〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


自分たちの「道」と未来にの為、それぞれの道を行くことになった過去と未来の戦士たち。

託された思いとバトンを受け継ぎ、一同はその道を行く。


それは…この世界と自分たちの世界の両方に「光」をもたらすこと。

途方もないその道だが、それでも突き進む。


託されたその思いに…報いる為に。


第60話 突き進む意志、託される思い。

 

~アルビオン・統治局~

 

 

もう一人のソラを巡る旅は終え、そしてそこで起きたことすべてを語る。

 

事の顛末を読んでいたのか、意外にもこの世界のプリキュアメンバーは涙など流さなかった。

それどころか、ソラが持ち帰ってきたもう一人のソラのミラージュペンを受け取り、安心した表情を浮かべる。

 

 

-やっと、帰って来たんだね?。おかえりなさい…ソラちゃん。-

 

 

もう一人のましろは優しくそう言うと、そのミラージュペンを統治局の中心に置く。

 

 

この世界においての英雄が帰ってきたことを、アルビオン中に放送で流したのだ。

「怨嗟の病」の事は、これから進むことになる。

 

もう一人のあげはがそれを受け取り、研究に入る。

後の事は、彼女らに任せても大丈夫だろう。そう思ったメンバー一同はこの場所で療養に入ることにした。

 

 

鷹夜「ふわぁああ…西暦時代から帰ってきてかれこれ4日目か…やることもねェってのも退屈だなぁ…。」

 

 

海辺で釣りをしながら、鷹夜は大きな欠伸をする。

その隣には烈火が居て、飽きたのか海に向かって石を投げていた。

 

 

烈火「いやあ…なかなか楽しかった旅でしたなぁ?。」

 

 

鷹夜「ん、そうだな?。」

 

 

烈火「にしてもお前、殆ど若葉と一緒にいたけど「そういう仲」だったのか?。」

 

 

いきなり、何を言いやがる…コイツは。

 

鷹夜はそう思いながら、烈火をジト目で見る。

 

 

鷹夜「テメエじゃあるめェし、第一そういう仲だったら俺がここにいるのもおかしな話だろ?。園子はどうなんだよ。」

 

 

烈火「ま、それもそっか!。って…テメエじゃあるめェしってどういうこった!?。」

 

 

鷹夜「テメエみてェな女ったらしじゃねェって事さ。」

 

 

烈火「何をぉおおおおッ!!?。」

 

掴みかかる烈火。

しかし、力は鷹夜の方が上だ。簡単に引き剥がしては逆に掴み返す。

 

 

烈火「あ、そういうことするッ!?。テメエ、俺を海に落とす気だな!?。」

 

 

鷹夜「落としてほしいならこのまま投げてやるよ。」

 

 

あれこれとじゃれている中、風がその場にやってくる。

 

 

風「何してんのよ、ほんと男子っていっつもこんなことばっかやってて楽しいのかしら?。」

 

 

鷹夜「いや、コイツが突っかかってきたもんで。」

 

 

烈火「おまッ!?。」

 

 

鷹夜「どうしたんだ、何か進展でもあったか?。」

 

 

風「いや、特に。ま…ここ最近は割とおとなしいし、のんびりするにはうってつけだけどね。烈火、あんたの姉の事を教えに来たのよ。」

 

 

烈火「…姉貴の事…?。」

 

 

風「ええ…どうやら私たちが次元世界に行っている間にここに来たらしいわ。」

 

 

烈火「は…なんでここにッ!?。」

 

 

風「前に、この世界のプリキュアが生きていたことを知って、撤退したでしょ?。どうやらここを突き止めて訪問したんだとさ。特に大きな騒ぎは起こしていないらしいけど…ただ、あんたの姉…また大きなことをしようと企んでいるそうよ。」

 

 

烈火「何…ッ!?。」

 

 

烈火(西暦時代で姉貴の過去を知った…あれが憎悪の原因だというのなら、やることは大体わかる…。)

 

 

風「あんたの持つ<疑似勇者外装>。それ、量産化に成功したそうよ。」

 

 

疑似勇者外装の量産化…それは、烈火が一番懸念していたこと。

千景がずっと、仕掛けてこなかったのも頷けた。全てはその準備の為だったのだ。

 

やはり、過去で接触していたとしてもその憎悪が消えることは無かった。

分かっていた…分かっていたはずなのに、それでも姉との激突は免れない。寧ろ、悪くなったとも言える。

 

 

烈火「…量産化して、何をする気だあいつ…。」

 

 

風「正々堂々と、宣戦布告したそうね。3つの世界に対して、戦を仕掛ける。この戦いに勝利した者こそ、正義。今度こそ、自分の力を誇示するとき…そう言って、ここを去ったらしい。私たちがここに居ての行動ね。」

