〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
突如として現れた、アンダーグ帝国の幹部「スキアヘッド」。
その力は未知数で、今までの幹部よりも一際不気味な雰囲気を放っていた。
遂に、その全貌が垣間見えてきた「アンダーグ帝国」。
一同の前に広がる暗雲は、どこまで広がるのか……。
スキアヘッドが去ってから、その場には沈黙が広がる。
圧倒的なまでの力…そして、語られたキュアアグニの真実。
多くの謎を残し、そしてこれから対峙していく敵の強さに一同の危機感は更に増していた。
それから、世界樹の残骸を調査する5人…もちろん、烈火に関する痕跡は見つからなかった。
友奈(if)「…やっぱり、見つからなかったね…。」
ソラ「はい…ですが、私はまだ諦めたくありません…。」
ツバサ「ソラさん、そろそろ暗くなってきますし…もう、作業はここで止めましょう。」
あげは「また明日、やればいいよ。どちらにせよ、答えは知っておきたい…良いか悪いか…。」
ソラ「絶対に、良い答えになるはずですッ!!。」
突然、大声を出すソラ。
驚く一同の顔を見た後、ソラは正気に戻る。
ソラ「ご…ごめんなさい…ついムキに…その…先に戻りますッ!。」
ソラはそのまま、がむしゃらに走り去っていく。
あげは「…無理も無いよ。目の前であんなことになっちゃったんだから…タカ坊は大丈夫?。」
鷹夜「え…まぁ…俺は大丈夫だけど……。」
ツバサ「スキアヘッドの言葉が気になるんですね?。」
鷹夜「ああ…キュアアグニが別の世界のプリキュアだったことは分かった。だけど、その因縁を辿るとやっぱり「劇団」が絡んでやがる。どうも、他人事には思えねェんだよな。」
鷹夜は自分の端末に現れた「キュアアグニ」への変身アプリを見る。
鷹夜(そういえば、この変身方法は勇者システムと似てやがる…まさかな…。)
ツバサ「僕達も戻りましょう。じゃないと、皆さんも引き上げられませんから。」
鷹夜「おう、わかった。」
〜ヤマザクラ・友奈の自室〜
友奈「…………。」
身体を丸めながら、暗い部屋で友奈は虚な瞳で部屋の壁を見る。
あの時、自分が手を伸ばせていたら…大怪我を負っていた烈火を、自分が抱えていたら…。
そう思うと、友奈は悔しさが込み上げてきてしまう。
そして……涙が頬を伝う。
その時、ノック音が聞こえてくる。
相手は、もう1人の樹だった。
樹(if)「入るよ〜?。うわ…何で、こんな暗いの?。電気を点けなよ。」
思わぬ来訪者に、友奈は涙を急いで拭う。
友奈「…もう1人の…樹ちゃん…?。」
樹(if)「…同じ名前と同じ存在がいるから、呼ばれたつい振り向いちゃうんだよね。まぁいいや…はい、ご飯食べて無いみたいだから。」
菓子パンを投げ渡すもう1人の樹。
友奈「…えっと…盗んできてない…よね…?。」
樹(if)「あのね…盗みはもう辞めたって言ってるじゃん。もう、信用ないな…食べなよ。食わないと、参っちゃうよ。」
乱雑にパッケージを開けては口にするもう1人の樹。
しかし、友奈は俯いたまま食べようとしない。
樹(if)「…あの場合は仕方ないんじゃない?。絶対に助けられるって保証もないし…それに、まだ死んだと決まった訳じゃないんでしょ?。」
友奈「でも…ちゃんと手を掴んであげてれば…!!。」
樹(if)「…いい加減に現実を見つめろよ。あんたがこのままウジウジしてたらもし…あいつが死んでたとしたらそれは無駄になっちゃうじゃん。」
友奈「…えっ……。」
樹(if)「あいつはあんた達を助けるために自分がそこに残ったんだろ?。それは覚悟を決めたからだよ…残された者が、その覚悟を認めてやらないでどうすんの。そんなの…私が許さない。だから、信じてやればいいじゃん。きっと、生きてるって。あんたがそれを願わなかったら…誰がそれを願ってやるのさ。何よりも…あんたが一番気にしないといけないんじゃないの?。」
