〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
もう一人のあげはから語られた真実。
そして、その選択をした「覚悟」。
その覚悟に、一同は何も問わない選択をした。
だが、ソラはこの世界に「闇」が集まる真実を探ろうとその思いを打ち明ける。
それを聞いたもう一人のあげはは、自分たちが「隠居」する国へと案内することにした。
そして今日、一同はその地…「アルビオン」へと向かうのだった。
ソラの何気ない一言で始まった新天地への移動。
この世界に来て、大きな戦いを経験した。
「神」と「人」の戦い…その転機を迎える日に、思いを馳せて戦った。
そしてこの世界は再び…「歩み寄った」。
今日、この日にヤマザクラ本部を後にして新天地「アルビオン」を目指すことに。
全てはこの事件の裏に潜む「何か」を探すため…。
そしてこれは恐らく「劇団」の「演目」には入っていないことかもしれない。
この世界に集まる「闇」。
その謎を解き明かすために………。
~ヤマザクラ本部~
須美(if)「皆さん、本当にありがとうございました。」
須美は旅立つ一同に、頭を下げる。
友奈「ううん…こちらこそ。でもこれはお別れじゃないよ。」
樹(if)「だね。探してきなよ、その真実。それがきっと、この世界に「真の安寧」をもたらすことになるならさ。」
夏凛(if)「しばらくは私たちに任せてくれるといい。」
芽吹(if)「祝砲を!!。」
芽吹の号令に、防人部隊たちが一斉に祝砲を上げる。
その壮大な光景に、旅立ちを見送られる一同は思わず笑みを浮かべる。
蒼葉「行ってきます。須美さん。」
須美(if)「ええ、気を付けて。」
東郷「…貴方は残ればいいのに。」
須美(if)「ふふ、相変わらず仲が悪いわね?。しかし、良いコンビになりそう。」
東郷「誰がこんな人と!!。」
ソラ「では行ってきます!!。皆さん、また会うときは必ずその答えを持って帰ってきますからッ!!。」
出航する船。
これまで一緒に戦ってきた大切な仲間たちと一時、別れることになる。
~高速船~
「うわあああああッッ!!。」
高速船の中で、大声を上げる烈火。
その叫び声に、一同は慌ててやってくる。
友奈「どうしたの烈火君!?。」
烈火「な…なんでお前まで!?。」
その視線の先には、荷物に紛れてもう一人の友奈が居た。
友奈(if)「この旅の先にある答えを、私も知りたいと思って。」
風「でもあんた、しばらくは検査続きじゃ…。」
友奈(if)「それでも、知りたいの。「元神様」として。」
ツバサ「ど…どうします…?。」
烈火「どうするって…お前…。」
あげは(if)「ついてきちゃったものは仕方ないでしょ。今更、引き返すわけにはいかないし。」
烈火「そうだな…ま、よろしくな?。」
友奈(if)「うん!!♪。」
嬉しそうに、返事をする友奈。
こうして、新たな仲間が一人、増えたのだった。
その頃、高速船の甲板に鷹夜は一人、水平線を見つめていた。
鷹夜「…………。」
鷹夜(…この先の国にはきっと…こっち側のましろもいるはずだ。)
その時、自分はどういう顔をすればいいのだろう。
ちゃんと、言葉をかわせるのだろうか。
それに、性格だって全然違うかもしれない…きっと、考えていることだって…。
こちら側のあげはを見ればわかる…ずっと、大人になっていて立派になっているかもしれない。
もしかしたら、すでにこの世にはいないかもしれない…違う世界の同一人物だってことはわかる。
しかし、それ以前につい口走ってしまうかもしれない。
「ごめんな…」っと。
その目的地に近付くにつれ、鷹夜は会うのが億劫になってくる。
そんな思いに駆られていると、ソラがその場にやってくる。
ソラ「鷹夜さん、冷えますよ?。」
鷹夜「ああ…すまねェ。」
ソラ「…もしかして、こちら側のましろさんと会った時の事…考えてました?。」
…相変わらず、芯を食ってくるなァ…。
鷹夜は、ついそう思う。
鷹夜「まァな。あんな形で、ましろとはああなっちまったからな…ちゃんと、助けてやれなかった。俺はいまでも、そう思ってる。」
ソラ「それは…私もですよ。」
鷹夜「お前も?。」
