〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

揺るがない決意を胸に秘めたスカイは、その拳で千景とアリスを退けた。

大切な者を取り戻す為、もう泣かない…。

そう決めて。

その頃、別の地点へと転移した蒼葉は犬吠埼姉妹とツバサと共に行動していた。

離れ離れとなった一同を探すべく、蒼葉達も旅に出ていたのであった。


第26話 「アイリス」、信じる心…蒼葉の決意。

 

〜もう一つの世界線・海岸地区〜

 

 

蒼葉「…随分と辺境に飛ばされたようだ。」

 

 

持っていた端末で、現在地を確認する蒼葉。

この海岸地区は、過去の大戦によって汚染された海。

 

 

よって、誰も近寄らない淋しい場所となっていた。

 

 

その傷跡が所々に残っているのか、砂浜はいくらか焼け焦げている。

 

 

ツバサ「僕が変身して、上空から様子を見ましょうか?。とても長い海岸線に見えます。」

 

 

蒼葉「いや、やめておいた方がいいだろう。プリキュアと知られれば「高天原」の連中がやってくる可能性もある。」

 

 

風「高天原ねぇ…あっちで言う大赦がそんな大きな権力を持っていたなんて。」

 

 

樹「蒼葉さん、その人達は悪い人達なんですか?。」

 

 

蒼葉「悪か正義かと言われれば、答えようがない。しかし、奴らは自分たちの行いが正しいものだと錯覚している。確かにそれは、民衆の為になるだろう、だが…やっていることは向こうの大赦と同じだ。特異な力を持つ者達に外敵を対応させて自分達は真実を隠して民衆に情報を流す。この世界が神に勝った世界といえど、その犠牲は常に前線に居た者達…そういった功労者を揉み消して自分達の正義を振り翳している。そう言う連中だ。」

 

 

蒼葉(…まさか、こんなにも早くにここに戻ってくるなんてな。「あの人」の元に行く必要がある。向こう側の勇者とプリキュアを奴らに利用されるわけにはいかない。)

 

 

ツバサ「過去の大戦があった話は聞きましたが…その後、その功労者達はどうなったんですか?。」

 

 

蒼葉はその質問に少し、間を置く。

 

 

まずい事を聞いてしまったのか、ツバサはそう思って前言撤回しようとする。

 

しかし、蒼葉は口を開いた。

 

 

蒼葉「…勇者の数名は、高天原側に付いている。そうで無い者は、「世界樹」の力によって、勇者システムを剥奪されている。そして、先輩…貴女はこっち側では…死んでいる。」

 

 

樹「えっ…!?。」

 

 

風「……落ち着いて樹。私はここにいるし、こっち側の私はあんたの姉じゃない。だから、大丈夫よ。まぁ…同一人物が死んでいるって言うのは少し複雑だけどね〜。」

 

 

蒼葉「俺が知っている先輩は、システムの剥奪寸前まで高天原と戦っていた。それは「ある理由」によってだが…最期まで戦ったその姿は、高天原に異を唱える者達にとって大きな勇気となっている。だから、その死は英雄扱いされている。」

 

 

風「英雄かぁ…そんじゃ、こっちの私は女子力の欠片も無い武人だったのかな?。」

 

 

蒼葉「…そうだな。あの姿は…今でもハッキリと覚えているさ。」

 

 

こちら側の風が最期に言った言葉…それは…。

 

 

ー人は神にはなれないし、なる必要も無い。だから、あの子を返してもらう!!。人として生きる方が幸せなんだ!!ー

 

 

その言葉が脳裏に浮かんだ蒼葉は、あの勇姿を思い返していた。

 

 

蒼葉(そう…人は神にはなれないし、なる必要も無い。この世界の人間達は勘違いしている…神に勝った事で、自分達がその頂点に立っていると…そして、最も優れた者を「神人類」として祀り上げ、自らの安寧のための生贄とする…こんな事、誰が許すものか…。)

 

 

樹「蒼葉さん?。」

 

 

蒼葉「…ああ、すまない。考え事をしていた、プリキュアに関してだが…あの戦いの後、行方がわからなくなっている。」

 

 

ツバサ「やはり、風さん達と同じく同一人物だったんですか?。」

 

 

蒼葉「ああ。神に勝利し、大赦が「高天原」へと名前を変えたその日に行方をくらましたんだ。」

 

 

ツバサ(何か、あったのでしょうか…それとも、高天原の思惑に気付いて…?。)

 

 

蒼葉「とりあえず、この世界のことも理解する必要もある。だがその前に、拠点となる場所を探さねばならない。ツテがある、そこに向かおう。そこにいけば、転移反応を追うことが可能だ。」

 

 

話を終えて、先に進もうとした。

 

 

しかしその時、空が突然割れる。

 

 

中から食い破るようにやって来たのは怨嗟の星屑…そう、シン・バーテックス達だ。

 

 

蒼葉(「世界樹」の守護システムが機能していないだと!?。何かあったのか!?。それとも…。)