その一言に、友奈は拳に力が入る。
樹(if)「全く…どの世界の友奈さんはちょっと面倒だよね〜。なんて言うかさ…全部が全部、自分のせいみたいに思い込んでしまう。それ、悪い癖だよ。賢く生きな、どんな手を使ってでも生きていればそれが勝ちなんだから。そのパン、早く食べなよ?。今日が消費期限日だからさ。」
そう言って、もう1人の樹は部屋を後にする。
友奈「…ッッ……!!。」
歯を食いしばると、友奈はパッケージを強引に開けて一気にパンを頬張る。
そして、大粒の涙を流しながらがむしゃらに喰らいつく。
友奈(烈火君…絶対に生きてるよね…だから…帰って来てよ…お願いだから…また…いつもみたいに、笑いながら適当な事ばかり言ってよ…!!。)
……………………。
翌日……。
世界樹の残骸調査は今日も行われていた。
天気は悪く、今にも雨が降りそうなくらい暗い空となっていた。
その中で作業を進める。しかしその時…空全体が「振動」する。
鷹夜「な…なんだ…?。」
夏凛(if)「この「空震」はまさか!!。非戦闘員は屋内退避ッッ!!。「DM」が来るぞッッ!!。」
その号令通り、空が割れて巨大な異形が現れる。
その異形は、巨鳥の姿をしていて…咆哮を挙げた途端に空間が振動。
まるで台風がやって来たかのような衝撃があたりに広がっていく。
園子「うわ〜…これは強敵かもね〜…?。」
洸「かもじゃなくて、強敵なんだよ!。行くぞッッ!。」
一同は変身。
その場に並び立つ。
現れた「DM」は鳥をモデルにした異形…「ディメンションモンスター・タイプ「バード」。」
その名の通り、空を主体に強襲攻撃が得意な「DM」だ。
園子「前のデッカい蛇の時もしんどかったけど…この世界では昔、こんなのがわんさか出て来たんだよね。」
夏凛(if)「ええ…しかもあの、タイプ「バード」は強襲主体型…あの機動力に飲まれたら一気に狩られるわよ。」
動き出すタイプ「バード」。
その速度は音速の域であり、視認するには不可能な程の速度。
動くだけで起こる衝撃に、一同はバランスを崩す。
その隙を逃さず、タイプ「バード」は右の翼を羽ばたかせ、槍のような羽根を放つ。
アグニ「ぐぅ……刺さったら終わりだ…!。」
逸れたその羽根は、岩をも切り裂いて真っ二つにした。
それが無数に放たれるのだ。その上、起こる暴風により動きが阻害。
まるで、調理されるかのように無数の羽根がナイフのように迫ってくる。
バタフライ「…この…ッッ!。」
バタフライは両手を突き出して、前面に巨大な蝶のバリアを形成。
羽根の攻撃を防いでいく。
ウイング「くっ…また消えましたよ…!?。」
風「今度は後ろよッッ!?。」
背後に回り込んだタイプ「バード」。
巨大な足から伸びる爪を突き出して突撃してくる。
その突進速度に驚く間も無く、致命傷だけは避けるべく防御態勢を取った一同はそのまま撥ね飛ばされていく。
スレイヤー「ちぃ…ッッ!?。こいつ…嬲って来やがるッッ!。」
園子「悪知恵が働く鳥さんだな〜…えいっ!!。」
3本。
飛んでくる羽根を、園子は槍を射出して相殺する。
だが、人間の反応速度を遥かに凌駕しているこのタイプ「バード」はわざとこういう動きをする。
そして、もう1人の夏凛がその陣形を見る。
夏凛(if)「!!?。まずい、追い込まれたッッ!!。総員、散開ッッ!!。陣形を崩せッッ!。狩られるぞッッ!。」
もう1人の夏凛の言う通り、追い込まれた一同の陣形はいつの間にか「一箇所」に集結。
まるで、網に閉じ込められた魚のように追い込まれた一同は狩られる側になってしまう。
そして、その大口を開けて捕食しようと突っ込んで来る。
蒼葉「逃げ場もない…だと!?。」
夏凛&夏凛(if)「「狩られてたまるかぁあああッ!!。」」
2人の夏凛が、その攻撃を受け止める。
剣で受け止めるも、その突進力により押し切られそうになる。
スカイ「はぁああああッッ!!。」
すかさず、やって来たスカイ。
硬い拳で顔面を打ち抜き、殴り飛ばしていく。
