〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


防人の一人「加賀城雀」を保護した鷹夜とあげは、夏凛。

だが、彼女に襲い掛かっていたのはアンダーグ帝国のミノトンだった。

予期せぬ相手に、戸惑いを見せるも何とか撃破。しかし、思いがけない敵の参戦に状況
は悪化したも同然だった。

戦闘を終えた3人は、雀を連れて帰還するのだった。


第64話 狙いはプリキュア、絶体絶命のツバサ。

ソラ「なるほど…アンダーグ帝国までもが…。」

 

 

事の報告を行う鷹夜の言葉を聞き、表情が曇るソラ。

こんな状況で、彼らまでもが現れたとなると看過できない。

狙いは何だ…エルなのか?。

嫌な事ばかり、考えてしまう。

 

 

友奈「それって、ソラちゃんたちの敵だよね?。」

 

 

ツバサ「はい。プリンセスを狙う悪の帝国です。まさか、プリンセスを追ってここまで?。」

 

 

おもちゃで遊ぶエルを見て、悲痛は表情をするツバサ。

だが、無垢な彼女にそんな顔は見せられない。

すぐに、表情を戻す。

 

 

鷹夜「いや。そんな感じじゃなかったぜ?。なんか…俺達を狙っている感じがした。」

 

 

あげは「うん。ミノトンまでおかしなことになってるし…スキアヘッドの考えてる事なんて理解できないよ。」

 

 

風「そっか…相手の考えていることだもの。理解できなくて当然ね?。まあ、それは置いといて…鷹夜、あんた…背後霊でもいるの?。」

 

 

鷹夜「…ああ…これね…。」

 

 

自分の後ろに隠れている雀に目を向ける鷹夜。

少し、諦めた表情で一同を見る。

 

 

雀「ひいい…な…なんですかッ!?。」

 

 

夏凛「何ですかって…あんた会ったことあるでしょ。何、もう忘れたの?。」

 

 

雀「いや…覚えてるけど…その…知らない人がいっぱいだなぁって…。」

 

 

ソラ「私、ソラ・ハレワタールですッ!!。貴女の名前はッ!?。」

 

 

雀「ひいいいッ!!?。」

 

 

鷹夜「ああ、ソラ…あんまりグイグイ来ないでやってくれ。コイツ、極度の怖がりみてェなんだ。」

 

 

ソラ「え…そうなんですか?。それにしても、素行の悪そうな鷹夜さんについてるのも不思議だと思いますけど…。」

 

 

鷹夜「悪かったなッ!?。」

 

 

雀「ま…守ってもらうのッ!。じゃないと、死んじゃうからッ!!。」

 

 

ツバサ「え…ま…まもッ…?。」

 

 

鷹夜「ああ、気にしないでくれ。コイツの口癖みてェなもんだから…。」

 

 

夏凛(ああ…確かこの子、強い人についてまわる感じがあったわね…楠が居ないから、今は鷹夜についてた方が生存率が上がるって考えたわけね…。)

 

 

蒼葉「お前に聞きたいことがある。他の防人達はどうした?。」

 

 

蒼葉の問いかけに、雀の表情は曇る。

 

 

雀「ゴメン…わかんないんだ。」

 

 

樹「え…?。」

 

 

雀「突然、ゴールドタワーが包囲されたから何が何だか分かんなくて…みんな、どうしてるかも分からない…でもきっと、メブは捕まってると思う。だって、あたし達を逃がすために一人で残ったから…。」

 

 

夏凛「楠…あんた…。」

 

 

雀「あのね、あたしがあそこに居たのは定期的に戻れば誰かいるかなってそう思ったからなの。でも誰も帰って来ないし…ねェ、この世界はどうなっちゃうの?。もう、バーテックスもいないのにいつまでこんな怖い思いしなきゃいけないの?。勇者の貴女たちなら…どうにか出来るよね?。」

 

 

鷹夜「…勇者だって、人間だ。あんまり期待を寄せるのはやめとけ。」

 

