〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。


雀宛てに匿名で届いた「防人達の情報提供」。

その送り主は巫女の「国土亜耶」だった。

聞かされたその事実に、驚愕する鷹夜。

彼女の身を案じて帰還しようとしたその時、新たな疑似勇者が現れる。

手負いの自分しか戦えないこの状況…鷹夜はどう切り抜けるのか…。


第73話 勇気ある一歩、難攻不落の雀。

鷹夜「雀、亜耶を全力で守れ。捕まったら多分…殺されちまう。」

 

 

雀「タカはどうするのッ!?。」

 

 

鷹夜「…コイツを抑え込む。どうなるか分からねェが…亜耶の持っている情報は防人達の安否だけじゃねェ…俺達の今後にも左右しかねない情報だ。」

 

鷹夜はキュアアグニに変身。日本刀を構える蓮に向かっていく。

 

蓮「はは、噂のプリキュアとやらはどんなに強いんだろうな!?。あのスカイランドの剣士並みにやれるのか!?。」

 

戦闘を前に高揚する蓮。

はっきり言って、戦闘狂の類だ…戦う事を楽しんでいる。

こういった人間は迷いがない…これまでの疑似勇者とは常軌を逸している。

よりにもよって、こんな時に純粋な力比べとは…。

受けた脇腹の傷を抑えながら、アグニは拳を振るう。

 

蓮「おっと、凄まじいパンチ力だな!?。当たったら終わりかもな!。」

 

 

アグニ「…嘘つけ、全然耐えるだろうが…ッ!。」

 

対峙する2人。雀は戦闘装束を身に纏い、盾を前面に押し出して亜耶を守る。

 

亜耶「あの人、大丈夫なんでしょうか!?。怪我してるんじゃ…。」

 

 

雀「大丈夫、タカならなんとかしてくれるはずだから…。」

 

そう、必ずなんとか切り抜けられる。

そう思っていた雀だが何か様子がおかしい。

 

アグニ「ちィイッ…!。」

 

 

蓮「どうしたどうしたぁ!?。そのままだと削られるだけだぞ!?。」

 

凄まじい剣戟の嵐。まるで竜巻のような斬撃がアグニの身体を削っていく。

避けようにも、脇腹の傷が邪魔をして満足に動けない…それどころか、痛みが襲って判断力が鈍ってくる。

まだこんな手札が残っていたのか…。

耐えながら、アグニはそう思う。

 

アグニ「離れろ、クソ野郎がッ!!。」

 

炎を纏い、放出させるアグニ。

焼かれまいと、蓮はバックステップで避ける。

 

蓮「フウウッ!。危ない危ないッ!!。」

 

 

アグニ(コイツ…あの慎也って奴より強ェ…戦うことを純粋に楽しんでやがる…!。)

 

 

蓮「お前、俺が他の疑似勇者達みたいに闇を抱えてるって思ってるな?。」

 

 

アグニ「…そういう集団だろうが…ッ!。」

 

 

蓮「まあ、的は射っているな。だが、俺は違う…俺はただ、戦うことが大好きなんだ。弱い奴には興味はない…「海祇機関」に入れば、今の力以上にデカい力を手に入れられるって千景さんから聞いたんだ…景色がガラリと変わったよ。ずっと退屈だったんだ…弱い奴ばかりでさぁ!?。」

 

閃光のような横薙ぎ。

アグニは両足に炎を纏って一気に噴出させ、その跳躍力で回避する。

だが、激しい動きをしているせいで脇腹の痛みが強くなる。

 

アグニ(やべェ…手負いじゃあ、これが精一杯かよッ!。)

 

 

蓮「おいおい。避けることしかできないのか?。期待を裏切るんじゃないよ…少なくとも、あの楠芽吹はちゃんと強かったぞッ!。」

 

 

雀「え…メブ…?。」

 

 

亜耶「…芽吹先輩を倒したのはあの人です…他の防人を逃がすことを優先していた芽吹先輩は全力が出せませんでした…その隙を突いてあの人は芽吹先輩に勝ったんです…!。」

 

 

雀「な…アイツが…メブを…!?。」

 

 

蓮「拍子抜けだな。まあいいさ、どのみちここにいるお前たちは死刑だ。その前に、国土亜耶には洗いざらい話してもらうが…これも、千景さんの命令なんでね。」

 

 

アグニ「させねェぞ…この外道が…!。」

 

 

蓮「口では何とでも言えるさ。でも実力社会なんでね、今は。勝った方が正しい…そういう時代へとシフトされるのさ…!。」

 

喉元を狙った正確な突き。

身体をズラしてなんとか避けるも、右肩が貫かれてしまう。

 

アグニ「ぐううッ…!。」

 

 

蓮「キュアアグニ…残念だよお前。あの須藤を退けたって聞いたから来てみたものの…手負いの状態でこの俺と戦うなんざ無謀だぞ。」

 

 

アグニ「…はは、手負い…ねぇ…。」

 

