〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

もう1人の夏凛と対峙した夏凛、東郷、あげは。

並ならぬ信念を見せつけた3人に、もう1人の夏凛はその剣を納める。

そして、告げた…もう1人の結城友奈の「神婚」。

世界を取り巻く暗雲は、この世界の選択を早めてしまった……。




第33話 新たな力、キュアアグニ<バーニングフォーム>。

 

〜ヤマザクラ本部〜

 

 

ソラ「本当ですかッ!?。」

 

 

ソラは須美の告げた事に、飛びつくように反応。

その顔は嬉しそうで。

 

 

須美(if)「ええ、満身創痍だけどこちらに向かっていると。」

 

 

ソラ「良かった…あげはさん…!!。」

 

 

先ほどの話だが、もう1人の樹から連絡が入っていた。

 

 

車を強奪し、こちらに向かっていることを。ただ、距離があるので時間は掛かるようだが……。

 

 

友奈「東郷さんも夏凛ちゃんも…良かった…!!。」

 

 

須美(if)「ええ、後…ここから少し遠いけど、高天原の防人部隊と戦っていた者が居て、こちらの構成員の方が保護したそうよ。」

 

 

ツバサ「ヤマザクラ以外の抵抗勢力ですか?。」

 

 

須美(if)「いえ…乃木園子と春日井洸。2人はそう名乗ったそうよ?。」

 

 

風「乃木ッ!?。こっちに来てたのッ!?。」

 

 

樹「これで全員が無事だって確認できましたね!?。早く、東郷先輩にお伝えしないとッ!!。」

 

 

鷹夜「洸の奴も無事で良かったぜ…あいつが居なかったら俺たちもここに来れてねェからな。」

 

 

ソラ「…これで、勇者の方々と私達プリキュアが揃う事になりますね。」

 

 

友奈「うん…そうだね。」

 

 

須美(if)(こちらの世界線でも手を取り合った戦士達…その可能性である私達は一部で残念な事になってしまったけど…この人達ならきっと…。)

 

 

須美は数年前の大戦を思い浮かべる。

 

手を取り合った勇者とプリキュア…その死闘の末に手にした平和。

 

しかしその現実は残酷なもので、夏凛は高天原に…そして、高天原のやり方に反発した風がヤマザクラを設立した。そう、高天原とヤマザクラの抗争が始まってしまったのだ。

 

プリキュアはあの戦いの後に行方が分からなくなってしまった…。

 

かけがえの無かった仲間達の離別を体験した彼女は、ここにいる並行世界の者達にその道を進んで欲しくないと願う。

 

 

自分達は愚かな選択をしてしまった可能性の人間達…そう、自分を蔑んでいて。

 

 

烈火「おはようさん、なんだみんなして…どうかしたのか?。」

 

 

友奈「もう烈火君ッ!!。起きるの遅すぎだよッ!。」

 

 

烈火「いててて!。首が…首がもげるからそんなに揺らすなッ!。」

 

 

蒼葉「お前はもう少し、緊張感を持てよ?。」

 

 

烈火「別にどこにいても変わんねェよ。やる事は同じだろ?。」

 

 

須美(if)「貴方の行動は制限させてもらうわ、高天原の防人部隊と一戦を交えた後に世界的な指名手配犯にされているもの。」

 

 

烈火「……ナンダッテ?。」

 

 

須美(if)「貴方が倒した人は防人部隊隊長の楠芽吹よ?。夏凛ちゃん……三好夏凛と肩を並べる強者を倒したその罪は計り知れないわ。」

 

 

須美が出した手配書を見る烈火。

 

金額がおかしな数字となっており、罪状が「叛逆罪」と書かれていた。

 

 

須美(if)「フフ、この世界で有名になったわね?。そういう私も貴方と同じ罪状で手配書が配られてるけど。」

 

 

須美の手配書も見る。

…………金額は、烈火の3倍以上だった。

 

 

烈火「…見たことのない数値じゃねェか。」

 

 

須美(if)「ヤマザクラの構成員はみんな手配されてるわ。世の中では私たちは抵抗勢力として犯罪者扱いされてるからね。それでも、私は友奈ちゃんを取り戻すことを諦めない。もう…時間が無い…。」

 

 

友奈「東郷さん…いや…鷲尾さん…。」

 

 

須美(if)「気を使わせてごめんなさいね。仲間が揃ったら、次の段階に移行するわ。」

 

 

気を取り直した須美は、プロジェクターを起動させる。

そこに映し出されたのは世界地図。大部分が地球と似ているが、所々が違っているのはまさに異世界を感じさせていた。

 

 

須美(if)「世界樹は世界の中心に位置している。そして、そここそが高天原の本拠地になるわ。貴女達の仲間が揃い次第、行動に移す。」

 

 

ツバサ「目的はもちろん、こちら側の友奈さんの救出ですね?。」

 

