〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

47 / 146
前回のあらすじ。


キュアプリズムとキュアマジェスティ。


2人の戦いは悲しみに暮れていたものであった。


最期に流したプリズムの涙。


その意味とは、一体……。


第44話 咲かせろ意志の華・「満開」再び。

 

激闘を繰り広げたプリズムとマジェスティ。

 

 

その戦いは残念ながら、プリズムの勝利へと終わってしまった。

 

そして、去り際に彼女が流した涙の意味…。

 

 

唯一、それを見た鷹夜は「可能性」を信じることにした。

 

 

今は、絶望的な状況にあるかもしれない。

 

しかしそれは、彼女にまだ「心」が残っている証拠にもなる。

 

 

それを思う鷹夜は、今はまだ誰にもその事実を伝えないことにした。

 

 

……………………。

 

 

ソラ「頑張りましたね、エルちゃん。」

 

 

プリズムとの激闘で、消耗が激しかったエルは高熱を出してしまい寝込んでしまった。

 

無理もない、元はまだ赤ん坊だ。

 

それも、世界の壁を越えてまでやってきたのだ。

 

そう考えると、彼女に秘められた力がどれ程のものなのか、驚きに満ちてくる。

 

 

鷹夜「キュアマジェスティ…か…。」

 

 

風「ねェ、その赤ちゃん…もしかしてだけど、これから起こる戦いに混ぜるの?。」

 

 

風のその言葉に、周りは沈黙する。

確かに、プリキュアに覚醒したとて赤ん坊に変わりはない。

その力は確かに絶大だ、これからの戦いに欠かせないかもしれない。

だがそんなことよりも命の危険が付きまとう戦闘にこんな子の力に頼ってしまっていいのか。

 

自分たちはまだいい、そういった覚悟を持っているのだから。

 

しかし、彼女は違う。

戦闘において、危険な事が何なのかが自覚できていないことだってある。

だからこそ、考えてしまう。

 

そんな質問に、答えられないでいると…眠るエルがソラの手を握る。

 

 

エル「…ましろ…。」

 

 

ソラ「…今はまだ、わかりません。でも、あの時のエルちゃんは間違いなくましろさんを助けようと頑張っていました。だから、本人がどうしたいのか…それに委ねます。」

 

 

東郷「しかし…場合によっては、命だって…。」

 

 

ソラ「分かっています。だからこそ、私たちが全力で守るだけです。エルちゃんがそうしたいなら…させてあげるべきです。そこはきっと…私たちと同じ気持ちですから…。」

 

 

あげは「…そうだね。」

 

 

ツバサ「危険が伴いますが、ましろさんを助けたい気持ちは僕たちと変わりませんから。だから、プリンセスの答えを尊重してあげたいです。」

 

 

その言葉に、周りも異議を立てなかった。

 

するとその時、扉が開いてが友奈が現れる。

 

 

夏凛「友奈ッ!!。」

 

 

友奈「ごねんねみんなッ!。結城友奈、復活しました!!!。」

 

 

元気よく挨拶をする友奈。

しかし、知る者は皆、こう思う。

 

「無理しているな。」…と。

 

しかし、それを追求することも無く勇者部メンバーは彼女を迎え入れる。

 

 

風「まったく…どんだけ心配かけんのよあんたは。でもま、復活したならそれでいいや。」

 

 

樹「烈火さんの捜索は残り1日です。明日、見つからなかったら「鎮魂の儀」を執り行うそうで…。」

 

 

夏凛「猶予は無いわ。急ぎましょう。」

 

 

友奈「分かった!!。」

 

 

勇者部メンバーは全員、世界樹の跡地に向かっていった。

 

 

~世界樹・跡~

 

 

友奈(if)「あ…もう一人の私…。」

 

 

友奈「…よかった。貴女は大丈夫だったんだね。」

 

 

並び立つ2人の友奈。

お互いに見つめ合い、言葉を交わす。

 

 

風(なんというか…同じ顔が2人もいるなんて変な感じよね~…。)

 

 

樹(まあ…片方の友奈さんは髪が長いので見分けは付くけど…。)

 

 

友奈(if)「「鎮魂の儀」は明日の正午に行われるって。そうなると、彼はこの世界から「居ない」者として扱わる。仮にその後で見つかったとしても…誰にも視認されない透明人間になっちゃうんだ。」

 

 

友奈「そう…だったんだ…。」

 

 

友奈(if)「魂を天に送る為の儀式だからね。そうしなきゃ、この世界に残っている怨嗟のせいで闇の存在へと変貌してしまう。」

 

 

須美(if)「これまでの調査で手掛かりはほとんど無いに等しい。崩落したものの回収はもう終了と言ってもいいわ。」

 

 

