〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
「西暦時代」へとやってきた7人は、「7.30天災」の日ではなく、その3年後の時間軸へと来てしまった。
状況が難航する中、初代勇者のお披露目に偶然立ち会った。
そして、千景の姿を見た烈火が騒いだ事により、港まで逃げ延びたが、そこに初代勇者「乃木若葉」と他4名が7人の身柄を拘束する。
魂消滅までの時間が無い中、予想だにしなかった事態に果たして、7人の運命はどうなるのか…。
~丸亀城・地下牢~
鷹夜「…クソ、こりゃやべェことになったな…。」
これからの行動を話していた7人の前に現れた初代勇者達。
先ほどの騒ぎから、演説は中止になったらしい。
何故そうなったかは、一人の大社神官がソラと友奈の姿を見たからだという。
当然、その事実は伏せられている。
友奈に関しては、「高嶋友奈」と顔が似ていることから何かを感じ取った大社の人間が、接触を図りたいため。
ソラに関しては…当然、もう一人のソラの事だろう。
「祟り」に冒されている彼女の事はやはり、知っていたのだ。
当然、違う世界から来ましたなど通用しない。
「並行世界」といった概念が無い以上、ソラの存在は「厄」そのものだ。
それに、3年間も秘密裏にしていた「勇者」の存在を公にする今日この日に、こういった事態となってしまっている。
表向きには、烈火が千景に声を掛けたことによる「お披露目」の妨害ということになっているが、拘束に至ったその事実を知る者は大社の人間のみとなっていた。
「離魂術」で肉体と魂を分離させてからのタイムリミットが限られていることから、7人はこの状況をなんとしても打破しなければならない。
時間は無い…1分1秒と無駄にしたくないことから次第に焦りが生じて冷静な判断が取れない。
変身アイテムまでは没収されなかったのは不幸中の幸いだろうか、しかしそれを使うわけにはいかない。
それは強行突破を意味する…つまり、初代勇者と敵対してしまうことに繋がるからだ。
そうなると、例え霊体であっても歴史の影響は確定される。
八方塞がりなこの状況に、7人はどう判断するのか…。
烈火「……すまねェ、俺のせいだ。」
ツバサ「いえ…仕方ありませんよ。今はどうするか、考えましょう。」
洸「…友奈とソラだけが別室だ。どうしてあいつらだけ…。」
園子はじっと、考え込む。
こういう時の園子は勘が鋭い。
園子「…もしかして、私たちが捕まったのはれっかんのせいじゃないかも…。」
烈火「はぁ?。なんでそう言い切れる?。」
園子「考えてみて?。れっかんは、「お披露目」の妨害をしただけ…それだけの理由でこんな牢に閉じ込めると思う?。」
烈火「そりゃまぁ…おかしいと思うけど…。」
園子「それに、ゆーゆとそーちゃんだけ違うお部屋っておかしいと思うんよ。だから、私はこう思う!。」
どこからか、メガネを出して掛ける園子。
洸「なんでそれを掛ける必要がある…!?。」
園子「その方が賢い人にみえるでしょ~?。」
洸「アホか、お前楽しんでるだろ…。」
園子「そうでもしなきゃ、焦って正しい判断が出来なくなるでしょ~?。」
園子はにっこりと笑いながら、話を戻す。
園子「多分だけど、大社の手引きだと思う。そのおおよその事はきっと、そーちゃんに関してかな?。」
ツバサ「…まさか…。」
園子「うん、やっぱり大社はもう一人のそーちゃんの事を知っているんじゃないかな…それも「祟り」に冒されていることも。」
鷹夜「…最悪のケース…か…。」
園子「当然、違うソラちゃんなんだけどそれが通用するはずもないよね。だって、「並行世界」が本当にあるだなんてこの事件に巻き込まれるまで私たちだって知らなかったんだから。」
鷹夜「なら、ソラは勘違いされてるってことか?。」
洸「こりゃまずいことになったな…「祟り」に冒されている事と、四国入りしている事…それに、秘匿したかった人物が「お披露目」の場に現れてんだ…違う場所に護送されてもおかしくは無いぞ。」
