〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
雀の行動により、窮地を脱した鷹夜。
蓮を撃破し、亜耶を連れて帰還することに。
集まった一同の前で亜耶は鷹夜達に語った事実を告げる。
芽吹を除く、他のメンバーはソラシド市に…そして、その裏では「スカイランドの剣士」と名乗る謎の人物が居た。
「海祇機関」に敵対する人物…謎の包まれたその正体とは…。
ソラ「鷹夜さんッ!!。」
第一声、ソラの怒号がこだまする。
当然、いきなりの大声で一同は驚く。
鷹夜に関しては…諦めのため息をついて。
鷹夜「……すまん…。」
一言。
ただ、謝ることしかできなかった。
ソラ「嘘をついた挙句に大怪我まで!!。何を考えてるんですか貴方は!!。」
あげは「まあまあソラちゃん、そこまでにしといてあげなよ?。」
ソラ「いいえダメですッ!。それならせめて私が行くべきだったんですッ!。雀さんも雀さんですよッ!。怪我してる鷹夜さんを連れ出すなんてッ!!。」
ソラの恐ろしさにあわあわと怯える雀。だが、真っ先に頭を下げたのは亜耶だった。
亜耶「ごめんなさいッ!。私が雀さんを呼び出したせいなんですッ!。」
小さな体躯で必死に頭を下げて謝る亜耶に、何故かソラは何も言えなかった。
ソラ「え…えっと…。」
ツバサ(これは…ソラさんの負けですね。この人の潔さに完敗です。)
夏凛「説教はそこまでにしなさいよ。あんた、楠達と一緒に居た巫女よね?。他の防人達の行方、知ってるの?。」
亜耶「あ…今からそれを説明します。」
数十分もかけて、懇切丁寧に事の詳細を語る亜耶。
驚愕。そこから始まって、全てを聞いた一同。
この騒動に繋がりのあるソラシド市…そこで何かが起きている事。
そして、防人達を救った謎の存在…「スカイランドの剣士」。
何故、その存在は2人の防人をソラシド市に送ったのか…そして何故、この騒動を知っていたかのように立ち回っているのか…そもそも、スカイランドにこの大事件が伝わっているのか…。
深まる疑問はかなりある。だが、間違いなくこの事件に「スカイランド」が介入している。
ソラは思う。
まさか、シャララ隊長達か?。いや、それなら自分たちに一報を入れるはず…エルに関連している事だとしても、必ず自分たちの耳に入っているはずだ。
ソラは自身の記憶の中で、「スカイランドの剣士」という存在を必死に探す。
夏凛「…正直、信じられないことばかりね…私たちが「もう一つの世界線」に行っている間に、こんなにも事が大きくなってるなんて…。」
夏凛(楠…あんたが捕まるなんて思ってもみなかったわ…でも、あんたの事よ。自分で何とかしようとしているかもしれないけど…必ず助けるわ、待ってて。)
かつて、勇者の座を賭けて戦ったライバルの事を思う夏凛。
自分と遜色ない実力の持ち主だった彼女が捕まっている…それを聞いて、夏凛は友を救う為に拳を握り締める。
亜耶「きっと、「海祇機関」は芽吹先輩の処刑を考えているかも知れません。あの人は勇者を除いた実力ではトップクラス…あの、バーテックスの攻勢から防人全員を生還させた実績があります。当然、千景さんには従わないでしょうし…。」
烈火「自分に従わねェ奴は消した方がいい…今の姉貴ならそう考えそうだな。」
友奈「だったら、急がなきゃ…ッ!。」
夏凛「待ちなさい。私たちが慌てたらそれこそ、楠の処刑を早めてしまうかも知れないわ。慎重になりましょう…楠は絶対に失ってはいけない人間よ。あいつが味方してくれたらきっと、この戦いの局面は変わる。」
風「あんたにしては珍しいわね。そこまで評価してるなんて…。」
夏凛「評価というより…アイツは戦友よ。」
ソラ「…あッ!。思い出しましたッ!!。」
いきなり席を立って大声をあげるソラ。
樹「び…びっくりしたぁ…何ですかぁ、ソラさん…。」
ソラ「ごめんなさい、樹さん!。思い出しました、「スカイランドの剣士」!!。」
鷹夜「心当たりがあるのか!?。」
ソラ「はい、以前スカイランドに戻った時に私は「青の護衛隊」に入隊したのを覚えてますか?。ツバサさんにあげはさん。」
あげは「もちろん、覚えてるけど…その剣士ってシャララ隊長の事じゃない?。」
ソラ「…いいえ、違います。シャララ隊長が入隊する前に居た人が居るんです…先代の隊長であり、スカイランド最強の剣士と言われた人が。その時にシャララ隊長から聞きまして…。」
ソラはおもむろに、「ミラーパッド」を取り出す。
通信先は…スカイランドだ。
繋がるか分からない…だが、一種の望みをかける。
すると、願いが通じたのか…鏡が反応を示した。
ノイズが走る…しばらくすると、映像が安定した。
シャララ[…ソラかッ!?。お前たち、今はどこにいる!?。]
ソラ「お久しぶりです、シャララ隊長。実は…。」
これまでの事の詳細を説明するソラ。
世界は今、未曾有の危機に陥っている…両方の世界が停止し、滅びに向かっている事。
そして…敵となったましろの事。
それを聞いたシャララは、冷静に話を嚙み砕く。
シャララ[…そうか…あの子が引き起こしたことか…こちらも、アンダーグ帝国以外の化け物が現れてな…なんとか、陣形は保てているところだ。お前たちに比べたら、造作もない。こちらの心配はしなくていい。]
