〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

スキアヘッドとの激闘を繰り広げる風。
圧倒的な力の前に追い詰められるが、死の寸前に「意思の華」を咲かせて「満開」を発動。戦いは振り出しへと戻される。

そして、慎也と対峙するアグニとバタフライ。

烈火を打ち破った実力は本物で、2人がかりでも画角の勝負を繰り広げる。
戦いの中で語られる彼の言葉に、アグニは真っ向から否定する。

力の使い方を間違えた奴らに教えることとする…仁義という力を。


第69話 激戦、三つ巴の戦い・後編。

 

慎也「仁義の拳?。フン、くだらない。」

 

 

アグニ「くだらねェかどうかは試してみねェと分からねェだろうが。」

 

炎を纏った拳を先手で放つ。

アグニの攻撃は確実に慎也を捉えるが、超反応でそれを回避。

横薙ぎに振ったハンマーはアグニを捉える。

 

雀「タ…タカッッ!。」

 

 

アグニ「慌てんな?。そら…よッ!。」

 

片手で受け止めるアグニ。受けきれない衝撃は、炎で迎撃する。

握りしめながら、睨みを利かす。

 

 

アグニ「聞かせろ、何故防人の奴らを追い詰めた?。」

 

 

慎也「何を言うと思えば…彼女達は、千景様の理念に従わない叛逆者だ。」

 

 

バタフライ「叛逆者って…あんた達のやり方に疑問を持ったからでしょッ!?。」

 

 

慎也「…神の時代はもう終わったんだ。これからは、人の時代となる…人が統治する上で必要なのは、統一だ。統制が取れない者は調和を乱す…大赦は全面的に千景様の支援をする事にした…つまり、大赦が認めたんだ。だから、千景様の理念がこの世界の理念となる。弱者も生きていける世界…それのどこが悪いと言うんだい?。防人達はそれに反対したんだ、なら…叛逆と同じだろう?。」

 

 

アグニ「聞こえはいいがな、お前らは自分達の住みやすい世界にしてェだけだろうが。この世界は誰のものでもねェ…人の時代になってんならみんなでやりゃあいい。統治者なんてもんを作るからややこしくなるんだッ!。全員が、同じ気持ちだと思うなよッ!?。」

 

 

慎也「語り合うだけ無駄だ、僕達は相容れない!。君たちも所詮、弱い人間の気持ちが分からない偽善者だッ!!。僕達はそいつらをこの世界から追い出すッ!。」

 

激しくぶつかり合う2人の打撃。

重い音があたり一面に響き渡る。

 

慎也「ぐっ…この…ッ!!。」

 

 

アグニ「お前らの背負う哀しみがどれほど大きいかなんてわからないし、否定も肯定もしねェよッ!。だがな、得られた力で仕返しのように復讐するのは違ェんじゃねぇのかッッ!?。それを成し遂げられても、お前らに何が残るッ!?。」

 

 

慎也「黙れッ!!。」

 

 

突きの挙動で、アグニの懐を捉えて突き飛ばす。

息が詰まりそうになるも、吹き飛びながらアグニは炎の弾丸をいくつも放つ。追撃で飛び出してきた慎也はその妨害に速度を落とした。

 

 

アグニ「何も残らねェよなッ!?。お前らの理想が成し遂げられても新たな恨みを買うッッ!。晴らした恨みの大きさだけ、同じ恨みが降りかかるんだッ!!。それをわかってんのかッ!?。」

 

 

慎也「くっ…何をッ!?。」

 

 

アグニ「そんな覚悟もねェ癖にッ!!。」

 

隙を突いて顎を蹴り上げるアグニ。さらに、拳を固めて今度は炎を纏ってないただの拳を慎也の頬に叩きつけた。

 

 

アグニ「世界を変えるなんて言ってんじゃねェッ!。お前らは千景に救いを求めてるだけだッ!。お前らが相手をしているのは…世界だぞッ!?。」

 

 

慎也「…だとしても…ッ!。」

 

体勢を立て直した慎也はアグニの顔面に拳を叩きつける。たまらず、仰け反ったアグニに最大の隙ができてしまった。

その刹那…横薙ぎに振ったハンマーが遂にアグニを捉える、

 

