〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

怨嗟の星屑が現れ、戦場は混乱するも何とか窮地を脱した一行はこの旅の終着点である「諏訪」にやってきた。

激戦の爪痕が残る諏訪には、生存者の気配はなくここにいた勇者「白鳥歌野」もいなかった。

辺りを見渡す一行、そこに1人の人物がやってくる。

それは…もう1人のソラだった。


第59話 未来へ…繋がれるバトン。

 

ソラ(if)「来て…くれたんですね…?。」

 

柔らかな表情、長い髪。

大人となったもう1人のソラは、ここに来た一行の顔を見て微笑む。

 

しかし、その様子はまるで弱々しく。

そして、「祟り」の特徴である「痣」が広がっていたのか…肌が見える部分には禍々しい痣が見えていた。

 

 

友奈(そんな…祟りがここまで…!?。)

 

 

スカイ「もう1人の…私…。」

 

 

ソラ(if)「はい…ようやく会えましたね?。違う世界の「ソラ」。」

 

 

もう1人のソラを見た若葉は駆け出し、頭を下げる。

 

 

若葉「すまない!。貴女の事はずっと知らなかった!。あの日、1人でも多くの人間を四国に導いてくれたのは貴女だったんだ!。」

 

 

ソラ(if)「いえ…私は私のやるべき事を全うしただけですから。気にしないで、貴女達こそ多くの人間を守護する役目をその背に背負っている…それに比べたら大した事じゃありません。」

 

 

若葉「ッッ……!!。」

 

 

もう1人のソラは、若葉の震える肩に優しく手を添える。

 

 

ソラ(if)「そうだ…彼女から伝言を預かっています。」

 

 

若葉「えっ…?。」

 

 

ソラ(if)「…最後までここを守ることを徹底した勇者…白鳥歌野さんからですよ?。」

 

その言葉に、若葉は目を見開く。

そして、もう1人のソラは小さな箱を取り出してそこにある文面を手渡す。

 

………………。

 

もし、これを見つけたのが乃木さんでなければどうかこれを、四国の勇者である彼女に渡していただければと思います。

「奴ら」が現れた日から既に3年ほどになります。

 

諏訪の結界も縮小し、切迫した状況になってきました。

ここはもう、長くは保たないでしょう。

けれど、まだ乃木さん達の四国は残っています。

 

人類はこれまでどんな困難に見舞われても再興して来ました。

諦めなければ、きっと大丈夫。

 

乃木若葉さん。

まだ会ったことのない私の大切な友達。

貴女に出会えた事を、嬉しく思います。

 

貴女が戦いの中でも無事であるよう、世界が貴女のもとで守られていくよう願っています。

 

人類を守り続けるのがたとえ私ではなかったとしても、乃木さんのような勇者が守り続けてくれるのであればいい。

 

私はそこに繋げる役目を…果たします。

 

………………。

 

 

若葉「…白鳥…ッ!。」

 

 

ソラ(if)「…これを。」

 

もう1人のソラは、一本の鍬を渡す。

それと同時に、一つの種…「蕎麦の種」も。

 

それを受け取った若葉は、グッと抱きしめるように。

 

 

若葉「やっと…会えたな…。」

 

 

顔も知らない戦友。

その幻影が彼女の前に現れていて、ようやく出会えたその瞬間だった。

 

 

若葉「お前の意思…確かに引き継いだ。だから任せてくれ…この世界を必ず…奴らから取り戻す。」

 

 

ソラ(if)「確かに渡しました。歌野さんの意思…貴女達に託します。」

 

 

若葉「…貴女は…彼女と共にここを…?。」

 

 

ソラ(if)「ええ。私は「怨嗟の病」を治す方法がこの地にある事を知りました。四国とは違う、神の加護を受けているこの地に。その時に知り合いましたよ…勇者になる前の彼女と。」

 

 

歌野との思い出を、もう1人のソラは語っていく。

 

 

ソラ(if)「私は見ての通り、祟りに冒されています。満身創痍ながら何とかこの場所に辿り着きましたが…はは、弱ったものです。そこで気を失ってしまって…歌野さんに介抱されましてね?。」

 

 

祟りの力をよく知る友奈は、彼女の身体に広がっている痣を見て俯く。

 

 

あの様子だと、もう……。

 

 

ソラ(if)「私が3年間、外にいて生き残れたのはこれが理由です。この場所はどうやら、祟りの侵攻を抑える作用があるようで…。」

 

 

スカイ「今すぐに、元の世界に帰りましょうッ!。きっと、貴女の祟りだって…!。」

 

 

スカイのその訴えに、もう1人のソラは首を横に振る。

 

 

ソラ(if)「いえ…私にはもう時間がありません。それに、分かるんですよ。もう…無理だと。」

 

 

スカイ「そんなッッ!。諦めないで下さいッッ!!。貴女の帰りを待つ人は沢山いますッ!。生きているのならチャンスだって…ッ!。」

 

