〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
「処分宣告」を受けたシャロはその撤回条件にキュアアグニの抹殺を命じられた。
しかし、その真意を知ったアグニに敗北したシャロは迫り来る死の恐怖から絶望に打ちひしがれる。
だが、その炎は闇を照らして彼女に新しい道を照らしたのであった。
無事、戦闘を終えた一同はアルビオンの指導者であるこの世界の「虹ヶ丘ましろ」に会いにいく為に歩を進めるのだった。
シャロとの戦闘を終えたアグニ。
しばらく泣き続けていたシャロは、目を腫らしながら涙を拭う。
その様子を見届けたアグニは変身を解いて、元の姿に戻った。
鷹夜「落ち着いたか?。」
シャロ「……うん…ありがと。」
いつもの、感情が薄い雰囲気に戻るシャロ。
もう笑ってもいいんだけどな…そう思いつつも鷹夜は無理にそれを言うことも無く。
蒼葉「呪縛を解いたのはいいが…ソイツはこれからどうするつもりだ?。「劇団」の「処分」から逃れたのはいいが…直接、手を下しに来ても不思議じゃないぞ。」
鷹夜「それは…コイツが決める事じゃないのか?。」
シャロに目を向ける鷹夜。
コクリと頷いたシャロは口を開く。
シャロ「…私、ちゃんと罪を償いたい。」
その言葉を聞いた洸は、険しい表情をする。
洸「罪を償うなんて、簡単に言ってんじゃねェぞ。お前らがどれだけのことをしてきたのか…わかってて言ってんのか?。」
突っかかるように言う洸。
しかしそれと同時に、シャロの答えを聞き出そうとしていた。
シャロ「…わかってる。壊して奪って…許されないことをやってきた。貴方の故郷だって…。」
それを聞いた洸は拳を震わせる。
しかし、園子がそれを握って顔を横に振る。
園子「洸。」
洸「ッ……わかってる…だったら…ちゃんと償いやがれ。中途半端な事しやがったら許さねェからな。」
目を見ずに、そう告げる洸。
その様子を見て、園子は少し安心した。
園子(…どうやら、憎むべき本当の敵を…理解したみたいだね〜?。)
シャロ「うん、だから最初は貴方に謝りたい…ごめんなさい。とても、酷いことをした…許してとは言わないけど…謝りたい。ごめんなさい。」
洸「…俺はいいよ。それは…他に奪ってきた奴らに言ってやれ。」
シャロ「…うん…!。」
初めて、浮かべた微笑。
それはぎこちないが、目一杯の彼女の「感情」だった。
風「決まりね?。後の問題は、「劇団」対策だけど…この子、機密を知ってるから消されるかもしれないんでしょ?。」
あげは(if)「それなら、あたし達が「保護」するってのはどう?。まぁ…形式上は「逮捕」って形にするけど。」
ツバサ「逮捕…ですか…。」
あげは(if)「流石に元「劇団」幹部だからね…簡単に街を歩かせるわけにはいかない。改心したとはいえ、受け入れられない人の方が多いはずだし…彼女はその経緯上、恨みを買い過ぎている。その意味も含めて、自由行動は危険なのよ。」
東郷「異議は無し…ね。」
あげは(if)「なら決まりだね。貴女もそれでいい?。」
シャロ「……わかった。」
その提案を飲むシャロ。
一同はもう1人のあげはの案内の元、本来の目的の場所へと歩を進めた。
………………。
〜「ホール」〜
「劇団」団員達が拠点とするこの場所。
「ホール」と呼ばれる空間にあるシャロの椅子が燃え始めた。
アデル「ふむ…やはり、シャロは失敗しましたか。残念ですね。」
ナイアル「問題はそこでは無い、キュアアグニの炎はこちらの「呪縛」を焼き払ったのだ。おかげでシャロの「処分」が敢行されなかったのだぞ。」
アデル「わかっております。しかし…不思議なものですねェ…あの炎は我々の「呪縛」を解除する性質があるとは。」
アリス「流石に放置しすぎたんじゃない、アデル。」
アデル「…ええ、甘く見積もっていました。」
アリス「まぁ私自身は、この刻印については何も思わないけどね。貴方の支配下にあろうが、やることには変わりはない…機密を漏らすくらいなら消してちょうだい。」
アデル「連れないことを言いますねェ。貴女は切り捨てませんよ…何せ、<スカウトマン>は重要な役職ですから。」
