〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


アルビオン「統治局」にやってきた一同。

そこで、もう1人のましろと出会を果たす。

彼女の口から告げられたこの世界の「深い事情」。

「大いなる意志」は星そのものの意志…全てはこの世界から始まった事を聞かされる。

その中で、襲撃をかけて来た「劇団」No.2<演出家>ナイアル。

彼の戦闘力は、想像を絶するものとなる…。


第50話 最強の刺客。No.2<演出家>ナイアル。

 

一同の前に姿を現したナイアル。

 

手に持つ刀を静かに構えると、纏う雰囲気が一変する。

その気迫に、息を飲む一同。

 

しかし、目の前にいるのはましろを闇に落とした張本人…その凶刃さえなければ、彼女は闇に落とされていなかった。

 

プリキュア達の「怨敵」が今、そこに居た。

 

変身し、一気に飛び出すプリキュア達。

ナイアルは冷静に見極めては、刀を振るって来る。

 

 

ナイアル「ククク…どうやら、僕に恨みがあるようだね君達。」

 

 

アグニ「当たり前ェだろッ!。お前さえ居なければ…!。」

 

 

ナイアル「全ては巡り合わせだ、運が無かったと言うことになる。」

 

 

袈裟に捉えたその斬撃は、アグニの胸を軽く切り裂く。

そしてすかさず、隣にいたウイングに狙いを定める。

 

 

ナイアル「邪魔しないでほしいな。僕はただ、裏切り者を「処分」しに来ただけさ。」

 

 

ウイング「くっ…うわあああッッ!。」

 

 

咄嗟に両腕をクロスしてガード態勢に入るウイング。

切り裂かれては、そのまま壁に激突する。

 

 

バタフライ「もう1人の私ッ!。シャロを連れて逃げてッ!。」

 

 

シャロ「わ…私も戦う…ッ!。」

 

 

夏凛「あんたは罪を償わなきゃいけないッ!。無闇に出るんじゃないわよッ!。」

 

 

変身した夏凛が、ナイアルの斬撃を受け止める。

火花を散らしながら、互いの得物同士が激しく競り合った。

 

 

ナイアル「素晴らしい太刀筋だ、しかし…パワーがまるでない。」

 

 

夏凛「ぐッ…舐めるなッッ!。」

 

 

強引に、弾く夏凛。

しかし何故か、弾いたはずのナイアルが眼前にいた。

弾かれたその瞬間に、神速の踏み込みを見せたナイアルは瞬時に夏凛の懐を捉えていたのだ。

 

規格外のその速さに、戦慄さえ覚える夏凛。

無情にも、その凶刃は夏凛の小さな体を捉えた。

 

 

夏凛「がっ……はっ…!?。」

 

 

ナイアル「まずは1人目だ。」

 

 

切先が横腹を捉えて貫通。

ボトボトと、血が流れ落ちる。

そのまま引き抜くと、力無く倒れる夏凛。

慌てた樹がすぐに駆け寄った。

 

 

樹「夏凛さんッ!。しっかりしてくださいッッ!!。」

 

 

風「樹ッ!後ろッッ!!。」

 

 

樹「……え…ッ?。」

 

 

後ろを振り向くと刀を両手で持ち、上段構えで樹を捉えるナイアルの姿。

容赦無く振り下ろされる白刃……しかしそれは、烈火の投げたメイスと蒼葉の射撃により防がれた。

 

 

蒼葉「犬吠埼ッ!。三好を連れて退避しろッ!。シャロを連れたあの人の所に行けッッ!。三好のその怪我はヤバいッッ!。」

 

 

樹「わ…わかりましたッッ!。」

 

 

夏凛を担いで走り出す樹。

ナイアルは刃に付いた彼女の血を払い飛ばす。

 

 

ナイアル「…実に弱い。その程度の実力でこの僕の前に立つとは…ギガスは何をしていたのだ。」

 

 

東郷(冷静に見て、戦闘力はここにいる全員でも敵わない…これが…「劇団」の2番手…!。)

 

 

狙撃銃で、ナイアルを捉えた東郷。

しかし、その照準が分かっていたのか、瞳を向ける。

 

 

ナイアル「…やめておいた方がいい。僕に奇襲は通用しない。」

 

 

東郷「くっ…!。」

 

 

園子「参ったね〜…この人1人に圧倒されちゃってるね〜…。」

 

 

スレイヤー「こいつは…実力だけだったらアデルを超えてやがる…アデルの奴が底を見せてねェだけかもしれねェが…。」

 

 

ナイアル「目的を果たさせて欲しいだけさ。それが済めば帰る。さぁ、シャロを引き渡せ。」

 

 

アグニ「…引き渡したら、あいつは殺されちまうんだろ?。あの刻印が消えたんだ…もう自由だろ!ほっといてやれよッ!。」

 

 