 

 

烈火(…並行世界の存在を知って、姉貴は全ての世界を巻き込みやがったのか…クソッ、あの旅で感じた姉貴の「黒い気」はそういう事か…もう一人のソラがこの世界の出身だと知って、憎悪だけがそれを覚えていた…転生した時、姉貴の記憶はまだ朧気だったんだ…。)

 

 

風「ねェあんた…どうするつもりなの?。あんたの姉はもう引き返せないところにまで手を出してんのよ。」

 

 

烈火「決まってる。そんなことさせてたまるか。あいつがやってることは、他の奴の憎悪を買ってるようなもんだ。そんなことしたって、ただの怨念返しになっちまう。先輩、手伝ってくれッ!。きっとこれは、俺一人じゃどうにもならねェッ!。姉貴が動き出すんだ…俺はちゃんと向き合わなきゃならねェッ!。もうこれは、姉弟喧嘩なんかじゃねェ…全世界を巻き込んだただのテロだッ!。姉貴に他の奴の憎悪を買わせるわけにはいかねェんだよッ!!。」

 

 

烈火のその思いを聞いた風は、少しだけ笑みを浮かべる。そして答えは…決まっていた。

 

 

風「もちろんよ、あんたは部員なの。部長の私が協力しないわけにはいかないでしょ?。」

 

 

烈火「先輩…ッ!!。」

 

 

鷹夜「そんなこと聞いたら俺らも協力するしかねェだろ。自分たちの世界まで狙ってやがるんだ…なら、理由はある…だろ?。」

 

 

烈火「恩に切る、鷹夜ッ!。」

 

 

鷹夜(これだけ必死になるんだ…あの旅で少しは変わったんだな…コイツも…。)

 

 

風「どうやらあんた達、一皮剥けたようね?。いつもだったら感情的になるだけなのに…。」

 

 

烈火「俺、知っちまったんだ。姉貴の過去を…それに少しは羨ましかった。先輩と樹の関係…姉弟って、ああいうものなんだなって。だから、俺はもう自分の気持ちだけで姉貴と対峙しねェと決めたんだ。助けたい…たった一人の「家族」をッ!!。」

 

 

風「だったら、決まりね。全く…史上最大の姉弟喧嘩よこれ。全世界を巻き込んだスケール…どこぞの映画でも出せそうなスケールだわ。」

 

 

烈火「ありがとう…!。」

 

 

鷹夜「なら、やることは決まったな?。」

 

 

それを聞いていた一同も、顔を見せる。

 

 

夏凛「全く…珍しく真面目だと思ったらあんた、そんなこと抱えていたのね?。」

 

 

ツバサ「僕たちも協力しますよ、あの旅を通じてあの人の心の闇を見てしまいましたから…。」

 

 

友奈「烈火君。」

 

 

友奈は烈火の手を取る。

 

 

友奈「今度は私たちが…貴方を助けるからね?。」

 

 

烈火「お…おう…。」

 

 

友奈(if)「君にばかり助けられてるからね。私も出来ることは少ないけど、必ず助けになるから。」

 

 

烈火「すまねェな。頼りにしてるさ。」

 

 

洸「ったく、お前らで盛り上がりやがって。どのみち、調べたりしねェと足取りも掴めねェだろうが。それに、アイツは「劇団」とも組んでやがる。きっと、「劇団」も絡んで来やがるぜ。」

 

 

あげは「そっか…敵は一枚岩だけじゃないんだね。それに量産化した<疑似勇者外装>って、烈火のものと同じ仕様なの?。それとも、蒼葉と同じタイプ?。」

 

 

蒼葉「元は「防人システム」を模範としていると聞く。そこに「勇者システム」の機能の一部が入り込んでいる…恐らくだが量産タイプと言っても、強敵に違いは無いだろう。」

 

 

樹「それに、大赦の人達が敵に回っちゃったという事なんですよね?。」

 

 

蒼葉「正しくは、大赦お抱えの「技術班」だな。当然、勇者システムのことも熟知しているだろうし…俺たちにとって相性は最悪ともいえる。」

 

 

風「…形式は違えども、大赦と敵対することになっちゃったなんてね…。」

 

 

蒼葉「俺たちの敗北は、大赦に勢い付かせる要因にもなる。神が消えた今は「人」の時代だ…だから、敗北すれば勇者の価値は地に落ちてしまう…そうなれば人類はまた同じ過ちを繰り返すことになる。」

 

 

園子「それってまた天の神がやってくるかもしれないって事だよね~?。」

 

 

蒼葉「ああ。人が神に近付くことは禁忌だ。文明レベルに比例しない力は神からすれば調和を乱す行為にもなる。人として生きる選択をした人類がそれを破ってしまえば本末転倒だ。」