ナイアル「しかし、ギガスに続いてシャロまでとはな。しかも、奴は裏切りだ。我々の内情を話すかもしれん。」
アデル「話していただいて結構ですよ?。何せ、もう「舞台」は開幕となっているのです…今更、露見した所で路線を変えるつもりもありませんし…我々にはこの<破滅の姫君>さえいれば物語は継続可能です。」
ナイアル「…僕のプライドが許さん。奴は消すさ、必ずね。」
ナイアルは溶け込むように消える。
それを見て、アリスが笑みを浮かべた。
アリス「随分とご立腹ねェ?。」
アデル「シャロの戦闘力を練り上げたのは彼ですからね。思うところがあるのでしょう、彼は「裏切り」だけは絶対に許さない性格ですので。さて…アルビオンは流石に手が出し辛い…少し、作戦を練りましょうか。」
………………。
あげは(if)「着いたよ。ここがアルビオンの統治局…。」
「統治局」と呼ばれたそれは、とても立派な宮殿のような建物で。
高天原が「社」。アルビオンが「宮殿」といった、和と洋を対比させるかのような光景が目に広がった。
重い門がゆっくりと、開く。
烈火「ありゃ、入れってことか?。」
夏凛「どうやら、そのようね?。セキュリティとかは大丈夫なの?。」
あげは(if)「問題無いよ。さて…みんなに紹介しとかないといけないからね。このアルビオンの「統治者」を。」
「統治者」。
その人物におおよその予測が付く鷹夜とソラは別の覚悟を決める。
内部へと案内される一同。
その時、1人の少年が剣を向けてきた。
「セキュリティの解錠を許可したつもりはないが…また、貴女の仕業か。あげはさん。」
その少年の姿に一同は驚く。
特に、ツバサが。
ツバサ「ま…まさか…もう1人の僕ッ!?。」
ツバサ(if)「そう言う君は…そうか、外で話題になっていたからわかってはいたけど…なるほど、軟弱な雰囲気だね。」
ツバサ「な…軟弱ッ!?。僕が!?。」
ツバサ(if)「君以外に誰がいるんだ?。早く通るといい、会いに来たんだろう?。「ましろさん」に。」
素っ気ない態度をとるもう1人のツバサ。
それを見たツバサは少し気に食わない様子のまま、案内のままに宮殿の中に入る。
〜統治局、内部〜
ツバサ「全く…何なんだよアイツ。もう1人の僕ってあんなに嫌な性格なんですか…?。」
ソラ「まぁまぁ…世界が違えば、性格も違うでしょうし…怒らないでください。」
あげは(if)「まぁ、騎士としての性分が強いからねェ…ごめんね、気を悪くしちゃって。昔からあんな感じなのよ…こっちの少年は。」
ツバサ「少年…やっぱり、そう呼んでるんですね…。」
あげは「アッハハハハ!。少年はどこの世界でも少年でいいじゃん?。」
ツバサ「もうそれでいいですよ、全く。」
しばらく歩を進める一同。
そして、その前に「彼女」が姿を現す。
「ようこそ、アルビオンへ。向こう側の世界の方々?。」
しばらく、聞けなかったあの優しい声。
ソラと鷹夜は緊張する。
声質は全く同じで、その雰囲気も彼女そのものだった。
徐々に見えてくるその姿…しかし、先に車椅子が目に入った。
あげは(if)「紹介するよ?。アルビオンの統治者…虹ヶ丘ましろだよ?。」
車椅子を動かしながら、ゆっくりとやってくる彼女。
これまで、出会ったこの世界の同一人物は必ず何かが違っていた。
しかし彼女は…もう1人の友奈と同じく、違いが殆どなくて。
纏う雰囲気こそ、今はここにいない「彼女」そのものだった。
ましろ(if)「改めまして…虹ヶ丘ましろです。こんな姿で申し訳ございません、過去の大戦で足を悪くしてしまって。」
自然と、涙が出るソラ。
とめどなく溢れてくる。
ソラ「ま…しろさん…あ…ご…ごめんなさいッ!!。」
ましろ(if)「いいんです。向こう側の私の事は知ってます。それに…私自身、貴女の顔が見れて同じ思いなんです。行方不明になった…こちら側のソラちゃん。同じです…貴女と全く、同じなんです。」
鷹夜はそんな様子を見ながら、気持ちに整理ついた。
それを察した、もう1人のましろが優しい声を掛ける。
ましろ(if)「ええ、それでいいんです。貴方達が見るべき「虹ヶ丘ましろ」は私じゃない…だから、割り切ってください。その方が、貴方達の気持ちの整理にも繋がるはずですから。」
