〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

立ち止まることはせず、前へと進む答えを出した鷹夜。

その闘志は新たな力を呼び起こし、闇を打ち祓う光の炎と化した。

それから数日後、各地でバラバラとなった者たちがこのヤマザクラ本部にで全員が集まることに。

二つの世界の戦士達…プリキュアと勇者がついに全員集合した。

そして、始まる…。

この世界の友奈の救出が。


第34話 始動、巫女救出作戦。

 

東郷「そのっち!。」

 

 

園子「わっしー!。」

 

 

2人は互いに大粒の涙を流しながら、抱き合う。

 

 

あげははそんな2人を見て、思わずもらい泣きしてしまった。

 

 

あげは「グス…フフ、良かったね。そのっち。」

 

 

ツバサ「あげはさんこそ、無事で良かったです。高天原に捕まってたって聞いた時は流石にヒヤヒヤしましたよ。」

 

 

あげは「まぁ、運がなかっただけだね。ソラちゃんも無事でよかった。後は…。」

 

 

ソラ「はい、ましろさんだけです。」

 

 

鷹夜「すまねぇあげは姉ェ。後もう少しだったんだ…。」

 

 

あげは「気にしないでタカ坊。これで、全部揃ったんだ。怖いものは無しっしょ?。」

 

 

夏凛「全く…あげはは楽観的ね。これからが大変だって言うのに…。」

 

 

烈火「大変ったって…いつもとやることはおんなじだろ?。」

 

 

夏凛「あんたはこっちにきてから更に楽観的よ!。何、いつの間にか指名手配犯なんかになって!。」

 

 

友奈「それについては私の……。」

 

 

烈火「友奈、それはもういいって言ってんだろ?。俺は心のままにやっただけ…お前を連れて行こうとしたあいつらをぶん殴れたからそれでいいんだ。後の事なんてどうとでもなるさ。」

 

 

友奈「…うん…ありがと。」

 

 

風「烈火?。そんな無意識な事言ってると後で怖い目に遭うわよ?。女の子はね、そう言った優しさに弱いものなの。友奈であってもね。」

 

 

友奈「へっ!?。ふ…風先輩ッ!?。」

 

 

烈火「はぁ?。何の話してんだ?。おい蒼葉、分かるか?。」

 

 

蒼葉「…そういう所だぞお前。結城、相手を考えた方が良い。コイツは…ナシだ。」

 

 

友奈「あ…蒼葉君まで…!?。」

 

 

あげは「うんうん、青春だね〜?。」

 

 

樹「えっとその…もう直ぐ大事なお話があるのでそこまでにしておいた方が良いかと…。」

 

 

そこへ、須美ともう1人の樹、洸が部屋に入ってくる。

 

 

須美(if)「団欒中に申し訳ないわね。今後について、話をまとめて来ました。」

 

 

樹(if)「ちゃんと聞いた方が良いよ。正直、あんた達に頼らなきゃいけないことが山積みなんだから。」

 

 

風(…なるほど……。)

 

 

樹(こ…これは……。)

 

 

2人の姉妹は目を合わしながら…。

 

 

((グレている…。))

 

 

樹(if)「おいそこ。同一人物だからって物珍しい顔で見ないでほしいな。世界が違うんだ、性格だって違うに決まってるだろ。」

 

 

樹「ご…ごめんなさい…。」

 

 

須美(if)「そこまでにしておきなさい。では、作戦の内容を説明するわ。目指すは世界樹…世界の中心よ。」

 

 

モニターに映される世界樹の映像と世界地図。

各大陸から日本に向けて線路が敷かれ、そして日本の旧四国から一本の路線が中心に向けて伸びている。

 

それは途方もない距離だが、世界樹に向かう唯一の道だ。

 

当然、妨害はある。だが須美はあえてこう言う。

 

 

須美(if)「これは戦争じゃない…かけがえのない友達を取り戻すための…あの日から止まった時間の針を動かす為の戦い。そして…私達の「戦い」を終わらせる為の…最期の戦いよ。」

 

 

樹(if)「あの大戦から人類が神に勝利して全てがおかしくなってしまった。だから、私たちは「人」で止まらなきゃいけない。あの戦いは、人類が進化する為の戦いじゃない…たった一つ…自分たちの日常を取り戻したかっただけの戦いだったんだ。生き残った私たちがその最期の責任を取らなきゃいけない。人類が勘違いを犯してしまったその…責任を。」

 

 

須美(if)「ごめんなさいね、話が脱線してしまった。歳を重ねてしまうとどうも、感傷的になってしまうわ。では、話を戻すわね。私達ヤマザクラが高天原の駅から世界樹に向かう列車を強奪するわ。その実行部隊はこちらの樹ちゃんに仕切ってもらう。」

 

 

夏凛「まぁ…あんたの手際なら簡単そうだけど…。」

 

 

樹(if)「これが最後の盗みにするけどね。あんた達を無傷で世界樹に送り込む事を約束するよ。そこから、頼りっきりになっちゃうけどね。」

 

 

洸「そんで、辿り着いた俺達が乗り込んで世界樹のコアを目指す。多分、全員がそこに辿り着くのは無理だろう。防人部隊とこっち側の三好夏凛が立ちはだかるはずだ…そして……。」

