〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


千景の計画を阻止するために、勇者世界へと帰還した一同。

大赦はすでに「海祇機関」の手の内に落ちており、この世界は千景によって支配されていた。
一同の帰還を察知し、刺客を送り込む千景。

烈火は敗北を喫し、窮地に追い込まれる。
果たして、孤立無援の状況下で一同はどのように立ち回るのか…。


第62話 大切な者を守り抜け、覚醒の洸。

 

慎也「…終わりだ…!!。」

 

 

成す術も無く、烈火はその一撃によって沈む。

これ以上のダメージは、死を意味する…変身した鷹夜が烈火を受け止めた。

 

気を失う烈火の顔色は悪く、すぐに治療しなければならないレベル…。

だが、慎也は次の目的のために再度、仕掛けてくる。

 

それは烈火の持つ<疑似勇者外装>の回収。

休む間もなく、彼は突撃してくる。

 

アグニは、自分を盾にして烈火へのダメージを防ごうとする。

だが、その一撃は阻まれた…勇者に変身した友奈によって。

 

 

友奈「よくも…烈火君をッ!!。」

 

 

凄まじいパワー。ハンマーを両手で受け止められ慎也は歯を食いしばる。

 

 

慎也「邪魔しないでくれ、あれを回収するだけだ…!。」

 

 

友奈「させないッ!。千景さんの目的が何であれ、烈火君には指一本触れさせないんだからッ!。」

 

 

慎也「くッ…勇者との戦闘は想定していない…ッ!。」

 

 

友奈はその隙を突き、慎也を蹴り飛ばした。

そして目で合図し、撤退を促す。

意図を理解した一同、変身したアグニの機動力で烈火を優先的に退避させて一同も全力で撤退する。

 

友奈は睨みを聞かせながら、慎也を見つめる。

 

 

友奈「…千景さんに伝えて。貴女の計画は必ず、阻止するって。私たちは…諦めない。」

 

 

それだけを告げて、友奈も撤退。慎也はその場に佇んで、千景に連絡を入れる。

 

 

慎也「千景様、申し訳ございません。失敗してしまいました。」

 

 

(いえ、構わないわ。テストは良好…データも取れたし、目的は達成できたようなもの…帰還して頂戴。今度のターゲットは決まっている。)

 

 

慎也「次のターゲット…ですか。」

 

 

(ええ…帰ってきたのなら好都合。彼女には私たちが地位を確立させるために役立ってもらいたいの。他のメンバーに行かせるわ…。)

 

 

-乃木園子の身柄を確保…これが今回の目的よ-

 

 

………………………。

 

 

園子の伝手で、病院を確保した一同。

搬送先で緊急治療が行われ、烈火は重症ながらも一命を取り留めた。

攻撃を受ける直後、身体を逸らして致命傷は避けていたようだ。

 

 

鷹夜「…生への執念が命を結んだか…すげェなコイツ。」

 

 

蒼葉「しかし、あの烈火が手も足も出ないとはな…。」

 

 

風「作った本人が率いる組織が相手だもの…烈火にとっては、相性が最悪すぎるわ。」

 

 

樹「これから、あの人達を相手にしないといけないのか…バーテックスよりも、難しいね。」

 

 

夏凛「割り切りなさい。対人戦といえど、やらなければこちらがやられる…向こうは本気で来るわ。」

 

 

あげは「しかし、病院すらまともにいけないとはね…そのっちが居なければどうなっていたか…。」

 

 

園子「殆どが大赦の息がかかっている病院ばかりだからね~…しかも大赦は実質、支配状態にされているようなものだし…ま、そこは園子さんの伝手が輝いた瞬間だよね~。」

 

 

東郷「…もしかしてそのっち…。」

 

 

園子「うん。安芸先生に無茶言って、なんとかしてもらったんよ~。」

 

 

東郷「だろうと思ったわ。先生も危ないんじゃない?その…私たちとの接点を知られたら…。」

 