「はッ!。死んだ奴を追うなんて…時間の無駄だと分かんねェかァ!?。」

 

 

その声に、反応する一同。

 

声の方向を向くと、そこには「劇団」のギガスが居て。

 

 

ギガス「あのクソガキはくたばったのか…ちッ…前回の借りを返しに来たんだけどな…。」

 

 

友奈「ッ…彼は死んでない…!。」

 

 

ギガス「はぁ?。おいおい、夢見てんじゃねェよ。お前だけだろ、そんな夢を信じてるバカはよ。」

 

 

友奈「…うるさい…まだ…そうと決まったわけじゃないんだからッ!。」

 

 

激情に駆られた友奈は怒りのまま変身。

ギガスに向かって拳を振るう。

 

 

ギガス「お前が相手かぁ?。まあいい、テメエで晴らさせてもらうぜェ!?。」

 

 

互いにぶつかる2人。

他のメンバーは状況が飲み込めない。

それどころか、怒りで動く友奈を始めて見て驚愕しているのが正しい。

 

その中でも、もう一人の友奈だけは冷静に見ていた。

 

 

友奈(if)(まずいね…これ…ダメだ。)

 

 

ギガス「遅ェ遅ェ…止まって見えるぜェ!?。」

 

 

友奈「ぐうッ!?。」

 

 

ギガスの硬い拳を受けた友奈は吹き飛ばされ、追撃でやってきた攻撃もまともに受けてしまう。

 

 

東郷「友奈ちゃん!!。」

 

 

友奈(if)「ダメだ…精神がまだ…「壊れて」る。」

 

 

夏凛「精神が壊れてるって!?。」

 

 

友奈(if)「…自分だから良くわかるよ。今は信じたくて踏みとどまってるけど…今の彼女の精神状態は壊れてしまっている…みんなも感じたでしょ。「無理してる」って。」

 

 

夏凛「あのバカ…!。」

 

 

友奈「はああああああ!!。」

 

 

全力で振るう拳。

それも虚しく、空を切る形で避けられる。

 

そんな状態の友奈を見て、ギガスが嘲り笑った。

 

 

ギガス「ククク…必死だなァ…そっか、あのクソガキを想ってるなら認めたくねェもんな!!。」

 

 

拳を払って蹴りを入れ、俯く友奈の髪を持ち上げる。

 

友奈は痛みで顔を歪めながらも、拳に力を入れてギガスの顔面に何度も打ち付ける。

しかし、軽い音と共に大したダメージが入っていない。

 

 

ギガス「軽すぎるなァ?。そんなんで、この俺様を獲れると思ってんのかぁ?。」

 

 

友奈「うるさい…うるさい…うるさい…!。」

 

 

ギガス「教えてやろうか?。戦いを制するのは力でもあるけどよ…。」

 

 

ギガスは友奈を放り投げる。

自然落下する友奈を捉え、裏拳の構えを取る。

 

 

ギガス「気持ちが死んでたらそこで終わりなんだよ!!。」

 

 

容赦無く、打ち込まれるその攻撃に友奈は大量の血を吐く。

宙を舞いながら、友奈は目尻に涙を溜める。

 

 

痛い…逃げたい…楽になりたい…。

 

 

そんな、負の感情が彼女を襲う。

 

その時、脳裏に烈火の顔が出てきた。

 

いつも、屋上でサボっている彼…それでも、毎日が楽しそうだった。

疑似勇者外装を受け取ってからもそうだ。

 

始めは嫌と言っていたにも関わらず、それでも信念を持って戦っていた。

彼が「大丈夫」と言えば何故か、心が楽になった。

この世界に飛ばされ皆と離れ離れとなったあの時でも隣に居てくれたら、なんでも乗り越えられる気がした。

 

そして、世界樹での戦い。

あの時、自分の身を挺してあの場から助けてくれた。

そんな彼に今、出来ることは何だろうか。

ただ、居なくなったことに絶望して毎日泣いていただけなんじゃないか。

 

 

そう思った瞬間、友奈の瞳に光が戻る。

 

 

友奈「うあああああああああッッ!!。」

 

 

自らを奮い立たせるために、気合を入れる友奈。

 

 

ギガスは意外そうな顔をするも、その嘲り顔は健在だった。

 

 

ギガス「強がったところで…!!。」

 

 

突撃してくる友奈を迎撃すべく、拳を突き付けるも…。

 

 

ギガス「何だと…ッ!?。」

 

 

無数の花びらとなって、その攻撃はすり抜けた。

 

 

一体、何が起きている…。

さっきまで、いたぶられるだけの奴が何故、こんなことを…。

 

 

ギガスの脳裏には、そんなことが思い浮かぶ。

 

 