 

雀「ご…ごめん…。」

 

 

鷹夜「安心しろ。必ず何とかしてやるから。それを止めるために俺達はここにいる。お前らの仲間も探して、元の世界に戻してやる。だから協力してくれ。俺達にはお前たち防人の力が必要なんだ。」

 

 

雀「う…うん、わかった…その代わり、あたしを守ってねッ!?。」

 

 

鷹夜「はいはい、ちゃんと守りますよっと。」

 

 

ツバサ「しかし…事は悠長に構えてられませんね。他の防人の方まで捕まってるとなると…。」

 

 

風「ええ…助け出したいところだけど…。」

 

 

ツバサ「僕が調べます。空を飛べますし…機動力なら自信がありますから。」

 

 

あげは「危険だよ少年!。相手はまだ底をみせてないじゃん!!。」

 

 

ツバサ「任せてください。きっと、役に立って見せますから。」

 

 

そう言って、ツバサは部屋を後にする。

直後、変身して飛び立った。

 

 

あげは「少年…。」

 

 

風「…一応、私も出るわ。なんか思い詰めてたようだし…。」

 

 

あげは「ごめん風。何かあったら連絡して?。すぐに駆け付けるから…!。」

 

 

ウインクし、風も後にする。

部屋には一時の静寂が漂っていたが、とりあえずはツバサの行動を信じることにした。

 

 

……………………。

 

 

~「海祇機関」~

 

 

千景「…やはり、動いたわね。」

 

 

調査の為に外に出たウイングをモニター越しに観察する千景。

チェスのコマに見立てた一同のデータを見ながら、考えを巡らせる。

 

 

千景(どうやら、彼らは私が勇者への対策を講じていることを見抜いているはず…なら、必然的に動きを見せるのはプリキュア。)

 

 

不敵な笑みを浮かべながら、キュアウイングの能力を分析する。

 

 

千景(悪いわね…私、勝負となると勝ちに行くタイプなの。まずは彼を落として戦力を削ぐ。烈火とキュアスレイヤーは怪我により離脱…プリキュアさえ抑えておけば後は勇者だけ…そう、勇者は「絶対」に私に勝てない…勇者システムの全貌はこちらが掌握済…さ、ゲームを始めましょう。)

 

 

-狙いはキュアウイング、彼を落とせば…戦況はこちらに大きく傾く-

 

 

……………………。

 

 

ウイング(ここに来て、僕はまだ何も成せていない…。)

 

 

空を飛びながら、そう考えるウイング。烈火と洸の戦線離脱に、先ほどの雀の発言。

防人達の状況は、思っていたよりも最悪だった。

加えて、アンダーグ帝国の襲来…連戦続きで消耗の激しい仲間たちの助けになりたいと、この役を買って出た。

正直、個人の戦闘能力には自信がない。ましてや、あの烈火が一方的に敗北を叩きつけられたのだ。

残るは鷹夜とソラ…勇者達も頼りたいが対策されている以上、烈火のような事態になりかねない。

 

せめて、仲間の為に役に立たなければ…。

焦りから、ウイングはそう思う。

 

しかしその時、一発の銃声が聞こえたと同時に右足を掠っていく。

 

 

ウイング「なッ!!?。」

 

 

バランスを崩して落下。なんとか木に引っかかり地面への激突は免れた。

奇襲を受けたウイング。その視線の先には同じく「飛行能力」を持つ疑似勇者が居た。

 

 

「…機動力は奪った。あとは嬲るだけ。」

 

 

か細い少女の声。手に持つものは東郷と同じタイプの狙撃銃。

攻撃の正体に気付いたウイングは地面に落下して木々の間に隠れる。

 

 

ウイング(しまった、足をやられた…このタイミング…まさか、見られていた!?。)

 

 

隠れながら、策を練っていたがなんと弾が前方から飛来。右肩に直撃する。

 

 

