〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

遂に、世界樹への突入作戦が決行される日が訪れた。

各々の思いが、願いが…そして、長き戦いに終止符を打つために。

あの日から止まった時間を取り戻せ。


第35話 奪還、あの日止まった時間。

 

「世界樹突入作戦」当日。

 

時刻は早朝6:00。

 

この世界の命運を決める一戦が今、始まりを迎える。

 

「神婚の儀」開始まで残り15時間。

 

「ヤマザクラ」は総力を挙げて最期の戦いに…そして、並行世界からやって来た戦士達はこれから先の戦いに備えて。

 

目標「結城友奈の救出」。

 

 

第一作戦…直通列車の強奪作戦。開始。

 

 

樹(if)「ルートは覚えてるよね。この先の駅舎に、早朝から運用予定の列車が発車準備に入ってる。鷲尾総帥は後方で戦況の指揮を取ってるから、実行部隊は私率いる「ナルコユリ隊」。人命は奪わないよ…私たちは戦争をしに来たわけじゃないからね。それじゃ…援護をよろしく頼むよ。向こう側の私と…向こう側の姉さん。それに、咲良君。」

 

 

もう1人の樹を援護するのは、勇者装束に身を包んだ犬吠埼姉妹と…蒼葉。

 

 

他のメンバーは後方に控えている。真打は自分達だ、この列車を強奪すればここからは自分達の仕事。

 

 

樹と風、蒼葉は気を引き締める。

 

 

この路線は高天原の管理下に置かれている。そのため、駅舎にいる者は皆、高天原の神官クラスの人間達。

 

防人部隊がいない事が幸いした、神官クラスなら生身の人間でも制圧出来る。

 

合図を出して、走り出すもう1人の樹。

それに続いて風と樹、蒼葉も駆け出す。

 

 

「何だお前達…ぐわっ!?。」

 

 

樹(if)「ごめん、足が必要なんだよね。ちょっと貸してよ、その列車。」

 

 

身体能力のみで駆け出すもう1人の樹は、ナイフを手に神官達を無効化していく。

 

 

蒼葉「…流石、元勇者だ。鍛え方が違うか。」

 

 

風「本当に殺してないわよね!?。普通に斬ってるけど!!。」

 

 

樹「ご、ごめんなさい!。」

 

 

ワイヤーで倒れた神官達を拘束。出来るだけ怪我をしない様傍に避ける。

 

 

「貴様ら、ヤマザクラの者だな?。どうなっても知らないぞ…この列車が向かう先は高天原の本拠地…死ににいくようなものだ。」

 

 

樹(if)「いい加減、現実を見なよ。もうこの世界は守護システムだけじゃ守りきれないんだって。」

 

 

「そんな事はない!。神婚の樹が成功すれば、巫女様は神になられる!。そうすれば、この世界の安寧は約束されるのだ!!。」

 

 

樹(if)「そんなに安寧が欲しいなら、自分達で手に入れろよッ!。いつもいつも他力本願で…ふざけんなよお前達!。」

 

 

もう1人の樹はその神官の胸ぐらを掴む。

 

 

樹(if)「友奈さんはもう限界なんだよ、守護システムの力が通用しないほど巨大な闇が近付いてる!!。今度はきっと、あの大戦以上になるんだ!!。もう安寧がどうとか言ってられない、自分達の力で乗り越えないといけないんだって!。わかりなよいい加減にッ!。」

 

 

風「樹ッ!。早く急ぐわよッ!!。騒ぎが知れ渡ってる、列車の発進時刻が早まるかもしれないわ!。」

 

 

樹(if)「ッ…わかってる!!。とりあえず…もう私達が争ってる場合じゃないんだ。友奈さんは返してもらう。あんた達のせいで神になんてさせてたまるか…!!。」

 

 

手を離し、先に進むもう1人の樹。

 

 

そして、何とか列車内部に入り込んだ一同。

しかし、特殊な障壁が張られていて先に進めない。

 

 

樹(if)「簡易守護システムの結界だね…区画を切り離されたら終わりだ…。」

 

 

蒼葉「神官クラスといえど、その辺りの準備は怠っていなかったか…しかし…!!。」

 

 

装飾銃を構え、発信機を破壊。

すると、セキュリティが作動して機械の兵隊が立ち上がる。

 

 

樹「ロ…ロボット!?。」

 

 

樹(if)「高天原が開発した「人機」だね。あれの中は神樹様の残滓が形成した精霊が入ってる。」

 

 

風「精霊をあんな機械に閉じ込めてるの!?。なんて酷い事を!!。」

 

 

樹(if)「あのタイプは壱式だね。気をつけなよ、この世界の勇者のサポート用に作られてるから普通に手強いよ…!。」

 