 

園子「まだ大丈夫。支配状態に置かれていても、私の家がまだ発言権を持っているらしいから…。」

 

 

洸「そっか。お前この世界じゃすげェ権力者の生まれだったな。」

 

 

園子「あんまり、お家の事を引き合いにしたくないんだけどね…ま、こういう時くらいはお役に立てると思うよ?。」

 

 

ソラ「はい、すごく助かります!!。」

 

 

鷹夜「あいつらは俺達がここに戻ってきていることを知ってやがった…早いところ、防人の奴らと出会わねェとな…。」

 

 

園子「あ…メールだ。」

 

 

園子の端末に、メールが入る。

その相手を見た瞬間、少しだけ表情が曇っていた。

だがすぐに、いつもの表情に戻って。

 

 

園子「ごめん、ちょいと野暮用だから席を外すね?。」

 

 

東郷「あんまり出歩いちゃダメよ?。外は危険かもしれない。」

 

 

園子「そこはご心配なくッ!。それじゃ、また後でね~?。」

 

 

そう言って、部屋を後にする園子。

しかし、その「曇った表情」を見逃さなかった洸は彼女の後を追う。

 

 

……………………。

 

 

洸「おい。」

 

そそくさと、外を歩く園子に声を掛ける洸。

立ち止まり、いつものようなふにゃっとした表情で洸を見る。

 

 

園子「なぁに洸?。女の子の後を付けちゃいけないんだゾ~?。」

 

 

洸「誤魔化しはきかねェぞ?。何があった?。」

 

 

園子「本当に大丈夫だよ?。もう…心配性だなぁ~?。」

 

 

洸「嘘つけ。お前、メールを見て少し表情が曇ったろ。なんだ、この場所がバレちまったのか?。」

 

 

園子「…いや、そういうわけじゃ…。」

 

 

「あれェ…独りで来いって言ったのに…乃木家のお嬢さんは約束も守れないの?。」

 

 

少女の声が響く。

警戒の色を示す洸に対して、園子は少し怯えた表情をする。

 

 

園子「ち…違うのッ!。彼は関係なくて…ッ!。」

 

 

洸は焦る園子を押し退け、その少女に声を掛ける。

 

 

洸「誰だお前?。」

 

 

「名乗る時はそっちから名乗るのが筋だと思うけどな~?。礼儀作法って知ってる?。」

 

 

ピンクの髪の少女が眼前に現れる。

その少女は<量産型疑似勇者外装>を身に纏っていた。

それを見た洸は、すかさず変身アイテムを構えて。

 

 

零「加納零。千景様の命により、乃木園子を捕まえにきたの。」

 

 

園子「…えッ!?。きゃッ…!!。」

 

 

園子は突如現れたツタに捕まり、身体を拘束される。

 

 

園子「私を捕まえるって…安芸先生を人質にって話は!?。」

 

 

零「あ~、あれウソ。そう言えば出てくるかなって。まあ…おおよその位置は掴めてたんだけどね…。」

 

 

洸「園子を捕まえてどうする気だ、テメエら。」

 

 

零「「海祇機関」の社会的地位を確立させるため。この人、大赦の最高権力者のご子息だし…私たちの為に役に立ってもらおうってこと。」

 

それを聞いた洸は、静かに怒りを滾らせる。

 

 

洸(要するに、この世界での権力を誇示するために園子を利用するってことか…人質にとっておきゃあ、今現在でも発言権の強い乃木家も黙ることしかできない…そうなりゃ、本当の意味でこの世界を意のままに出来る算段ってことか…。)

 

 

洸「……ざけんじゃねェッ!!。」

 

 

キュアスレイヤーに変身して突撃。しかし、その距離に拘束した園子を全面に出す。

思わず、勢いが弱まるスレイヤー。斜め一閃に、激痛が走った。

 