 

アグニ「がっはぁ…ッッ!?。」

 

 

慎也「踏み躙って来た者が痛みのわからない世界などあってはならないッッ!。奴らは裁きを受けるべきだ…やられる側に回った時に思い知る…無力さを、悔しさをッ!そして哀しみをッ!!。」

 

渾身の一撃。

それを受けたアグニはたまらず吹き飛んでしまう。

衝撃が物語っているのは、飛ばされた距離。

家屋を幾十にも突き破りながら、地面を転がる。

 

 

バタフライ「マズイ…ッッ!。」

 

 

慎也「世界を相手にしている自覚はある。だからこそ、この壮大な改革を成し遂げなければならない…そうすればもう、誰も踏み躙られる事がないんだ…危害を加える連中を恐怖で押さえつける…奴らがそうしたように、今度は僕達がそれを成すッッ!。邪魔はさせない…君たちには消えてもらうッ!。」

 

トドメの一撃を放とうと、ハンマーを振り上げたその直後。

炎が慎也の頬を掠っていく。目の前には、脇腹を抑えながら息を切らすアグニ。構えられた左手から炎が噴き出ていた。

 

 

アグニ「はぁ…はぁ…何…ベラベラと語ってんだよ…!。」

 

 

慎也「……驚いた。あれでまだ立てるなんてね。」

 

 

アグニ「これくらい…何発喰らっても問題ねェよ…舐めんじゃねェぞ。」

 

 

アグニ(肋が数本、イカれてる…まぁ…やれねェ事は無いか…!。)

 

闘志の炎は未だ揺るがず。

アグニは立ち上がっては、両手両足が燃え盛る。

口の端から流れる血を拭い、拳を鳴らす。

 

アグニ「大層な理由で結構な事だ。でもな…そのためにお前らが他人を踏み躙ってる事を理解してんのかって言いてェわけだ。まぁ…今更、語り掛けたところで意味はねェんだろうけどな…ッ!。」

 

 

地面を蹴って、スタートダッシュを切るアグニ。

振り下ろされるハンマーの軌道を読み切り、紙一重で避けては右ストレートで殴り飛ばす。

 

 

雀「タカ…ボロボロなのになんで…。」

 

 

バタフライ「まぁ…それがタカ坊だからね。アイツ、普段は熱くならないけどああ言う時だけは違うんだ。」

 

 

雀「どう言う事…?。」

 

 

バタフライ「仁義を賭けて戦う時は…勝つまで倒れない。ああいう奴さ。」

 

 

アグニ「でりゃああああッッ!!。」

 

 

アグニの猛攻に押されつつある慎也。入れた一撃はきっと重くないはずなのに、それでも攻撃のキレは弱まるどころかどんどん強くなる。

倒れないアグニに、慎也は次第に恐ろしさを感じる。

 

 

アグニ「友奈達がなんで、この世界を守ったかわかってんのかッ!?。」

 

 

慎也「な…何を…ッ!?。」

 

 

アグニ「そこに生きる奴らの幸せを願って自分達の意思で化け物と戦ったんだッッ!。それは、防人の奴らも同じッ!。」

 

信念が乗ったその攻撃に、慎也は耐えるどころかダメージをもらっていく。それでも止まらないアグニの攻撃はさらに苛烈さを増す。

 

アグニ「未来に繋ぐために戦ったんだッ!。お前らは自分達のエゴを押し付けてるだけッ!。お前らの味わった地獄を他人にも味合わせるために力で押し付けてるだけだッ!。そんな世界にするために勇者は身を犠牲にしたんじゃねェんだぞッ!!。

 

 

アグニ(そうだよな…若葉。お前は…お前達は未来に繋ぐためにあの時、バトンを渡してくれた…受け取った俺らが次は繋ぐ番…お前らが死ぬ気で守ったこの場所を…壊させやしねェよ。)

 

あの旅で心を通わせあった若葉を思い浮かべ、そしてこの地で幾百年もの歴史で散っていった勇者達の思いを乗せた拳に光が宿る。

 