「お前たち、身分を吐く気になったか?。」
牢のその外に現れたのは、若葉。
食事を持ってきたのだろう、人数分のパンを手にしていた。
烈火「さっきから言ってるだろ。姉貴に似てて勘違いしてたって。」
鷹夜「お…おい烈火…ムッ!?。」
園子(タカ坊、ここはれっかんに任せよう?。)
若葉「…それだけでこの処遇を受けるはずもない。私が聞きたいのは「外」に行こうとしたことだ。それは大社に伏せているが…答えろ、お前たちは「外」に何の用がある?。」
真意を問いただそうとする若葉。
烈火はその瞳に、怖気付くことなく。
烈火「…離れ離れになった友達がいる。ソイツを探しに行きたいだけだ。こいつらはそれを手伝うと言ってくれた。だから…。」
若葉「知っているだろう?。「外」には化け物がうろつている…一般人が出てしまっては奴らの餌食になるだけだぞ?。」
烈火「…だったら…お前らなら探しきれるとでも言いてェのかよ…?。」
若葉「それは…。」
烈火「出来ねェだろ…当たり前だ、死んでるかもしれねェしな。お前らを責めやしねェよ。だけどな…あの天災の日にソイツは最後まで逃げ惑う人たちを四国に逃がすために奮闘したんだ…!。場所は「兵庫」、そいつは大病を患っているッ!!。なのに、たった一人で他の奴らを逃がすために最後まで頑張ったんだ!!。なら、ソイツの骨か痕跡を拾いに行きてェのは当たり前だろッ!?。」
烈火は、もう一人のソラの事を遠回しに若葉に告げる。
それは、たった一人で「祟り」と向き合いながら大切な仲間の為に「呪い」を解く旅に出たこと。
そして、訪れたこの世界で無数のバーテックスと戦いながら力なき人々を救ったこと。
園子の推理が正しければ、大社はこの事実を知っている…それなのに、その功績すら認めてもらえない。
本人からすると、それはどうでもいいことかもしれない。
しかし、烈火を始めとした仲間たちは少しでも多くの人に、「ソラ・ハレワタールという勇敢な戦士が居たんだ。」という事実をこの世界の人たちに知ってもらいたかった。
もしかしたらまだ、生きている可能性だってある。しかし、大社は絶対に動かない。
それは、この初代勇者たちも同じなのではないか…そう思うと、烈火は演技で乗り切るつもりがつい、本音が出てしまう。
しかし、意外にも若葉は……。
若葉「…その名を…教えてもらえないだろうか…?。」
烈火「えッ…?。」
若葉「…これは、秘密にしておいてほしい。近々、私たちは「外」の調査に出ることになっている。力になれるか分からないが…兵庫を経由してその人の痕跡を探したいと思う。」
烈火「お前……。」
若葉「…誰にも知られずに死んでいくほど、寂しいものは無い。生きている可能性は限りなく低いだろう。しかし…報われなければならない。そして、その名を知ってもらわねばならない。その人もきっと…英霊になれるだろうから。」
そんなことを話していたその時、周辺の「時」が止まる。
若葉「くッ…「奴ら」が来たのかッ!?。」
若葉は牢の中にいる5人を見る。
静止したまま、動かない。
それを確認した後、走り去っていく。
園子「……もういいよ?。」
鷹夜「…はッあ…クソ、動かない演技って難しいもんだな…。」
ツバサ「「奴ら」と言ってましたね…もしかして、バーテックスの事ですか?。」
園子「うん。この混乱に便乗して、ここから出よっか?。」
ゆっくりと立ち上がって、園子は牢の鍵を開けた。
洸「はぁッ!?。こんなに簡単に開くのかよッ!!?。」
園子「鍵の構造は割とシンプルなんよ。さて、私たち以外、誰も動かないから今のうちにゆーゆとそーちゃんを助けに行こう?。」
4人は、牢を出て友奈とソラのもとに向かう。
しかし、烈火は先ほどの若葉の言葉を思い出していた。
外に響くの激しい戦闘音。しかし、この戦いは「彼女たちの戦い」だ。干渉するわけにはいかない…。