零が持っていたのは、棘が付いた鞭。軽くしならせると地面が抉れる。

 

痛みが走った場所を見ると、血が滲みだしてくる。

それを見た園子は、声を上げる。

 

 

園子「やめてッ!。洸は関係ないのッ!。ごめんね洸、私が騙されたばっかりにッ!!。」

 

 

スレイヤー「…ちょっと待っとけ園子。コイツぶちのめして…お前を助けるから。」

 

 

園子「でも…ッ!。」

 

 

スレイヤ―「でもじゃねェッ!。いいから…俺に任せろ。個人的にコイツはムカつく部類だ。」

 

 

拳を固めて突撃。振るわれる鞭を弾こうと、片腕で応戦するが棘の影響で身を削られる。

 

 

零「あははは、バカなの?。拳で受けとめたら肉が削げちゃうよ!?。」

 

 

スレイヤ―「うるせェッ!。お前らが誰かを憎む気持ちはわかる…けど、それを何の関係もねェ奴らに向けるのは違うだろうがッ!。」

 

 

踏み込んでキックを放つも、簡単に防がれてはカウンターの一撃が飛んでくる。

当たる場所の身が削られていく。そして、右目付近にしなった鞭が当たって血が噴き出す。

血により、右目の視界が塞がれる。方向感覚と距離がつかめないスレイヤーはただ、蹂躙されるだけだ。

 

見てられないのか、目を逸らす園子。それもそのはず、大切な人が目の前で嬲られているのだから。

そして、それを楽しむ零。心底腐っている…スレイヤーは攻撃を受けながらもそう感じた。

 

 

零「こうやって嬲られてきた事ないでしょ!?。痛いよねェッ!?。私だって、そういう思いをしたもんッ!。なら、他の人だって思い知ればいいッ!。一方的に痛み付けられる恐怖ってやつをさッ!。」

 

 

スレイヤー「ぐううッ!?。」

 

 

打ち付けられる度に、地面に血が落ちていく。

アスファルトの色が赤く染まり、分かるような出血量。

反撃に転じようにも、間合いの差から近づけない。それどころか、先ほどのように園子を盾にされる可能性だってある。

 

悔しいが、強い。

 

恐らくだが、千景によって自分たちのファイトスタイルが筒抜けになっているかもしれない。

それほどにまで的確で、対策を練られている。純粋な力勝負なら何とかなったかもしれない。しかし、こうも搦手と対策重視で攻められては防戦に転じるどころか、ただのなぶり殺しになる。

烈火の戦線離脱もある…ここで自分まで離脱してしまえば、数の暴力によって全員が追い詰められる。そして何よりも…。

 

 

スレイヤー(園子…!。)

 

 

旅を重ねていく度に、大きな存在へと変わっていった園子がそこにいる。

「劇団」への復讐のために戦ってきた自分…しかし、彼女と触れ合う内にそんなものがどうでもよくなるくらいに、沢山のものをくれた。

そしていつしか、それは「大切な存在」へと昇華した。

今、自分が戦うのは己の為じゃない…たくさんのものをくれた彼女の為。

今、泣き出しそうな顔をしているあの表情を見たくない…いつも、ぶっきらぼうに返しているがあの笑顔がまた見たい。

 

待っててくれ、今すぐに俺が笑顔に戻してやるから…だから、そんな顔をしないでくれ。

 

どんなに辛くても…痛くても立っていられる…意識が飛びそうになっても、踏ん張れる。

 

お前の為なら俺は…戦える。

 

その瞬間、意思を強く持ったスレイヤーが縦横無尽に踊る鞭をその手で掴んだ。

 

 

スレイヤー「うおおおおおおおッッ!!。」

 

 

絶対に離すか!。そんな意思を感じさせるほどの咆哮を放つスレイヤー。

そんな彼を見た零は…戦慄する。

 

 

零「わ…訳わかんないんですけど!!。何であんたがここまで身体を張るのッ!?。ほっとけばいいじゃんかッ!!。」

 

