〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

この世界の事情を知った一同。

そして、「高天原」と呼ばれるこの世界の大赦に当たる組織は友奈の身柄を確保しようと仕掛けてくる。

彼女を守るため、「高天原」の「防人部隊隊長」楠 芽吹と戦う烈火。

経験・先見・戦闘力…その全てにおいて歯が立たない烈火は苦戦を強いられる。

しかし、負けられない。

その背中には、守るべき者がいるから…。


第24話 炸裂、一撃打倒の「雷霆」。

 

芽吹(if)「はっ…!。」

 

 

銃剣の刃の部分を射出して、ワイヤーによる自在な操作で烈火を切りつける芽吹。

 

 

その卓越した技術により、烈火は少しずつだが血を流しながらダメージを受けていく。

 

 

歯を食いしばり、機会を伺うも全く隙がない。

 

 

烈火(ちきしょう、あいつと俺じゃあ差がありすぎる!!。一方的にやられてんじゃんかッ!。)

 

 

メイスを盾にし、何とかいなしていくも反撃出来ずに防戦一方だった。

 

 

芽吹(if)「わからないな、何故そうまでして他人を庇うの?。貴方が命を張るほど、彼女は大事?。」

 

 

烈火「当たり前だろ!!。これ以上、あいつが背負うものなんて何もねェんだよッッ!!。聞かせろ、何で友奈を狙う!?。こっちの世界でも…なんで、友奈なんだッッ!?。」

 

 

芽吹(if)「彼女は神に好かれる体質を持った少女よ。それは役目でもある。」

 

 

烈火「役目…だと…!?。」

 

 

芽吹(if)「元来、この世界において神に見初められた少女はその役目を担う場合がある。つまり、生贄よ。でも、それはとても名誉なこと。人として生きる平凡な日常ではなく、神のお付きとしてその一生を全うする。彼女は、過去の戦いで「御姿」となった。それは、名誉以上の偉業よ?。」

 

 

烈火はその言葉に、憤りを感じる。

 

 

名誉だと?ふざけるな…役目だと?何だよそれ……。

 

 

「自由」を最も愛する烈火にとってはその言葉は耳障りでしかない。

 

 

烈火「何が名誉だ…何が役目だ…人として生きる平凡の何がおかしい?。そんなに、神に認められることが大事なのか?。お前らのそれはただの…「呪縛」だろうがッッ!!。」

 

 

目を見開き、メイスを横薙ぎに振る。

 

当たりそうになるも、芽吹の超反応によって難なく避けられてしまう。

 

 

芽吹(if)「呪縛?。バカな事を…幾千年もの間、この世界はそうやって成り立って来ている。自分の価値観を押し付けないで欲しいわね?。」

 

 

烈火「…成り立ってねェから、反乱組織ってのが生まれたんだろうがッ!!。

 

 

芽吹(if)「それは、この偉業が認められない愚かな人達の行為よ。この世界の結城友奈は「世界樹」の巫女としてこの世界を守護してくださっている。それは、彼女の寵愛でもあるのよ。そして偶然にも…別の世界からもう1人の結城友奈がやって来た。高天原は、彼女を迎え入れるつもりよ。もう1人の「御姿」…彼女が力添えしてくれたらこの世界の安寧は永遠のものとなる。」

 

 

烈火「ふざけんじゃねェぞッ!。祀りあげる名目で1人の自由を奪っといて何が寵愛だッ!。お前ら、神に勝ったんだろッ!?。神が太刀打ちできねェ程にこの世界は強いんだろッ!?。だったら、自分達で他所から来る脅威を払いやがれッ!。それが、テメェらの役目だろうがッッ!!。それを…!。」

 

 

烈火は接近し、拳を構える。

 

 

烈火「人1人に背負わせてんじゃねェよッ!!。」

 

 

勢いをつけて突きつけるも、芽吹は簡単に受け止める。

 

 

烈火「ちぃ…ッ!?。」

 

 

芽吹(if)「だったら、貴方は数万の命を1人で守り切れると言えるの?。」

 

 

烈火「何を…ッ…!?。」

 

 

芽吹(if)「世界樹の守護システムはその数万の命を簡単に守り切れるの。貴方は人1人に背負わせるのは間違ってると言いたいのだろうけど…この世界が歩んできた歴史を知らないから言える事…あの、地獄とも言える戦いが何をもたらしたか、知らないでしょう?。」

 

 

銃剣による斬撃を浴びせられる烈火。

 

 

機動力が追いつかず、状況はひっくり返らない。

 

 

芽吹(if)「一夜にして、数千万とも言える命が散っていった。時には、数箇所の都市も破壊され、滅びの運命を辿るしかないと思っていた…人類はそこまで追い詰められている。勇者とプリキュアが現れた事で状況は一変したものの、あんな地獄を味わいたいと思う人間なんていないのよ。それに、「劇団」と呼ばれる謎の集団が世界樹を突破しようとしている…この世界は再び、暗雲に包まれようとしている…その経験をした人類だからこそ、この選択が間違っているとは言わせないわ!。」