ナイアル「僕は裏切りを許さない質でね。だからこそ、この手で処分しなければ気が済まない。」

 

 

烈火「しつけェ男は嫌われるぜ…?。」

 

 

ナイアル「結構さ、僕は他者に興味がない。人からの評価なんてどうでもいいのさ。肝心なのは、演出……使えない命でも、演出一つで煌びやかな最後を彩ることが出来る…シャロの演出はもう決まっているのだ。せめてもの情け、華々しく散らせるのみ。」

 

 

スレイヤー「テメェらのそう言う思想がそもそも気に食わねェんだッ!。」

 

 

拳を振るい、ナイアルと対峙するスレイヤー。

眉ひとつ、動かす事なくナイアルはその軌道を完璧に読み上げていく。

 

 

ナイアル「君は復讐に彩られている…実に滑稽だ、汚い色そのものだよ。」

 

 

園子「それは…洸の故郷を貴方達が滅ぼしたからでしょッッ!。」

 

 

怒涛の突きで、反対側から攻め込む園子。

不意を取られたナイアルは冷静に見極め、最小限のダメージのみもらう選択肢を脳内で判断。

脇腹を少し掠った態度で済み、不意打ちは失敗に終わった。

しかし、それが肝心ではない園子。

続いて、スレイヤーの打撃がナイアルに襲いかかった。

 

 

ナイアル「あれも演出の一つさ。舞台の意味を理解しているのかい、君達は。それに…。」

 

 

スレイヤーのキックを受け止めたナイアル。

得物の刀を離し、合気の要領で地面に叩き伏せた。

 

 

スレイヤー「なっ…!?。」

 

 

ナイアル「得物の距離に居なくとも、この程度の要領は持ち合わせているさ。だから言ったんだ、僕に奇襲は何の意味ももたらさない…ッと。」

 

 

スレイヤー「ぐっ…何が演出だ…テメェらの馬鹿げた理想と物語のためにどれだけの人が涙を流したと思ってやがるッッ!?。」

 

 

押さえ付けられながらも、スレイヤーは怒りのままに声を荒げる。

 

 

スレイヤー「不必要なら、仲間を簡単に切り捨てる…確かに俺は復讐で戦ってるさ…今でも、その気持ちに嘘はねェしテメェの言う通り、汚い色だよッ!。でもなッ!!。」

 

 

強引に、拘束を引き離して立ち上がったスレイヤー。

 

 

スレイヤー「お前らをほっとくと、何処かで誰かが泣くことになるッ!。だったら、それを止めねェといけねェッ!。俺はそういうお前らの存在そのものが許せねェんだッ!。」

 

 

園子「そうッ!。貴方達の行動は人を不幸にしちゃうもの…だから、全力で止めさせてもらうんだからッッ!。」

 

 

ナイアル「フン…啖呵はそれでいいかい?。耳障りなんだよ…そう言った、くさい台詞というものはね。正義ごっこはそこまでにしたまえ…僕1人に敵わないのなら、その決意は何の意味もない。そして僕は、それを簡単に切り伏せる力がある。実力差は明白だろう?。いい加減に諦めたまえ、今ならシャロ1人で事を済ませてやるというのに…。」

 

 

アグニ「上から見てんじゃねェぞこの野郎ッ!。」

 

 

飛んできたアグニの炎。

それは、ナイアルの頬を掠っていく。

 

 

アグニ「テメェがどんだけ強かろうが関係あるかッ!。仁義に外れてるテメェらはただじゃおかねェって言ってんだよッ!。シャロはもう自由だ、生きたいって心の底からちゃんと吐いたッ!。だったら、俺達は真っ直ぐに生きようとするアイツを応援してやるだけだッ!。テメェに奪わせはしねェぞッ!。」

 

 

スレイヤーとアグニ、園子が同時に攻める。

だが、ナイアルは刀を抜いて回転し、その攻撃を全て弾き飛ばす。

 

圧倒的な実力差を前に、勝算なんてまるで無かった。

しかし、一同の戦意を駆り立てる材料は山ほど存在していた。

 

 

彼らのせいで、泣く人が現れる事。

 

その事実さえあれば、立ち向かっていける。

だからこそ、詰められるように徐々に押されていく中でも立ち向かっていける。

振るい続ければいつかは必ず届く。

その執念深さに、ナイアルは段々とイラつきさえも覚えていく。

 

 

ナイアル「鬱陶しいな、いい加減に…シャロだけじゃなくて君達も「処分」するよ?。」

 

 

ーやってみろッ!!。ー

 

 

全員が口を揃えて言ったその言葉を皮切りに、一斉に攻撃を仕掛けていく。

 

 

友奈「はぁああああッ!。」

 

 

その波状攻撃の間に、友奈と烈火の攻撃が割って入る。

簡単にいなすナイアル。

しかし、その先を読むかの如くウイングはその機動力で先回りしてはナイアルに打撃を与える。

 