 

スレイヤー「黙れェェェェェェッッッ!!。」

 

 

零「!!!。」

 

 

スレイヤー「…俺は…園子から多くのものを貰ったッ!。コイツが居なかったら俺は…復讐の為だけに生きるロクでもねェ人間になってたッ!。コイツの不思議な行動には振り回されてたけどよッ!。それでも俺は、コイツと居る時は全部が楽しかった!!。」

 

 

園子「…洸…!。」

 

 

スレイヤー「誰にでも奇抜なニックネームを付けるけど、俺は特徴がねェからって普通に呼びやがってよ…訳分かんねェとこばっかで苦労はしたさッ!それでも俺は…園子の笑顔に救われてきた…もう、復讐なんてどうでもいい…ただ、コイツには笑顔でいてもらいてェ…俺が立っていられるのもそれがあるからだッ!!。」

 

 

周囲の空気が歪む。スレイヤ―はその本質を「覚醒」させた。

大切な人を守るために…もう、何も失わないために…「破壊」…その本質を、今。

 

 

スレイヤ―「プリキュア、エボリューションチェンジッ!!。」

 

 

眩い光に包まれながら、その姿を「進化」させる。

 

 

キュアスレイヤー「フォース」。

 

次元の力を纏いし「破壊のプリキュア」の真なる姿。

その力を振るうは、大切な人を守る為。

 

左手を翳すと、次元のエネルギーが籠る。

 

 

スレイヤー「F」「次元!烈!断ッ!!。」

 

 

振りかざされた手刀の一撃。それは零を切り裂くことなく、彼女の左脇に数メートルはあろう抉り取られた「刀傷」がそこにあった。

 

 

腰を抜かして、ガクガクと震える零。それを見たスレイヤ―「F」は一蹴。

 

 

スレイヤー「F」「失せろ。」

 

 

零「ひ…ひィィィィィッ!!。」

 

 

逃げるように撤退。園子を拘束していたツタが消えた。

その瞬間、園子はスレイヤー「F」に飛びついて抱きしめる。

そんなスレイヤー「F」も、不器用ながら抱きしめる。

 

 

園子「ごめんね洸ッ!。こんなにボロボロになってッ!。」

 

 

スレイヤー「F」「構いやしねェよ…これぐらい、どうってことねェ。」

 

 

園子「すごい血…痛かったよね…私なんかの為に…ッ!。」

 

 

スレイヤー「F」「…いいんだ。」

 

 

園子「私…いっつも迷惑かけてばっかで…今日も洸を困らせたッ!!。」

 

 

スレイヤー「F」「…いいんだ。いつも困らせてくれよ。」

 

 

園子「どうしようもないよねッ!?。本当にッ!!。」

 

 

スレイヤー「F」「それでいいんだ。…俺はそういうお前が…好きなんだから。」

 

 

園子「!!!。洸…洸…ッ!!。私もね…不器用な優しさを持つ貴方が…大好きッ!!。」

 

 

泣きじゃくる園子を笑みを浮かべながら優しく抱きしめるスレイヤー。

血に塗れながらも、何故か痛みなど感じなかった。

しばらく、そのままでいる2人。

 

こうして、洸と園子は…。

 

結ばれた。

 

 

…………………end。

 




大切な人を守る為に洸は復讐心を捨ててただ、ひたすらに園子の為に戦った。

お互い気持ちが通じた今、これからの困難は共に乗り越えられるだろう。


それから数日後、戦線離脱者は烈火と傷を負った洸…。

千景の思惑通り、徐々に戦力が減っていく一同。

危機感を感じた一同は、行方をくらましている防人たちを探すべく行動に移る。

そんな中、ゴールドタワーに向かった鷹夜と夏凛、あげはは窮地に落ちている防人の一人「加賀城雀」と出会う。


次回
第63話 生への執着、加賀城雀。
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