その思いを胸に、烈火は4人を追う。
そして、少し離れた牢にソラと友奈はいた。園子が開錠し、中から2人が出てくる。
友奈「みんなッ!!。良かった…。」
ソラ「不幸中の幸いでしょうか、この騒ぎが起きるまで身を隠しましょう。」
友奈「うん。でも…高嶋さんが居なかったら私、大社の人たちに別の場所に護送されるところだったんだよね…。」
鷹夜「高嶋…お前と似てる奴のことか…。」
友奈「うん、私は一度、会ったことがあるの。もちろん、この時代の高嶋さんは知らないだろうけど…。」
激しくなる戦闘音。星屑が視認できる距離にまで迫る。
「樹海化」が広がり、樹の幹に隠れて様子を見る7人。
無数に現れる星屑の大群に、たった5人で挑む勇者達。
7人は見ることしかできない。歴史の干渉は禁止されている…無関係を貫くしかない。
杏「きゃあああッッッ!!。」
球子「杏ッ!!。」
友奈(高嶋)「やばいよこのままじゃッ!!。流石に数が多すぎるッ!!。」
烈火(見てることしか出来ねェのかよ…もし、ここであいつらを見殺しにしてまで守るものがあんのかッ!?。それにあいつは…やけくそ気味に言ったもう一人のソラの事を探そうとしてくれた…このままで…本当にいいのかよッ!!。)
千景「ぐっ!?。」
若葉「千景ッ!!。があッ…!?。」
圧倒的物量差。
5人は追い詰められていく。
血に塗れながらも、この地を守ろうと奮起する少女達。
自分たちにも、奴らを退けられる力はあるはずだ…それなのに、見殺し同然にやり過ごすしかない。
敵は無尽蔵ともいえる…それをたった5人で覆そうというのだ。
その時、意識が朦朧とする若葉の背後に、捕食しようとする星屑が迫る。
全員が悲鳴を挙げる中、その牙は若葉の身体を捉えようとしていた。
その時…。
「…雷霆…ッッッ!!。」
轟音と共に、星屑は粉々に打ち砕かれた。
若葉の前に降り立つのは…変身した烈火。
当然、5人は驚愕する。
若葉「…お…お前は…ッッ!!。」
烈火「おいッ!!。正史じゃあ、コイツらはここで死ぬのかッッッ!!?。」
幹に隠れる園子に、声を掛ける烈火。
園子「ううん。生き延びるよッ!!?。」
烈火「なら問題ねェなッ!!。お前ら、加勢するぜッ!!?。」
メイスを担ぎ、無数の星屑を見据える烈火。
若葉「待て…お前は一体…!!?。」
烈火「んなの後にしろッ!!。もうやっちまったんだ、ここからは俺の「自由」にさせてもらうぜ!?。」
見殺しにできなかった烈火は、歴史への干渉を実行してしまった。
烈火「…ありがとな。お前の意気込み、心に刺さったわ。」
若葉「あ…。」
烈火「俺の名前は菱咲烈火!!。自由を愛する「偽物」の勇者だッ!!。」
名乗りを上げた烈火。
残りの6人も、変身して並び立つ。
烈火「なんだよお前ら。歴史が変わるのが怖くて何もしねェんじゃなかったのか?。」
アグニ「バカにすんなよお前。このアホが…どうなっても知らねェぞ全く。ま…見殺しは仁義に反する。そんなことするくらいなら死んだ方がマシだ。」
スレイヤー「ちッ…お前らといるとロクでもねェことばっかだな…ッ!。」
園子「そういう洸も、まんざらでもないよね~?。」
ウイング「やってしまったからには仕方ないです、全員で乗り切りましょう!!。」
友奈「うん、みんなで生き残るんだ…!!。」
スカイ「行きましょう…ヒーローの出番です…ッッッ!!。」
初代勇者達からしたら、理解出来ない事態。
しかし知る者からすればそれは…。
未来からの増援だった。
魂消滅まで残り…「5日」。
………………end。
初代勇者達の窮地、未来からの戦士たちは歴史の影響を顧みずに心のままに彼女たちを助ける決意をした。
若葉の言葉がそれを動かし、烈火はただひたすらに戦う。
溢れ出る星屑たち…しかし、進撃は止まらない。
烈火と鷹夜は己の持つ信念の元、無尽蔵の敵に挑む。
次回
第55話 「自由」と「仁義」、2つの力。