〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


「次元世界」から、時間を超えて「西暦時代」へと向かったソラ・鷹夜・ツバサ・友奈・烈火・園子・洸。

その目的はもう一人のソラの捜索と彼女が探している「怨嗟の病」の治療法。
7人は魂のみの状態となり、無事に「西暦時代」へとたどり着いた。
しかし、その時間軸は「7.30天災」から3年後の時間軸だった。

元の世界で見つけた新聞記者の手帳の年号はちょうど「7.30天災」の日。
ズレた時間軸へとやってきてしまった7人は果たして、目的を果たせるのだろうか…。


第53話 初代勇者…「終末戦争」の時代。

 

「7.30天災」。

 

この日を境に、勇者世界は大きな転機を迎えた。

それは、西暦時代の終焉を意味するあの途方もない戦いの始まり。

 

たくさんの血と涙、信念が重なった300年間の始まり。

 

この時代からは想像もつかなかっただろう。

あの苦しみが300年も続くなんてことは…。

 

「勇者」の始まりの時代。

未来の勇者達と違う世界の戦士であるプリキュア達は、この時代にやってきたのだ。

 

 

―――――――――――――――

 

 

ソラ「ん…ここ…は…。」

 

 

山頂の神社境内に、7人は並ぶように横たわっていた。

最初に目を覚ましたのはソラ。

鳥の囀る声と眩しい日光に、目を細めながら体を起こす。

 

 

ソラ「…ここが…友奈さん達の過去の世界…。」

 

 

鷹夜「ぅ…ッ…どうやら、無事にたどり着いたみてェだな…。」

 

 

続いて起きた鷹夜は、体の感触を確かめる。

 

 

鷹夜「…魂だけって言われてるけど…普通に感触があるな…。」

 

 

園子「みたいだねェ~。」

 

 

鷹夜「うおッ!?。起きてたのか、驚かすなよ!!。」

 

 

園子「メンゴメンゴ♪。」

 

 

洸「…腹が減らねェ。そこだけは、確かみてェだ。」

 

 

空腹感がまるで無い…霊体状態とはこういう事なのか…?。

そう思いながら、洸は自分の腹をさする。

 

 

洸「まあいいや…とりあえず、街に行こう。ちゃんと、目的の時間軸にたどり着いているのか確認しなきゃならねェ。」

 

 

洸の提案に、神社の境内を後にする7人。

街に降りるとのどかな風景に海風が心地よい雰囲気にいつしか、気持ちが楽になる。

でももうじき、この空気が一変してしまうのだろう。

歴史を知る者は複雑な気持ちとなる。

覚悟を決めていたその時、すれ違う人々がおかしなことを言い始めた。

 

 

「ねェねェ!!。「勇者様」のお披露目が始まるみたいだよ!!。」

「急がなきゃ!!。カメラだって新調してきたんだから!!。」

 

 

「勇者様」?。

 

その言動に違和感を覚える。

 

 

友奈「…待って…私たちがあの手帳を見つけてから書かれていた日付けって…ちょうど「7.30天災」の日だったよね…?。」

 

 

烈火「ああ、間違いねェ。しかもその日は勇者なんてまだ誕生してねェぞ?。」

 

 

ツバサ「え…どういう事でしょうか…?。」

 

 

園子「…もしかしてだけど私たち…目的の時間軸とはズレた時代に来てしまった…?。」

 

 

園子の言葉に、青ざめていくソラ。

 

 

洸「…かもしれねェ。おい、その手帳にはプリキュアが死んだみてェなことが書いてあったのか…?。」

 

 

烈火「…いや…だが、俺らの世界でその名前が分かってねェって事は誰も知らねェ戦士ってことなんだよ。つまり、死んだか隠蔽されたかのどっちかしかねェ。」

 

 

ツバサ「隠蔽?どうして…。」

 

 

烈火「大赦の都合だろ。神樹様の見初めた戦士じゃねェプリキュアは希望にならねェってことさ。しかも、それがもう一人のソラだとしたら「祟り」を受けてやがる。見る奴にはわかるだろ…例え、人を守るために戦ったとしてもソイツが祟られた戦士だとしたら公表するわけにはいかねェし、四国内部に招き入れることも考えられねェ…ましてや、違う世界からやってきた「余所者」だぞ?。大赦の連中なら、やりかねねェな…。」

 

 

洸「だとしたら、状況は最悪だぞ。勇者が誕生したのは「7.30天災」からどれくらいの月日だ?。」

 

 

園子「…3年後…それも…私のご先祖様…。」

 

 

洸「クソッ!!。だとしたら、その3年後の世界に俺らは来ちまったということか!。」

 

 

