〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


この先を託した風と夏凛はもう一人の夏凛との激闘の末、一矢報いた。

そして、その一撃を受けたもう一人の夏凛は、戦士として生きていくことを覚悟するために捨てたあの頃を思い返していた…。


その一方、烈火・友奈・アグニは遂に最深部へとたどり着き、コアの前に立っていたのである。


第39話 神と人間、二人の結城友奈。

 

~世界樹最深部「星の間」~

 

 

仲間たちの数々の想いを託され、最深部へとたどり着いた3人。

 

 

足元に移るのは地球なのか、美しき青い星が見え、とても現実的な空間とは思えない場所だった。

 

 

その場にあるのはただ一つ…静寂のみ。

 

 

そして、中心に位置するのは巨大な桃色の華。

 

 

友奈「…感じる…あそこに居る。」

 

 

導かれるように、友奈はその華に向かって歩き始める。

 

 

烈火「お…おい友奈!!。」

 

 

その時、3人の頭の中に声が響く。

 

 

――…来たんだね。もう一つの世界からやってきた君たち。――

 

 

アグニ「な…なんだ…頭の中に直接!?。」

 

 

烈火「この声…こっちの世界の友奈か!?。」

 

 

――うん、そうだよ。不思議だね…この世界は可能性世界で同一人物が必ずと言っていいほどお互いに存在するのに…君は知らない。――

 

 

烈火「…どういう事だ…?。」

 

 

――君はきっと、可能性世界の「イレギュラー」なのかもしれない。君という存在が、何をもたらすのかは知らないけど…きっと、大きな渦になると思う。――

 

 

烈火「大きな渦か…それは後で考えるさ。もう一人の友奈、助けに来たぜ?。帰ろう、みんなお前を待ってる。」

 

 

その華に向かって、手を差し出す烈火。

 

 

しかし、帰ってきた言葉は……。

 

 

――どうして?。――

 

 

拒絶…だった。

 

 

烈火「何言ってんだよ!?。お前、高天原の奴らに利用されて…!。」

 

 

――利用…か…うん、そうかもしれないけど…私はこれでいいかなって思ってるの。――

 

 

烈火「なんでだ!?。」

 

 

――知ってるでしょ?。この世界は昔、多すぎるくらいの犠牲を払ってきたの。もう、誰も死にたくない…その気持ちはみんな同じなんだ。私は過去の戦いで無理をしすぎてね…もう枯れちゃった神樹様に身体の大部分を作り変えてもらったの。それは…貴女も同じだよね?。向こう側の「私」。――

 

 

友奈「うん…「御姿」…神様に近い身体…。」

 

 

――貴女の場合は、人間としての機能に戻ってきてるみたいだけど…私は違う。もう、「半神」として殆どが神様に近い存在となっているの。――

 

 

アグニ「もう…どうにもならねェのか…!?。」

 

 

――そうだよ。知っての通り、私は限界が近い。中途半端な神様だから、このままだと砂のように消えてしまう…だから…。――

 

 

「世界樹と融合して、この世界の新たな神…「星神」として生まれ変わる。」

 

 

その脇からやってきたのは…高天原の「当主」…この世界の乃木園子。

 

 

ほんわかとしている彼女とは真逆の、野心と冷酷に満ちた表情をしていた。

 

 

友奈「この世界の…園ちゃん…。」

 

 

園子(if)「気安いぞ。口を慎め。」

 

 

勇者装束に身を包み、槍の切っ先を全員に向ける。

 

 

烈火「おいおい。随分と性格の悪い園子だな…!。」

 

 

園子(if)「フン、向こう側の私か…あんな腑抜けとは、拍子抜けだ。しかし、もはやどうでもいい。お前たちはこの神聖な場所に土足で踏み込んだのだ。それ相応の覚悟はできているな?。生きては帰さんぞ。」

 

 

友奈「もうやめようよ!!。外の状況は知ってるでしょ!?。みんな、手を取り合って怪物と戦ってるんだよ!?。」

 

 

園子(if)「当たり前だ。それが、我々の使命だからな。無辜の民を守り、この世界に安寧をもたらす…そのための矛と盾なのだぞ。死して当然、命尽きるその時まで戦い抜くのが当たり前だ。敵前逃亡など、万死に値する。」

 

 

烈火「よーくわかったよこの独裁者め。お前はぶちのめす…この世界から「自由」を取り戻すのなら…お前を黙らせるしかないってことだ!。」

 

