〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


千景の次のターゲットは園子だった。
その目的は、未だ発言権の強い乃木家に圧力をかけ、この世界での社会的地位を確立させるため。

巧妙な手口で、園子の身柄を確保するも、彼女を「大切な人」と認識した洸によって阻止。

互いの気持ちを伝えあい、2人は結ばれることになった。

時は翌日、烈火と洸の戦線離脱という打撃を受けたメンバーは、潜伏していると思われる防人のメンバーを探すため、彼女たちの拠点「ゴールドタワー」に向かうのだった。


第63話 生への執着、加賀城雀。

 

「海祇機関」の刺客から、園子を守り抜いた洸。

その傷は甚大で、戦線離脱を余儀なくされる。

 

しかし、洸に後悔はなかった。

大切な人をこの身で守れたことに…そして、洸と園子はお互いに抱いていた気持ちを伝えあい、結ばれることになった。

 

その事について、一同はもちろん驚いた。しかし、それと同時に祝福の声を挙げる。

 

 

友奈「よかったね、そのちゃん!。」

 

 

園子の手を取り、喜びを露わにする友奈。

少し照れくさそうに、園子は頬を掻きながら礼を言う。

 

 

園子「あはは…ありがとね、ゆーゆ?。」

 

 

東郷「まさか、2人が結ばれて帰って来るなんて…いつからそういう感じになったの?。」

 

 

園子「まあ…一緒に過ごしているうちに…かな?。」

 

 

樹「素敵ですッ!。」

 

 

ソラ「なんだかよく分かりませんけど、お二人が幸せならそれで良かったです!!。」

 

 

そんな会話を聞いている洸も、少し照れくさそうに咳払いする。

 

 

洸「あのな…まあいいや…。」

 

 

園子は洸のベットのそばに座る。

 

 

園子「洸は私のせいで怪我しちゃったし…良くなるまでは一緒に居ようと思う。」

 

 

風「それがいいわ。いいわねェ…青春って感じで。」

 

 

あげは「羨ましいの、風?。」

 

 

風「そりゃあね。乙女として生まれた以上は夢のようなものよ?。」

 

 

夏凛「どの口がそれを言うのかしら…。」

 

 

風「なにをぉぉぉぉぉおッ!!。」

 

 

ツバサ「2人とも、病室では静かに…。」

 

 

二人を注意した後、ツバサは少し深刻そうな顔をする。

 

 

鷹夜「どうした、ツバサ?。」

 

 

ツバサ「いえ…烈火さんに続き、洸さんまで離脱となると…この短いスパンで仕掛けてきている千景さんの策略に嵌まっているのかなと…。」

 

 

ツバサのその言葉に、先ほどの祝福ムードは一変する。

 

 

友奈(if)「かもね…まるで、こっちの戦力を削るように…一気に仕掛けるというよりかは、主戦力から削り倒している気がする。烈火は目を覚まさないし…。」

 

 

あげは「ねェ…やっぱり、防人の子たちを探そう。向こうも味方かどうかはわからないけど…もし、あたし達と同じ状況下なら苦しいはずだよ。」

 

 

あげはのその提案に、先に応えたのは…夏凛だった。

防人と面識のある彼女は、どうも心配だったのだ。

 

防人は強い、それは理解している…けど、勇者システムに限りなく近い<量産型疑似勇者外装>のあの力を目の当たりにした以上、簡単に退けられないのは痛感している。

それに、大赦直属の部隊なのだ…自分たち以上に厳しい状況となっているに違いない。

夏凛はそう思う。

 

 

夏凛「ええ、明日…彼女たちの拠点である「ゴールドタワー」を目指しましょう。そこまでの案内は私が出来る。他のみんなは違う場所を探してほしい…目星は私で付けるから、手分けして探しましょう。」

 

 

その提案を飲んだ一同。

今日は解散することにして、明日に備えることにした。

そしてその翌日…。

「ゴールドタワー」に向かうメンバーは夏凛が選出した。

 

