〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


若葉達、「初代勇者」の協力を得て「外」に行けることになったソラ達。


若葉達は違う地域で勇者として活動していた少女「白鳥歌野」が居たとされる「諏訪」に向かう遠征に行くことになっている。

それに同行する形で、7人はもう一人のソラが居たとされる「兵庫」を目指す。


ようやく、進んだもう一人の自分を探す旅…。


ソラは思いを胸に秘め、もう一人の自分に会いに行く。


第56話 会いにいきます、もう一人の「私」。

 

~大橋~

 

 

若葉「…今日から遠征だ。目指すは「諏訪」。道中はバーテックスが居る可能性が高い…変身して突き進むこととする。」

 

 

大橋の出口に並ぶ5人の勇者達。

その先は「外」の世界…つまり、加護の行き届いていない地へとなる。

当然、危険が伴う任務だ。変身した状態でないと、有事に対応できない。

勇者の旅立ちに、大社の神官たちが送りの儀式を行う。

 

今回は、「巫女」が一名、同行する。

 

その名は「上里ひなた」。

若葉の親友であり、「神託」を受けることのできる「巫女」。

この世界の「巫女」は、神に言葉を聞けるという事で、基本的に勇者に随伴する形となっている。

もちろん、勇者のように戦闘能力は無いので生身そのもの。

有事に、四国に戻れるよう今回は彼女を同行する事となった。

無論、ソラ達の事も通達済みだ。「寄り道」として、兵庫に行くことも了承済となっている。

 

小一時間にも渡る送りの儀式が終わり、大橋の「外」に向かう初代勇者達。

その出口付近に、ソラたちは隠れていた。

 

 

若葉「……もういいぞ。出てこい。」

 

 

茂みから出てくる7人。

大社では、彼女らが忽然と牢から消えていたことに騒ぎとなっていた。

もちろん、そのあたりの根回しはひなたが行っている。

 

「昨日のバーテックス襲来時に、犠牲となった。」

 

戦闘後の被害において、自然災害として発現した「影響」で犠牲となった。

姿形もさっぱりと消えているので、そのあたりはあっさりと認知されている。

これで、ソラの事も騒がれる心配もない。

「祟り」を持った者は死に、四国から消えている。

この事実が大社内で広まれば、ソラの身柄を捕らえる理由もない。

これで、この世界に残る懸念は払拭できるかもしれない。

「未来」で、ソラの名前が不名誉な形で残らないことを考えると、これが良かったのかもしれない。

無論、当の本人は気にもしていないだろうが。

 

 

ソラ「…すみません。ご苦労をお掛けしました。」

 

 

ひなた「いえ、若葉ちゃんから事情は聞きました。「未来」への影響も兼ねて、あなた達の目的が達成できれば私たちはその存在を「知らない」事とします。」

 

 

若葉「一時の盟友だ。心寂しいが…仕方の無いことだ。」

 

 

友奈「ごめんなさい、気を使わせてしまって…。」

 

 

友奈(高嶋)「ううん、良いよ。それに、あなた達は私たちの「結末」を知ってるんだよね。なら、その事実のまま「未来」に帰らなきゃだよ。」

 

 

その言葉が逆に、胸に突き刺さる。

正史では、若葉のみ生き残ることとなっている。

そして、そこにいる杏と球子はこの遠征の後に「悲劇」が待っていることも。

その「結末」を知っているからこそ、余計と捻じ曲げたくなる。

しかし、それが彼女たちの「生き様」だ。

託し、託されてきたその思いの果てにある「今」が勇者部の現在となっている。

出来ることなら、みんなで生き残って欲しい。

短い間でも、共に戦った盟友たちの顛末すらも変えることが許されないのか?。

そう思うと、「歴史」という概念が憎く感じる。

 

 

烈火「…大丈夫さ、お前らの未来は「自由」だ。だから、「今」を大事にしよう。俺達が居る間は…仲間だ。」

 

 

若葉「…ああ。」

 

 

烈火(やっぱり、姉貴は「名」を消される…そして、遠い未来では俺たちの前に敵として立ちはだかる…だから決めたぜ…。)

 

 

烈火は千景を見る。

 

 

烈火(…もう一度「家族」に戻るんだ。仲が悪かったあの時じゃなくて…俺も、姉貴に一歩踏み出す。だから…「今」を変えてやるさ。)

 

 

千景「?。」

 

 

鷹夜「よし、目指すは兵庫だ!!。必ず、見つけ出してみせるぜ!!。」

 

 

…………………。

 

 

崩壊してから3年後の「外」。

 