 

蓮「…何がおかしい…?。」

 

 

アグニ「テメエ、俺が万全じゃねぇのが分かってて仕掛けて来てんだろ…何が弱い奴に興味は無ェだ…確実に勝てる場面で攻めてくる…要するにお前、卑怯者なんだよ。」

 

 

蓮「なんだと…?。」

 

 

アグニ「負けたくねェだけだろ…その為にテメエは相手の状況を見る。腕っぷしは確かに強ェが…勝つことにこだわり過ぎて卑劣な手段も辞さねェスタンスだ…違うか?。」

 

 

蓮「…フン。」

 

瞬間、アグニの頬に刀傷が入る。

 

蓮「負けることがうれしい奴なんてこの世に居ないだろ?。最強の座を維持するためには勝ち続けること…手負いでもなんでも、弱い奴が悪い。俺は剣道では負けなしだった。周囲の期待に応えて負けることが出来ない状況でも勝つことを目指さなければならなかった…それを重圧には感じなかったが…どんな状況であれ、強い奴を打ち負かす快感を忘れられなくてな…つい、場を選んでしまうのだよ。」

 

 

アグニ「へ…気持ち良いくらいに外道だな?。逆に感心したよ。」

 

 

蓮「楠芽吹を倒して次はお前…そうだな、次は三好夏凛を狙うとするか…剣の腕は確かみたいだし…疲弊したところを突けば狩れるのは確実だ。」

 

 

アグニ「へ…夏凛は強ェぞ?。テメエの卑怯なんて通じねェほどにな…!。」

 

 

蓮「何とでも言えばいい。卑怯でもなんでも…勝てば正義だ。さあ、死んでくれ?。手ごたえが無かったってことで。」

 

無情にも振り下ろされる刃。

それは、アグニの頭上を捉えていた。

覚悟を決めるアグニ…しかし、その時…。

 

雀「ダメェェェェェェェッッッ!!。」

 

 

アグニ「なッ…!?。」

 

飛び出してきた雀が、盾を展開。

シールドを形成して蓮の斬撃を弾き飛ばした。

 

アグニ「何してやがるッ!。亜耶を守れッ!。」

 

 

雀「今、危ないのはあややじゃない!。タカだよッ!。このままじゃ、タカが死んじゃうッ!。」

 

目尻に涙を浮かべながら、シールドを張り続ける雀。

怖いのか、身体が震えていた。

 

蓮「…護盾型か…対策は分かっている。無駄なことを…雑魚は雑魚らしく…!!。」

 

凄まじい斬撃の嵐を繰り出す蓮。

しかし、シールドを砕きながらも尋常じゃない形成力に負けているのか、攻撃の手数に対して破砕が追いつかない。

 

蓮(どうなっている!?。護盾型はせいぜい張れても2~3枚程度が限度なはず…なんだコイツの防御力は…!!。)

 

 

アグニ「雀…お前…。」

 

 

雀「タカ、言ってくれたよね?。私は勇気がある奴だって。ゴメン、それは絶対にないけど…でも、私を守ってくれる人が死ぬのは嫌…だから、私が守らないといけない…怖いけど…そうでもしないとみんな死んじゃうんだ…人って簡単に死ぬの…だから…守って守られて…生きて行かなきゃいけないんだぁあああッ!。」

 

盾を突き出すと、10枚のシールドが展開。

それに押し出されるように、蓮は吹き飛ばされる。

 

蓮(どうなってる…まさか、コイツの生存本能!?。防人の中でも番号は「32」…一番の雑魚がこれほどの…だが…。)

 

空中で態勢を立て直し、一瞬の速度で雀の背後に回り込む。

 

雀「!!!。」

 

 

蓮「正面に防ぐしか能の無い奴めッ!。背後を取れば簡単にッ!!。」

 

横薙ぎ振られる白刃。

しかし、目に見えない障壁で刃は通らない。

 

蓮「なッ!?。」

 

 

雀「ひィィィッ!。後ろなんて聞いてないようッ!。」

 

無意識にバリアを展開していた雀。

その範囲はアグニと亜耶を含んだ範囲だった。

 

蓮「クソッ!。なんなんだお前はッ!?。」

 

 

雀「ひぅッ!?。か…加賀城雀ですってッ!。こんな雑魚の名前なんて聞いてもロクな事ありませんからぁああッ!!。」

 

 

アグニ「…あの野郎の手が通じねェ…雀、お前…。」

 

 

亜耶「雀さんの防御力は難攻不落です。誰かを守るときは特に強い…いつも、怖がってばかりですけど…それと同時にとても勇敢な人なんです。守ってもらうためには、自分が守らなきゃいけない…矛盾してますけど、それが雀さんの強さですよ?。」

 

 

雀「あやや~…買いかぶりすぎだようッ!。」

 

 

アグニ「いや、お前は勇気ある奴だ。言ったろ、誰かのために動ける臆病者は勇敢な奴だって。」

 

