〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
資料館でこの世界についての歴史を詮索していた4人。
発見した「勇者御記」に過去の大戦とその顛末が記されていた。
そして、わかったもう一人のソラが失踪した理由。
たった一人でこの神の呪いを消すべく、彼女は時間を超えた世界に旅立ってしまっていた。
そんな彼女を追うべく、ソラは一大決心した。
烈火「はぁ!?。俺たちの世界の過去に行くだと!?。」
思わず、飲み物を吹き出してしまった烈火。
無理もない、突拍子にこんなことを告げられては誰もが驚愕するに決まっている。
蒼葉「…本気で言ってるのか?。」
ソラ「はい、本気ですッ!!。」
風「いきなり言われても驚くばかりだって!!。とりあえず、説明しなさいよ?。」
風に言われた通り、ソラは説明する。
この世界の自分が行方を眩ました理由。そして、その理由が「怨嗟の病」に冒されたこの街の人たちを救う為。
神が消えたこの世界では、治療法が無いに等しい。
だからこそ、自分たちの世界の過去に向かったのだろう。
その時代なら、神樹が誕生したばかりか天の神だって居る。
可能性はゼロじゃない…蜘蛛の糸ほどの僅かな希望を手繰り寄せて旅立ったのだ。
もちろん、その話を聞いて友奈と東郷が真っ先に思い出した「あの事」を、勇者部メンバーも思い出した。
樹「あの時、拾った新聞記者さんの手帳に書かれていた「プリキュア」はこの世界のソラさんの事なのかもしれませんね。でもあれの顛末は…。」
蒼葉「…ああ、そのプリキュアは絶命したことになっている。真実は定かではないが…。」
烈火「もしかしたら生きてたかもしれねェ。なら、過去に行ってそいつを助けてやりゃハッピーエンドじゃねェのか?。」
その言葉に、フレアは険しい表情となる。
フレア「小僧。それをするとなると、歴史を改変することに繋がるのだぞ。」
烈火「なんだよ、いけねェことなのか?。」
フレア「お前たちが今、ここにいるのはその歴史を送ってきているからだ。過去に向かうという事は行動の一つ一つに慎重にならねばならん。」
園子「私、分かっちゃったかも。要するに、その歴史以外の事象が起これば、この中にいる誰か…いや、今あるこの状況が変わっちゃうかもしれないってことだよね?。」
フレア「その通り、例えば貴様が家に帰るのが本来の歴史だとしよう。それが、帰らないだけで分岐点が生まれるのだ。その影響が小さいか大きいかなんて誰にも分からない。」
烈火「うげェ…やっぱやめとくかぁ?。」
ソラ「いえ、行きます!!。」
洸「お前なぁ…話を聞いてたろ?。」
ソラ「それでも行きます!!。こちら側の私がその歴史の中で死んだとしても、その想いだけは持って帰りたいんです!!。」
風「…ましろの事はどうするの?。「劇団」が活発になってるならきっと、あの子だって出てくるよ?。」
ソラ「すみません、ましろさんは後回しにさせてもらいます。それに、「怨嗟の病」が治るかもしれないのなら治してあげたいです。この世界のあげはさんの思いも聞いて、それを知らずにこの閉鎖された空間で生きている子供たちの為にも…同じ「ソラ・ハレワタール」として責任を取りたいんです。」
並々ならぬその覚悟。
もう一人の友奈は静かに見届ける。
そして…口を開いた。
友奈(if)「…過去に行ける方法なら、あるよ?。」
友奈「え…それは本当なの!?。」
友奈(if)「うん、でもね?。時間が限られている。「離魂術」って知ってる?。魂だけを別の場所に飛ばす高等術なんだけどね…霊体となれば、一時的に世界の理から脱出できるの。それを使えば過去にだって行くことが出来る。」
あげは「要するに、幽体離脱ってわけか。」
友奈(if)「そうだよ。時間で言えば、7日間。それを過ぎれば、魂が肉体の在処を失って消散してしまう。もちろん、感覚だって残ってるから離魂中に傷を負えば魂にダメージが入っちゃう。受けすぎると死ぬのと同じで魂が消滅しちゃうの。」