 

大粒の涙を落とすスカイに、もう1人のソラは頬に伝わる涙を指で掬う。

 

 

ソラ(if)「ダメなんですよ。私はあの日、神の怒りをこの身に受けました。生きるためとはいえ、神様をこの手に掛けたのです。当然、罰が当たっても仕方ありませんよ。うっ…!。」

 

 

胸を抑え、その場に倒れるもう1人のソラ。

スカイは彼女の身体を抱える。

 

軽い…軽すぎる。

 

容姿に反してその体重は異常にまで…軽かった。

 

 

ソラ(if)「ここに来たのが…貴方達で…良かった…どうやら…「時間」が来たようです…。」

 

その瞬間、祟りの痣が怪しく輝く。

そして、もう1人のソラの体が…透け始める。

 

 

スカイ「ああ、そんなッ!。友奈さん、どうにかなりませんかッッ!?。祟りを克服した貴女なら…ッ!!。」

 

 

友奈に助けを求めるスカイ。

しかし、友奈も涙を流しながら首を横に振る。

 

 

友奈「こうなってしまってはもう無理なんだよ、ソラちゃん…そんな…やっと…やっと会えたのに…こんなのって…ッ!。」

 

 

ウイング「ッ…覚悟はしていたのに…ッ!。」

 

 

ソラ(if)「…優しい違う世界の皆さん…ありがとう…私のために泣いてくれて…今日まで生きてこれたのは…歌野さんの思いと…「これ」を貴女達に託すために…。」

 

 

もう1人のソラが取り出したのは一つの「黄金の種」。

 

 

ソラ(if)「これは…諏訪の地を…守護していた神様の…欠片です…これがあれば…ましろさん達の「怨嗟の病」は治るはず…あとは…あげはさんに渡してくれたらきっと…ッッ。」

 

 

スカイ「嫌ですよッ!。もう誰も居なくならないで…お願いだから…生きてッッ!!。」

 

 

必死に訴えかけるスカイ。

その肩を持つのはアグニだった。

 

 

アグニ「…充分、生きたんだ。眠らせてやろう?。」

 

 

スカイ「何でそんな事を言うんですかッ!?。鷹夜さん…貴方は…ッ!。」

 

 

歯を食いしばりながら、アグニも悔し涙を流す。

ここまで来て、ようやく見つけたのに…自分達を待つ為だけに彼女は命をここまで繋げた。それに対して、見送る事しか出来ない。

相当、苦しかったはずだ…それなのに、それを耐えて自分達を待ち続けたのだ。

 

もう…充分じゃないか…。

 

アグニは、そう思う。

 

 

スカイ「あぁああああああッッ!!。」

 

 

若葉「…ソラ…。」

 

 

烈火「クソォオオ…覚悟を決めててもこれかよ…キツイじゃねェか…ッッ!!。」

 

 

静かに涙を落とす園子に、スレイヤーは優しく肩を抱き寄せる。

 

 

ソラ(if)「…これからのあなた達には…きっと、大きな困難が訪れるはず…でも、それでも…その涙を流せるのならきっと、乗り越えることが出来るはず…その優しさを忘れないで…最期に…会えたのが貴女達で本当に……。」

 

 

スカイ「はい…私も…貴女に出会えて良かった…もう1人の…私…貴女の生き様は必ず…皆さんにお伝えします………ッッ。」

 

 

もう1人のソラはその言葉を聞いて、微笑む。

そして……。

 

 

-その道に…光あれ…-

 

 

その言葉を残し、光の粒子となって消えた。

手に残ったのは、彼女のミラージュペン。色は失わず、淡い光を纏っていた。

 

 

スカイ「うぅ…うぅ……ッ…!!。」

 

 

そのミラージュペンを抱きしめるように、その場に座り込んで泣き続ける。

 

 

若葉(…見事な生き様だ。貴女の事は…ずっと、忘れない。)

 

 

見送った初代勇者達。その時、ひなたが突然倒れ込む。

 

 

若葉「どうしたひなた!?。具合が悪いのか…!?。」

 

 

ひなた「…いえ…「神託」がありました…。」

 

 

「神託」。

その言葉を聞いた初代勇者達は、息を飲む。

 

 

ひなた「四国が再び…危機に晒されます…。」

 

 

友奈「えッ…!?。」

 

 

烈火「こうしちゃいられねぇッ!早く四国へ…ッ!。」

 

 

若葉「…いや……。」

 

 

烈火達を引き止める若葉。

目を閉じて、決心したように息を吸い込む。

 

 

若葉「お前達は…元の世界へと帰れ。」

 

 

烈火「何言ってんだッ!?。そんなやばい事聞いて、ノコノコ帰れるかよッ!。」

 

 

若葉「いや、分かるんだ。ここからはきっと、お前達が関わってはいけない。本当に、歴史への影響が現れ始める…そして、この神託は私達の…運命だ。」

 

