〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

世界樹までの高速列車の強奪に成功した一同。

目指すは決戦の地、世界樹。

「神婚の儀」開始まで残り、14時間。

遂にその眼前にまで迫った一同に立ちはだかるのは…防人部隊隊長の楠芽吹だった。



第36話 キュアスカイVS楠芽吹、正義のぶつかり合い。

 

〜高速列車、甲板〜

 

 

烈火「見えてきたぜ?。」

 

 

眼前に迫るは、宇宙にまで聳え立つ巨大な金色の樹「世界樹」。

 

 

人類が作りし人造神と呼ばれるそれは、とても神々しく…そして、世界のすべてを見渡せる程の圧巻さを感じさせる。

 

 

あの場所に、この世界の友奈が幽閉されている…そう考えると、不思議と力が入る。

 

 

烈火は真剣な眼差しで、その一点を見つめる。

だが、その決心とは裏腹に危険さも孕んでいた。

 

 

友奈は思う。

 

 

この戦いで烈火は…自分の命を捨ててまで戦う気なのかもしれないと。

 

 

だから、「絶対に帰ろうね」と言おうとした…だが、それは眼前に迫る決戦の地に阻まれてしまう。

 

 

退路は無い、退く気も無い。

 

 

そう思う友奈も、勇者装束を身に纏って変身する。

 

 

高速列車は高天原の本拠地を捉えた。

それは巨大な社が聳え立ち、そこには多数の部隊が展開…ここに来ることがわかっていたのだろう、無数の人機と勇者装束に似た戦闘服を着用した部隊…「防人部隊」。

 

 

元の世界で32人しかいないそれは、この世界ではその規模が全く違っていた。

 

 

ざっと数えて、500人はいる。その全てが女性で構成されていた。

 

 

烈火は、メイスを担いで腰を低くする。そして……。

 

 

烈火「先手必勝ッッ!!。紅迅雷ッッ(こうじんらい)!!。」

 

 

赤黒い稲妻をメイスに纏わせ、甲板を蹴って飛び出す。

 

 

横薙ぎに振り抜き、全力のフルスイングによる先制攻撃を放つ。

 

しかし、巨大な盾を持った1人の女性がその軌道に現れて。

 

 

ーガキィイインッッ!!ー

 

 

鈍い、金属音が鳴り響く。

 

 

烈火「…やっぱ、こんなもんじゃ何もならねェか…!!。」

 

 

「残念だったね…この盾は無敵だよ…!。」

 

 

盾を下げてその姿が露わになる。

 

 

雀(if)「私は加賀城雀!!。テロリスト達はここで鎮圧するッ!。世界樹には行かせないよ!!。」

 

 

加賀城雀。

 

元の世界では、臆病が体現されたかのような性格の少女であるがこちら側では自信に満ちたその表情が知るものを驚かせる。

 

 

特に勇者部のメンバーは。

 

 

友奈「あの子…前に勇者部に来た…!。」

 

 

東郷「こちらの世界線では性格が全く違うようね。あの自信に満ちた性格ならあの盾を突破するのは至難の業よ。」

 

 

雀(if)「あんた達が世界樹のコアを引き抜けば、この世界は終わってしまうんだよ?。その責任が取れるの?。」

 

 

烈火「じゃあ聞くがよ、お前らはその守護とやらにずっと寄生していくのか?。結城友奈っていうたった1人の奴に全部押し付けてよッ!!。万人を救うために、1人の人生を犠牲にすんのか!?。だったら、そんな大層な理想を掲げてるお前らがその役を担いやがれッッ!!。」

 

 

「その男に何を言っても無駄よ、雀。」

 

 

聞き覚えのある声、烈火は口角を上げる。

 

 

烈火「…やっぱ、あれじゃあ倒しきれなかったか…いつぞやの隊長さん!!。」

 

 

芽吹(if)「久しぶりね、ヤマザクラに属しているとは…それに、もう1人の「御姿」を連れてここに来てくれた事は好都合よ。おかげで追いかけずに済む…!。」

 

 

銃剣を向ける、芽吹。

烈火は強い眼差しで睨みを利かす。

 

 

烈火「どっちの友奈もくれてやらねェよ。あの樹にいる友奈を連れて帰る。俺たちはそのためにここに来たッッ!!。」

 

 

芽吹(if)「自分達の世界では無いのに首を突っ込むなんて…賢い生き方を知らないようね。でもその信念は嫌いじゃないわ、どんなことをしてもやり遂げるその姿勢はね。こんな出会いでなければ、私達は良き仲間としてやっていけたのかもしれない。」