 

壱式は両腕から霊的エネルギーを圧縮したビームを放つ。

 

 

そのエネルギーは精霊バリアを貫通するほどの威力で、風は大剣を盾に受け切る。

 

 

風「ぐっ…まともに受けたら痛いどころじゃ済まないよこれ…!!。」

 

 

樹「お姉ちゃん、頭を下げて!!。」

 

 

ワイヤーを伸ばして、壱式を拘束しようとする。

しかし、精霊バリアを張ってその攻撃を弾き飛ばす。

 

 

その時、列車の起動音が鳴り響く。

 

 

樹(if)「列車のエンジンが入った!?。まずい、動力部に急がないと…!!。」

 

 

蒼葉「壱式の注意を俺達が引き付けておく!!。先に進んで動力部を制圧しろ!!。制御を奪えればそれでいい、戦闘は俺達に任せてくれ!!。」

 

 

樹(if)「…わかった。頼りにしてるよ…ナルコユリ隊は私に続け!!。」

 

 

直進し、動力部を目指すもう1人の樹とナルコユリ隊のメンバー達。

 

 

壱式は行かせまいと、銃口を向けるも樹がその隙をついてワイヤーを伸ばして腕を拘束。

 

 

蒼葉は再度、起動センサーを撃ち抜いて連結部の結界を解除。

もう1人の樹は走り抜いていく。

 

 

蒼葉「…頼んだぞ。」

 

 

風「さて…こいつをどうにかしないとね…!。」

 

 

樹「でも、私達3人なら行けます!!。」

 

 

風「フフ、我が妹が頼りになるわね!!。」

 

 

蒼葉「…いくぞ…!!。」

 

 

スタートダッシュを切る3人。

 

 

壱式は霊的エネルギーを刃に変えて樹に襲いかかる。

 

蒼葉がすかさず狙撃で腕を撃ち抜き、浮き上がったその隙を樹が突く。

 

 

樹(近い距離の戦い方は、友奈さんや鷹夜さん…それにソラさんが教えてくれたんだ…!!。)

 

 

武器がワイヤーということもあって、どうしても遠距離となる樹。

反応速度もそこまで高くない彼女に取って、懐を取られた際のリスクはかなり大きい。

 

 

バトルスタイルが似ている友奈と鷹夜、ソラに近接戦闘のコツを教わっていた彼女はそれを生かす。

 

 

樹(私は身体が小さいから潜り込める…そこを…突き上げればッッ!!。)

 

 

屈んだ樹は、右手を突き上げる。すると、しなったワイヤーが壱式を切り裂いて打ち上げた。

 

 

風「おお、やるじゃんッッ!!。」

 

 

樹「やった…やれたよ…!!。」

 

 

しかし、壱式はタダではやられない。

 

胸部装甲を開き、砲口が露わになる。

 

 

蒼葉「なっ!?。」

 

 

霊的エネルギーを圧縮した砲撃を放つ。

 

風が間に入るも、その砲撃の威力は高く3人は吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。

 

 

風「ぐうッ…!?。」

 

 

樹「いっ…たた…あんなの撃ってくるなんて……。」

 

 

蒼葉「なるほどな…ヤマザクラのメンバーが苦戦するわけだ…先輩と2人の精霊バリアがなければ意識を刈り取られていたぞ…。」

 

 

ゆっくりと立ち上がる3人。

 

壱式は、戦闘態勢を取る。

 

 

風「さぁて…どうする?。私の武器は小回りが効かないよ…!?。」

 

 

蒼葉「決定打は先輩の武器が一番有効だ。精霊バリアごと叩き切ることができるのは先輩の大剣しか無い。」

 

 

樹「じゃあ、私たちは…。」

 

 

蒼葉「先輩が一撃を入れられるように奴の注意を引きつける。列車を奪えてもコイツを撃破しなければ、戦闘は避けられない。もうじき、皆が動き出す…消耗は出来るだけ避けたいからな。」

 

 

作戦を立てた3人。

蒼葉と樹が先陣を切る。

 

 

蒼葉の銃撃と、樹のワイヤーと言った手数で攻める。

 

 

先ほどの砲撃を撃たせてはならない。

そう思いながら立ち回り、風までのバトンを繋ごうとする。

 

壱式も負けじと、霊的エネルギーの剣を振るい、2人を削っていく。

 

 

横薙ぎに振られたそれを、蒼葉は飛び上がって回避。

 

装飾銃を両手で構える。

 

 

蒼葉「圧縮エネルギーならこちらも放てる…"隼"!!。」

 

 

高弾速の圧縮エネルギー弾「隼(はやぶさ)」を放ち、片腕を吹き飛ばす。

 