 

 

東郷「またバーテックスが出てくる…ってことね…。」

 

 

蒼葉「その通りだ。300年かけた思いが全て水の泡となる。結城が味わった苦労も…今回の件はその危険性を孕んでいるのだ。だからなんとしても、烈火の姉…郡千景の計画を阻止せねばなるまい。」

 

 

ソラ「…だったら、行先は決まりましたね?。」

 

 

その後ろから、ソラがやってくる。

 

 

鷹夜「お前…もう大丈夫なのかよ?。」

 

 

ソラ「ご心配をおかけしました、ソラ・ハレワタール…只今復帰いたしましたッ!。」

 

 

あげは「ソラちゃん…。」

 

 

ソラ「本当にもう大丈夫です。私たちはたくさんの英霊から託されてるんです…このバトンを落とすわけにはいかない。」

 

 

拳に力を込め、意思を強く持つソラ。

また一段と「ヒーロー」が似合うようになった。

皆が、そう思う。

 

 

ソラ「今回の件、ましろさんから始まりましたが…この世界に来てからあの旅を通じて、私たちはもっと重要な局面に差し掛かっていると思うんです。」

 

 

ツバサ「はい。ここからは3つの世界を守るために戦わなきゃいけない…敵はまだまだたくさんいますからね。」

 

 

あげは「そうだね…もう、自分たちの問題じゃなくなってる…停止したあたしたちの世界もどうにかしないといけないし…。」

 

 

鷹夜「このままじゃ何も好転はしねェからな。たまには、こっちから仕掛けるのも悪くねェな。」

 

 

ソラ「はい。だから今度は…勇者世界に行きましょう。若葉さん達の思いも背負いながら、千景さんを止めるんです。」

 

 

ましろ(if)「…行くんですね?。」

 

 

話を聞いていたもう一人のましろはその場に現れる。そこには、もう一人の東郷…いや、須美もいた。

 

 

東郷「もう一人の私!?。何故、ここにッ!?。」

 

 

須美(if)「ましろさんから招致を受けたの。「怨嗟の病」を治すにはあげはさんだけじゃ、骨が折れる…高天原と私たちの力を貸してほしいって。貴方達のおかげよ、この世界が本当の意味でまた「一つ」になれた。」

 

 

ましろ(if)「こちら側のソラちゃんの思いも受け継ぎました。彼女は英霊に…そして、今を生きる私たちが後世にバトンを繋いでいく…混沌としたこの世界に陽が昇りました…私たちはまた分かり合える…この世界はもう大丈夫です。だから今度は…貴方達の「未来」を勝ち取りに行ってください。」

 

 

もう一人のましろは、須美の手を借りながら車椅子から立ち上がる。

 

 

ソラは、瞳を閉じてその思いを汲んだ。

 

 

ソラ「…はい。任せてください…この場に居るみんなで…私たちの「未来」を勝ち取りに行きます。だから…。」

 

 

もう一人のましろの手を取るソラ。

そして、決意に満ちた瞳を向ける。

 

 

ソラ「あなた達の「未来」も守ります。「今」を生きる戦士として…!。」

 

 

ましろ(if)「!!!。…フフ、やっぱり同じなんだね…ソラちゃんは。」

 

 

もう一人のソラと姿が重なり、思わず笑みが零れるましろ。

 

 

ソラ「いってきます!。」

 

 

ましろ(if)「はい、いってらっしゃい?。」

 

 

フレアが開けたゲートの中に入る一同。

目指すは勇者世界…敵は大赦…「海祇機関」。

 

未来を勝ち取りに行く戦いに、身を投じていった。

 

しばらくしてから、消えた一同の軌跡を見届けた2人は海を見つめながら語り合う。

 

 

須美(if)「…彼らはきっと、私たちが成しえなかった事を簡単にやってのけるかもしれないわね。」

 

 

ましろ(if)「うん、そうだね。あの戦いを終えてバラバラになってしまったけど…私たちが本当に成し遂げたかったこと…きっと、彼らはそれを実現してくれる。」

 

 

-誰もが、幸せを感じ取れる世界に…-

 

 

…………………end。

 




この世界に来てから、様々な事があった。

大切な仲間と出会えたこと…信念を通して戦ったこと…そして、辛い別れ。

それらを経験し、一同はまた一段と強くなった。


それを胸に秘め、今度は自分たちの未来を手にするために戦う。


これから先、どんな困難が待ち受けようとも、大切な仲間と一緒なら怖くない。


目指す先は「勇者世界」。
ましろの影響で時が停止したままだが、風が言った通りこの世界は「海祇機関」によって支配されていた…。

次回
<第2部・怨嗟の勇者編>
第61話 支配された勇者世界。
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