〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

49 / 146
前回のあらすじ。


「鎮魂の儀」に使われる慰霊碑破壊の為に襲来した千景。


防衛に徹する友奈の窮地を救ったのは行方不明となっていた烈火だった。


対峙する烈火と千景。


姉弟の戦いはどちらに傾くのか…。

そして、ここに彼を連れて来たのはこの世界の「聖あげは」だった。


第46話 真実、消失した伝説の戦士たち。

烈火「菱咲烈火、只今帰還…ってな!。」

 

 

メイスを担ぎ、烈火は自信に満ち溢れた表情をする。

思わぬ登場に、友奈は大粒の涙を流す。

現れた烈火は左目に傷が入り、右手は火傷の跡のような傷が付いていた。

 

 

羽織っていたボロボロのマントを脱ぎ捨て、戦闘態勢を取る。

 

 

千景「…やはり、生きていたのね。」

 

 

烈火「まァな。さすがに、ダメだと思ったけど…天は俺を見放さなかったってことだな。」

 

 

対峙する2人。

 

 

先手を取ったのは千景だ。

 

 

千景「出て来たなら好都合!。貴方を倒してそれを返してもらう!!。」

 

 

烈火「やなこった!。」

 

 

互いの得物が激しくぶつかり合う。

火花を散らしながら、2人は睨み合う。

 

 

千景「ちッ…強くなったわね…!。」

 

 

烈火「そりゃ、俺は強敵に当たる呪いに罹ってるようなもんだからなッ!!。」

 

 

メイスの大振りに、回避行動をとる千景。

烈火はその隙を逃さずに距離を詰めていき、攻め立てていく。

 

 

烈火「姉貴!!。いい加減にその復讐とやらをやめねェか!?。」

 

 

千景「やめる気はないわね…私は…怨嗟の部分が色濃く残ってしまっているのよ!。」

 

 

鎌の一撃を受ける烈火。

胸を切り裂かれ、血が噴き出る。

 

 

「あまり、激しい動きはやめなよ。あんた、まだ怪我が完全に治っていないんだからね。」

 

 

その声の主に驚く他のメンバー。

特にバタフライは驚愕していた。

 

 

バタフライ「え…あ…あたしッ!?。」

 

 

あげは(if)「後にしな。あたしはあいつの「主治医」だ。」

 

 

ゴーグルとライダースーツに身を包んだもう一人のあげは。

雰囲気こそは似ていたが、「主治医」と名乗るくらいだ…保育士ではなく、医者なのだろう。

 

 

烈火はもう一人のあげはに目を向け、コクリと頷く。

 

 

烈火「すまねェな先生!。コイツ、俺の姉なんだ!。」

 

 

あげは(if)「まったく…理由になるかっての。」

 

 

千景「…そう言う事ね。興が削がれたわ。」

 

 

急に、千景は武器を引かせた。

 

 

烈火「どういうつもりだ、同情かい?。」

 

 

千景「いいえ。どうやらこの世界のプリキュアはまだ健在…という事ね。だとすれば、そっちを調べなければ…私の疑似勇者外装を完全体にするために。」

 

 

飛び上がった千景。

何かを探るように、不敵な笑みを浮かべた。

 

 

千景「烈火、その命を預けておくわ。「ガーベラ」は必ず返してもらう。また、会いましょう。」

 

 

そういうと、蜃気楼のように消え去っていった。

 

 

烈火「ちッ…相変わらず素っ気ない奴だぜ…。」

 

 

友奈「烈火君ッ!!。」

 

 

気持ちが抑えきれなかった友奈は思わず烈火に飛びついて抱きしめる。

驚いた烈火は、バランスを崩すが踏みとどまり、友奈の頭を優しく撫でる。

 

 

友奈「うわあああああん!!。もう…どうなるかと思ったよぉぉぉ!!。」

 

 

烈火「はは、すまねェな?。死にかけてたのは本当だったんだ。」

 

 

友奈(if)は、静かに烈火の背中に自分の額を当てる。

そして、静かに泣いていた。

 

 

烈火「おいおい…。」

 

 

アグニ「この馬鹿野郎が!。いちいち心配かけやがってよッ!。」

 

 

烈火「鷹夜。お前に任せて正解だったぜ。ちゃんとこの2人を無事に送り届けたんだな。」

 

 

アグニ「あったり前だろ!。あんなこと言われて出来なきゃ漢じゃねェよッ!。」

 

 

東郷「…複雑な気分ね。友奈ちゃんをとられたみたい。」

 

 

蒼葉「安心しろ。俺から言っておいてやる。烈火はやめとけってな。」

 