ソラ「ええ。ましろさんは私の大切な友達です。ですからあの時、ちゃんと手を掴めなかったことにずっと後悔してます。だからこそ、会うのがすごく怖い…もしかしたら、泣いちゃうかもしれない。今の内に心に覚悟を決めておこうかと…そう思うんです。」
鷹夜「はは、考えてることは同じ…ッてか。」
ソラ「そうですね?。」
二人は笑い合う。
鷹夜「…お前は、この世界に集まる「闇」の真相を知りてェって言ってたけど…「劇団」とは別の事を言ってるのか?。」
ソラ「はい。「劇団」の目的は世界の「静寂」。しかし、今回のこの件についてはどうも彼らの予想を上回っている気がします。まるで何か「大きな意志」がそこにあるかのように。」
鷹夜「…もしかして、「劇団」の奴らはそれを知ってんのか?。」
ソラ「わかりません。しかし、彼らの目的も看過できませんから。何より、ましろさんをあんな目に遭わせたことは許しません。」
鷹夜「そうだな…一人は友奈が撃破した。残りの奴らもぶっ倒して…ましろの元に行くんだ。」
握り拳を作る鷹夜。
決意と共に、自分を鼓舞する。
そして、その数時間後…。
視界の先に、大きな島が見えてくる。
園子「ほえ~…あんなにおっきな島なのになんで誰も気付かないの?。」
あげは(if)「そりゃ、この島は常に霧に覆われているからね…しかも、この海域には誰も入ってこない。」
樹「なんででしょうか?。」
あげは(if)「ここは「未踏の海域」といってね…特殊な海流が渦巻いてるから、誰も近付かないのよ。空から行こうにも、乱気流に阻まれて墜落のリスクが高いし…何より、ここは「結界」に守られている。」
ツバサ「結界…ですか?。」
あげは(if)「そう。ここはあたし達しか入れない特殊な結界を張ってるの。ほら、もう着いたよ?。」
あげは(if)が灰色のミラージュペンを翳すと、結界に穴が開く。
そして、虹色のラインが海上に敷かれて一同を先導した。
……………………。
その一方…。
「劇団」メンバーは撃破されたギガスの席を焼き、彼の名も完全に「消して」いた。
アデル「あのギガスさんがね…ふむ、「満開」とやらは厄介なものです。」
ナイアル「元々、奴にはその資格が無かった…ここいらで幕引きとしたのは正解なのでは?。」
アリス「ふ~ん…ナイアルは冷たいわねェ…。」
ナイアル「「演出」について来れない者は退場するまでだ。」
シャロ「…さようなら、ギガス。」
ギガスに見立てた人形を作り、炎の中に投げ入れる。
アデル「さて…先日の戦闘で我が主役は休息に入っております。キュアマジェスティとの戦闘で、精神にダメージを負ったようですから…。」
巨大な「本」の中で眠るましろを見て、アデルは不敵な笑みを浮かべる。
アリス「反転した人格が戻る可能性は?。」
アデル「何とも言えませんねェ…何せ、この世界に来てから彼女の意思に若干のノイズが走っているようにも思えます。」
ナイアル「しかし、闇の深度は深まっている。万一の可能性だとしても、死ぬ以外に戻ることは無いはずだ。」
アデル「ふむ…しかし、危険因子は排除すべきです。シャロ、今度は貴女に出てもらいましょう。いいですか?。次、失敗すれば……「処分」が待っています。」
「処分」。
その言葉を聞いたシャロの眼孔が開き、怯えた表情をする。
そして、錯乱したように声を上げた。
シャロ「いや…いや…「処分」はいや…怖い…!!。」
アデル「なら、わかっていますね?。貴女が「処分」されない方法…それは?。」
シャロ「…邪魔者を…全部倒す…!!。」
アデル「よろしい。なら、ここに向かってください。」
アデルが示したその場所。
それは…一同が向かった「アルビオン」だった。
アデル「ここに、邪魔者の皆さんが御出でになられています。何、全て殺せとは言いません…そうですねェ…。」
アデルは1枚のカードを取り出した。
そこには、「キュアアグニ」…鷹夜が映っていて。
アデル「どうやら、彼は我々が滅ぼした世界の「太陽神」の力を持ったプリキュアのようです。随分と前の事ですからもう忘れましたが…アンダーク帝国の「スキアヘッド」がそれを本人に告げたようです。」
ナイアル「…闇夜を照らす太陽のプリキュア…フン、まだ抵抗するか。」