300年後に出現した「外」ほど荒れてはいないが、逆に当時の悲惨さを物語らせるぐらいに、生々しく痕跡が残っていた。

まだ動く機械もあるし、血痕の後もびっしりと残っている。

特に、若葉達は当時を体感していのだ…その光景を見て「あの日」を思い出したかのように彼女たちの表情が強張ってくる。

そんな中、歩いていた友奈が「何か」を見つけた。

 

 

友奈「これは…ビデオカメラ?。」

 

 

若葉「ああ、当時のモデルのものだな。流石に3年間も放置されているから、映像は見れないんじゃないか?。」

 

 

ウイング「待ってください…これ、予備のバッテリーじゃ…。」

 

 

杏「…うん。生きてるねこれ。」

 

 

烈火「マジか!!。当時の映像が見れるんじゃねェのか!?。」

 

 

ひなた「…あまり、見ない方がいいかもしれませんよ。何しろ…貴女たちにとっては刺激の強いものかもしれません。」

 

 

アグニ(当時の地獄絵図ってか…。)

 

 

スカイ「いえ…見ましょう。この世界を知ることにも繋がります。それに…今回の目的についてはもう一つ、ありますから。」

 

 

ウイング「「怨嗟の病」の治療法…ですね?。」

 

 

若葉「気になったのだが、その病とは何なんだ?。」

 

 

スカイ「「祟り」から伝播するのもので、様々な闇を引き寄せてしまう体質へと変貌する「呪い」です。私たちが今、お世話になっている場所で深刻な問題となっているのです…もう一人の私は、それを完治する方法を探してこの時代にやってきたんですよ。」

 

 

千景「…ねェ、あなた達の話してたことは本当なの?。その…「神に討ち勝った世界」って。」

 

 

烈火「ああ。ま、そこは俺たちの出身世界じゃねェんだけどな?。」

 

 

それを聞いて、千景は少し考え込む。

そして僅かだが千景から…「黒い」気配がした。

 

 

友奈(高嶋)「ぐんちゃん?。」

 

 

千景「何でもないわ。少し、気になっただけよ。」

 

 

千景(神を討ち滅ぼした世界…そこに生まれていれば私は……並行世界…これは、私が変われるチャンスかもしれない……こんな狭い世界に居たって…乃木さんがいる限り、私はずっと日陰。なら、いっそのこと高嶋さんとこことは違う世界に行けば私は…。)

 

 

ー必要とされる。ー

 

 

烈火「!!!。」

 

 

並ならぬ気配を、千景から感じ取った烈火。

しかし、千景は特に反応を示さない。

 

気のせいか……。

 

烈火はそう思うことにした。

 

 

アグニ「あ…おい、再生されるぞ?。」

 

 

ビデオカメラの映像が甦る。

ホームビデオを撮っていたのか、子供がたくさん写っていた。

誕生日…入学式…運動会と、行事事が尽くに再生されて。

そして、次の再生はまさに…「あの日」だった。

 

人々の阿鼻叫喚が響き渡る。

中には惨たらしい、目を背けたくなるような映像…そう、星屑によって四肢を喰われた人間。

バーテックスが捕食するなんて、考えてもみなかった。

ただ単に、侵攻してくる敵ばかりだと…そう、思っていた。

しかし、西暦時代ではまるで違う。

蹂躙…その言葉がしっくり来るだろう。

その恐ろしい事態に、人々は泣き叫ぶばかり。

再生を切ろうとしたその時、「何か」が映り込んだ。

 

星屑の一体が、吹き飛んでいく。

カメラはその先に捉えた人物を、はっきりと写していた。

 

靡くマントに、蒼い髪。

拳に力を込めると、蒼い光が輝き始める。

その人物はたった一撃で…打ち砕いた。

 

そして、たった1人で…逃げ惑う人々を蹂躙する星屑を打ち倒していく。

 

強い…強すぎる。

 

手際よく倒していくその人物。

そしてようやく、その顔が見れた。

 

 

スカイ「…ぁ………。」

 

 

自分と全く同じ顔…しかし、どこか大人びていて。

その雰囲気は自分が憧れるあの人…「シャララ隊長」と同じ雰囲気。

 

自分が抱くヒーロー像…目指していたその姿。

 

まさにそうだった、憧れを体現したいつかの自分がそうなりたいと願い、そしてその為に今を努力する。

 

違う世界ではちゃんとなれたんだ…「ヒーロー」に。

 

 

スカイ「もう1人の…私……。」

 

 

「祟り」なんてまるで感じさせないその凛々しさ。

人を守る為に尽くし、ただひたすらに人々を救う。

 

もう1人の「ソラ・ハレワタール」ことキュアスカイ。

 