 

 

凄まじい猛攻撃に、烈火は防御耐性を整えるがその合間に打ち込まれた弾丸が正確無比に、薄いところを確実に撃ち抜いてくる。

 

 

烈火「がは…ッ!?。」

 

 

芽吹(if)「1人の犠牲で全員が守れるなら、それは素晴らしい事ッ!!。他所の世界の私情を…挟んでくるなぁああッ!!。」

 

 

仰け反った烈火は、バツの字に胸を斬られて血飛沫を上げる。

 

 

烈火「ぐっ……ぁ……(ヤベェ…こりゃ、深ェわ…)!。」

 

 

そのまま、大の字で地面に倒れる烈火。

 

 

その一方、戦闘音が響く街の方向を友奈は心配そうに見つめる。

 

 

友奈「…烈火君……。」

 

 

ソラ「戦闘の音が小さくなりました…どうやら、追手は振り切れたようです。」

 

 

初老の男「しかし、あの坊主がまだ…しかも、相手はあの楠隊長だ。無事では済まんぞ…。」

 

 

鷹夜「それでも、信じるしかねェだろ。」

 

 

鷹夜(あれだけの啖呵を切ったんだ…負けたりしたらカッコつかねぇぞ、烈火…!。)

 

 

友奈「やっぱり、私が…!。」

 

 

ソラ「いけませんッ!!。貴方が行けば、烈火さんの覚悟が無駄になってしまう!。」

 

 

友奈「で…でも、私のせいで烈火君が危ない目に…ッ!。」

 

 

鷹夜「自分で守るって言ったんだ、お前が気負う必要はねェよ。大丈夫だ、必ず勝って帰ってくるさ。」

 

 

ソラ「信じてあげてください。あの目は…本気です…!。」

 

 

友奈は2人に説得され、考えを改める事に。

そして、祈る。自分のために戦う烈火の無事を。

 

 

友奈(烈火君…絶対に…ここに来て…!!。)

 

 

……………。

 

 

勝負ありと判断したのか、芽吹は武器を下げる。

 

 

芽吹(if)「バカな人ね、最初から抵抗さえしなければ情状酌量の余地はあったのに…でも、これも私達が守護を続けるため…もう、何万人も命が消えていかないためなの。悪く思わないで。」

 

 

バイザーの通信機を使い、周辺の防人達に連絡を入れる。

 

 

芽吹(if)「反乱者は鎮圧した、引き続き向こう側の結城友奈の身柄を拘束せよ。私は、この少年を連行する。」

 

 

芽吹(if)(お願いだから、考えを改めて。私はもう、人を殺したくないの。)

 

 

通信を切ろうとしたその時、芽吹は咄嗟に銃剣を再発現させて飛んでくる攻撃を防ぐ。

 

 

視線の先にいたのは、血みどろになりながらも立ち上がった烈火。

 

 

落ちていた瓦礫を投擲し、息を切らしながら立ち上がる。

 

 

もう、勝負はあった。あの傷だ、これ以上続けると命の危険性だって考えられる。

 

 

もう、起き上がって来ないように徹底的に叩きのめした、なのにまだ立ち上がる。

 

 

あの精神力は何なのか、指を突けば倒れそうな身体で何故こうも抵抗するのか。

 

 

芽吹は烈火の執念に恐れさえ抱き始める。

 

 

芽吹(if)「…驚いたわね。貴方のその執念…恐ろしいわ。」

 

 

烈火「…はぁ…はぁ…まだ…終わってねェぞ…この野郎…!。」

 

 

ボトボトと滴る血。擬似勇者外装を纏っていなければ確実に死んでいたと思う。

 

芽吹の技量は、この強固な防御力の意味が全く無い。

 

天才を相手にしている、勝てる確率なんて無いに等しい。

 

 

そうわかっていても、烈火は立ち下がらない。何故なら、以前に勇者部の面々から友奈に起きた出来事を聞かされたから。

 

 

烈火(…ぶちょーは言ってた…友奈は人一倍に他人思いだと…東郷さんは言ってた…友奈は人のためなら平気で命だって賭けてしまうと…夏凛は言ってた…友奈は抱え込むと誰にも話さない、1人で悩んでしまうと…樹は言ってた…友奈は優しすぎて、時にはそれが危ない事に繋がると…そして、全員は言ってた…あいつは…「御姿」という身体になってしまって…「祟り」に苦しめられて…みんなが助かるために本気で命を捨てようとしたって…それで…やっと、自分の幸せを見つめるようになったって…だったら…!。)

 

 

その時、烈火の瞳に決意が籠る。

 