ウイング「ぐううッ!?。(…跳弾!?。位置を把握されている!?。)」

 

 

右肩に走る痛みに耐えながら、飛行するウイング。

ボトボトと落ちる血を気にせずにその少女に向かい合う。

 

 

ウイング「貴女は…!?。」

 

 

美夏「九条美夏。千景様の命により、貴方を戦闘不能にする。」

 

 

容赦なく放たれる弾丸。間一髪、避けたウイングは距離を詰めるために接近する。

 

 

ウイング「くッ…今度の狙いは僕かッ…!。」

 

 

接近して足技をメインに仕掛けるも、先手で撃たれた右足の反応が遅れてしまう。

そのせいで満足に仕掛けられず、空を切っていく。

 

 

ウイング「やられて…たまるか…ッ!。」

 

 

同じ空中戦なら、自分に利があると思った。しかし…

 

 

美夏「最短で終わらせる。」

 

 

ハンドガンタイプへと切り替え、近距離射撃。

弾丸ではなく、ワイヤーを射出してウイングの身体を切り裂いた。

 

 

ウイング「がああ…ッ!!。」

 

 

思わず落下し、地面に叩きつけられるウイング。

ゆっくりと立ち上がって美夏を見据える。

 

 

美夏「殺しはしない、ただ…このゲームから離脱してもらうだけ。」

 

 

ウイング「…ゲーム…!?。」

 

 

美夏「ええ、千景様のこの壮大な計画にあなた達は邪魔でしかない…どうやら、千景様はあなた達を削いでいくのをゲームとして認識しているみたい。」

 

 

ウイング「…何がゲームだ…人の命が掛かっているのにッ!!。あなた達がやっていることは…あなた達がされてきたことを世界に向けて仕返ししているだけの…横暴だッ!!。」

 

 

美夏「なんとでも言えばいい。理解し得ないなら、話し合う必要もない。私たちは私たちで復讐を成すだけ…さあ、ゲームオーバーね。」

 

 

額に向けられる銃口。絶体絶命…ウイングは歯を食いしばる。

しかしその時…。

 

 

「だりゃあああああああッ!!。」

 

 

凄まじい一撃が美夏に襲い掛かる。

思わず避ける美夏。その攻撃に主は、ウイングを追いかけてきた風だった。

 

 

美夏「犬吠埼風…勇者のリーダー…ッ!!。」

 

 

風「なんとか間に合ったようね、大丈夫ツバサ!?。」

 

 

ウイング「風さん!?。何故ここにッ!?。」

 

 

風「あんたが思い詰めてたから追いかけて来たのよ。そしたら、何?。こんな大物を釣っちゃってさ!?。」

 

 

ウイング「お知り合いですか…?。」

 

 

風「他校の生徒よ。クレー射撃で四国一に輝いた天才スナイパー。東郷よりも射撃の腕は上よ。ま…事故の怪我が原因で引退を余儀なくされたって聞いたけど…まさか疑似勇者になって世界に反旗を翻してるなんてね。」

 

 

美夏「貴女には関係の無いこと。」

 

 

風「ええそうね、関係ないわ。あんた達がどんな憎悪を抱いていようともね!。ただ、私の大事な仲間に手を出すなら容赦しないって言ってんの!。」

 

 

風はウイングの元に駆け寄る。

 

 

風「ツバサ、あんたは役に立ってないと思ってる…そうでしょ?。」

 

 

ウイング「ッ…はい…。」

 

 

風「確かに、周りに腕っぷしの強い男子に囲まれてたら肩身が狭くなるのも分かるわ。けどね、あんたの本質はそこじゃないでしょ?。」

 

 

ウイング「本質…?」

 

 

風「そう。鷹夜に烈火、洸は前線で輝くタイプで蒼葉は頭脳派…それぞれに役割がある。だけどあんたもあるのよ?。その機動力で幾度とソラ達を助けて来たんでしょ?。」

 

 

ウイング「あ…。」

 

 