鷹夜「…ああ、そうさせてもらう。」
友奈(if)「お久しぶりだね。ましろちゃん…いや…今は「さん」かな?。」
ましろ(if)「友奈ちゃん…大変だったね。ごめんね…高天原の企みは知っていたんだけど…助けに行けなかった。この「呪い」のせいで、貴女に苦しみを与えるかもしれないって思えば…それに、今の私たちが表の世界に行けば余計なものまで呼び込んでしまうから…。」
友奈(if)「ううん、いいの。自分で選んだ事だから…それに今は「人」としてみんなと生きていくって決めたから。まぁ…年齢は置いていかれちゃったけどね?。」
ましろ(if)「フフ…東郷さん達ともまた会いたいな?。いつか、この呪いを解いて…会いにいくよ。みんなに。」
友奈(if)「うん、待ってるよ?。」
友奈「だったら、そのお手伝いをしますッ!。」
夏凛「あ…あんたね…勝手にッ…!。」
ソラ「いえ、友奈さんの言う通りです!。」
夏凛「このお人よし共がッ!。」
ソラ「この呪いの先に私が感じている「違和感」に辿り着きそうな気がするんです。きっと、無関係じゃない…。」
ましろ(if)「…この世界で感じる「大いなる意志」…そうですよね?。」
的を射ってくるその答え。
ソラは思わず、驚いてしまう。
もしかして、それに気付いているのか?。この世界のましろは…。
そう思うと、ソラはその答えが知りたくなった。
ソラ「この世界のましろさんも感じているのですかッ!?。」
ましろ(if)「感じていると言うより…確実にあるんです。可能性世界であるこの世界は様々な「可能性」を呼び寄せてしまう…まるで、この世界そのものが「選択」しているように。」
風「世界そのものがッ!?。でも、神はもう居ないんだよね!?。」
ましろ(if)「ええ、その神を超えた存在こそが「星」そのもの…確証はありませんが、私はこの星そのものが「大いなる意志」と見ています。」
もう1人のましろのその答えに、何も言い出せない一同。
「星」そのものの意志?。
そう言われても、イマイチピンと来ない。
ましろ(if)「貴方達がこの世界に来た事も…「劇団」の計画によって歪められた貴方達の世界の事も…全てはこの「可能性世界」から始まっています。だからこそ、自然と集まるように仕組まれているのかもしれません…光も闇も、全てがこの世界に…へと。」
烈火「でも、「劇団」の計画は静寂なる世界じゃ…。」
ましろ(if)「はい。静寂なる世界…それはきっと、この世界にある「大いなる意志」に打ち勝つため…星を停止させる計画はその意志にだって太刀打ちできないのかもしれない。だから……。」
「そう。全てはこの世界の「ルール」を崩していく為さ。」
鳴り響く男性の声。
その声に、シャロは睨みを利かす。
シャロ「………ナイアル…。」
ナイアル「アデルには申し訳ないが、独断で動かせてもらった。シャロ、この裏切り者めが。この僕直々が処刑してやる。」
静かに刀を抜くナイアル。
ましろを闇に落とした張本人。
その事実に、ソラと鷹夜を始めとしたプリキュア達は怒りに震える。
ナイアル「「大いなる意志」…星そのものに打ち勝てれば神もちっぽけな存在にしか見えない…我々の「舞台演出」はそこまでがシナリオなのだよ。星が止まれば静寂が広がる…そうなれば、全知全能なんてレベルじゃない。星そのものを支配下に入れられる…素晴らしい計画だろう?。」
鷹夜「ほざけ…テメェらのその計画にましろを巻き込みやがってッ!!。ここであったが100年目だ、テメェをぶっ倒すッ!!。」
ナイアル「やってみるがいい。君達が僕に勝てるなら…ね?。」
静かに構えるナイアル。
一同が相手をするのは、「劇団」最強と言われる男…。
No.2<演出家>ナイアル。
その……本人だった。
………………end。
もう1人のましろから聞かされた「大いなる意志」。
徐々に明かされていくこの世界の「仕組み」と、「劇団」の「舞台演出」の行き先…。
そして、立ちはだかる「劇団」最強の男…ナイアル。
ましろを闇に落としたその張本人に挑む一同。
しかし、彼の持つ戦闘能力はこれまでの敵の常識を遥かに凌駕するものだった………。
次回
第50話 最強の刺客。No.2<演出家>ナイアル。