 

 

ツバサ「あの化け物達、僕たちの世界にも来ましたよッッ!?。」

 

 

風「こいつら、世界の壁すらも簡単に破ってくるの!?。」

 

 

蒼葉「…文字通りの天災…だな。仕方ない、コイツらを引き寄せるぞッッ!!。この先は居住地区がある!そこに向かわれたら終いだッッ!。」

 

 

蒼葉の指示に従った3人は変身。ツバサはキュアウイングに、風と樹は勇者装束を纏う。

 

 

その力に気付いた怨嗟の星屑達は3人に向かってくる。

 

 

蒼葉(狙い通りだ!!。このままこっちに来いッッ!。)

 

 

樹「蒼葉さんは物陰に隠れてください、私が守りますッッ!。」

 

 

風「それじゃ、私とツバサ君であいつらを倒しますかッッ!。」

 

 

風は空を舞うウイングの手を掴み、空中へと飛び出す。

 

 

大剣を掲げてそのまま垂直に降下。

 

重力を利用して自由落下による斬撃で束になった怨嗟の星屑を真っ二つにしていく。

 

 

ウイング「僕も負けてられませんね…!!。」

 

 

空を舞いながら、引きつけるウイング。

 

 

反転し、肉弾戦による打撃で打ち落としていく。

 

 

蒼葉「…やはり、「世界樹」の守護システムが弱体化して来ている…外敵の存在を事前に察知する機能が働いていない…まさか…。」

 

 

 

蒼葉(限界が来ているのか!?。こっち側の結城に…!。)

 

 

樹「危ない、蒼葉さんッッ!!。」

 

 

蒼葉「!!?。」

 

 

飛んできた怨嗟の星屑の接近に気付いた蒼葉。

しかし、その速度からして衝突は免れない。

 

だが、樹が前に出てワイヤーを束ね、盾を形成。

高速の体当たりを受け止める。

 

次々と突撃してくる怨嗟の方の物量に負けてしまい、ワイヤーの盾は崩壊。樹はそのまま跳ね飛ばされてしまう。

 

 

風「樹ぃいいいいッッ!!。ぐううっ!?。」

 

 

取り乱した風も、衝突されて砂浜に激突。

受け身は取れたが、その衝撃で息が一瞬だけ止まる。

 

 

大口を開けて突撃する怨嗟の星屑は捕食しようと接近。

 

その窮地にウイングが超スピードで風を救出。

難を逃れる。

 

 

ウイング「大丈夫ですか、風さんッッ!!。」

 

 

風「ご…ごめん、ありがと…それよりも樹は!?。」

 

 

気を失った樹に、怨嗟の星屑が集る。

 

捕食対象としたのか、何体かが大口を開ける。

 

 

慌てる風は走り出すも、砂浜に足を取られて倒れ込む。

 

 

風「樹ッッ!。起きなさいッッ!!。」

 

 

ウイング(くっ…間に合うか…!?。)

 

 

地面を蹴って低空飛行で樹の元に向かうウイング。

しかし、巨大な影がウイングを覆うと共に、電撃による攻撃が放たれて直撃。

 

感電したウイングは地面を激しく転がっていく。

 

 

ウイング「ぐっ…ぅ…な…何が来た…!?。」

 

 

頭上には、完成体型のシン・バーテックス…「牡羊座」に当たる「シン・アリエス」が姿を現す。

 

 

刻一刻と、怨嗟の星屑達が樹に迫る中、シン・アリエスまで姿を現してしまった。

 

その場には絶望しかなく、風は樹を救おうと必死に走る。しかしその距離からして、間に合わない。

 

 

そんな絶望の中、蒼葉は青い端末を握りしめる。

 

 

蒼葉(このままじゃ、全滅だ…今、俺が出来ることは…「ヤマザクラ」の咲良蒼葉じゃなく…1人の人間として、みんなを救いたい!。頼む…一度だけでいい、俺に力を貸してくれ…!!。)

 

 

仲間の窮地に、心の底から救いたいと願う蒼葉。

 

その時、端末が激しく輝く。そして、ディスプレイにはこう表示されていた。

 

   ー<擬似勇者外装>弍式 「アイリス」ー

 

と。

 

 

意を決した蒼葉は、紋章をタップ。周辺に青い花びらが舞う。

 

そして、その姿を変えていく。

 

青を基調とした外装。ロングコートにも似たデザイン。そして、ヘッドホンにバイザー付きと言った「防人」にも似た姿。

 

 

両手には二挺の装飾銃を手に持っていて。

 

 

蒼葉(擬似勇者外装)「…アイリス…その花言葉は「信じる心」…か。」

 

 

戦う力を得た蒼葉は、装飾銃を構える。

 

狙いは樹を捕食しようとする怨嗟の星屑。

 

トリガーを引くと、超弾速のレーザーを放ち、見事に命中。

 

 

それは軌道を変えて、周りにいる怨嗟の星屑を撃ち抜いていく。

 

