〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
芽吹を撃破した烈火。
しかし、その代償として烈火は「高天原」から指名手配犯として、全世界に認知される事になる。
今後の身寄り場所として対抗組織「ヤマザクラ」を尋ねるべく、歩を進める一同。
この世界での旅は始まったばかりだ…。
初老の男と別れ、彼の紹介で「ヤマザクラ」関連の医者を目指す一同。
目的は怪我を負った烈火の治療のためだ。
仲間の安否も気になるが、それよりも烈火の傷が気掛かりだった。
特に、友奈。
自分の為に戦った烈火の怪我に、一番敏感だった。
それもそのはず、彼女の性格からして自分よりも人が傷付く方が嫌だからだ。
烈火「…そんなに気にしなくても大丈夫なのに…。」
友奈「ダメだよ。傷が開いたら悪くなっちゃうから。」
烈火の肩を持ちながら歩く友奈。
ソラは先導して周りを見る。
ソラ「高天原の警備隊がいつ、追いかけてくるか分かりません。私は万全ですので、もし来ても追い払って見せます。」
鷹夜「…こっちに来て追われる事になるなんてな…でもまぁ、高天原のやり方は俺も気に食わねェ。」
ソラ「はい。世界の守護のためといえど、1人の自由を奪っていいわけがありません。そんな守護は…悲しみの果てに手に入れたものに過ぎませんから…。」
ソラ(私は…まだ何も出来ていません。ましろさんを救う為にも、もっも…強くならないと…。)
ソラは自分の拳を握り締めては、人格が反転したましろの事を思い出す。
あの時、ましろを失った悲しみも確かにあった。しかし、それ以上にソラはあの場で泣くことしかできなかった自分が一番許せなかったのだ。
鷹夜は戦って傷付き、手を伸ばしても届かなかった。
一番、悔しい思いをしているはずなのに前を見ている。
ソラも後ろを振り返ることをせずに前を向く事に決めた。
ましろだけではない、この世界に来てから友奈だって危険な目に遭いそうになっている。
初老の男から聞かされたこの世界の歴史…確かに、万人を守る為に1人を犠牲にする…世界規模で見ればそれが常識なのかもしれない。
しかし、烈火が否定したようにソラもまた同じ思いだった。
綺麗事で絵空事…そして、ただの理想論でしかないかもしれない。
それでも、1人の少女が自由を捨ててまで万人を守るシステムになっているのはどうしても納得できなかった。
それを否定することは、この世界のルールに反する行為…当然、敵が増える事になる。
でも、後悔はなかった。
生きたい為に大人が下した判断を、少女1人が全てを担う。
そして、同じ存在である友奈にもその手が迫っている。
守らなきゃいけない、もう何も…失わない為に。
ソラは本来の気持ちの強さを取り戻しつつある。
だからこそ、今度こそ泣かない為に強くなろうとする。
それが憧れの…ヒーローになるための道筋でもあるから…。
友奈「ソラちゃん…大丈夫?。ずっと、周りを警戒してるから疲れてない?。」
ソラ「いえ…これくらいしかできませんから。それに私は今度こそ…前を向いて行きます。だから、守らせてください。貴女のことを。」
鷹夜(…それでいいんだよ、ソラ。回り道でもいい、確実に前に進めばきっと…。)
鷹夜(ましろの元に行くことができる。)
歩を進める一同。
目指す先の施設は近くに迫っている。
その一方で、この世界にやって来た者が2名…それも、ソラ達の動向を追っていた。
その2人とは郡千景と「劇団」のNo.Ⅲ<スカウトマン>のアリス。
不幸な事に、烈火の起こした行動が全世界に知れ渡ったことで所在の情報が2人の耳に入っていたのだ。
彼女達もまた、世界の壁を超えてこちら側へとやって来ていたのだ。
千景「…同盟を組んでから、貴女達はとんでもないことをしてくれたわね。おかげで私の復讐計画も回り道となったわ。」