探し求めていた人物が、3年前の記録にしっかりと残っていた。

やはり、この世界にいる…そしてきっと、その痕跡も見つかっていく。

 

もう1人の自分の軌跡を今、感じ取れた。

 

 

スカイは思わず、その映像に釘付けとなる。

 

 

若葉「…これが…もう1人のソラか…!。」

 

 

ひなた「やはり、本当に存在していたんですね。「7.30天災の奇跡」が。」

 

 

ウイング「7.30天災の奇跡?。」

 

 

ひなた「はい。当時の私達はまだ小学生でした。若葉ちゃんがあの日、勇者の力の一端を手にした日…風の噂で聞いたんです。関西地区で、化け物を打ち倒せる人がいた…と。」

 

 

友奈(高嶋)「あ…それなら私も聞いたよ!?。蒼い光を纏った騎士のような人だって!。でもその人はすぐにそこから去っていったって!。」

 

 

若葉「…当時は、精神的に不安定な人たちばかりだったからな。ただの幻覚障害だと騒がれていた事だ。あんな地獄絵図だったんだ、何かに縋りたい気持ちはわかるさ。」

 

 

球子「ほえ〜…本当に実在してたなんてな〜…しかも、それがもう1人のソラってわけかッ!。」

 

 

若葉「…やはり、彼女は報われるべきだ。あの日、戦えるものは誰もいなかった…ただただ、化け物にいいようにされて喰われていくだけ…それを、たった1人で戦い抜いた戦士が居た。それは、語り継がれていかねばならない…私達、勇者よりも前にそういう戦士が居たと、皆にわかってもらいたい。」

 

 

若葉の気持ちを聞いたスカイは、静かに映像を閉じた。

 

 

スカイ「若葉さん、いいんです。」

 

 

若葉「何故だ!?。多くは救えなかったかもしれない!けど、僅かながらもあの日の人々の希望だったんだぞ!?。」

 

 

スカイ「同じだから分かるんです。きっと、ただ助けたかっただけなんですよ。だって…それが「私」なんですから。」

 

 

青い空を見上げるスカイ。

静寂が広がるその空には、太陽の光がちゃんと降り注いでいた。

 

 

スカイ「だから、それでいいんです。報われたい為にやったわけじゃない…この世界にたまたま用があって、偶然にもその場に居合わせた。なら、やる事は決まってます。目の前で泣いている人達がいたら、手を差し伸べて助ける。それが私の目指すヒーローです。栄誉や名声なんて要らない…泣いている人が1人でも笑顔になれるように、戦ったに過ぎませんから…それに、この世界の守護者は貴女達です。」

 

 

若葉の肩に手を置くスカイ。

力強い眼差しで、しっかりと見つめる。

 

 

スカイ「例え、この世界で活躍したとしても「余所者」には変わりありません。この世界の人たちは貴女達に希望を見出しています。だから…貴女達がこの世界のヒーローなんです。ありがとうございます、そう言ってもらえて嬉しいです。でも…やっぱり、若葉さん達が居たからこそ、未来で生きる友奈さん達が居る。」

 

 

言葉を続けるスカイ。

友奈は、微笑みを向けた。

 

 

スカイ「貴女達の思いはちゃんと繋がれてるんです。そこに「私」は居ない。それでいいじゃないですか、人を助けるのに理由はいらない…それが私、ソラ・ハレワタールですから。」

 

 

しっかりと、若葉の手を握るスカイ。

自然と、その言葉に感化された若葉は涙を流し始める。

 

若干14歳で、世界の命運を背負うことになった少女達。

背負うものが大きすぎる…本来なら、青春を謳歌する年頃だ。

「お役目」だから、仕方ない。でも、大人になりきれていないから正直言うと、怖い。しかし、弱いところは見せられない…それは、この世界の希望だからだ。

報われたいわけじゃない…だが、同じく命を賭した者の奮起は誰よりもよく知っている。しかし、ソラは見返りを求めない。ただ、心のままに戦う。

 

その姿勢に若葉は憧れ、そして…目指そうと思った。

 

この世界の…「ヒーロー」になる為に。

 

 

スカイ(…もうすぐ、会えそうですね?。会いに行きます…。)

 

 

ーもう1人の…私。ー

 

魂消滅まで後…「3日」。

 

…………………end。

 





「外」の世界に足を踏み入れた一同。

そこで見つけた、もう1人のソラの軌跡。

それを辿り、一同は遂に「兵庫」に辿り着く。

手帳が見つかったのはこの場所…友奈は同じ場所で、その手帳を見つけた。
しかし、もう1人のソラの姿はどこにも無い…。

果たして彼女は、どこに向かったのか…。

次回
第57話 約束の地へ。
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