〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

71 / 146
前回のあらすじ。


海祇機関とアンダーグ帝国に挟まれ、三つ巴の構図となったこの戦い。


風は単身、アンダーグ帝国のスキアヘッドと対峙する。
ソラ達でも苦戦を強いられる相手に、風は強敵と会敵したことに思考をフル回転させる。

この最強の敵に、どう立ち向かうのか…。


第68話 激戦、三つ巴の戦い・中編。

 

スキアヘッド「どうした、私を抑えるのではなかったのか?。」

 

無情に放たれるスキアヘッドの攻撃。

威力がある分、隙の大きい大剣では受け流すことしかできない。

徐々に身体が削られていく中、風は機会を伺う。

 

風(参ったわね…バーテックスとの戦いとは全然違うから、いまいち反撃の機会が掴めない…ソラ達はこんなヤバいのを相手にしているの…!?。)

 

 

スキアヘッド「跳躍。」

 

 

風「なッ!?。」

 

空間転移ゲートを開いて風の背後に回り込むスキアヘッド。

予想外の動き…風は反応が遅れてしまう。

 

スキアヘッド「穿て。」

 

細いレーザーを指先から放つ。それは風の左肩を貫いていき、激痛に顔を歪める。

更にスキアヘッドは吹き飛ぶ風に追撃を掛けるかのように、大型のエネルギー弾を放った。

流石に直撃は貰えない…そう考える風は大剣の腹を突き出してその攻撃を受け止める。

徐々に押され、貫かれた左肩から血を噴き出すもなんとか受け流し、それは左側で爆発した。

 

風「はぁ…はぁ…どんなもんよ…ッ!。」

 

 

スキアヘッド「フン、言動の割には余裕がないようだが。」

 

 

風「ぶっ飛ばす前に聞いてあげる…あんた達アンダーグ帝国は何が目的でここに来ているのッ!?。」

 

 

スキアヘッド「全てはカイゼリン様の命によるもの。私はこの世界に残存する「神の枝」を持ち帰るよう命じられている…。」

 

 

風「神の枝!?。何よそれッ!?。」

 

 

スキアヘッド「貴様たちが知る必要は無い。私が知っていればそれで良い。死にゆく者に無駄な知識は与えん。」

 

 

風「誰が…死にゆく者ですって!?。」

 

 

気合を入れ直した風は大剣を前方に構える。

そして、力を溜め込むと黄色い花びらが辺りを舞う。

 

風「あんた達の目的なんて知らないけど、いきなりやってきて殺すなんて言われたら抵抗はするわよッ!。それに、そのカイゼリンとかいう奴がこの世界の事をどれだけ知っているかなんてわからないけどね!。人様の土地に踏み込んで勝手な真似はさせないってッ!。」

 

跳躍。

風は全体重を乗せた斬撃を放つ。

それは地面を抉りながら突き進み、スキアヘッドを切り裂かんと迫りくる。 

だが…。

 

スキアヘッド「ふむ…。」

 

片手を突き出してその一撃を「消した」。

何が起きたか全くわからない風…よく見ると、スキアヘッドの手の平には極小の異空間ゲートが形成された。

 

そう…あの斬撃を「飛ばした」のだ。

 

次元の違うその力に、風は絶望する。

全力の一撃…今持っている全てを乗せた一撃が簡単に防がれてしまったのだ。

どう勝てばいい…どう詰めればいい…風の思考はパニックへと陥る。

 

スキアヘッド「絶望する必要は無い。お前の事は知識の宮殿に記憶しておく。だが、残念だ…勇者の力はこのようなものか?。まさか、あそこにいる者が中心というわけか…。」

 

スキアヘッドの視線の先。

そこは、千景と激闘を繰り広げる友奈の姿があった。

 

風「あんたまさか…!。」

 

 

スキアヘッド「あの娘から強い力を感じる…なるほど…奴が「中心」か。」

 

飛び出したスキアヘッドは、2人の戦いに割って入ろうとする。

しかし、風がそれを遮った。

 

スキアヘッド「…無駄な事を。」

 

 

風「させないって言ってるでしょッ!。」

 

大剣を横薙ぎに振って、スキアヘッドを弾く。

着地したスキアヘッドはズレたモノクルを整えて両手を後ろで組む。

 

スキアヘッド「力の差は歴然だ、何故邪魔をする?。」

 

 

風「そんなの…決まってるでしょッ!。」

 

地面を蹴って飛び出す風。大振りを放つもやはり当たらない。しかし、それでも振り続ける。

少しでもいい、スキアヘッドの目線をこちらに向ければ他の仲間は有利に立ち回れる。

だからこそ、自分が倒れるわけにはいかない、例え敵わない相手だとしても。

諦めずに立ち向かえばきっとそこに…活路はある。

 