 

東郷「貴方に借りは作らないわ。全く…。」

 

 

樹「でも…本当に良かったです。」

 

 

バタフライ「そうそう!。こっちのあたしが烈火を助けたんだね!?。どういう事か説明してよ!。」

 

 

もう一人のあげはに向けて声を上げるバタフライ。

須美もまた、不思議そうな顔をする。

 

 

須美(if)「お久しぶりですね、あげはさん。」

 

 

あげは(if)「そうだね…お互い、随分と歳を食ったみたい。それに、樹も大きくなって…風の事は残念ね。ごめん、親友だったのに看取れなくて。」

 

 

樹(if)「いいよ。姉さんもきっと、あげはさんに自分の最期を見られたくなかっただろうし…それに、もう夏凛さんとは仲直りしたからさ。」

 

 

夏凛(if)「……。」

 

 

あげは(if)「そっか。噂通り、やはり高天原は壊滅したんだね。さて、場所を移そう。あたしの患者が無茶をしたし…それに、聞きたいんでしょう?。」

 

 

もう一人のあげはは、全員が思っていることを看破した。

 

 

あげは(if)「あたし達が姿を消した理由を。」

 

 

 

……………………………………。

 

 

~ヤマザクラ本部~

 

 

場所を移した一同。

烈火の怪我の治療を済ませたもう一人のあげはは、真剣な眼差しとなる。

 

 

あげは(if)「さて…どこから説明しようかな。まずは、このガキんちょを見つけた理由からかな?。」

 

 

友奈「あ…そうです。あの時、烈火君は瓦礫に押しつぶされて…。」

 

 

あげは(if)「そうだよ。確かにコイツは、あの局面で確実に死へと向かっていた。でも、強運の持ち主なんだろうね?。足元が崩れて海へと投げ出されたんだよ。」

 

 

鷹夜「マジかよ…!。」

 

 

あげは(if)「それで気を失ったまま流されて…あたし達が「隠居」していた「国」へと流れついた。」

 

 

須美(if)「隠居?。国?。」

 

 

あげは(if)「それについては、後で説明するよ。国といっても、正式に手続きを踏んでいない…誰も知らない「未踏」の地だ。ま…そこからだったね。生きるか死ぬかの怪我を負っていたから、後はコイツの生命力に賭けたのさ。それが見事に大当たり…てね。」

 

 

烈火「俺が戻ってこなかったのは、リハビリ中だったからな。お前らの行動を知って、先生にお願いしたんだよ。世界樹まで連れて行けってな。」

 

 

烈火は自身の身体に刻まれた傷跡を見せる。

背中は大きく裂けたような傷があり、胸には×字の傷跡があって。

生死の境を彷徨っていたといわれて納得できる大きな傷だった。

 

 

烈火「ま…2人の友奈を守れたんだ。この傷は勲章みてェなものさ。」

 

 

その言動に、2人の友奈は顔を真っ赤にする。

 

 

鷹夜「…この罰当たりめ。」

 

 

あげは(if)「ま…ここまでがコイツの顛末だね。さて、ここからだ。あたし達「こっち側のプリキュア」が姿を消した理由について。」

 

 

もう一人のあげはは、深呼吸をする。

ソラは、真剣な眼差しとなってその機会を受け入れる。

 

 

あげは(if)「実はね…あたし達は「怨嗟の病」に侵されているのよ。」

 

 

「怨嗟の病」。

 

 

その言葉を聞いた須美は勢いよく立ち上がる。

 

 

須美(if)「怨嗟の病ですって!?。」

 

 

園子「何々!?。どうしたの!?。」

 

 

夏凛(if)「怨嗟の病…いわば「呪い」よ。そこにいるだけで、闇を引き寄せてしまう特異病…もしかして、限界が来ていた世界樹が耐えられていたのって…。」

 

 

あげは(if)「あたし達が「国」にこの世界の闇を引き込んでいたからだね。それでも、膨大過ぎて結局は友奈ちゃんを苦しめる羽目になっちゃったけど…。」

 

 

友奈(if)「そんなこと…!!。」

 

 

あげは(if)「良いんだよ。天の神との戦いのとき、君とソラちゃんが最後にトドメを指したでしょ?。あの時にね…ソラちゃんが「もらっちゃった」のよ。「神の祟り」を。」

 

 

「祟り」。

それを経験した友奈は慌てる。

 

 

友奈「こっち側のソラちゃんが…祟りに!?。」

 

 

あげは(if)「そう。勇者は神の加護が与えられているけど、あたし達プリキュアは違う。だから、祟りの対象をソラちゃんにしたんだろうね。あの時の友奈ちゃんは、神樹に守られていたから。」