 

夏凛「よく眠れた?。ゴールドタワーに向かうメンバーは私と鷹夜、そしてあげはの3人で向かうわ。」

 

 

風「たったそれだけで大丈夫なの?。」

 

 

夏凛「あまり大勢だと、見つかる可能性もある…ゴールドタワーに向かうという事は敵地に乗り込むようなものよ。それに万が一、私の身に何かあった時、他の勇者まで欠けるわけにはいかないでしょ。恐らくだけど、千景は勇者に対しての対策は完璧だと思う。」

 

 

東郷「…夏凛ちゃん…無理はしないでね。」

 

 

あげは「大丈夫、あたしが守り切るし…それに、タカ坊だっている。いざとなれば攻守は完璧だよ。」

 

 

鷹夜「…だな。任せろ、お前らも気を付けろよ?。」

 

 

こうして、ゴールドタワーに向かう3人。

道中、鷹夜は夏凛に問いを投げかける。

 

 

鷹夜「どうして、あんなことを言った?。まるでお前…死にに行くような言い方だったぞ。」

 

 

夏凛「はぁ…余計な所ばっか気にするのね、あんた。まぁいいわ…勇者部のみんなは強いわ…それは保証できる。でもね…気持ちに左右されやすいのよ。特に、「海祇機関」の<疑似勇者>たちは凄惨な過去を背負った連中ばかりよ。きっと、その憎悪に向き合おうとする…でも分かってるでしょ?。烈火の問いかけにも聞く耳を持たない…確かに、その過去に対する憎悪はわからなくもない。でもね…。」

 

 

歩きながら、夏凛は真剣な眼差しとなる。

 

 

夏凛「それを、何の関係もない人たちに向けるのは間違ってる。歪んでいる…自分たちは被害者だって言い張りながら、他者にそれを行使しても許されると思っている連中なのよ。身勝手すぎるわ、そんな奴らが相手で正直…勇者部のメンバーは心が持たないと思うの。」

 

 

あげは「…同情心…か。」

 

 

夏凛「そ。烈火と洸ですら、あそこまで追い詰められてるんだ…きっと、割り切れないとこっちが死んじゃう。その辺、私はあっさりしてるから…だから、ああ言ったのよ。そうでもしないと友奈あたりがまた無茶をするでしょ?。」

 

 

鷹夜「お前なぁ…ちっと違う気もするが…まあいい、俺達を選んだのもその気がねェってことだろ?。」

 

 

夏凛「当たり前よ。誰が死ぬもんですか…勇者だと分が悪いからあんた達についてきてもらいたかったの。さて…見えて来たわ。あれが「ゴールドタワー」よ。」

 

目の前に聳え立つ巨大な建造物…すこし朽ちてはいるがそれでも迫力は圧巻だった。

入口は意外にも、警備の類など微塵にも感じなかった。

息を飲み、恐る恐る中へと入る3人。驚くほど静かだ…やはり、ここには居ないのか…。

 

そう思っていると、奥から叫び声が聞こえてくる。

 

 

鷹夜「聞いたかッ!?。誰かいるぞッ!!。」

 

 

夏凛「ッ…!!。」

 

勇者装束を身に纏って先行する夏凛。

鷹夜とあげはも変身し、彼女の後を追う。

 

……………………。

 

「死ぬッ!。もう嫌だよぉお!こんなのッ!!。」

 

 

一人の少女が、盾を展開しながら叫び声をあげる。

仕掛けているのは疑似勇者ではなく…怪物だった。

しかし、その怪物は理性があるのか、言葉を発する。

 

 

「お前もプリキュアかぁぁッ!!!。ならば我と戦えッ!!。」

 

 

「何ッ!?。プリキュアって何ッ!?。あたしは防人…「加賀城雀」ですよぉぉおッ!!。」

 

 

叫び声の主は防人の一人である臆病な少女「加賀城雀」。

 