 

ウイング「全部撃ち抜いたッッ!!。」

 

 

蒼葉「今だ先輩ッッ!。犬吠埼をッッ!!。」

 

 

風「ええ…!!。」

 

 

全力でダッシュし、樹を抱える風。

 

蒼葉は安堵し、すぐにシン・アリエスに目を向ける。

 

 

蒼葉「…奴が大元だ。ここで倒すッッ!。立てるか、夕凪?。」

 

 

ウイング「は…はい…!。」

 

 

風「その姿…烈火と同じ…!?。あんた…なんでそんなものをッッ!?。」

 

 

蒼葉「…後で話すさ。それに、起動したのもおそらく…みんなと一緒にいた時間が俺の心情に変化をもたらしたおかげだと思う。だから…それだけは信じてくれ。」

 

 

風「何言ってんのよ、あんたも立派な勇者よ。樹を救ってくれてありがと。あんたがいなかったら樹はきっと…。」

 

 

蒼葉「すまない、俺のせいでもある。3人であの完成体を殲滅する。奴を倒せばあとは自壊していくだろう。行けるな?。」

 

 

ウイングと風はコクリと頷く。

 

 

蒼葉は2人を信じて、装飾銃を構える。

 

 

蒼葉「奴は牡羊座型…防御機能は脆弱だが再生能力が凄まじく速い。先輩の一撃で御霊を出して、俺が撃ち抜く。夕凪は先輩が一撃を加えられるようその機動力で撹乱してほしい。先ほどの電撃がおそらく、武器だ。避けながらになるが気をつけてくれ。」

 

 

ウイング「わかりましたッッ!。」

 

 

風「要するに、私が突破口を開かなきゃいけないってわけね!?。上等、先輩に任せなさいッッ!。」

 

 

風は一気に駆け出す。それに平行するように、ウイングが低空飛行する。

 

 

蒼葉は集中し、装飾銃の銃身が変形する。

 

 

蒼葉「勝負は一瞬、長期戦になるとあの再生能力でジリ貧になる。2人を信じて俺は…トリガーを引く。」

 

 

風「だぁああああッッ!。」

 

 

無数の触手が風に迫るが、ウイングがそれを手刀で弾いていく。

 

 

切断されたその箇所から、さらに触手が増殖していく。

 

 

ウイング「増えた!?。再生能力どころじゃないですよッッ!。」

 

 

風「ツバサ君、触手を引きつけといてッッ!!。強烈な一撃をお見舞いしてやるわッッ!。」

 

 

ウイングの機動力に注意を取られる触手。

 

 

風はただ、一直線に走りつづける。

 

 

そして、ようやく…その一撃の距離に入った。

 

 

風「でぇえええええいッッ!!。」

 

 

縦一閃に、切り裂く風。

シン・アリエスは電撃を放って2人に攻撃を当てる。

 

 

風「ぐううううッッ…っ…み…御霊が現れた……蒼葉!!。」

 

 

蒼葉「…ああ。」

 

 

高速回転する御霊を狙い、銃口を向ける。

 

 

蒼葉(この繋がれたバトンを信じる………そこだッッ!!。)

 

 

目を見開き、トリガーを引く。

 

一直線に突き進むレーザーが御霊に直撃…しかし、その回転力によって貫通せずに弾かれてしまう。

 

 

作戦は失敗か…そう思われていたが、2射目が放たれており見事に命中。

 

 

御霊を爆散させて、シン・アリエスは崩壊。怨嗟の星屑達も消えていく。

 

 

ウイング「や…やりました…!!。」

 

 

風「あんた…いつの間に2射目を…?。」

 

 

蒼葉「…あの回転力を殺さないと撃ち抜かないと最初からわかっていた。だから、1射目で回転力を落としてから本命の2射目で撃ち抜けた。少しでも遅れていたら、回転力が元に戻って再生されて終了だ。2人のバトンを落とすような真似はしないさ。」

 

 

蒼葉(ありがとう、犬吠埼。お前が庇ってくれてなかったら俺は死んでいた。)

 

 

意識を失い、そのまま眠る樹に心の中で礼を言う蒼葉。

 

 

これまで、「ある目的」の為に素性を隠し続けて来た蒼葉。

 

 

しかし、そんな彼に芽生えたのは心の底から楽しめた日常、そして……。

 

 

仲間を「信じる心」だった……。

 

 

……………end。

 

 





仲間を信じる心と救いたい思いがもう一つの<擬似勇者外装>を起動させた。

烈火に続き、蒼葉まで<擬似勇者>に覚醒。

彼らの目指す先もまた「高天原」の対抗組織「ヤマザクラ」。

そしてその「ヤマザクラ」とは、旧勇者が設立した対抗組織の事を指す。

この世界の二大勢力…そして、「世界樹」の守護システムの弱体化…。

不穏な空気に包まれる中、この世界にも暗雲が迫って来ていた…。

次回
第27話 人類組織「ヤマザクラ」。
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