その瞬間、懐に入った友奈が強烈なアッパーカットをお見舞いした。

 

 

ギガス「がはッ!。」

 

 

打ち上げられた顎、その衝撃で吐血する。

仰け反ったその隙を逃さなかった友奈が、すかさず蹴りを入れる。

 

 

さっきと状況が一変し、ギガスは吹き飛ばされながらも状況を分析する。

身体を反転させて、態勢を取り戻したギガスは友奈を見る。

 

その姿は息を切らしながら、肩を震わせる友奈の瞳は闘志に満ち溢れていて。

折れた心が、元に戻っているようにも感じた。

 

 

友奈「それでも…私は信じる…。」

 

 

この戦いを見守る一同は、友奈の言葉を聞く。

 

 

友奈「彼が絶対に生きていること…そしてまた、ここに戻ってくることを…!。」

 

 

ギガス「いい加減に…諦めが悪いぞ小娘がぁッ!。」

 

 

拳を突き付けるギガス。

しかし、友奈はそれを片手で受け止めて握り砕いた。

 

 

砕かれた拳の痛みに、思わず声を上げるギガス。

生きている左手を地面に叩きつけて、衝撃波を放つも友奈はそれを片手で弾いた。

 

 

友奈(if)「…この力…そっか…私の元に来る前に発現した力…これは…。」

 

 

―――意志の力―――。

 

 

ギガス「うがあああああ!!。俺様は「劇団」の<指導者>…ギガス様だぞ!。それを…こんな小娘なんかにィィィィィッッ!!。」

 

 

怒りと、プライドにより発狂したギガスは力を全開放させて全身の筋肉が盛り上がった。

その姿はまさに「モンスター」。

 

知性も何も持ち合わせていないただの危険な生物へと変貌を遂げた。

 

 

その瞬間、友奈の端末が激しく輝く。

 

 

友奈(if)「あれは…そっか…一度「種」に戻ったそれはもう無くなったんじゃなくて…今度はちゃんと大きな「花」を咲かせたんだね。」

 

 

風「どういう事!?。」

 

 

友奈(if)「「満開」は神樹様から与えられた神の力…それを行使するには「人」の身ではあまりにも負担が強すぎた。だからあれは、強大な力と引き換えに人体機能の一つを対価にしなければならなかった。」

 

 

東郷「…散華…。」

 

 

園子「でも…それはシステムの改良で…。」

 

 

友奈(if)「うん。供物無しで行使は出来たけど、その代わり精霊バリアの機能を一つ、消化する形となったよね。私は向こうの世界の事も見ていたから…。」

 

 

樹「じゃ…じゃあ今の友奈さんにある力って!?。」

 

 

友奈(if)「「人」としての力で咲かせた「意志の花」…これはあの子自身の「満開」だよ。」

 

 

背部のリングに加え左右に巨大なアームが発現。

 

 

かつて、絶大な力を得る代わりに、自身の機能を捧げなければならなかったあの力が今「人」の力として蘇ったのだ。

 

 

友奈(満開)「もう、何も奪わせはしない!!。そして、信じてる!!。」

 

 

ギガス(強化態)「グオオオオオッッ!!。シネェェェェッ!!。」

 

 

渾身の攻撃。

しかしその攻撃は「満開」状態の友奈には及ばず、左のアームにて阻まれる。

 

 

友奈(満開)「彼が帰ってくること!!。みんなが諦めても私は…ずっと待ってるッ!!。」

 

 

右のアームから放たれた打撃。

それは、強化状態のギガスを打ち砕き、大量の花びらが衝撃波のように身体を貫いていく。

 

 

ギガス(強化態)「フザケルナァァァァッ!。オレサマハココデ……!!。」

 

 

断末魔を挙げて、身体を崩壊させていくギガス。

 

「劇団」No.Ⅳ <指導者> ギガス。

 

「満開」を発現させた結城友奈により……「撃破」。

 

限界が来た友奈は「満開」が解けて地面に倒れ込む。

駆け付ける仲間たちを見る友奈。

 

血に濡れたその手を握りしめて、彼女は信じる。

 

 

――待ってるから…烈火君。―――

 

 

……………………end。

 





「満開」を発現させた友奈は「劇団」の一人…No.Ⅳの <指導者> ギガスを撃破した。


遂に、敵勢力の幹部を倒した一同に僅かながらにも希望が生まれる。


しかし、事は悠長に構えられていない。


「鎮魂の儀」開始まで残り時間が少ない中、烈火の捜索は未だに進展が無い。

儀式が開始されれば、魂が天に召される…。
この事実を知った一同は果たして、烈火を見つけだせるのか…。

しかし、無情にも今度は千景が現れて……。


次回
第45話 君ありて、幸福。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。