傷だらけとなりながらも、風は不慣れな手数で攻めていく。

その粘りに、スキアヘッドは徐々に苛立ちすら覚えてくる。

 

スキアヘッド「私は、無駄が一番嫌いなのだ。その足掻きが無駄という事を知れ。」

 

振り終わりの隙を逃さないスキアヘッド。

風の背後をとってエネルギー弾を直撃させる。

 

背中に焼けるほどの苦痛が走る。

しかし、それでも風は倒れない。

 

風「ぐうう…ッ…まだまだ…こんなもんじゃないわよ…ッ!?。」

 

縦一閃に振り、斬撃を放つ。だがそれも通じない。

きっと、コイツには何をしたっても敵わないだろう…だが、時間さえ稼げれば何とかなる。

 

そう信じて、強敵に挑む風。しかし、スキアヘッドはそれを待たない。

 

スキアヘッド「その粘り強さは感服しよう。だが…やはり、無駄には変わりあるまい。」

 

両手を突き出すスキアヘッド。そこに、膨大なアンダーグエナジーが溜め込まれる。

 

大技が来る…そう感じた風は先に一手を放とうと賭けに出た。

 

スキアヘッド「爆ぜろ。」

 

その一言。

極大エネルギー波を放ち、それは確実に命を刈り取るもの。

 

予想よりも早い…突っ込んだ風は回避が取れない。

 

そして…直撃。悲鳴すらあげる暇もないほどの威力。周囲の建物を破壊しながら風は吹き飛ばされた。

 

風(これ…ダメなやつだ……。)

 

限界が来た…風はとうとう、倒れてしまったのだ。

 

朦朧とする意識、血溜まりに沈む自分。

死はすぐそこにまで迫っていた。

力が全く入らない…だが無情にも、自分の目の前にはスキアヘッドが立っていた。

 

スキアヘッド「チェックメイトだ。さぁ…この世に別れを告げよ。」

 

手のひらに籠るエネルギー。

低出力でも、命は取れる。そして、風はそれを見て…諦めかけた。

 

だがその時、脳裏に映るものがあった。

 

樹だ。

 

自分が居ないとどうにかなりそうな妹…両親が死んでから守ると決めた妹。

 

樹を置いて死ねるのか?。いや…そんな事は出来ない…夢の果てを見るまでは死ぬわけにはいかない…そして…自分の手からちゃんと飛び立つまでは…守り続けるんだ…!。

 

その瞬間、風の「意思の華」が…開花した。

 

スキアヘッド「むっ…何が起きている…?。」

 

トドメを刺そうとしたスキアヘッドは本能でそれを察知。

距離を取る。

 

風の身体を纏うように輝く光。そして…叫ぶ。

 

風「「満開」ッ…!!。」

 

姿を変える勇者装束。神道の神官をイメージさせる服装。

 

そして手に持つ大剣はより強化されて。

 

スキアヘッド「…これがそうか…。」

 

一呼吸、整える風。目を見開いた瞬間、スキアヘッドの頬に傷が入った。

 

スキアヘッド「…何…?。」

 

 

風(満開)「まだ死ぬわけにはいかないのよね…だって、樹の晴れ舞台を見てないから。それに…!。」

 

跳躍した風は大剣を突きつける。

しかしその速度は刀の如く、俊敏で精度は抜群。スキアヘッドの防御が間に合わないほどの速度だった。

刺さりはしなかったが、吹き飛ばされるスキアヘッド。ただでさえ一撃が重い大剣を風は片手で振るう。

 

 

風(満開)「まだ部長だからさ、守らないといけないんだよね…部のみんなをッ!!。それに…ソラ達もッ!!。」

 

 

スキアヘッド(動きが変わった…なるほど…神の力ではなく人の力…全知全能とはまた違う力…これが、意思の力か…。)

 

竜巻のような斬撃の嵐を、スキアヘッドは冷静に受け流す。

だが、先ほどとは違って風も確実に追い込んでいく。

 

風(満開)「その余裕に陰りが出来てきた?。」

 

 

スキアヘッド「フン…余裕か…私は効率を重視する。強化されたのならやり方を変えるだけだ。」

 

両手に込めたそのエネルギーは怪しく輝く。

 

風(満開)(ハッタリじゃなさそうね…でも今なら、出来る気がする…ッ!。)

 

 

風(満開)「来なさいよッ!!。第2ラウンドは私が取らせてもらうからッ!!。」

 

 

スキアヘッド「…フン…生意気な…。」

 

 

その頃、アグニとバタフライは慎也と対峙。

やはり、その強さ故に2人がかりでも状況は互角だった。

 

 

〜アグニ&バタフライVS慎也side〜

 

 

慎也「どうした、もう終わりかい?。」

 

満身創痍となるバタフライ。防御主体の彼女を先に狙ったようで、度重なる打撃によって防ぎきれなかった一撃をもらい、片膝を付いていた。

 