立ち上がるアグニ。

雀の勇気に力を貰ったのか、炎の勢いが強くなる。

 

雀「…怖いけど…タカが死んじゃうのはもっと嫌…それに、メブを助けたい…そう思ったら、身体が動いちゃって…。」

 

未だにガタガタと震える雀。

怖くても、誰かが死ぬ方がもっと怖い。生きることに貪欲な彼女はその為なら手段を選ばない。

醜くてもいい…情けなくてもいい…強い人についていれば、自分の存在が維持できる…。

だがその為には、強い人から離れちゃいけない…だから、その強い人がピンチならば自分が助けるしかない。

 

こうした行動が、他から見れば「勇気の一歩」となる。

全員、分かっているのだ…加賀城雀はただの臆病者ではない…「勇敢な臆病者」だと。

 

雀「それにね…許せなかった…アイツがメブに勝った理由…メブは本当に強い…あの三好夏凛と肩を並べるくらいに…それなのに、卑怯な手を使って勝って…それでいて、メブを下に見る…これってタカの言っている「仁義に反する」ってことなのかなぁ…?。」

 

 

アグニ「そうだ、あのクソ野郎は仁義の風上にも置けねェただの外道だ。卑劣な手を使って勝つ奴は勇敢な奴じゃねェ…マジもんの「臆病者」だ。」

 

怪我を気にすることなく、戦意が爆発するアグニ。

その姿を見た雀はあげはの言っていたことを思い出した。

 

…………………………。

 

バタフライ「タカ坊はね、仁義を賭けて戦う時は絶対に倒れない。勝つまで戦う…そんな奴だよ。だから、ああなったらタカ坊は必ず…勝つ!。」

 

…………………………。

 

雀(そっか…タカもずっと強いわけじゃないんだね…譲れないもの…許せないものがあるから強くなれるんだ…心が強い奴…折れない意志が最後に勝つ。そういう事だったんだね…。)

 

 

雀「守りは私に任せて!。怖いけど、頑張る!。その代わり、アイツをぶっ飛ばして…タカッ!。」

 

 

アグニ「おうよッ!。受け取ったぜお前の勇気ッ!。任せろ…あとは俺がやるッ!。」

 

 

蓮「さっきまで虫の息だった奴が調子に…ッ!。」

 

凄まじい踏み込み速度。卑劣な手を使う割には実力は本物だ。

しかし、今のアグニと雀は違う。この戦闘に、勝利を見出している。

繰り出される剣戟は雀のバリアで防ぎ切り、攻撃に転じるのはアグニ。

連携…絶対攻守を体現する2人の息はピッタリだった。

 

アグニ「うおおおおッ!!。」

 

 

蓮「ぐおッ!?。」

 

遂に突き刺さったアグニの剛拳。

打ち抜かれた蓮は勢いよく吹き飛ぶ。

だが、追撃でアグニが迫ってくる。

 

アグニ「立てよ…強者を名乗るならこんなもんじゃねェだろ。」

 

胸倉を掴んで立たせ、頭突きを喰らわせる。

噴き出す鼻血に狼狽えるも、アグニは攻撃の手を緩めない。

 

アグニ「まだだッ!。」

 

炎を纏った拳を構えるアグニ。力を込めるごとに炎の勢いが増す。

 

蓮「ま…待て…。」

 

 

アグニ「散々刻みやがってッ!。この一発でチャラにしてやるッ!!。」

 

煌々と燃え盛る炎の拳を叩きつけるアグニ。

ドスンと重い音が響くと共に蓮は吹き飛んでいく。

 

蓮(がは…なんだ…この重い拳…こんなの…。)

 

壁を突き抜けていき、疑似勇者外装が解けて意識を失った。

 

雀「やった…勝った…タカが勝ったッ!!。」

 

限界が来たのか、アグニは倒れたと同時に変身が解けた。

 

鷹夜「はぁ…はぁ…お前のおかげだ雀。」

 

 

雀「タカぁあああ…。」

 

 

鷹夜「はは…もう限界だ!。クソ…脇腹が痛ェ…。」

 

 

亜耶「もうすぐここに皆さんが来ますよ?。さっき、連絡を入れておきましたから。」

 

 

鷹夜「そいつは助かる…しばらく、休むぜ…。」

 

雀の勇気ある行動が鷹夜の窮地を救った。

他者に守ってもらうために自分も守る。

この防人は決して弱くはない…心の強い…勇敢な戦士だった。

 

 

……………………end。

 




雀の勇気ある行動が、鷹夜を救った。

亜耶から告げられた他の防人の事…そして、一番謎とされる「スカイランドの剣士」。

この言葉に、ソラは心当たりがあった。

それはかつて、憧れのシャララから聞いたこと…。

辺境の地に、元青の護衛隊に所属していた剣士が居たこと…そしてそれは…シャララが隊長になる前に居た者。

この勇者世界にて防人達を救った者…その正体とは…。

次回
第74話 天空より来たりし剣士。
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