 

烈火はメイスを構えて突撃。この場所が戦場と化す。

 

 

園子(if)「他所の世界から勝手にやってきて、この世界の仕組みに口を出すとはな…傲慢もいいところだぞ!!。」

 

 

烈火「うるせェ!。神だって勘違いしてんじゃねェぞ!。もう、自分の手でこの世界を守らなきゃいけねェ選択肢が迫ってんだぞ!。」

 

 

園子(if)「だからこそ、「御姿」を神に昇華させるのだろう!?。「神婚の儀」を行えば、この世界に新たな神が誕生する!。それこそが、永遠の安寧となるのだ!。」

 

 

烈火「何度言っても分からねェ奴らだな!!。それはお前らの目的であって、この世界の友奈を大事に想ってる奴らの想いじゃねェ!!。そいつらが覚悟できてんだぞ、「人間」として世界を守っていく覚悟を!!。神を作るなんてそんな愚行をしてみろ、本物の神がキレてまた襲ってくるぞ!!。」

 

 

園子(if)「だとしたら、また追い返すまでだ。」

 

 

振り終わりの隙を突き、もう一人の園子は烈火を蹴り飛ばす。

 

そこに、アグニも介入して戦闘に加わる。

 

 

アグニ「人間は神に近付いちゃいけねェんだよ!!。それこそがタブーなんだ!!。」

 

 

園子(if)「フン、進化の過程ならば仕方ないだろう、この世界の人類はそうやって次にステージへと上がっていく!!。それに、このような事態を引き起こしたのは貴様らの世界のプリキュアだろう!?。」

 

 

アグニ「ぐうッ!!。」

 

 

槍の柄で、腹を殴られたアグニは吹き飛んでいく。

 

 

烈火「鷹夜ッ!!。」

 

 

園子(if)「キュアプリズム…奴が仕出かしたことは両方の世界にとっても厄介なことだ。こっちの世界ではまた「DM」が現れてしまった…どう責任を取ってくれる!?。」

 

 

凄まじい槍術の連撃により、アグニは身体が削られていく。

 

 

アグニ「…テメエに言われずとも…止めてやるさ…ッ!。」

 

 

槍の刃を掴み、凄まじい握力で握りしめる。

手から流れる血を気にせずに。

 

 

アグニ「あいつは…ましろは俺達の仲間だ!!。だから、あいつがやったことのケジメはちゃんとつける!!。」

 

 

「そうですッ!。」

 

 

壁を突き破り、もう一人の園子を殴り飛ばす影が一つ。

 

その正体は…キュアスカイだ。

 

 

園子(if)「キュアスカイ!?。楠め、しくじったか!!。」

 

 

スカイ「いいえ、芽吹さんはこの世界の人類を守る為にあの化け物と戦いに行きましたよ。そして、託してくれました!。この世界の友奈さんを…「人」に戻してくれと!。」

 

 

烈火「あの隊長さん…見直したぜ…!。」

 

 

スカイ「こちらの世界の園子さん。この世界は「人」として戦える力があります。それも、神が相手でも退かないくらい強く。それでも、ダメなんですか?。」

 

 

園子(if)「ククク…いくら、人類が神に匹敵するくらいに強くなったとしても、全知全能にはなれんだろ?。」

 

 

弧を描きながら、一同の周りを歩く。

 

 

園子(if)「一度、その領域に人類が踏み込んだんだ。ならば、進化の為に人類全員がその領域に踏み込める切符は手にしても良かろう?。それが、この世界の安寧の為でもある。お前たちは知らないんだ…無慈悲に、そして理不尽に奪われる恐ろしさをな。」

 

 

スカイ「進化進化って…それが正しいかもわからないのにッ!!。」

 

 

スカイは飛び出し、拳を突き付ける。

すかさず、ガードを入れるもう一人の園子だが、その威力に耐え切れずに吹き飛ばされる。

 

 

スカイ「ガトリング…スカイパンチッ!!。」

 

 

エネルギーを込めたパンチの連撃が雨のように降り注ぐ。

 

そこへ、アグニが突撃して追撃を入れた。

 

 

アグニ「この世界は今、気持ちが一つになろうとしてる!!。こっちの世界の友奈を「星神」にしなくても立ち向かえるんだ!!。考え直せ!。すべてが手遅れになる前に!!。」

 

 