 

 

烈火「はっ…んなの、結果論だろうが。そんなことを言えるあんたこそ、現実ばかり見てなかったら仲良くなれそうだったのに。」

 

 

芽吹(if)「私の矜持よ、全てを救うために巫女様が「盾」となるのなら、私はその「矛」となる。この世界に仇成す脅威はすべて私達「矛」が貫いて見せる…もう誰も、死ななくていい世界にするために。」

 

 

その覇気は以前とは比べ物にならないほど強く、そして…潔かった。

 

 

その姿を見て、前に出たのは…ソラだった。

 

 

ソラ「貴女のその矜持は共感出来ますよ。私も万人を救う「矛」になりたい…それこそが私の目指すヒーローです。」

 

 

ソラは静かにキュアスカイに変身。構えを取る。

 

 

芽吹(if)「向こう側のキュアスカイ…まさか、伝説とまで言われた貴女を相手にするなんて…フフ、任務抜きにしても血が滾るわね。」

 

 

スカイ「その姿勢は嫌いじゃありません。ですが、私がここに立つのはヤマザクラの皆さんと同じ思いです。この世界の友奈さんを助けたい…私の矜持と貴女の矜持はとても似ています。しかし私は…!。」

 

 

先手を取ったスカイ。

その拳は芽吹の持つ銃剣に直撃する。

 

 

その重さに、歯を食いしばる芽吹は二振りの銃剣を強引に振るってスカイを引き剥がす。

 

 

スカイ「万人ではなく、全てを守る…それが私の矜持です!。」

 

 

芽吹(if)「そんな理想論…ッッ!!。」

 

 

銃剣から弾丸を乱射する芽吹。

スカイはその軌道を読み上げて弾丸を避けていく。

 

 

スカイ「この人は私が押さえますッッ!。皆さんは先に行ってくださいッッ!!。」

 

 

ウイング「わかりましたッッ!!。」

 

 

芽吹(if)「防人第一から第四までは奴らを追えッッ!。指揮は雀、貴女に任せるッッ!。私は彼女と一騎討ちがしたい…他の者は手出し無用!。」

 

 

雀(if)「わかったッッ!。」

 

 

雀はスカイ以外、先に向かったメンバーを追いかけていく。

 

 

芽吹(if)「…さて、これで気が散らないでしょう。キュアスカイ…貴女の掲げる正義は素晴らしいわ…しかしそれは、現実を見ていない証拠。理想で全てが救えるほど、世界は甘くない。」

 

 

スカイ「わかっていますよ。私のこの小さな手では溢れていくものが多いことも…ですが、それを受け止めながらもやはり私は全てを守るためにこの拳を握ります。いつか助けたい人に届くその日を信じて。」

 

 

2人は互いに認め合うと同時に、激しくぶつかる。

 

 

その気迫に、周りは圧倒される。

 

 

芽吹の攻撃の苛烈さに、スカイは防御体勢を取る。

銃剣の刃が身体を削る、しかしその痛みにスカイは何の反応を示さない。

 

その僅かな隙を突いて拳圧による衝撃波を放つ。

 

芽吹はそれを見切り、銃剣を盾にして防ぎ切る。

 

そして、2人は再び激しくぶつかった。

 

 

お互いに信じる正義のぶつかり合い。

この戦いはまさにそれを体現していた。

 

 

芽吹(if)「神婚の儀が成功すれば、巫女様は星神へと昇華される!。やはり、この世界には神の加護は必要なのよッッ!。」

 

 

スカイ「させませんッ!。世界を守っていくのは神ではない、人なんですよッ!!。」

 

 

芽吹(if)「私は人の弱さを知っている!この世界は踏み躙られてきたのよッ!!。」

 

 

スカイ「だからと言って人を無理矢理、神に昇華させるなんてそれこそ神に対しての冒涜ですよッ!。それに、友奈さんの幸せはどうなるんですかッッ!?。」

 

 

スカイの拳が懐に突き刺さる芽吹。

一瞬、息が詰まるもすぐに反撃を繰り出す。

 

銃剣の刃に左肩を抉られるスカイ。思わず悲鳴をあげる。

 

 

芽吹(if)「ッ…私だってこれが正しいことじゃないことは理解してるわッ!。しかし、私達は牙無き人を守っていかなきゃいけないッ!!。力ある者が無き人を守る…それが私達の役目ッッ!!。」

 

 

スカイ「くっ……そこまで強い意志がありながら…どうして…どうして、目の前で失われそうな幸せを見過ごすことが出来るんですかッッ!?。」

 