その時、アグニの背中に西暦時代で発現した光輪が出現。

それは戦場を照らす。

 

慎也「なんだ…その力…!?。」

 

 

アグニ「歯ァ食い縛れよ馬鹿野郎…あいつらが…あいつが守り抜いたこの場所を滅茶苦茶にしたツケ…この1発ぐらいじゃ済まされねェぞッ!。」

 

魂を乗せた全力の一撃。渾身の一撃。思いを乗せた一撃。そして…仁義を込めた一撃。

その拳はとても大きくて、そして…慎也の頬を打ち抜いた。

 

慎也「がああ…ッ!!?。」

 

たった一発。

それだけで全てをひっくり返した。

地面に叩きつけられながら地を滑っていく慎也。

あまりの一撃に、意識を手放した。

 

擬似勇者外装が解け、その場に倒れ込む慎也を見たアグニも限界が来たのか、片膝をつく。

 

雀「タカッ!。すごい、すごいよッ!!。死んじゃわないよねッ!?。」

 

 

アグニ「ハッ…デカい声出すなって…傷に響く…へへ、約束通りに一発ぶちかましてやったぞ?。」

 

 

雀「うん…うん…ッ!!。」

 

 

アグニ(ちったぁ、考えを改めやがれ馬鹿野郎…人生、絶望ばかりじゃねェだろうが…。)

 

 

雀に支えられながら立ち上がったアグニは、気を失って倒れる慎也を見てそう呟く。

 

その一方、暴走したミノトンと激闘を繰り広げるマジェスティとスカイも、お互いにボロボロとなりながらも佳境に入っていた。

 

 

〜スカイ&マジェスティVSミノトンside〜

 

スカイ「ミノトンッ!。アンダーグエナジーなんかに負けないでくださいッ!貴方は敵でも、その気高さは尊敬に値しますッ!。」

 

アンダーグエナジーにより、理性を失ったミノトンは力の限り暴れ回る。

両者、ボロボロとなりながらも睨み合う。

 

マジェスティ「彼に纏わり付く闇がどんどん強くなってる…あのままだと彼自身の肉体も崩壊してしまうわ…!。」

 

 

スカイ「ッ…なんとしても止めないと…きっと彼はこんな戦いは望んでないはず…。」

 

 

暴走ミノトン「グオオオオオッ!。」

 

禍々しい気を放ちながら、口からアンダーグエナジーのブレスを放つ。

 

それは地面を削りながら突き進み、2人に迫る。

両手を突き出して受け止める2人。だが、あまりの出力に吹き飛ばされてしまう。

 

スカイ「あああッ!?。」

 

 

マジェスティ「くっ…時間を掛ければ掛けるほど、強くなって来ている…。」

 

 

スカイ「しかしそれでも、諦めませんよッ!。」

 

身体の傷を気にする事なく、スカイは突撃していく。

強靭なミノトンのパンチを避け、懐に一撃を入れていくが暴走の影響で痛覚がまるでないように、弾き飛ばす。

 

続いてマジェスティが蹴り技主体で攻め込むも状況は同じ。

あの腕に掴まれたら終了だ…そう思いながら、回避を織り交ぜた打撃を放っていく。

 

スカイ「ヒーローガールッ!。スカイパァァンチッッ!。」

 

拳に浄化エネルギーを込めて叩きつけたスカイ。

少し聞いたのか、一瞬仰け反るもすぐに闇を解放。取り着いたスカイを引き剥がす。

その瞬間、足を掴まれて地面に叩きつけられるスカイ。

あまりの衝撃とダメージで目の焦点が合わずに意識が一瞬だけ吹き飛んでしまった。

 

次の一手を食らえば確実に終わる…それを察したマジェスティが光を纏った打撃で拘束を解いてスカイを救出。2人は並び立つ。

 

スカイ「ごめんなさい…助かり…ました…。」

 

 

マジェスティ「!!。スカイ、血が…ッ!。」

 

 

スカイ「いえ、これぐらいはどうってことありません。それにしても、参りましたね…ミノトンのあの強さは常識を超えてます…しかも、時間が掛かれば掛かるほど強くなってる…きっと、スキアヘッドが制御しているからでしょう…。」

