっちまったか…。」
友奈「あっ…誰かあそこに倒れてるッ!!。」
友奈が指を刺した方向、そこにいたのは……。
ソラと鷹夜…違う世界の2人だった。
………………end。
「劇団」の「舞台」がついに、開幕となった。
その「舞台」の全容とは、静寂な世界…つまり、星が停止した全くの無の世界そのものだった。
刻一刻と迫る中、一同は3つ目の世界である「もう一つの世界線」へと跳躍。難を逃れたのであった。
そこで、友奈と烈火は同じく跳躍してきたもう一つの世界の住人であるソラと鷹夜と出会う。
手を取り合い、大きな困難に立ち向かう。
大切な人を取り戻す為に…大切な時間を取り戻す為に。
二つの世界の戦士達の戦いが今、始まりを迎える。
次回
第22話 ソラと友奈、絶望を乗り越えて。