 

芽吹(if)「!!!。」

 

 

その言葉に一瞬、手が止まった芽吹。

 

スカイは渾身のキックを放って蹴り飛ばす。

そして、肩から流れる血を気にすることなく、拳を握り締めた。

 

 

スカイ「それが役目というなら、全うするのが戦士の務めです。ですが…力ある者も人なんですよ…泣きたくなる時もあるし、苦しんでいる時もある…だからと言って、それを役目と称して見て見ぬフリをしてしまったら…友奈さんだけじゃない…貴女達の幸せはどうなるんですかッッ!?。」

 

 

芽吹(if)「私達の…幸せ…?。」

 

 

スカイ「貴女は戦士としては完璧です!。見習いたいくらいにッッ!。でも、それでも貴女は万人を救う事に固執して自分達の幸せを見ていないッッ!。それどころか、目の前の小さな幸せですら気付いていないッッ!。そんなことをすれば…貴女自身が苦しみに負けてしまいますッッ!。」

 

 

芽吹(if)「くっ………!!。」

 

 

………………。

 

もう、失いたくなかった。

 

あの大戦で、この世界の芽吹は残酷を体感した。

 

次々と死んでいく仲間達…苦しんでいく仲間達。

 

死にたくないと泣き叫びながらも、悪鬼魔道によって無慈悲に奪われていく命達。

 

自分達はその屍の上に立っている…だからこそ、罪滅ぼしでもあった。

 

 

何も守れなかったあの時とは違う…今度は絶対に失わない。

 

 

そう誓いを立てて…そして、約束でもあった。

 

 

巫女として、自分についてくれていたあの子への…守れなかったあの子との。

 

 

……………。

 

 

芽吹(if)(…亜弥…。)

 

 

スカイ「はぁあああああッッ!。」

 

 

勢い良く飛び出したスカイは、拳を突きつける。

 

その拳は芽吹の頬を捉え、高く打ち上げる。

 

 

芽吹(if)(…なるほど…やはり、貴女も同じだったか…この世界のキュアスカイと…甘ちゃんで…理想論ばかり述べていたけど…それでも、前に進み続けた…全知全能の神相手に勝ち目なんてないのに…それがわかってても…貴女は……。)

 

 

地面に叩きつけられる芽吹。

 

だが、それは何処か清々しい表情をしていた。

 

 

息を切らすスカイは、両膝を地面につけて倒れ込む。

 

 

芽吹(if)「…完敗ね。精神力で負けてしまったわ…。」

 

 

スカイ「はぁ…はぁ…こちらこそ…一撃入れるまでは押され気味…でしたが…。」

 

 

芽吹(if)「…ねぇ…聞かせて。もし…貴女達が結城友奈を救い出せたら…その日からこの世界は変わると思う…?。」

 

 

スカイ「…わかりません…貴女達の言う通り、守護システムが機能しないと言うことは…私達の世界の闇を呼んでしまうかもしれない…そしてまた、この世界は…戦火に……。」

 

 

芽吹(if)「…そうか…また、あの地獄が…フフ、でも何故でしょうね…不思議と…絶望していない自分がそこにいる事に…驚いてるわ。」

 

 

スカイ「…それはきっと…そうなっても守っていく意志があるから…じゃないですか…?。貴女達は…立派な「矛」です。でもそれ以前に…人間なんです…だから、自分の幸せをちゃんと見つめてください。そうすればきっと貴女は…万人ではなく全てを守れる…ヒーローになれますから…。」

 

 

芽吹(if)「…ヒーロー…ね……なってみようかしら……守れなかったあの子に…報いるために…。」

 

 

そう決意した芽吹。

ほんの一瞬だけ、聞こえた気がした。あの子の声が…。

 

 

ー貴女は私のヒーローですよ…芽吹さんー

 

……と……。

 

 

……………end。

 




お互いの信じる正義のぶつかり合い。

その結末は、スカイの勝利で終わった。

しかし、芽吹は何処となく清々しい気持ちとなり、人々を守る意志がより一層、強くなった気がした。

その一方で、世界樹を目指す一同。そしてそれを追いかける雀率いる防人部隊。

そんな中、不安定な時空の歪みからシン・バーテックスの一体「双子座」のシン・ジェミニが来襲する。その狙いは…コアであるもう1人の友奈だった。

思わぬ敵に行く手を阻まれる戦士達。

だが、お互いの認識は合致している。

守るべき者を守るため、戦士達は怪物に挑む。

次回
第37話 守り抜く意志。
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