 

 

蒼葉「…高天原のトップ…こちら側の乃木園子が壁になる…か…。」

 

 

園子「…あちゃ〜、やっぱそうなるよね〜?。ここまで並行世界のみんなが出て来てるのに私だけ居ないのはおかしいと思ったんよ。まさかの敵側だったか〜…残念。」

 

 

洸「…にしてもお前、そんなに気にしてねェだろ。」

 

 

園子「まぁね〜。こっち側の私がそんなおバカな判断をしてこの状況を生み出しているのなら…違う世界の自分が喝を入れてやらなきゃね。」

 

 

ソラ「その世界樹は広いんですか?。」

 

 

須美(if)「ええ、言うなればこの世界の全てを管理している巨大な端末のようなものよ。当然、その広さはとてつもないわ。内部に突入したとしても、コアまでの道のりに時間が掛かる。」

 

 

鷹夜「長期戦は不利になるってか…。」

 

 

東郷「必要最低限の人数さえそこに向かえれば良いってことね。精鋭部隊ならではの事よ。問題は…こっち側の友奈ちゃんを救出出来た後の事よ。」

 

 

須美(if)「察しがいいわね。流石、私達。そう…コアを抜くと言うことは世界樹の機能が停止する事を意味する。それは守護システムそのものを停止させると言うことなのよ。先日の「劇団」の事もある。外の世界からの脅威が来てもおかしくはないわ。」

 

 

ツバサ「もしかしたらましろさんが…。」

 

 

鷹夜「その時は俺が押さえ込む。手にした新しい力があるんだ…優先順位はこっち側の友奈だ。あいつが来たとして手が届かなくても…それは別の機会にする。伸ばし続けることに意味があるからな…ソラとあげは姉ェ、ツバサもそれでいいか?。」

 

 

ソラ「はい!。」

 

 

あげは「当たり前よ、状況はこっち側の友奈ちゃんが心配だからね。」

 

 

ツバサ「神婚の儀…それだけは阻止しましょう。まだ、人に戻れるなら…。」

 

 

須美(if)「ありがとう…悪いけど、貴方達の命を借りるわね。責任を持って、作戦を成功させる。そして、全てが終われば今度は…貴方達の世界を救うために尽力させてもらうわ。」

 

 

須美(if)(ー 人は神にはなれないし、なる必要も無い。人として生きる方が幸せなんだ ー。…貴女のその言葉を世界に示す時が来ました、風先輩。もう貴女はこの世には居なくなってしまったけど…貴女が残した勇者部として最期の活動を開始します。そして…夏凛ちゃんやそのっちを含めてまた…あの頃に戻れたら…。)

 

 

……………………。

 

 

作戦会議後、夜風に吹かれて海を見つめるはもう1人の樹。

 

 

一大作戦…自分達の未来を掴み取る為の大事な作戦前にもう1人の樹は

心残りが無いように、今までの事を考えていた。

 

そして、端末に映る姉…もう1人の風の写真を見る。

 

当時の樹は、今以上に荒れていた。

幼少期に両親を亡くし、その愛情が満たされる事なくたった2人きりとなってしまった。

 

周りが羨ましかった…授業参観の度、いつもそう思っていた。

 

 

それでも、姉の風は自分に向き合い続けてくれた…だけど、寂しさが勝ってしまって辛く当たってしまう事もあった。

 

それを紛らわすかの様に、悪事もたくさん働いた。

物を盗み、人を脅し…時には暴力も行使した。

 

それでも、風は向き合い続けてくれた。

勇者としての素質が開花した時、これまでの鬱憤を晴らす様に化け物対峙を率先して行った。誰よりも前に出て。

怪物なら、いくら暴力を行使しても問題ない。その度にこの気持ちが晴らされていくなら死ぬまでこの状況でもいい…そう思っていた時期もあった。

 

そんな毎日を送っていたのか少しは、姉と距離を縮められた気がした。そして勇者部…かけがえのない場所が出来た。もう、何も寂しくない…

だがその日々も、残酷な運命によって引き裂かれてしまう。

 

神に勝利し、人類がその支配権を握ったその日…これまで静観していた大人達が勝手な事を言い出した。

 

我々が神だ。いや、神を超えた高次元生命体だ。

 

その思想は瞬く間に世界に拡散…それに反する者達は悪鬼魔道の一員と

して世の中から蔑まされる。

 

苦楽を共にした、園子と夏凛も自分達の役目と割り切り、勝手な大人達の手を取ってしまった。そして友奈は…世界を維持する為の人柱とされた。

 

…また、失った。それでも、姉はずっと側にいる。そして、その思想に反対する当時の東郷も一緒に居てくれて。

 

そう言った人たちが何も気にする事なく暮らせる「人間」としての組織…「ヤマザクラ」を姉は設立した。

 

 

「ヤマザクラ」…花言葉は「あなたに微笑む。」

 

 

そしてそれは、友奈の勇者装束のモチーフとなった花でもある。

 