<防盾タイプ>の防人である彼女はただひたすらに、その怪物の猛攻を受けきっていた。

凄まじいその防御力は突破できず、怪物もその堅牢さに顔を歪める。

 

そこへ、叫び声を聞いて突入した夏凛たちがやってくる。

 

 

夏凛「大丈夫…って…疑似勇者じゃないッ!?。」

 

 

アグニ「あげは姉!。あいつは…!!。」

 

 

バタフライ「なんでコイツがここにいるの!?。ミノトンッッッ!!。」

 

その怪物の主はアンダーグ帝国の武人「ミノトン」。

しかし、何か様子がおかしい…。

 

プリキュアの姿を見たミノトンは、拳を下げた。

 

 

ミノトン「ようやく見つけたぞ…プリキュアァァアッ!!。」

 

 

戦意を高揚させたミノトンからは、邪悪なエネルギーが溢れてくる。

 

そして、その登場を待ちわびていたのか…ゲートが開いて「スキアヘッド」が現れる。

 

 

スキアヘッド「ようやく釣れたか…。」

 

 

アグニ「テメエ…あの時の…ッ!!。」

 

 

バタフライ「なんであんた達がここにいるのッ!?。それに、ミノトンの様子がおかしいんだけどッ!?。」

 

 

スキアヘッド「彼は失敗を重ねた…故に、最後のチャンスを分け与えたのだ。ミノトンは今、アンダーグエナジーに満ちている。これまでと同じだと思ったら…死ぬぞ。」

 

 

ミノトンは突撃。拳を固めて振りかざす。

すかさず、「バタフライシールド」を形成して防ごうとするがアグニはとっさにバタフライを抱えて回避に移る。

凄まじい轟音。シールドの割れた音と共にミノトンの拳が地面に突き刺さる。

 

 

夏凛「ちょ…何よあの出鱈目な威力ッ!!。」

 

 

雀「あわわわ…。」

 

 

アグニ「ちッ…受けたら終いってかッ!?。」

 

 

スキアヘッド「…ようやく自分たちの世界に帰ってきたようだが…どうだ、この惨状は。」

 

 

バタフライ「何が言いたいわけッ!?。」

 

 

スキアヘッド「混沌に満ちている…頭上にあるお前たちの世界も同様だ。自転を止めた星に訪れているのはまさに混沌…滅びも時間の問題だろう。」

 

 

夏凛「させないわ…よッ!!。」

 

 

踏み込んだ夏凛がスキアヘッドに斬りかかるも、ミノトンが眼前に現れてはその強化された筋肉で刃を弾く。

弾かれた衝撃で仰け反る夏凛にミノトンの拳が迫る。

 

 

バタフライ「夏凛!!。」

 

 

シールドを4重に張るが、その桁違いの威力にシールドは砕かれ、直撃を受ける2人。

壁に叩きつけられ、力なく倒れ込む。

 

 

アグニ「バタフライ!。夏凛!。」

 

 

ミノトン「まずは2人…次は貴様だァァア!!。」

 

 

アグニ(バーニングフォームを使うかッ!?。いや…スキアヘッドもいる…クソッ、避けるしか…ッ!。)

 

 

思考を巡らせていたその時、雀がアグニの前に現れて盾でミノトンの攻撃を防ぐ。

 

 

アグニ「おい!。危ねェぞッ!!。」

 

 

雀「君まで倒れたら誰があたしを守ってくれるのッ!?。」

 

 

アグニ「はァ!?。」

 

 

何言ってやがる、コイツ…守ってもらいてェならなんで前に出てくる?。

しかも、泣きながらだと…怖いなら下がってりゃいい…それに…。

 

雀の不可解な行動に戸惑うアグニ。

あの威力のパンチを真正面から受けて、盾が砕かれるのも時間の問題…雀を強引に後退させようとしたが…。

 

 

ミノトン「むぅッ!?。」

 

 