ツバサ「えっと…他に方法はありませんか?。」
友奈(if)「歴史の影響力を考えれば、それが一番ベストかな。だって、本来の歴史に存在しないはずの貴方達がその地に足を付けるだけで変わっちゃうことだってある。でも、魂なら実体がないのと同じだから、多少は動きやすいと思うんだけどな。」
東郷「なるほど…理に適っているわね。」
友奈(if)「後、過去に渡るならここじゃだめだよ?。」
烈火「へ…ダメなのか?。」
友奈(if)「うん、世界を超える苦労は経験済みだよね?。だからこそ、「近道」しないといけない。」
フレア「…やはり…「あそこ」を経由するしかあるまいか…。」
険しい声を出すフレア。
友奈(if)「「次元世界」。この世界と向こう側の世界の間にある空間…「DM」の巣窟…だよ。」
「次元世界」。
その世界は人知を凌駕する空間…そして、全ての生物の天敵とも言える「DM」が住まう空間。
元々、フレアはそこの「王」だった。彼が統治している時代は「DM」など存在していなかった。
だがあの日…この世界で「終末戦争」が始まったあの日に「謎の闇」が次元世界に侵入してきた。
それこそが「DM]。
正体不明の謎の異形。彼らの勢力ははっきり言って「無限」に近い。
瞬く間に制圧され、フレアもまた、敗戦を味わっている。
あの空間に戻るのか…フレアはそう思いながら、敗走したあの日を思い返す。
フレア「…次元世界なら、全ての世界と時間に繋がりがある。我はその場所を知っている。案内くらいは出来るだろう。」
友奈(if)「でも、全員は行けないよ。魂だけが転移するの、もちろん肉体はそこにある。だから…。」
夏凛「…戻ってくるまで…「DM」から守らないといけない…のね…?。」
ナイアルから受けた傷を押して、夏凛が一同の元へとやってくる。
顔色はまだ悪い…相当な深手だったのだ。歩くことすらままならない。
あげは(if)「ちょっとあんた!。まだ安静に…!。」
夏凛「分かってる…ごめん、私は行けないけど…ソラ。行くからには必ず戻ってきなさいよ?。」
痛みで表情を歪めながらも、激励の言葉を送る。
それを受け取ったソラは、夏凛の手を取って決意に満ちた眼差しを向けた。
ソラ「はい、約束します。必ず…こちら側の私の思いと一緒に、帰ってきますから…!。」
烈火「なら、決まりだな?。」
フレア「次元世界への門は我が開く。」
外に出た一同。
フレアは一時的に本来の姿に戻った。
巨大な漆黒の竜。
それこそが、王たる姿そのもの。
次元王フレア「開け、次元の門!!。」
低い咆哮音と共に、眼前に穴が開く。
ソラ「こちら側のましろさん。必ず…貴女の「親友」の思いを持って帰ってきます。」
ましろ(if)「お願いします…あなた達も無事に帰ってきてくださいね?。」
満面の笑みを浮かべた一同。
その穴の中に吸い込まれるように消えていった。
ましろ(if)(気を付けて…。)
…………………。
~次元世界~
ゲートを潜り、次元世界へとやってきた一同。
この場所に浮かぶのは異様な光景だった。
頭上・地面…その両方には「世界」が投影されていて、まさに「狭間」と呼べる異質な空間。
その中で。自分たちの世界の光景も映っていた。
樹「…酷い…。」
自分たちの世界は「色」を失い。モノクロとなっていて。
その周辺には漆黒のツタが、そして太陽光は一点にのみ照らされていてあとは漆黒の静寂が広がるばかり。
文字通り、星が「停止」していた。
しばらく、可能性世界にいたことで忘れかけていたこの惨状を目の当たりにして、少し複雑な気持ちとなる。
その中で、エルだけはいつものような笑顔を浮かべていて。
エル「みんな、だいじょうぶ?。」
友奈「…アハハ、ごめんねエルちゃん?。もちろん、大丈夫だよ?。」
東郷「…この子をここに連れてきて良かったのかしら…夏凛ちゃんと一緒に留守番しておいた方が…。」
エル「エルも、みんなをまもる!!。」