アリス「ごめんなさいね、でもこれはお互い様よ?。貴女が世界の壁を壊した事により、私たちに欲が出ちゃったみたい。」
千景「…まぁいいわ、計画の路線変更は無い。私も理想へと近づいているのは確かだから。それに、この世界はとても興味深いわ。何せ、大赦が神に勝った世界なのだから。」
もう一つの可能性…元いた世界がこういった選択肢もあったかもしれないこの世界に、千景は興味を示す。
千景(そして、その大赦が世界を支配している…この世界にもプリキュアがいるようだけど、その彼女達の動向は全く掴めていない…勇者はおそらく、私達と同一人物の可能性が高い…何せ、結城友奈…彼女がこの世界の守護システムの中枢となっているのだから…この世界での私は…愛されていたのかしら?。フフ…もうどうでもいいか…全てを壊す決意をした時点で私はもう勇者では無い…だからこそ、成し遂げてみせる。)
アリス(郡千景…その憎悪は計り知れないわねェ…敵に回さなくて良かった。アデルから世界樹の突破方法を探せと言われたけど…全く、「破滅の姫君」の力さえあればなんとでもなりそうなのに勿体ぶって…余計な仕事じゃなければいいけど…。)
2人は互いの目的を話すことはない。
同盟といっても、利用し合うだけの間柄…それは、双方も理解を示している。
アリス「…貴女の弟がこの世界で騒ぎを起こしている。姉弟揃って、世界に騒ぎを起こすのが好きねェ?。まぁそのおかげで、ターゲットは目の前に近づいてるけど。」
千景「弟…だった人よ。もう赤の他人だわ。それに…私が開発した<擬似勇者外装>の機能を1段階、開放している。データが取れれば後は私の<擬似勇者外装>に反映させるだけ…そうすれば私はまた「勇者」の力を行使できる。」
アリス「では、弟はモルモットというわけね?。酷い言い草よね、家族なのに。」
千景「…私をあまり怒らせないで。その単語が一番…嫌いなのよ。」
そうしているうちに、歩を進めるソラ達を見つける。
千景「…見つけた。」
千景は外装を身に纏い、4人の元に降り立つ。
アリスもそれに続き、鞭を手に取る。
ソラ「あ…貴女達は!?。」
烈火「…姉貴…ッッ!!。」
鷹夜「姉貴だって!?。そいつは本当か!?。」
千景「無駄話は良いわ。烈火、貴方の外装を取りに来たの。」
烈火「しつけぇな、嫌だと…ぐっ…!?。」
友奈「烈火君ッッ!!。傷がまだ…!。」
千景「手負のようね、撫でるだけで倒れるわ。死にたくなければ渡しなさい。そうすれば、見逃してあげる。」
友奈は勇者に変身しようと前に出る、しかしソラがそれを遮って。
ソラ「…貴女達は先に行ってください、ここは私が2人を抑えます。」
友奈「だ…ダメだよソラちゃん!。いくらソラちゃんでもこの2人を相手になんて…!。」
ソラ「烈火さんの怪我が気がかりです、それに騒ぎを聞きつけて高天原が来るかもしれない!。鷹夜さんもまだ万全じゃありませんし…友奈さんに託したいんです。お願いできますか?。」
無茶…では無い。
ソラは力強い眼差しで友奈を見つめる。
その思いを感じた友奈もまた、ソラを信じる眼差しで見つめて頷く。
友奈「わかった!。ソラちゃん…先に行ってるね!?。」
アリス「させないわ…ッ!?。」
アリスは鞭を振おうとする。しかし、ソラの放つ気迫に圧されてしまった。
アリス(何…ついこの間までとは全然違うじゃない…虫けらのように泣いていたこの子が!?。)
ソラ「…私は…もう泣きません。立ち止まらない…目の前の困難にぶつかっていって…その先にある光を手にする。ましろさんを救う為に…大切なものを取り戻し、そして守る為に…私は…前に進みます!!。さぁ、ヒーローの出番ですッ!!。」
ソラは力強い眼差しで歩を進めながらキュアスカイに変身。
焦ったアリスの放つ鞭を、片手で受け止める。
スカイ「…大切なものを失ってから、気付きました。自分の弱さに…貴女達のような大きな壁に立ちはだかれて正直、心が折れかけてました。でも…泣いてばかりじゃいられない…!。」