誰にでも、そして誰かのために微笑み続けた友奈…人として生きたい人達がこんな世界でも微笑み続けられる様に…そう願った姉があえてその名を名付けた。その中には、人柱とされた友奈を救う決意も籠もっていて。

 

…不幸は続いてしまう…とうとう、最愛の姉まで失った。

手にかけたのはかつての仲間である夏凛。表情一つ変える事なく、血に沈み、その返り血で染まった手をあの大雨の中から見つめていた。

でも、

 

…あの日ほど泣いた日は無い。久しぶりに、幼い頃の気持ちが戻って来てしまった。私を1人にしないでと…その遺体を回収する人達に殴りかかる勢いで。

 

だけど、人は前に進まなければならない。姉がずっと言っていた言葉だ…だから、憎しみに駆られながらも樹は前へと進む。そして、全てを終わらせたいと願う。もう、こんな不幸の連鎖を経験しない様に…全てを終わらせたら…その生涯を閉じよう。そう思っていて。

 

 

そんな気持ちを心の中で語っている時、2人の姉妹が駆け寄ってくる。

 

 

向こう側の自分と…もう1人の風だ。

 

 

樹(if)「早く寝ないと、明日に響くよ。ほっといて。」

 

 

樹「えっと…ほっとけませんよ。だって、貴女は…私だから…。」

 

 

樹(if)「わかった事を言わないでよ…貴女にはまだ…失ってないものがあるでしょ。」

 

 

風「それはあんたにもあるでしょ、樹。」

 

 

樹(if)「…はぁ…?。」

 

 

その言葉にイラつくもう1人の樹。

昂る感情に、殴りたくなってくる。しかし、風は真っ直ぐ見つめていた。

 

 

風「あんたのことはよくわかってないけど…わかってるんでしょ…まだ全部を失っていない…失う前に…自分がこの世から消えればいいって。」

 

 

その言葉に激昂したもう1人の樹が風の首を掴む。

 

慌てる樹を、風は大丈夫と言って静止させる。

 

 

風「ッ…ぐッ…こんな…暴力的な妹だったら…苦労するわね…。」

 

 

樹(if)「姉面をするんじゃねェよッ!。あんたは私の姉じゃない!!。何もしらねェ癖に…私の気持ちなんて理解して無い癖に…一丁前に語ってんなよ!!。ムカつくんだよそういうの!。何、同情のつもりッ!?。可哀想だって思う!?。そうだよねェ!?。あんたは生きてて、勇者部のみんながちゃんといて…誰も裏切ってなくて…そして、反吐が出るほど素直な妹がいるッ!!。満たされまくってるから私が哀れに思えるんだよねェ!?。」

 

 

風「逃げんなッッ!!。」

 

 

声を荒げる風。もう1人の樹は驚き、手の力が抜ける。

 

 

風「過去を振り返りながら前に進んでるだけよあんたは!!。失ったものはね…数えても帰ってこないの…数えれば数えるほど悲しくなってくるから…だから、失わないために前に進むんでしょ!?。そのために命を賭けても戻らないと意味ないでしょうが!。最初から死ぬつもりで守るなんてそんなの…逃げてるだけでしょッッ!!。」

 

 

樹(if)「だったらどうすりゃいいんだよッ!。全てが上手くいっても、元には戻らないでしょ!。元勇者としての責任は取るさ!。それは東郷先輩と同じ気持ちッ!だけどね、私の壊れた心までは戻らない!そんな気持ちでどうやってこれから先を進めばいいのッ!?。姉さんは帰ってこない…もう嫌なんだよ…一人ぼっちになるのは…だから楽になりたいんだ…全ての責任を取った後に…人の幸せを見届けた後に…静かに楽になりたい…なりたいよぉおお…!。」

 

 

風「…バカねあんた。自分の気持ちを吐かないのは、こっちの樹と同じよ。確かに私はあんたの姉じゃない。だから、その気持ちは分からないのが正直よ。でもね…あんたが失ってないものはまだあるでしょ?。もし全部失っていれば…作ればいい。死ぬことは逃げなのよ…生きてそんな馬鹿げた人生を見返しなさい。だからこれは…もう1人の「姉」として、あんたに言ってあげるわ。全てを終わらせて幸せを願いなさい、探しなさい。そして……。」

 

 

ー全力で生き抜く事。ー

 

 

…夏凛との決闘の前に書いていた遺書。きっと、負けることがわかっていたのだろう…それか、心残りがない様にと準備していたのかもしれない。それはたった一言だけだった。それを…向こう側のもう1人の「姉」が同じ様にそう言った。

 

その瞬間、もう1人の樹は大声をあげて泣き出す。もう1人の「姉」に身体を預けながら。

そして、決めた。

 

……必ず、生き残ってやる…全てを終わらせて、このクソみたいな人生を見返してやる…っと…。

 

 

………………end。

 




決戦前夜、もう1人の樹は貯めていた気持ちを風に吐き出す。

心残りがない様に…と。

そして決戦当日。

もう1人の樹を筆頭に列車の強奪作戦が敢行される。

遂に始まる、もう1人の友奈の救出作戦。

止まった針を動かせ、戦士達。

次回
第35話 奪還、あの日止まった時間。
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