雀「死にたくない死にたくない…メブも誰もいないのにあたし一人なんてヤダよぉ…ねェ、君は強いんでしょ!?。なら、あたしを守って!?。」

 

死にたくないと叫ぶたびに、盾が強化されていく。

それは徐々にミノトンの拳を押していた。

 

 

アグニ(な…防いでる!?。いや…シールドがどんどん増えてやがるッ!!。)

 

 

雀「守ってくれなきゃ死んじゃうのッ!。君しか動けないなら…あたしを守ってよぉおおおッ!!。」

 

 

「生への執着」が、彼女のシールドを爆発的に強化させる。

全面に押し出されたそれはミノトンの拳ごと弾き飛ばして逆に突き飛ばした。

自身の威力がそのまま跳ね返ったミノトンは、ゴールドタワーの壁を突き抜けて外にまで弾き飛ばされた。

 

 

アグニ「…マジか…。」

 

 

呆気にとられるアグニ。

意識を取り戻した夏凛とバタフライが駆け寄る。

 

 

夏凛「ッ…何が起こってるの…?。」

 

 

アグニ「いや…俺もさっぱり…。」

 

 

雀はすぐにアグニの後ろに回り込む。

 

 

雀「後は頼むよ君ッ!!。」

 

 

アグニ(…守ってもらわなくても充分なんじゃないか…?。)

 

 

疑問を抱きながらも、アグニは突っ込む。

しかし何故か、後ろに隠れていた雀も付いてきた。

 

 

アグニ「おまッ!?。何でついてくるッ!?。」

 

 

雀「そばにいないと死んじゃうからッ!!。」

 

 

アグニ「訳分かんねェよお前ッ!!。」

 

 

バタフライ「だああああッ!!。」

 

 

バタフライシールドを蹴り飛ばし、起き上がったミノトンに直出来させる。

思わず仰け反ったミノトン。そこにすかさず夏凛が斬り込みを入れた。

 

裏拳で夏凛を吹き飛ばそうにも、叫びながら雀が間に入り、盾で防ぎきる。

 

 

アグニ「チャンスだ…!!。」

 

 

拳を固めるアグニ。オレンジに煌く炎を纏った。

噴き出す炎が、飛びついたアグニの加速を助長する。

 

 

雀「おお…!!。」

 

 

アグニ「ミノトンッ!。武人であるお前がそんなもんに呑まれてんじゃねェよッ!。ぶち抜けェェェッ!!。」

 

 

懐に拳を当てるアグニ。その威力はミノトンの身体を貫く。

 

 

アグニ「ヴォルケーノストライクッ!!。」

 

 

ミノトン「ぐおおおおおおおッ!!。」

 

 

轟炎に包まれながら、俯くミノトン。

スキアヘッドは退き際を見出す。

 

 

スキアヘッド「…頃合いか。帰還。」

 

 

アンダーグエナジーを放出させると同時にミノトンを回収。

その場から姿を消した。

戦闘を終えたアグニは炎をかき消し、一息つく。

 

 

アグニ(アンダーグ帝国まで来やがった…戦いは激化ってか…。)

 

 

アグニの服の袖を、雀が掴む。

 

 

アグニ「な…なんだよ…。」

 

 

雀「あたし、君についていくッ!。「海祇機関」が仕掛けてくるだろうし、しっかり守ってね!?。」

 

 

目をキラキラさせる雀。

アグニは、こう思った。

 

 

………厄介なものに懐かれたな…っと…。

 

 

………………end。

 




防人の一人「加賀城雀」を保護した3人。

アンダーグ帝国までもがこの世界にやってきていたことに、難色を示す。

他の防人たちの行方は分からず、雀本人もバラバラとなって以降は定期的にゴールドタワーに戻っていただけという。

だが、状況は把握した…防人たちは「海祇機関」に抵抗していることを。


そして、千景の次の一手が彼らを襲う…。

次回
第64話 狙いはプリキュア、絶体絶命のツバサ。
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