烈火「…だってさ。いいんじゃねェのか?。本人が意気込んでるんだし…。」
フレア「無駄口を叩く暇があれば、先に進むぞ。「DM」が来る前に「祭壇」にたどり着かねばならん。」
フレアの言う通り、歩を進める一同。
この世界に「重力」は存在しない。
故に、移動方法は空を飛ぶように移動する。
生き物の気配はまるでしない…。
フレアが言うに、この世界があるから他の世界は他者の干渉を受けないという。
しかし、「DM」が支配している現状はとても危険な状態だという。
何故ならば、この空間は「狭間」。
言い換えれば、彼らはいつでも世界の壁を超えることが出来る。
しかも、知能がやたらと回るという。
だとしたら、自分たちの世界に彼らが来るのも時間の問題かもしれない。
敵は多い、しかしそれでも…やれることをやっていくしかない。
小さな希望達は、移動しながらそう思っていたのだった。
そして、しばらく移動するとそこには「祭壇」と呼ばれる石作の門があった。
フレア「ここがそうだ。この門は時間を超えることが出来る門…幸い、「DM」共はこれの使い方を理解していないようだ。」
友奈(if)「なら、ここで「離魂術」を使うとするよ。私がやるから、事前に向かうメンバーは「祭壇」の前に立ってて?。」
「西暦時代」に向かうメンバーはこうだ。
・ソラ、鷹夜、ツバサ、友奈、園子、烈火、洸。
「DM」から向かったメンバーの肉体を守るメンバーは残りのメンバーとなる。
もう一人の友奈が、祈りを捧げるように術を唱えていく。
すると、ソラたちの身体が透け始めて肉体と魂の分離が始まった。
その時、タイミング悪く数体の「DM」が一同に気付いた。
烈火「やべッ…気づかれたぞ!!。」
真っ先に変身したのはエル。
蝙蝠型の「DM」に立ち向かっていく。
ツバサ「プリンセス!?。」
マジェスティ「ここは気にせずに行って!?。もう一人のソラの願いを叶えるために!!。」
洸「くッ…!。」
背後をとられたマジェスティ。
しかし、風がそれを弾いた。
風「元々、この役目は引き受けてるからね!!。気にしないでよ!!。」
樹「お姉ちゃんッ!!。」
ワイヤーを駆使して、互いの死角をカバーしあう。
蒼葉「持久戦に入る可能性がある、交代制で奴らを撃破するぞ!!。」
烈火「蒼葉!!。」
蒼葉「正直、個人的な興味でお前たちに同行したかったがな…歴史の影響を考えると仕方あるまい!。頼むから向こうで派手な行動は控えろよ!!。」
烈火「分かってるよ!。」
蒼葉(頼むぞ…「西暦時代」という事はお前の姉…「郡千景」の生前がそこにいる…しかも、その結末は知っての通りだ…間違っても、手を出すんじゃないぞ…!?。)
園子「あれ…なんだか眠く…。」
眠るように、園子はその場に倒れる。
どうやら、肉体と魂の分離に成功したようだ。
引き寄せられるようにやってくる「DM」。
その戦場は苛烈さを増していく。
風「ちょっと待ってよ!。おかわりは要らないって!!。」
バタフライ「疲れたならあたしの後ろに!!。」
ツバサ「あげはさん!!。」
バタフライ「少年、頼んだよ?。ソラちゃんの事…!。」
ツバサ「…はいッ!!。」
鷹夜「お前ら、死ぬんじゃねェぞッ!!。」
「離魂術」は成功。
「西暦時代」に向かうメンバーは全員、その場に倒れ込んだ。
友奈(if)「私が結界を張るから、みんなは「DM」を追い払って!?。」
「「「「応ッ!!。」」」」
もう一人のソラを巡る「西暦時代」への旅。
今。ここに始まった。
…………………end。
次元世界を経由して、「西暦時代」へと向かった7人。
たどり着いた時間軸はなんと、「7.30天災」から数年後…初代勇者が四国の守護者として祀り上げられていた時間軸だった。
予想よりもズレた時間軸に来てしまった7人。
あの手帳の記録から察するに、四国への避難はすでに終えている時間軸だった。
遅れた時間軸へと来てしまった7人は果たして、もう一人のソラの軌跡を追うことが出来るのか…。
次回
第53話 初代勇者…「終末戦争」の時代。