 

 

友奈(if)「その…ソラさんは今…?。」

 

 

あげは(if)「祟りの事があるから、今は行方不明だよ。生きているかすら分からない…あたし達にそれが伝播してね。天の神の最期の置き土産だよ。それが「怨嗟の病」っていうわけ。」

 

 

夏凛(if)「それが姿を消した真実…か…。」

 

 

あげは(if)「気に病む必要はないよ。あたし達も覚悟を以て戦ったんだ。その後のことなんて誰も知らなかった。たまたま、運が悪かっただけ。それでいいじゃん?。」

 

 

もう一人のあげはのその言葉に、一同は黙るしかなかった。

ここで、否定してしまうとこっち側の勇者たちの気持ちが落ちてしまう。

 

そう考えると、何も言えなかった。

 

自分たちは他所の世界の人間…本来はこの世界の事情に首を突っ込んではいけないことだ。

しかし、もうすでに干渉してしまっている…世界樹の件はうまくいった。

もし、あの時の選択が間違っているものだったとしたら…この世界の行く末に影響していたかもしれない。

 

そして今回…この世界のプリキュアの事情についてはなす術が無い。

だからこそ、もう一人のあげはが言う事に否定的にはなれないのだ。

 

 

須美(if)「…真実を知った私たちに出来ることは本当に何もないのですか?。あの時の戦いは、あなた達が居てくれたから乗り越えられたもの…その後の世界においては、私たちのせいであんなことになってしまっていた…それなのに、その功労者たちに報いることも出来ないなんて…。」

 

 

あげは(if)「…いいかい?。あたし達は人間だ…全知全能の神じゃない。だから、その後の事なんて誰にも分らないし、どうしようもない。それに、この世界から「省かれる」選択をしたのは自分たちなんだ。だから、君たちは悪くない。表で勇者たちが「平穏」を保つなら、裏の「闇」についてはあたし達プリキュアがそれを担う。そう決めた人間たちに、申し訳ない気持ちになるのはあたしたちの覚悟を冒涜しているようなものだよ?。」

 

 

須美(if)「…ええ、そうですね。ごめんなさい、私としたことが…。」

 

 

あげは(if)「ごめん、少し言い過ぎたね。これも「役割」と考えればいい、この世界の「真の平穏」はまだ、訪れていないのだから。」

 

 

「DM」…「劇団」…千景率いる「海祇機関」…「アンダーク帝国」…「シン・バーテックス」。

 

数々の敵が、この世界に集約してきている。

本当の戦いはこれからなんだ…。

 

一同は、そう気を引き締めた。

その中で、ソラが突然、口を開いた。

 

 

ソラ「こちら側のあげはさん。その「国」という場所に私たちを案内してくれませんか?。」

 

 

その言葉に、あげは(if)は真剣な眼差しとなる。

 

 

あげは(if)「…なんで?。」

 

 

ソラ「あなた達の事情に首を突っ込むつもりはありません。しかし、気になるんです…何故、この世界に私たちの世界の「闇」が集まってきているのかが…それに、緊急的に逃げてきたとはいえ、私たちが一挙にこの世界に集まったことは偶然じゃない気がするんです。」

 

 

あげは(if)「…何か、「大きな意志」があるとでも?。」

 

 

ソラ「はい。エルちゃんがこっちに来たことも含めて、この世界には全員が知らない「何か」がある…この世界は元々、私たちの世界の「可能性」から生まれた世界だと聞きました。だからこそ、無関係ではいられない…それを、知ることが今の私たちには必要なんじゃないかって。」

 

 

ソラのその言葉に、あげは(if)は緊張の糸を解く。

 

 

あげは(if)「…わかった!。その真実を追いたいなら、拒絶する意味も無いね。なら、案内しよう。」

 

 

あげは(if)は、端末に表示された座標を打ち込む。

それは、絶海の孤島とも呼ばれるほど誰にも認知されていない場所を指していた。

 

 

あげは(if)「この世界から「省かれた」国…どの「色」にも属さない真っ白な国…「アルビオン」へ!!。」

 

 

……………………………end。

 




もう一人のあげはから聞き出された真実。


「怨嗟の病」と「神の祟り」。



この世界のプリキュアが消えた理由が明らかとなった。


大きな戦いにひと段落ついた一同。


今度はこの世界に集まる「闇」の真実を追うべく、一同はヤマザクラを後にして新たな地「アルビオン」を目指す。


次回
第47話 「色」を無くした国・アルビオン。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。