 

烈火「もう苦しむ必要もねぇだろうがよ!!。みんながあいつを守るなら俺もそれに乗るッ!!。俺を勇者部に入れてくれたのはあいつだ…正直、部活なんてゴメンだけどよ…今でもそう思ってるけどよッ!それでもッ!。」

 

 

自身の身体が発光し、メイスを握りしめるその手に力を込める。

 

 

烈火「やっと、自分の為に動こうと決めたあいつを誰かのしょうもねぇ理由で利用されてたまるかッ!!。あいつはもう「自由」なんだ!!。」

 

 

その時、<擬似勇者外装>の能力が1段階、解放される。

 

 

吹き荒れる紅蓮の花びら…烈火はそれを纏いながら突撃する。 

 

 

芽吹は慌てた様子で攻撃を繰り出す。しかし、撃ち込んだ弾丸が届く前に全て弾かれていく。

 

 

芽吹(if)(バリアじゃない!?。純粋な防御性能で全部弾いている!?。)

 

 

銃剣のワイヤーを射出。刃を自在に操るも烈火はそれを強引に掴んで逆に引き寄せる。

 

 

烈火「やっと懐を取ったぞこの野郎ッ!。ズタズタにしてくれやがってッ!!。」

 

 

芽吹(if)(マズイ…この距離…回避は無理かッ…!。)

 

 

烈火はメイスを横薙ぎに振るって、芽吹の懐に直撃させる。

 

ようやく入ったその一撃。芽吹は吹き飛ばされ、家屋の壁に叩きつけられる。

 

 

芽吹(if)「がはッ…ッ…(一発でこの威力…!?。)」

 

 

吐血しながら、立ち上がる。視界に烈火は居ない。

 

左右を見渡すもその姿がない事に焦りを募らせる。そして、その気配は頭上にあった。

 

 

烈火「こっち側の友奈もそれに巻き込まれてんなら!!。そんな理由で利用されてんのなら!!。助けるしかねェだろッッ!!。人の自由を奪うような安寧は…滅んじまえッッ!!。」

 

 

メイスを両手で握り締めると、どことなく雷雲が現れてその雷がメイスに籠る。

 

 

烈火「一撃あればそれで十分ッ!!。これで、決めるッッ!!。」

 

 

     ー雷霆(らいてい)ッッ!!ー

 

 

落雷の如く、そして雷の如く一瞬で振り翳されたその一撃は確実に敵を粉砕する威力。

 

 

直撃はしなかったものの、地面に叩きつけられた一撃により芽吹はその余波だけで大ダメージ。意識が刈り取られるほどのダメージを負っては吹き飛ばされる。

 

地面は大きく陥没。近くの家屋はその余波で粉々に砕けていった。

 

 

芽吹(if)(なんて…威力…直撃なら確実に…死……。)

 

 

地面を激しく転がる芽吹は、気を失ってその場に倒れる。

 

息を切らしながら、メイスを担ぐ烈火はトドメを刺さずに、その場に倒れ込む。

 

 

烈火「…はぁ…はぁ…もう…無理だッ!。でも勝った…勝ったぞぉおおお!!。」

 

 

そしてそれから数時間後、友奈達の元に外装を解除せずに足を引き摺りながら烈火はやってくる。

 

 

そんなボロボロの表情を見て、友奈は思わず駆け出す。

そして、力強く抱き締める。

 

 

烈火「ぐおッ!?。か…身体が…!!。」

 

 

友奈「もうッ!。何でこんなにボロボロになってまで…心配したんだよッ!?。」

 

 

烈火「…オメェに…言われたかねェよ…でもまぁ…なんとか、勝ったぞ…あいつらは隊長を抱えて撤退…したわ…。」

 

 

友奈「ごめんね…ごめんねッ!。私のせいで…私なんかが…!!。」

 

 

烈火「バカが…お前はもう、自分の「自由」だけ見てりゃいいんだ…十分頑張って来たんだろ…後は…幸せ願っとけ……。」

 

 

外装を解除して、気を失う烈火。

 

やり切った表情で、笑みを浮かべながら眠る。

 

そんな烈火を見て友奈は泣きながら抱き締める。

 

 

彼は偽物の勇者…しかし、その姿は…。

 

「自由」を愛する勇者そのものであり、1人のためのヒーローでもあった。

 

 

………………end。

 





その執念によって、1段階の解放を成し遂げた烈火は芽吹を撃破。

なんとか、その難を逃れた一同。

しかしそれと同時にこの世界の大赦である「高天原」から世界的な指名手配犯として烈火は顔が知れる事になる。

次に目指すのは、高天原の対抗組織である「ヤマザクラ」。

そこを目指す一同の前に、並行世界から千景と「劇団」のアリスが現れる…。

次回
第25話 立ち止まるな、ヒーローガール。
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