アデル「その力は厄介極まりないでしょう。覚醒する前に片付けなければなりません。今がチャンス…シャロ、彼を倒せばこれまでの失態は不問とします。お願いできますか?。」
シャロ「分かった。キュアアグニを…殺す。」
殺意に満ちたシャロは、鏡の中に消えていく。
アリス「「処分」ね…流石に、可哀相じゃない?。」
ナイアル「何を言う。シャロはまだ「優しさ」が残っている…これから先の「演出」に影響が出るやもしれん。」
アデル「ええ。我々の「舞台」はこれからが盛り上がるのです…だから、ここからは失態の一つでも咎める必要性がある…我々が減るのは問題ではない…この「舞台」こそ成功すればそれで良いのです。全ては「静寂」なる世界の為に…。」
……………………。
~アルビオン・海岸~
導きにより、無事にアルビオンにたどり着いた一同。
高速船を接岸させ、その地に足を付けた。
鷹夜「ここが…そうか…。」
外からの光景とは違って、活気があった。
まるで一つの都市のように人々が行き交い、自然と人工物が共存する理想郷のような姿…。
意外なその光景に、一同は息を飲む。
樹「そ…外からと違って想像を超えてるんですけど!?。」
蒼葉「…結界で視認性もカムフラージュしているのか…。」
あげは(if)「まあね。流石にあんな無骨な島だと暮らしに参ってしまうじゃん?。」
あげは「ねェ…ここにいる人たちも「怨嗟の病」ってやつに?。」
あげはのその言葉に、もう一人のあげはは静かに頷く。
少し、悲しげな顔をしながら静かに語り始める。
あげは(if)「あたしがここで医者をしているのもそう。この病をいつか治して、外に出る為なんだ。」
あげは「え…。」
あげは(if)「須美の前では啖呵を切ったけどね。ずっとこんな病を抱えて生きたくはない…それに、ここにいる人たちだって本来住んでいた場所に帰りたいはずだ。だから、あたしは保育士の夢を捨てて医者になった。それも、こういった「呪い」に精通する医者にね。」
ツバサ「…見込みは…あるんですか?。」
その質問に、もう一人のあげはは…。
首を横に振った。
あげは(if)「…これは「神の呪い」だ。並大抵のものじゃ効きもしない。外に出れば「闇」が常に付きまとう…四六時中、命の危機に苛まれながら毎日を過ごすなんて、精神が持たないでしょ?。でもね、あたしは諦めない。」
真っすぐな目で、もう一人のあげはは街で遊ぶ子供たちを見る。
無邪気にボール遊びをする子供たち。
きっと、この子たちもその病に侵されているのだろう。
このまま、外の世界を見ないまま一生を終えていいのか?。いや、そんなことは無い。
だからこそ、何年掛かってもこの呪いを解く方法を探すんだ。
諦めた自分の夢…でも、気持ちは同じ。
それは「子供の笑顔を守る為」。
こんな窮屈な世界ではない、外はもっと多くの「楽しい」が転がるようにそこにある。
それを、この国で暮らす子供たちに教えてあげたいんだ。
もう一人のあげはは、そんな気持ちを一同に伝える。
行くところがある…そう言って、案内を再開したその直後…。
シャロ「「処分」はいや…キュアアグニを殺せば…「処分」されない…!!。」
鬼気迫る表情で、シャロは一同の前に姿を現した。
あげは(if)「「劇団」の<人形師>!?。そんな馬鹿な…結界を超えてきたというの!?。」
ソラ「ちょっと待ってください。様子がおかしくありませんか!?。」
洸(…あの物静かなシャロがなんでこうも?。それに…「処分」って…?。)
シャロが手を翳すと、木々を操って巨大な「木人」を形成。
周辺の人々は悲鳴を挙げながら逃げ惑う。
シャロ「キュアアグニィィィィ!!。」
狙いは一点、鷹夜のみに絞る。
鷹夜「ちッ…!!。」
横っ飛びで木人の攻撃を避けた鷹夜。
状況が飲み込めない中、鷹夜は端末を手に取る。
鷹夜「俺が狙い!?。クソ…どうなってやがる!?。」
迫りくるシャロの猛攻…。
それは鷹夜の眼前に迫ってきていた…。
……………………end。
アルビオンにたどり着いた一同。
もう一人のあげはの思いを聞き、この世界に未だ残る問題に直面する。
そしてその最中で突如として現れたシャロは、鬼気迫る勢いで鷹夜を執拗に狙う。
「何か」に怯えながら自分に迫るシャロに気付いた鷹夜。
そして、彼女が叫び続ける「処分」とは……。
次回
第48話 哀しみのシャロ。