 

園子「…ご先祖様…。」

 

 

若葉「お前達にも時間がないはずだ。今、帰らなければお前達は消えてしまう…そうなれば、もう1人のソラの思いはどうなる?。彼女から託されたんだろう?。その「意思」を。」

 

 

スカイ「……はい…ッ…。」

 

 

若葉「ならば、ここまでだ。ありがとう、誇りに思う。お前達と共にこの旅が出来たこと…共に戦えた事。」

 

 

アグニ「若葉……。」

 

 

若葉「ここから先は、私達の「道」だ。お前達の「道」は向こう側…そうだろう?。」

 

 

アグニは、若葉に握手を求める。

 

 

アグニ「そうだな。だからこそ、敢えて言う…死ぬなよ?。」

 

 

若葉「ああ…こちらこそ…。」

 

 

友奈(高嶋)「結城ちゃん…私達、似たもの同士だけど会えて良かったよ。だから…こう言うよ?。「またね」?。」

 

 

友奈「!!!。…フフ…うん、「またね」?。」

 

 

球子「少年、あの時はありがとな?。お前がいなかったら、杏が大怪我を負っていたよ。」

 

 

杏「ありがとうございます、ツバサさん。貴方の夢、とても素晴らしいです。いつか必ず、その夢を叶えてください。」

 

 

ウイング「はい、ありがとうございますッ!。」

 

 

烈火「おい。」

 

 

烈火は、千景に手を差し出す。

 

 

千景「…どういうつもり…?。」

 

 

烈火「いいから、こういう時は手を差し出すんだよ。」

 

 

強引に千景の手を取り、握り締める烈火。

 

 

千景「痛ッ…ちょ…力加減ってものを……ッ!?。」

 

 

烈火「必ず、また「家族」に戻れる。待ってろ「姉貴」。お前のその憎しみを俺は…打ち砕いてやるから。」

 

 

千景にしか聞こえない声で、烈火はそう告げる。

言われた当の本人は、戸惑いを見せる。

 

 

千景「貴方…何を…?。」

 

 

烈火は、にっこりと笑みを浮かべる。

 

するとその時、眼前に「次元の門」が開く。

 

開けたのはフレア。もう一人の友奈から受け継いだ「帰り道の切符」を使ったのだ。

開いたゲートは、徐々に小さくなっていく。

 

 

スレイヤ―「急げ、ゲートが縮んでやがるッ!!。」

 

 

園子は、最後に若葉に駆け寄る。

そして、抱きしめて涙を流した。

 

 

園子「ご先祖様!。この戦いは必ず終わるからッ!。だから絶望しないでね!?。」

 

 

若葉「ああ…お前たちがそれを証明してくれている。だから、私たちも前を向けるさ。さ、行ってこい。ここから先はお前たちの「道」だ。」

 

 

笑顔で分かれた7人。ゲートが閉まるまで、初代勇者達は見送ってくれた。

 

 

………それから、数日後の西暦時代。

彼女たちに降りかかる困難は、正史通りに進んでしまう。

 

球子と杏の死亡。そして、「切り札」の影響で精神が摩耗し、暴走した千景。

 

最後の生き残りは若葉と友奈(高嶋)。

その戦いで生き残ったのは…若葉ただ一人。

 

数年後、若葉は空を見上げる。

思うのは、かつて「諏訪」まで共に旅をした7人。

あの死闘以降、バーテックスの襲来は無い。しかし、「外」とは完全に隔絶されてしまった。

もう、あの地に行くことも出来ない。そして、心にしていたことを口にする。

 

 

若葉(未来)「…お前たちは…もう一人のソラの想いを繋ぐことは出来たか?。あの後、私たちは…大きな壁にぶつかった。球子と杏は死に、千景も…そして、友奈もダメだった。生き残ったのは、私一人だけだよ。すまない、鷹夜。運命は変えられなかったようだ。でも…。」

 

 

別れ際、アグニが若葉に渡したものがあった。

それは…スマホで撮影された一枚の写真だった。

 

 

若葉(未来)「この出会いだけは、私の中に永遠に残っている。この世界の者は、私とひなた以外お前たちの事は知らない。未来に影響するんだ、このことは私たちだけで留めておく。だから…未来でまた「会おう」。いつか必ず…また会えるから。」

 

 

過去から未来へ…。

 

戦士たちのバトンは時間と世界を超えて…ちゃんと繋がれたのだ。

 

 

…………………end。

 





もう一人のソラと初代勇者達。

彼女たちからのバトンは時と世界を超え、一同に託された。

それを胸に、元の世界へと帰還した7人。

もう一人のソラから託された「黄金の種子」をもう一人のましろに託すソラ。


この旅と出会いを通じ、一同の突き進む道は…定まった。


次回
<第2部・プリキュア編 完結>
第60話 突き進む意志、託される思い。
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