風「あんたの本質は「連携」にある。それは鷹夜達が持ってないもの…あいつらもあんたのサポートがあるから前に進んでいける。だから、焦らなくてもいい…あんたはあんたの本質で戦えばいい。私が前に出るから、あんたはサポートでよろしく!。いけるッ!?。」

 

 

ウイング「ッ…はいッ!。飛ぶくらい、なんともありませんッ!。飛べることは僕の長所です、風さんが戦いやすいようにサポートしますよッ!!。」

 

 

風の言葉に励まされたウイング。

傷を気にすることなく立ち上がり、改めて自分の「立ち位置」を把握した。

焦らなくてもいい…仲間たちは自分の役割をちゃんと理解している。

その上で、自分に出来ないことは他の仲間たちに絶大な信頼を抱いている。

自分の持っている「本質」が信頼されている…それだけで、ウイングは戦えると思えた。

 

突っ込む風。それを迎撃せんと飛び交う銃弾。

しかし、ウイングが真空波を放って弾丸の軌道をずらす。

風に並走しながら、彼女の間合いを確保していく。

 

 

美夏(動きが変わった!?。マズイ…犬吠埼風の距離にするわけには…!。)

 

 

ハンドガンタイプに切り替え、接近する風に乱射するも並走するウイングがそれを妨害する。

しかし、受けた傷によりウイングの動きが落ちてくる。

それでも、信頼されていることに自信を付けたウイングは風の距離にすべく、美夏の一手を潰していく。

 

そして、ようやく距離を詰めた風は大剣を振りかざす。

 

斬られることに、死の恐怖を感じた美夏は目を閉じてしまう。しかし、風が放った一撃は…大剣の腹を突き出した強烈なタックル。受けた美夏は吹き飛ばされ、地面を転がっていく。

 

 

風「はぁ…はぁ…どうよッ!。これぞ連携の力!!。」

 

 

美夏「げほッ…何故、斬らない…!?。」

 

 

風「私たちは殺し合いなんてゴメンよ。あんたたちの計画を阻止して、この事態をなんとかしたいだけ。帰って伝えなさいよ。いくら刺客を送ってこようが、私たちは諦めない…必ず、あんたの計画を潰すからって。」

 

 

美夏「…ここで私をやらなかったことを…後悔する…!。」

 

 

そう言って、空を飛んで撤退する美夏。

戦闘を終えた2人も変身を解く。

 

その帰り道…ツバサは風に礼を言う。

 

 

ツバサ「ありがとうございます、風さん。僕が間違ってました…鷹夜さん達のように前線で戦えたらってそう思って…。」

 

 

風「ま、仕方ないわよ。あんなのに囲まれてたら男子ならそう感じるでしょ。でもね…私たちもバーテックスとの戦いで自分の役目を理解して戦ってた。そうでもしなきゃ、生き残れなかったからね。」

 

 

風「だからさ、あんたも自分の役割で戦えばいい。私たちは仲間で…チームなんだから。」

 

 

ツバサ「はいッ!!。」

 

 

自分の「役割」を改めて理解したツバサ。

 

仲間の為に、戦況を有利に運べる「風」になろう…。

 

翼を得た少年は、そう思うのだった。

 

 

…………………end。

 





常に前線で戦う主戦力の離脱から焦るツバサ。

窮地に陥ったが、風の参戦と彼女から励ましを受けたツバサは自分にしかできない「役割」を自覚した。

その結果、離脱者無しで疑似勇者を退けることに成功した。

時は数日後、千景は冷静となり、次の一手を模索する。

その瞬間を見計らって、東郷と蒼葉は防人を探すべく、行動に移る。

正直、人間関係が劣悪な2人の前に「怨嗟の星屑」と新たな「シン・バーテックス」が襲来。
2人は異空間に閉じ込められ、完全に孤立無援となる。

連携も取れない2人は、果たしてこの窮地から脱出できるのか…。

次回
第65話 犬猿の仲、美森と蒼葉。
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