 

須美(if)「ええ、恐らく激しい攻防になるわ。申し訳ないけど、私とこちら側の樹ちゃんは勇者システムを剥奪されているから戦闘能力が無いに等しい。だから、その際は貴女達に任せる形になる。」

 

 

風「元よりそのつもりよ。それにしても、こっち側の樹とは顔合わせしたいわね〜。」

 

 

須美(if)「フフ、見たら驚きますよ?。何せ、全然違いますから。」

 

 

樹「ぜ…全然…ですか…?。」

 

 

須美(if)「ええ、貴女の真逆と言った方がわかりやすいかしら?。まぁ、当の本人もこちらに向かってきているのでその時にでも顔合わせすればいいわ。」

 

 

ソラ「…大きな戦いが始まりますね…でも、必ずやり遂げます!!。こっち側の友奈さんを救い出すためにッ!!。」

 

 

友奈「うん、そうだね…私も…全力を尽くすよ。」

 

 

須美(if)「貴女はできるだけ、後方にいて欲しいんだけだ…貴女の身も高天原に狙われている。けど、引き下がる気は…無いのよね?。」

 

 

友奈「うん。私は…こっちの私を助けるために頑張りたい。きっと、祟られる前の私と同じなんだ…だから、自分だけの幸せを見つけるために目を向けて欲しい。」

 

 

烈火「司令さん、俺達はこの世界の友奈を救うために死力を尽くすつもりだ。だから……。」

 

 

「いやぁ、素晴らしいですねェ?。1人の少女を救う為に死力を尽くす…とてもいい物語です。」

 

 

聞き覚えのある声、そして勇者達は初めて聞く声。

 

忘れもしない、全てを奪い去った男の声…その声に強く反応したのは……。

 

 

鷹夜「アデルゥウウウウウウッッ!!。」

 

 

鷹夜だった。

 

 

アデル「ククク…お久しぶりです皆さん。どうですか、世界を渡った感想は。」

 

 

蒼葉「…「劇団」の<道化師>…!。」

 

 

須美(if)「まさか、貴方自らがここに来るとは…話の全てを聞いているわね。目的を話しなさい、まぁ大方…目星はついているけど。」

 

 

アデル「御名答、ようやくあの強固な世界樹を突破出来そうなのでね…そのついでに、こちら側の結城友奈さんを迎え入れようかと。」

 

 

烈火「あのましろって奴みてェに操るつもりか!?。」

 

 

アデル「いえいえ、主役は1人でいい…彼女は「御姿」と呼ばれる神の化身とでも言える存在です。実に興味深い…だから、我々が保護しようと……。」

 

 

煌々と燃える炎がアデルを吹き飛ばす。

 

怒りに満ちた鷹夜が問答無用で変身。拳に宿らせた業火を容赦無く当てる。

 

直撃を受けたアデルは、司令室の壁を突き破って外に弾き出される。

アグニはそれを追うように、アデルに迫る。

 

 

アグニ「ふざけやがって…テメェのせいで…テメェのせいで…!!。」

 

 

アデル「ん〜?。逆恨みもやめてほしいのですが…ククク、ましろさんも素晴らしいお姿になりましたよねェ?。」

 

 

アグニ「うるせぇよ…その減らず口を黙らせてやるから…素直にぶん殴られろッッ!。」

 

 

地面を蹴って、スタートを切るアグニ。

立ち上がったアデルにパンチの乱打を放つも、全く通用しない。

 

それどころか、以前戦った時と違って覇気が違う。

 

 

アデル「まぁいいでしょう、貴方の我儘に付き合います。さぁ、思う存分かかってきなさい。こちらも、大きな仕事の前です…ウォーミングアップといきましょうかね!!。」

 

 

投げナイフによる攻撃を繰り出す。

それは、1本から10本に分裂し、その内の3本がアグニの身体に突き刺さる。

 

幻影では無い、実体だ。

 

左肩、右大腿部、左腕に突き刺さった場所から灼熱の痛みを感じる。

 

 

その隙を狙うかのように、アデルが脇に現れる。

 

 

アデル「…ああ、言い忘れてましたが…貴方達の世界は今、とんでも無いことになっています。」

 

 

アグニ「なんだって…ぐっ…!?。」

 

 

アデル「星が完全に停止し、世界は大混乱。夜が明けない場所もあれば来ない場所もある…生態系の全てが悪影響に陥っています。ククク、心地いい静寂だ…あれこそが「舞台」の理想ですよ。全ては脚本通り…。」

 

 

アグニ「静寂を求めて何が狙いなんだよ…!!。」

 

 

アデル「争いも何も無い、無の世界ですよ。」

 

 

アデルの答えに、攻撃の手が止まるアグニ。

アデルもまた、後退してナイフを数本、自身の周りに停滞させる。

 

 