大したダメージは入っていない…しかし、そこが重要ではない。

粘るんだ、粘ってみせろ…力で勝てないなら…執念で勝つッ!。

 

その信念の元、ひたすら攻め続ける。

思い知らせてやればいい…自分たちは「面倒」な相手だと。

 

白刃を振り翳すナイアル。

 

しかし、バタフライのシールドがそれを防いだと同時に風の重たい一撃がナイアルを吹き飛ばす。

そしてその先には東郷と蒼葉が射撃戦にて反撃の隙を与えない。

 

各個対応では必ず負ける…この最強の刺客を相手にするには全員で挑むしかない。

 

そして最後、アグニとスカイの一撃がナイアルを捉えた。

 

ようやくまともに入った一撃。

ナイアルは口の端から血を垂れ流していた。

 

 

スレイヤー「ナイアルゥウウウッッ!。」

 

 

室内で「ドラゴンバスター」は使えない。スレイヤーが下したその判断は…。

 

次元の力を込めた打撃の一撃。

それは見事に、ナイアルの頬に突き刺さっては吹き飛ばされていく。

 

 

園子「これだけやって…やっと2発だよ…はぁ…はぁ…ッ!。」

 

 

瓦礫の中に突っ込んだナイアルは、ゆっくりと身体を起こす。

その雰囲気はまるで……悪魔。

 

 

ナイアル「…勘違いしてもらっても困る…これで、やれるつもりでいたか?。」

 

 

アグニ「ちッ…マジかよ…ッ!?。」

 

 

ナイアル「実力差を思い知らせてやろう。決めるなら…一撃だ。」

 

 

ゆっくりと、刀を構えたナイアル。

その瞬間、姿を消しては目にも止まらぬ速さで1人ずつ切り裂いていく。

音もなく、動くその様は料理をするかのように、簡単に切り裂いていくのだった。

 

 

ナイアル「…風牙。」

 

 

スカイ「……ぁ……ッ…。」

 

 

まるで、操り糸が切られたかのように一斉に倒れていく一同。

加減されたのか、致命には至らない傷とダメージ。

しかし、精神が切られたかのように全くその場から動けない。

 

そして、ようやく理解した。

 

これが、「実力差」による絶望感。

無意識に、絶望感を叩きつけられたが故の精神的ダメージが大きく、身体的ダメージに比例していないダメージとなっていた事に。

 

 

ゆっくりと、スカイに近付くナイアル。

1人ずつ、トドメを指す気なのだろう…動かなければ、こちらがやられる…。

 

その危機感に、何とか立ちあがろうとするスカイ。

しかしその時、もう1人のましろがナイアルの前に立ち塞がった。

 

 

ナイアル「……どう言うつもりだい?。」

 

 

ましろ(if)「お引き取りください。不躾な人はこの場には相応しくない…。」

 

 

ナイアル「ほう…変身すら出来ない上に、その足…それで僕に立ち塞がるとでも?。」

 

 

ましろ(if)「そうですね。私はここから退きません。ここから去りなさい、アルビオンでの不敬はこの私が認めません!。」

 

 

力強いその眼差し。

容赦無く、ナイアルは刀を突き付ける。

それは、もう1人のましろの頬を掠り、一筋の血がその頬から流れ落ちる。

それでも、その目は衰えていなかった。

 

 

ナイアル「………仕方ない。事を荒げれば、アデルの動きに支障が出るかもしれない。シャロの命は預けておく、次の機会で刈り取らせてもらうまで。それまでは、悔いのない様に生きるといい、僕たちに拾われる前の無様なあの頃のように。」

 

 

刀を戻し、去っていくナイアル。

緊張感漂うその空気は、彼が去った事により解かれていった。

 

 

スカイ「…ありがとうございます…貴女がいなければ今頃…。」

 

 

ましろ(if)「いえ…貴女方をお守りしなければなりませんから…これから迫ってくる「闇」達への希望…そのためなら、私の命なんて安いものですから。とりあえず、全員の怪我が酷い…すぐに治療を行います。医療班?。」

 

 

ましろ(if)の呼びかけに応じて、医療班が動き出す。

 

 

恐ろしいほどにまで強かったナイアル。

これからを生き抜くにはこういった猛者達を相手にしなければいけない…。

 

一同の壁はまだ…分厚いままだった。

 

 

………………end。

 




圧倒的実力差を見せつけられた今回の一戦。

一同の課題は増えるばかりだった。

しかし、絶望はしない…それを乗り越えていくと全員はそう決意していたのだ。

その数日後、統治局内の資料館にて過去の大戦についての綴りを見つけたソラと鷹夜、友奈と東郷。

そして、そこに一枚の書き置きを見つけた。
その書き置きの主は……祟りの影響で行方を絡ましたもう1人のソラのものだった…。

次回
第51話 もう1人の「英雄少女」。
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