洸(「祟り」ってのが何なのかはっきりわからねェが、命を蝕むものなら3年間という時間は絶望的だ…それに、四国内に名前がねェってことは「外」にいる可能性が高い…人類の過半数を滅亡させた化け物集団を相手にたった一人で3年間も生き残れるなんて普通じゃありえねェ話だ…。)

 

 

鷹夜「ソラ…。」

 

 

歯を食いしばるソラ。

しかし、すぐに前を見つめる。

 

 

ソラ「それでも、進みましょう。」

 

 

洸「どこに行くってんだよ…。」

 

 

ソラ「もちろん、「外」にですよ。もう一人の私の痕跡が「外」にしかないのなら、そこを目指すしかありません。友奈さんに烈火さん、その手帳があったエリアを覚えていますか?。」

 

 

友奈「えっと…たしか、「兵庫」という場所だったかな…。」

 

 

ソラ「なら、そこを目指すしかありません。もし…そこで一生を終えていたのなら…骨を拾うまでです。」

 

 

ソラは前を向いて歩きだす。

一同の思いとは裏腹に、街頭演説が響いてくる。

そして、モニターを積んだトラックが大通りに停車しその様子を中継で伝えていた。

そこには5人の少女が映っていて、その中心に立つ人物は凛とした面構えで大人以上に冷静に演説を行う。

それを見た園子が足を止めて。

 

 

園子「…ご先祖様…。」

 

 

洸「あれが…園子の先祖か…。」

 

 

乃木若葉。

初代勇者のリーダーであり、終末戦争に身を投じた勇者の中で唯一、生き残った人物。

後に伝説となり、300年後も語り継がれた英霊がそこにいて。

その傍らには、友奈と瓜二つの少女・高嶋友奈。「友奈」という名前の語源にもなった人物だ。

そして、最初の犠牲となってしまった2人の勇者・土居球子と伊予島杏。

最後に……。

 

 

烈火「えッ…姉貴…!?。」

 

 

郡千景。

烈火の姉として、家族として過ごしてきた少女…血のつながりは全く無い。

しかし、過ごしてきた時間は紛れもなく「家族」だった。

転生体などどうでもいい…仲はそれほどにまで良くは無い…だが、それでも「家族」だった。

 

 

烈火「おい、姉貴ィィィィィッッッ!!。」

 

 

忠告を無視した烈火は、大声で千景を呼ぶ。

突然のことで、止まる演説…周辺の警察隊が烈火の元へと歩み寄ってくる。

ヤバいと感じた洸とツバサが、烈火を抑え込んだ。

 

 

洸「バカ野郎!!。騒ぎを起こすなって言われたろッ!!。」

 

 

ツバサ「そうですよッ!。歴史と違うことになれば、現代に影響が出ると…!。」

 

 

烈火「で…でも目の前に居るのは紛れもねェ…!!。」

 

 

洸「いいかッ!?。この時代はもう「終わって」るんだよッ!!。これから起こる事に関しても、俺らは無関係でいるしかねェんだッ!!。」

 

 

ツバサ「気持ちは分かりますッ!。けど、ここで歴史が分岐してしまえば貴方の存在にも影響するかもしれないんですよッ!?。」

 

 

烈火「くッ…もし、姉貴が誰も恨まずに安らかに眠れたら「今」のようにはならねェはずなんだッ!!。」

 

 

抵抗する烈火。

鷹夜は静かに歩み寄って……殴り飛ばした。

 

 

烈火「痛ってェッ……!!。」

 

 

鷹夜「いい加減にしろ、この野郎。」

 

 

胸倉を掴み、烈火を起こす。

 

 

鷹夜「…「今」を変えりゃいいだろ。焦って過去を変えなくてもいい…お前が今、向き合うべきは「今」の姉だろ。あそこに居るのは「過去」の姉だ。違うか?。」

 

 

烈火「ッ……!!。」

 

 

鷹夜「目立ち過ぎた。行くぞお前ら、急げッ!!。」

 

 

人々の視線が向く中、警察隊に追われながらも7人は走り去る。

走り去る7人…初代勇者たちはそれを見る。

 

 

若葉「彼らは…?。」

 

 

千景(あの子…私を見ていた?。姉貴?…何なの…?。)

 

 

……………………。

 

 

警察隊に追われながらも、何とか港の方まで逃げ延びた7人。

息を切らしながら、その場に座り込む。

 

 

鷹夜「はぁ…はぁ…ここまで来りゃ…大丈夫だろ…。」

 

 

友奈「烈火君。はいこれ。」

 

 

鷹夜に殴られた場所が腫れている烈火に、冷却用の水を淹れた袋を手渡す友奈。

何も言わずに、烈火はそれを受け取って患部に当てる。

 

 

友奈「ダメだよ烈火君。約束は守らなきゃ。」

 

 