アデル「生態系の汚点は間違いなく、人間です。闇の勢力が生まれたのも人間が影響している事…感情を無くし、全てを無にしてしまえば静寂のみが後の世界を支配する。貴方達の嫌う争い事も何も無くなる…素晴らしいと思いませんか?。静寂な世界は何も生み出さない。悲しみも、楽しさも…何もかも。」

 

 

淡々と、語るアデル。

アグニは揺らぎもせず、拳を握り締めた。

 

そして……闘志の炎が宿る。煌々と燃える。

 

 

アグニ「ふざけんじゃねぇぞ!何が静寂だ!!。そんなもん、生きてるとは言えねェだろうがッッ!!。」

 

 

地面を蹴って飛び出し、蹴りの一撃を繰り出す。

しかし、アデルは嘲笑うかのような笑い声を発しながら、アグニの攻撃をいなす。

 

それでも、アグニは攻撃の手を緩めない。

 

 

アグニ「確かにお前の言うとおり、人間はバカでどうしようもねェよ!。だけどな、泣いたり笑ったりするから生きてるって思えるし頑張れるッ!!。」

 

 

アデル「予想通りの答えでしたよ、聞くだけで吐き気がする!。」

 

 

ナイフの軌道を変えて、アグニの右腕に突き刺す。

 

痛みで顔を歪めるが、それでも勢いは止まらない。

 

 

アグニ「間違ってばかりかもしれねェ…でもな…だからこそ、人は前に進めるんだろうが!!。お前らの「舞台」とやらがそれを邪魔するのなら俺達もお前達の舞台をぶち壊してやるッッ!。俺達は人間だ…今を生きてる…人間なんだぁあああ!!。」

 

 

その時、アグニの端末が光り輝く。

それは、キュアアグニに覚醒した時と同じ現象…煌めく炎が辺りを照らす。

そして、ディスプレイにこう、表示されていた。

 

 

ーバーニングフォームー…と。

 

 

アグニは迷う事なく、その表示をタップ。すると、豪炎が竜巻のように猛々しく舞い上がり、その体を包み込む。

 

炎を払うアグニ。

背中にジェット噴射を模した炎の翼…赤い戦闘装束には、オレンジのラインがあしらわれ、拳の威力を高める手甲を装備していた。

 

拳同士を打ち合わせて、炎を纏う。

 

 

闇を祓う赤き闘志、キュアアグニ<バーニングフォーム>。

 

爆誕。

 

 

アグニBF「…これは、大切なものを取り戻したい力…そして…!!。」

 

 

翼が赤く輝くと、目にも止まらぬ速さでアデルに接近。一瞬で、その領域を支配した。

 

 

アデル「!!!。」

 

 

アグニBF「俺達の未来を照らす炎だぁああああ!!。」

 

 

打ち込まれた拳。炎を一気に噴射させて、アデルの身体を貫通させた。

 

 

あまりの威力に、息を詰まらせるアデル。腹を抱えて悶えた。

 

 

その様子を見ていた一同も、息を飲む。

 

 

ソラ(鷹夜さん…やりましたね…!。)

 

 

アデル「ゴハッ…ぐっ…馬鹿げた…威力ですねェ……流石に…効きましたよ…。」

 

 

アグニBF「俺達は前に進むことを諦めねェ。例え、お前らが邪魔をしても…絶望的な状況だったとしても…燃え上がるこの炎が俺達の決意だッッ!!。」

 

 

アグニBF(その中にはお前も居るんだぜ…ましろ。)

 

 

拳を固めて振り翳そうとした時、アデルから冷たい闇が溢れ出る。

 

本能で距離を空けたアグニBF。

 

何かやばい気がする…そう感じて。

 

しかし、アデルはすぐにその闇を消した。

 

 

アデル「…まぁ、いいでしょう。貴方達の決意は伝わりました。その力に免じて、ここは引き下がります。しかし…急いだ方が良いですよ?。高天原でしたか…神と同等と勘違いした愚かな人類が過ちを犯す前に、取り戻すことを推奨しますよ。では、ごきげんよう。」

 

 

アデルは闇の中へと消えていく。

 

 

アグニBF「あいつ…何のつもりだ…。」

 

 

ソラ「鷹夜さーんッッ!!。」

 

 

アグニBF(未来を照らす炎…ましろ、お前に取り憑いたその闇を…俺のこの炎で必ず…。)

 

 

………打ち祓ってやる。

 

 

……………end。

 




新たな力を手に入れた鷹夜。

それは、闇を祓う炎であり自分たちの未来を照らす炎…。

その力を胸に秘め、鷹夜は前へと進む。

それから数日が経つ。
バラバラとなっていた一同は一挙に集まる。

そして…高天原からこっちの世界の友奈を救い出す作戦が始動する。

次回
第34話 始動、巫女救出作戦。
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