 

満開状態の風と激闘を繰り広げるスキアヘッドに目を向けるスカイ。

するとその時、ミノトンが苦しみ出して自分の頭を地面に叩きつけ出した。

 

暴走ミノトン「グオオオオオッ!?。ワレハ…ホコリタカキ…ッ!。」

 

 

スカイ「ミノトン……。」

 

 

マジェスティ「…賭けになるけど、やってみるしかなさそう…。」

 

 

スカイ「マジェスティ…何か策があるんですか…!?。」

 

 

マジェスティ「額…あそこに、闇のエネルギーを感じる。多分だけど、あれが受信機の役割を果たしているかもしれない。だったら、あれを浄化すればミノトンは元に戻るかもしれない…あくまで可能性だけど…。」

 

 

スカイ「いえ…考えられる可能性は全てやってみましょう。時間がない、ミノトンが崩れる前に彼を闇から解き放ちますッ!!。」

 

意を決した2人は突撃。浄化はスカイが請け合い、露払いはマジェスティが行うこととした。

敵意を表すミノトンの攻撃を、マジェスティが捌いていく。だが、パワーを行使した攻撃は流石に捌ききれずにダメージを負う。

 

 

スカイ「マジェスティッ!。」

 

 

マジェスティ「私のことは気にせずに行ってッ!。チャンスは一度しかないッ!。」

 

 

スカイ「はいッ!!。」

 

ミノトンの猛攻を全て受け切るマジェスティ。彼女を信じて、スカイは跳躍する。

 

 

スカイ「ミノトンッ!。貴方を救いますッ!。ヒーローガール…スカイパァァンチィイイイッッ!!。」

 

浄化エネルギーを込めた一撃が、額に打ち込まれる。

しかし、溢れ出すアンダーグエナジーにより押し負けそうになる。

 

スカイ「ぐううう…うううッッ…!?。」

 

徐々に押し返されていき、このままいけば弾かれそうな勢い。

しかしそれでも、スカイは諦めない。救うと決めたものは絶対に救ってみせる。

その強い気持ちが、彼女の諦めない心を助長させる。

その時……。

 

-そのまま貫いてください、大丈夫…私が力を貸しますー

 

 

スカイ「!!!。この声…もう1人の…ッ!?。」

 

スカイにしか見えない幻影。

そう…この世界で英霊となったもう1人のソラが力を貸してくれていた。

スカイの拳に手を添えると、その輝きはより一層増す。そして…。

 

 

スカイ「…私はヒーローになりますッ!。目の前で苦しんでいる人を救ってみせるッッ!敵も味方も関係ない、私は…手を差し伸べる人の手を絶対に取るんですッッ!!。シャイン…スカイパァァンチィイイイイイイッッ!!。」

 

怒涛の勢いでアンダーグエナジーを押し切り、そしてとうとうミノトンの額を打ち抜く拳。

光のエネルギーが溢れ出し、闇を浄化していく。

ミノトンを蝕んでいたアンダーグエナジーは消散。そのまま後方に殴り飛ばした。

 

 

スキアヘッド(なんと…アンダーグエナジーが…?。)

 

 

スカイ「はぁ…はぁ…はぁ…ありがとう…もう1人の私…やっぱり貴女はこの世界で英霊になれたんですね…。」

 

何も語らずに、笑みを浮かべたまま消え去るもう1人のソラの幻影。

だが、その拳に込められた温もりはそのままで。

 

死闘により、ミノトンと慎也を撃破。

 

次の視点は友奈と千景。

 

そしてこの2人の戦いは…壮絶を極める。

 

…………………end。

 




信念を掛けてアグニは慎也を、スカイはミノトンを撃破。

残るこの戦いはスキアヘッドと千景…そして、スキアヘッドが放った大量のランボーグ達。

友奈と千景は互いに死闘を繰り広げ、両者共に命を燃やしていく。

戦いの天秤はどちらに傾くのか……。

次回
第70話 救済の拳と怨嗟の鎌。
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