千景の振う鎌が、スカイの脇腹を狙う。
だが、もう片方の手で刃を受け止めて攻撃を防ぐ。
千景「!!?。」
スカイ「鷹夜さんは絶望の中でも戦い、烈火さんは守る為に戦った…そして、友奈さんもまた、自分に降りかかる困難に立ち向かおうとしている。なら、私も同じように困難に立ち向かうと決めました…貴女達が大きな障害だ…でも、それを乗り越えなきゃいけない!!。もう、何も失わない為にッッ!!。」
ましろの笑顔を思い浮かべるスカイ。
取り戻したい。
その一心で、2人の攻撃を受け止めては反撃に移る。
目の前にいるのは、自分たちに立ちはだかった大きすぎる壁。
日常を壊され、大切なものも失った。
必ず、超えなければいけない障害。
守る為に、取り戻す為にスカイは決意を固めた拳を放つ。
ー立ち止まるな、ヒーローガールー
その言葉を思い出して。
スカイ「はぁああああッッ!!。」
拳圧で2人を分断。一番近くにいたアリスに接近する。
アリス「何コイツ!?。気迫が凄い…!!。」
スカイ「貴女達がましろさんをあんな目に遭わせたッッ!!。そして、世界を滅ぼそうとしているッッ!!。」
ラッシュの末、スカイはアリスを蹴り飛ばす。
続いて懐をとって来た千景の攻撃を超反応で避けた。
千景「…これを外す…!?。」
スカイ「貴女は、復讐のために自分の世界をめちゃくちゃにしようとしているッ!。「劇団」と組んで、友奈さん達の日常を壊したッッ!。」
鎌の刃を掌底でへし折り、蒼いオーラを纏った拳によるアッパーカットで千景を打ち上げた。
スカイ「だから絶対に負けられないッッ!!。ここからは私たちの反撃ですッッ!!。」
地面を蹴って、飛び出すスカイ。
2人は防御体制を取るが、速度がどんどん速くなるスカイの攻撃に対応出来ずに吹き飛ばされる。
気迫に押されてる時点で、この戦場はスカイの独壇場だった。
これまで、一方的に叩きのめされたスカイ達。
しかし、何のために戦うか、そして自分の意思と信念を思い出したスカイは何も恐れない。
だからこそ、この場を引き受けた。
敵は増えてしまい、これからもっと辛くなる。
だが、その分強くならなければならない。
立ちはだかる壁を砕いていくしかない、その先にあるものを手にするために。
スカイ「ガトリング…スカイパァァァァァンチッッ!!。」
蒼いオーラを纏った一撃必倒の拳のラッシュを浴びせるスカイ。
反撃の手は与えない、この強者達に立ち向かうにはそれしか無い。
2人は一方的に追い詰められ、徐々にダメージを負う。
そしてその瞬間、スカイが渾身の一撃で拳を張るい、それは衝撃波をも生み出す。
たまらずに直撃を受ける2人は地面を激しく転がった、
アリス「がっ…何コイツ…くっ…出直すしか無い…!!。」
千景(…キュアスカイ…その信念は……。)
分の悪さを察したのか、2人は撤退。スカイはその場に立ち尽くす。
スカイ「はぁ…はぁ……。」
空を見上げるスカイ。拳を強く握りしめて力強い眼差しで見つめる。
スカイ(待っていてください、ましろさん。私はもっと強くなって…変わってしまった貴女と対等に話せるようになるために…。)
ー必ず、貴女の元へと行きます、みんなと共に…その優しさを取り戻す為にー
……………end。
決意を固め、大切な者たちを失わない為に迷いを振り切ったスカイ。
その気迫と信念を武器に、強敵2人を退ける事に成功した。
ーここからが私達の戦いであり、反撃だー
スカイは握り締めた拳にその決意を込める。
その一方で、別の場所に飛ばされた蒼葉と犬吠埼姉妹、そしてツバサは
世界の壁を食い破ってやって来た「シン・バーテックス」に襲われる。
追い詰められる3人を前に、蒼葉は千景が破棄したもう一つの<擬似勇者外装>の端末を手に、決意を込めてシン・バーテックスの前に立つ。
次回
第26話 「アイリス」、信じる心…蒼葉の決意。