烈火「……すまねェ…。」

 

 

友奈「…お姉さん、元気そうだったね?。」

 

 

烈火「……違う…わかってんだよ…けど、やっぱ見ちまうと抑えきれねェわな…。」

 

 

鷹夜「……。」

 

 

烈火「怨みが強すぎて転生したなんて言われたら…この時代で怨みを持たずに死なせてやりてェって…そうしたら、敵同士にならずに済むんじゃねェかって…考えちまうんだよ。」

 

 

洸「お前…。」

 

 

烈火「なぁ…それっておかしい事なのかよ?。歴史が変わるから関わんなっていうのはわかる。けど…目の前で何とかなるかもしれねェことを無視するなんてこと…やっていいのかよ?。」

 

 

ソラ「…そんなこと!!。ダメに決まってるじゃないですかッ!!。烈火さんの気持ちは間違ってません!!。当たり前のことなんですッ!!。けど…それを押し殺さないといけないときなんです…結末を変えたいのは…みんな同じなんです…。」

 

 

鷹夜「烈火。俺には兄弟がいねェからその気持ちを理解するのは難しい。俺だって、世話になった「おっさん」が死なずに済むのなら、その道を選ぶさ。けどな…俺達が背負っているものは大きすぎるんだ。今ある形を崩したくないだろ?。勇者部に居て、蒼葉とバカやってるあの日常を…崩したくねェだろ?。」

 

 

烈火「…そう…だな…。」

 

 

鷹夜「だから割り切るしかねェんだ。もし、ましろがああなる前に何とか出来たなら俺も同じ気持ちになる。けど…それと同じくらい、「今」が大事なんだ。お前らとこうして出会えたこと…一緒に苦労したこと…笑いあったこと…その全部が同じくらい、俺には大事な事なんだ。だから烈火、「今」の姉を救え。「過去」の姉の結末は受け入れるしかねェんだ。じゃねェとお前が…壊れちまうぞ?。」

 

 

その言葉に、烈火は前を向く。

 

 

烈火「…サンキューな、鷹夜。お前が殴ってくれなきゃ、俺はでかい間違えをすることになってたかもしれねェ…みんなもすまねェ。本来の目的を忘れちまってたぜ。」

 

 

洸「ったく、人騒がせな奴だな。」

 

 

園子「まあまあ、いいじゃないの~?。」

 

 

ソラ「では、当初の目的に戻りましょう。友奈さん、烈火さん、園子さん。四国の「外」に出るにはどうしたら良いのでしょうか?。」

 

 

園子「う~ん…あそこに大きな橋が見えるよね?。」

 

 

園子が指さすその方向には。半壊した巨大な橋が掛けられていた。

 

 

園子「あの橋を渡れば「本州」に入れる。でもね、恐らくだけど「大社」の監視があると思う。」

 

 

ソラ「どうしてですか?。」

 

 

友奈「大橋を渡れば、そこはもう神樹様のご加護が届かない場所…むやみやたらと人の出入りが無いように監視されているんだ。」

 

 

鷹夜「迂回は出来ねェんだろ?。」

 

 

烈火「まぁな。海を泳いで渡れなんてバカな話はねェし…いっそのこと、漁船でも奪って…。」

 

 

「良からぬことを企むな。」

 

 

少女の声と共に、烈火の背後から刀の刃が伸びてくる。

たまらず、両手を挙げる烈火。

その主に、一番驚いたのは園子だった。

 

 

園子「あちゃ~…のんびりしすぎたかなぁ…来ちゃったよ…ご先祖様が。」

 

 

ご先祖様。

その言葉に、全員が冷や汗を掻く。

 

 

若葉「お前たち、先ほどの騒ぎを起こした連中だな?。答えろ、何者だ…?。」

 

 

ツバサ(これは早速…。)

 

 

鷹夜(詰んじまったな…。)

 

 

敵意をむき出しにした、少女…乃木若葉。

そして、取り囲むかのように4人の勇者がそこに居て。

 

 

7人は成す術も無く、両手を挙げた。

万事休す…か…。

 

 

魂消滅まで後…「6日」。

 

 

 

………………end。

 





初代勇者たちに捕まった7人。

全員、丸亀城の地下牢に閉じ込められることとなった。

もちろん、身分を明かすわけにはいかない…しかし、友奈だけは尋問の対象となってしまう。

何故なら、高嶋友奈と瓜二つ…その関連性を追求されることになってしまったからだ。

残り日数も少ない中、徐々に焦りを覚える一同。
しかしその時、四国に「バーテックス」が攻め入ってきて、窮地に立たされる初代勇者達。

彼女らを助けるべく、7人は歴史の干渉に踏み切ってしまった…。

次回
第54話 思いのままに…未来からの増援。
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