仰け反った壱式に、樹がワイヤーで拘束。

 

危機を感じた壱式が、頭部のセンサーを作動させて精霊バリアを形成する。

 

 

しかし、飛び上がった風が大剣を掲げていて。

 

 

風「そんな薄っぺらいものじゃ私の剣は受け止められんよッッ!。」

 

 

力を込めて振り下ろす大剣。その勢いはまさに、落雷。

 

 

風「でりゃああああああッッ!!。」

 

 

頭部からバッサリと、瞬く間に両断。

 

 

その威力はあまりに強く、区画の床ごと切り裂いた。

 

 

活動停止した壱式は爆散。その瞬間、心臓に当たるパーツから淡い光が飛散した。

 

 

風「…解放したわよ。もう、眠りなさい。」

 

 

樹「神樹様の残滓…この世界にもあったんだね…。」

 

 

蒼葉「世界樹の前は神樹がこの世界全体を守護していた。しかし、あれは土地神の集合体…天の神が倒されたその日に枯れるように消えていったんだ。その残滓がまだ残っているのはわかっていたが…精霊を形成させてそれを人機の心臓にするとは…。」

 

 

その時、列車の起動音が鳴り響く。

 

 

蒼葉「…成功したのか…?。」

 

 

車内放送が鳴り響く。

 

 

「掌握したよ、鷲尾総帥に連絡を入れたから直にみんなここに来る。因みに、神官達は拘束しているから安心して。殺してないから。」

 

 

風「心配せずとも、信じてるってば。」

 

 

それから数十分後、他のメンバーが列車に乗り込む。

 

 

烈火「首尾良く成功したようだな。いやぁ、楽できて良かったぜ〜。」

 

 

夏凛「あんたね…そんな呑気なことを…。」

 

 

あげは「お…動き出したよ。」

 

 

列車が動き出す。

 

 

……………………。

 

 

須美(if)「ここまでは順調ね。さぁ、ここから本番よ。貴方達に託します。そして…この世界…いえ、友奈ちゃんをよろしくお願いします。」

 

 

ソラ「はい、託されました。必ず、この世界の友奈さんを連れて戻ります。」

 

 

2人は握手を交わす。

 

 

ツバサ「…緊張してきたな…こんなこと、初めてだから…。」

 

 

夏凛「私たちもよ。対人戦なんて殆どやんないし…それにきっと…。」

 

 

夏凛(こっち側の私が待ち受けてるはず…今度は本気で来る…。)

 

 

もう1人の夏凛の強さを思い出す夏凛。

 

 

次、会った時は容赦しない。

 

 

その言葉を残した彼女は何処となく、その再戦を楽しみにしているようだった。

 

 

期待に応えるわけではない、あくまでこの世界の友奈の救出が優先だ。

 

 

その立ちはだかる壁に気を引き締める夏凛。

 

 

もしその時は…自分が相手をする。

 

 

そう思っていて。

 

 

緊迫した空気が車内に漂う。ここからは…自分達の出番だ。

 

 

そんな中、烈火はいつもと雰囲気が違っていた。

 

 

すでに変身して列車の先頭に立ち、メイスを担ぐ。

永遠に続くほど長い線路。

ただ一点、その先にある世界樹に目を向けていた。

 

そんな空気の中、追ってきた友奈が烈火の隣に立つ。

 

 

友奈「烈火君、いつもと違って真面目なんだね。」

 

 

烈火「ったりめぇだろ。流石に怠けてらんねぇからな。きっと、この戦いで全部が変わる。それに俺は…取り戻してやりてェんだ。この世界の友奈の「自由」を。」

 

 

友奈「烈火君……。」

 

 

烈火「世界の守護なんてそんなど偉い事、あいつが背負う必要はねェんだ。だから今回は…死ぬ気で戦うさ。そして帰らせてやる、帰るべき場所に必ずな。」

 

 

友奈「…あのね…烈火君…その…絶対に……。」

 

 

烈火「おっ…見えてきたぜ?。」

 

 

2人の目線の先。そこにあるのは宇宙にも届くほどの金色の巨大な樹。

 

 

「世界樹」。

 

 

この世界の命運を決める根源がそこに…。

 

 

…………………end。

 





唯一、世界樹にアクセス出来る高速列車を強奪した一同。


眼前に迫るのは、この命運を分ける「世界樹」。


高天原本拠地に辿り着いた一同を待ち受けていたのは…防人部隊とその隊長である楠芽吹だった。

烈火に一度、敗北した彼女はその真の実力を発揮して一同の壁となり立ち塞がる。

その矜持に、同感を示すソラは彼女との一騎打ちに応じる。

次回
第36話 キュアスカイVS楠芽吹、正義のぶつかり合い。
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