 

バタフライ「…酷いじゃない、年長者から先に潰そうとするなんてさ…?。」

 

 

慎也「戦略的に見て、貴女を放置する方が危険だ。それに…彼は菱咲烈火と同じ…何とでもなりそうだよ。」

 

 

アグニ「テメェ…舐め腐りやがって…ッ!。」

 

 

バタフライ「ストップ、タカ坊。あんたは怒ると冷静じゃなくなる…相手のペースに飲まれてるの、いい加減に理解しなさい?。」

 

 

アグニ「だがよ…ッ!?。」

 

 

バタフライ「いつもは冷静じゃん、全く…外道と分かればこうも周りが見えなくなる…昔っからそうよねあんた。」

 

 

立ち上がるバタフライは、歯を食いしばるアグニに目を向ける。

 

 

慎也「心外だね、外道呼ばわりはよしてもらいたい。」

 

 

バタフライ「いいえ、間違いなくあんた達は外道よ?。味わった悲しみを他の人に押し付けてるだけ…自分達が嫌な思いをしたからってそれを他に行使していい理由になんてならない。」

 

 

慎也「理解してもらおうとは思わないよ、僕達の気持ちは誰にも理解出来ない…千景様がいつも言っている、信じられるのは自分だけだと。」

 

 

バタフライ「それを聞いてもあんたは彼女に忠誠を誓うんだね?。だとしたら、可哀想だよ。だって、千景に信頼されてないって言ってるようなものだよ?。」

 

 

慎也「それでもいい…。」

 

その時、慎也の纏う雰囲気が一変する。

 

慎也「あの人に救われてからは付いていくと決めている…例え、信頼されていないとしても僕はあの人の盾となり、そして矛にもなるッ!!。あの人の願いを成就させるためなら、喜んで死ねるさッ!。」

 

 

アグニ「何だコイツ…バカじゃねェのかッ!?。狂った計画に死ねるだと?。」

 

 

慎也「あの人の掲げる世界は僕達のような踏み躙られて来た者が前を向ける世界だッ!。狂った計画などではない…僕達のような日陰者には救いの光なんだよ…ッ!。」

 

飛び出した慎也はハンマーを振るう。だが、バタフライがシールドでそれを防いだ。

 

バタフライ「それは理由でしかない…あんた達だって利用されてるんだよ!?。そして、千景は怨嗟に囚われている…強過ぎる怨嗟が正しい判断すら出来なくしてるのよッ!!。」

 

 

慎也「いいや違うねッ!。君達こそ、ただの理想を押し付けて来てるだけにしか過ぎない、だとすれば僕達のような踏み躙られた人間を救えるのかいッ!?。出来ないだろうね、だって君たちは興味すらないッ!。それは、わからないからだッ!。踏み躙られた事のない人間の発言にしか過ぎないッ!。」

 

 

アグニ「…いい加減にしろよお前…さっきから聞いてりゃ、情けねェ事ばかり言いやがって…ッ!。」

 

 

慎也の一撃を、アグニは片手で受け止めた。そしてハンマーを強く握り締める…振り解く事が出来ないほど強い握力で。

 

 

アグニ「結局、テメェらは救われることしか望んでねェ…千景に擦り寄って守ってもらおうとしてるだけじゃねェか。」

 

 

慎也「フン…それはそこに隠れている加賀城雀も同じじゃないか?。」

 

 

物陰に隠れる雀に目を向ける慎也。

気付かれた事に、怯えた目で雀は視線を逸らす。

 

 

アグニ「コイツがただの臆病者に見えるか?。俺はそうは思わねェぜ?。確かにコイツは、死ぬ死ぬと言って強い奴に擦り寄って来るどうしようもねェところもあるけどな…でも、その強い奴に守ってもらうために自分がそいつを守るんだよ。矛盾してるけどコイツは…誰かに死んでほしくないから自分が守りに出れるほど芯が強い奴だ。」

 

 

雀「タカ……。」

 

 

アグニ「それに比べてお前らはなんだ?。力を手にした途端に威張り散らしてるクソ野郎じゃねェか…千景の後ろ盾がなけりゃ、何も出来ねぇって言ってるようなものだぜ?。そんな奴らに負けるわけにはいかねェな…教えてやるよ、勘違い野郎。仁義…ってやつを。」

 

 

闘気を滲み出させるアグニ。

 

そしてこの戦いは…仁義の拳が炸裂する事になる。

 

………………end。

 




間違った力の行使に、アグニは仁義の拳を持って教える事にした。

しかし、憎悪というのは厄介だ…その拳を届かせるには並大抵のものではない。

烈火を倒した怨敵でもある…しかしそれ以上にアグニはこの「海祇機関」の理念が気に食わなかった。

叩きつけてやれ、その仁義の拳を…!。

次回
第69話 激戦、三つ巴の戦い・後編。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。