炎を纏った蹴りが、もう一人の園子に突き刺さる。

 

息を詰まらせながら飛ばされるもう一人の園子は壁に叩きつけられた。

 

 

園子(if)「がはッ!(なんて威力だ…)。」

 

 

アグニ「急ぐんじゃねェよ。選択肢はまだあるだろうが…それをちゃんと見据えてから答えを出せばいい。外にいる奴らはみんな、そう思ってる…昨日まで敵だった奴らが手を取り合って困難に立ち向かってんだよ!!。それでいいじゃねェか…何も、神に縋らなくても…。」

 

 

園子(if)「いいや、無理だな。それにもう…「手遅れ」だ。」

 

 

スカイ「え…!?。」

 

 

その言葉を皮切りに、もう一人の友奈が閉じ込められている華が光り輝く。

 

 

友奈「な…何が起こって…!?。」

 

 

園子(if)「…「神婚の儀」を始めた。」

 

 

もう一人の園子が指をさす方向…そこには、儀式のために生贄となる多数の神官たちが祈りを捧げていた。

 

 

烈火「バカ野郎!!。何してやがる!?。」

 

 

力を全て捧げた神官から順番に塵となり、その霊力がどんどん華に集まっていく。

 

その時、もう一人の園子も光り輝いた。

 

 

スカイ「そ…園子さん!?。」

 

 

園子(if)「私も頃合いだ、長く生き過ぎた。勘違いするなよ、私は死ぬのではない…神の一部へと進化するのだ。これこそが、この世界に安寧を約束する力…!。」

 

 

スカイ「ダ…ダメェェェェェッッ!!。」

 

 

手を伸ばすスカイ。

しかし、もう一人の園子は塵となりその力を華に捧げた。

 

 

アグニ「離れろスカイ!!。」

 

 

烈火「クソ…バカ野郎が…存在無くして神になったとしても…何も感じることが無かったらどうにもならねェだろうが…!。」

 

 

友奈「うう…!?。」

 

 

何かを感じ取ったのか、友奈は胸を押さえて苦しみ出す。

 

 

烈火「友奈…!!。」

 

 

友奈「何…これ…私が…「呼ばれてる」…?。」

 

 

虚ろな目となり、その華に向かおうとする友奈。

しかし、烈火がそれを止める。

 

 

烈火「行くな!!。行けばお前もああなっちまうぞ!!。」

 

 

その一言に、正気を取り戻した友奈は激しく汗を掻いた。

 

 

友奈「はッ…れ…烈火君…!?。。ありがとう…私…「連れていかれる」ところだった…。」

 

 

烈火「俺から離れるな!。いいな!?。」

 

 

友奈「う…うん…!。」

 

 

金色の光の粒子が、一点に集まる。

 

そして、華が…「開花」した…。

 

 

――「共鳴」から逃れたんだね、良かった。私は…貴女を「連れて」行きたくない。――

 

 

開花した華から、一人の少女が出てくる。

 

 

息を飲む4人。

 

 

その姿は、当時のまま…数年経って大人になった東郷たちとは違って「14歳」の時のままの姿。

 

 

髪は長く、そして瞳の色は神々しい「金色」とピンクのオッドアイ。

 

勇者装束を纏う。

 

 

その装束はかつて、友奈が最初にして最後に発現させた「英霊」達の結集でもある大輪の華…「大満開」を彷彿させるものだった。

 

 

 

――「星神」結城友奈。――

 

 

 

ここに、降臨。

 

 

友奈「…間に…合わなかった…。」

 

 

烈火「クソ…クソォォォォォッッ!!。」

 

 

アグニ「こ…これは…。」

 

 

スカイ「友奈…さん…ッ!!。」

 

 

「星神(ほしがみ」となった友奈は世界を見る。

 

 

そして、一言…。

 

 

 

友奈(星神)「……始めよう…この世界の…「安寧」を。」

 

 

……………end。

 





「神婚の儀」の強行を許してしまった4人。


託された想いを果たせず、救出は失敗に終わってしまった。


「星神」となったこの世界の友奈は「安寧」の為にこの世界を「閉ざす」決断を下す。


だが、ただ一人、烈火は諦めていなかった。


「説得するために、全力でぶつかればいい。」


そう言い放ち、「星神」に挑む。


それは「自由」の為に…偽物の勇者は神に挑む。


次回
<新章・完結>
第40話 「自由」の勇者・菱咲烈火。
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