アグニ「スカイッッ!。」
スカイ「すみません、遅くなりましたッッ!!。この瓦礫の山から見つけた「勇者システム」を渡しに行ってたものでッッ!。」
夏凛(if)「勇者システム!?。まさか…こっち側の勇者システムか!。」
夏凛「だったら、こっち側の東郷とかも変身できる訳ッ!?。」
夏凛(if)「解析してプロテクトを突破できればね…でも、世界樹が崩れた今、解析は困難よ…本当は、すぐにでも来てくれたら助かるんだけどね…くっ、ブランクは長かったか…しばらく化け物退治をしていないから、コイツらの立ち回りを忘れてしまっていたわ!!。」
スカイがやってきても、状況は変わらなかった。
あの機動力を捉えなければ、意味が無い。
また、追い込まれて狩られる立場に戻るだけ……。
状況を打開するには…あの機動力を抑えて叩き込むのみ。
作戦は至ってシンプルだが、相手が相手だ。その難易度は通常より遥かに上回る。
これは、命のやり取り。
一歩間違えれば、確実に狩られる。
スカイを始め、向こう側の勇者とプリキュア達は初めてこの世界の敵の「難易度」に、苦渋を飲まされる。
「狩り方」を熟知しているタイプ「バード」は餌が増えて喜ぶかのように、咆哮をあげては余裕の動きをする。
スカイ「くっ…あれを何とかしなければ……!。」
タイプ「バード」は旋回して翼を羽ばたかせて巨大な竜巻を形成。
周辺に散開して現れたそれは、さらに逃げ場を無くしていく。
その竜巻はまるで削岩機のように巻き込むもの全てを砕いていき。一同に迫る。
避けてもその先にはタイプ「バード」。避けなければ竜巻によって切り裂かれる。
どちらにせよ、最悪の状況に一同は思考を巡らせる。
……その時間すらも与えてくれない事に、追い詰められた一同。
勝ちを確信したのか、タイプ「バード」が大口を開けて強襲してくる。
万事休す……か。
そう思った直後、突如として雲の切れ目から強烈な光が走る。
スカイ「な…何ですか…!?。」
その眩い光に、動きを止めて目を凝らすタイプ「バード」。
その瞬間、まるで流星のような一直線の軌跡がタイプ「バード」の頭部に直撃。
地面に叩きつけられ、悲鳴にも似た声を上げる。
やがてその光が消えていき、そこに現れたのは……紫の謎のプリキュア。
ウイング「えっ…プリキュア!?。まさか、こっち側の!?。」
夏凛(if)「いえ…あんなのは見たことがないわ……。」
そのプリキュアは力強い眼差しを向けるとともに、柔らかな笑みを浮かべる。
それはまるで…「あの子」の笑顔と同じで。
立ちあがろうとする、タイプ「バード」。
しかし、そのプリキュアが拳にエネルギーを込めて振り上げる。
???「異界の怪物よ…その穢れた魂ごと浄化しなさい。」
一撃。
あれだけ、強力なタイプ「バード」をたった一撃の打撃で瞬殺。
砂のように身体が消えていき、その亡骸が形となって残った。
スカイ「…あなたは…!?。」
そのプリキュアは、一同に顔を向ける。
そして、微笑みながらこう一言…言った。
ーキュアマジェスティ。ー
っと。
その瞬間、その少女の体が光り輝いては気を失うかのように倒れる。
慌てて、その体を受け止めに行ったスカイはその姿を見て驚愕した。
スカイ「…エ…エルちゃんッッ!?。」
プリンセス・エル。
「運命の子」と呼ばれ、プリキュアを取り巻く事柄に関連している赤ん坊。
「キュアマジェスティ」と名乗ったその少女がまさに……。
彼女だった。
……………end。
襲来して来た「DM」に苦戦を強いられた一同。
その窮地を救ったのは「キュアマジェスティ」と名乗るプリキュア…そしてその正体は「プリンセス・エル」だった。
「劇団」はその一部始終を傍観していた。
「想定外」の存在である「キュアマジェスティ」。
彼女を取り巻く歯車の速度は…知らずのうちに加速していた。
そこへ、闇に満ちたましろが姿を現して……。
次回
第43話 キュアマジェスティVSキュアプリズム。