風「お気遣い、感謝します。」
ソラ「シャララ隊長、前に聞かせてくれた「スカイランドの剣士」の事ですが…その人は今、何を?。」
その質問に、シャララは険しい表情となる。
シャララ[…あの人は、スカイランドから姿を消した。]
あげは(やっぱり…!。)
ソラ「何故、姿を消したかご存じですか?。実は、それを名乗る人物がこの「勇者世界」に現れているそうなんです。」
シャララ[やはりそうか…あの人らしいと言えば、あの人らしい。彼は…とある敵を追いかけていると聞いている。]
鷹夜「とある敵?。」
シャララ[…「劇団」だ。]
それを聞いたメンバーは言葉を失った。
ここに来て「劇団」の名前が出るとは…そしてそれは、スカイランドにも影響を及ぼしていたことに。
もしかして、千景の起こしたこの改革に一枚嚙んでいるのか?。
鷹夜はそう思う。
シャララ[彼がそちらの世界に現れたという事は、恐らくだが「劇団」の足取りを追いかけていた可能性が高い。]
園子「待って…なら、防人の人を助けた理由は…。」
シャララ[その防人という戦士がソラ達の世界に送り込まれているとしたら、向こうは「劇団」の毒牙にやられている可能性がある。戦力を集めて戦いを挑む気だろう…。]
ソラ「…シャララ隊長、その人の名前は…?。」
質問したソラ。語るか悩んだシャララは決心したように。
シャララ[リオン・ドラグネス。元「青の護衛隊」隊長でスカイランド最強の剣士。そして…。]
シャララ[「劇団」No.Ⅱ…<演出家>ナイアルの…実兄だ。]
シャララ告げた剣士の名前…それよりも、驚愕した事実があった。
「劇団」のNo.Ⅱ…散々、煮湯を飲まされた強敵であるナイアルの実兄…。
ナイアルに関しては、鷹夜達にとっては怨敵でもある。
ましろを闇に落とした張本人……。
そして今度は、謎の剣士の身内と来た。
因縁の一言では片付かないこの事実…更に驚くべきなのは…。
ソラ「リオンさんがナイアルの実兄というならば…ナイアルはスカイランド人…。」
そう…怨敵の出身地は自分と同じ、スカイランド。
自分と同じ世界で同じ空の下で暮らして来た隣人…。
その事実に、ソラは歯を食いしばる。
シャララ[…出来れば、この事実は伏せておきたかったのだが…あの人の名前が出た以上、避けては通れない事実だ。つまり、ナイアルは我々と同じ故郷を持つ人間…同族ということになる。]
ソラ「……あの人のせいでましろさんは…認めません…あいつが…私達と同じスカイランド人だなんて…ッ!。」
友奈「ソラちゃん…。」
シャララ[ナイアルは我々にとっても因縁深い。奴が起こした事件…「演出」を求めるあまりに、スカイランドの一つの島を犠牲にしている。そこは、リオン元隊長の故郷でもあった…奴は、自分の故郷をその手に掛けたのだ。こんな大罪、許せるはずもない。だからあの人は、護衛隊を退いた…実弟を自分の手で…始末する為に。]
ツバサ「…ナイアルの剣術を見て納得が行きました。僕達「プニバード族」でも、あの事件については噂で聞いた事がありますから…シャララ隊長、何故彼は「演出」にこだわるのでしょうか?。」
シャララ[…奴の趣味だ。リオン元隊長と奴は「青の護衛隊」に抜擢されるほどの剣の使い手…しかし、ナイアルは決められた運命に従うことを嫌っていた。だが、スカイランド人にとって王の護衛を任されるのは偉大なことでもある。そこで奴は思い描いたのだろう…自分の思い通りになる「運命」という「演出」を。奴にとって、世界は舞台でしかない…まずは手始めに、しきたりの強い生まれ故郷を思い描いた「演出」によって滅ぶ様が見たかったのだろう。そしてそれは、成功した。そこから味を占めて各地で思い描く「演出」を披露しているのだろうな。元々、奴は妄想癖がある。スカイランドという狭い檻から世界という大きな庭に出たんだ。その妄想は無限大にもなる。]
夏凛「…とことん、狂った奴ね。ある意味、アデルより厄介なんじゃない?。」
シャララ[ナイアルは用意周到だ。思い描く「演出」を成功させる確率が100%になった時、仕掛けてくる。仕掛けてこない時が一番厄介だ…だから、リオン元隊長は戦力を集めてナイアルを討とうというのだろう。そして、それがソラシド市に移ったということは…。]
鷹夜「…今度の「演出」はソラシド市でやるってかッ!?。まさか…!。」
あげは「「劇団」の舞台が大詰めってことだね。そしてそこには…ましろんも来る。」
シャララ[この事実を知ったからには、私も動かないわけにはいかない。お前達の世界の星は停止しているのだろう?。もし、「劇団」の舞台が大詰めとなっているのなら…近いうちに両方の世界で大きな動きがあるかもしれない。とに…か…く…我……も…ソラ……市…に…。]
突然、激しくなるノイズ。
ミラーパッドの輝きが消えかかってくる。
ソラ「シャララ隊長ッ!!。」
シャララ[お前…た…ちは……やるべき事…をやり…遂げて…来るんだ。その…せ…かい…で起きてる…事件と……ソラシド…市…で起こる…事件…は……繋がって…る…………ーーーーー。]
輝きが消え、交信が途絶えた。
ミラーパッドはゆっくりと地面に落ちる。
ソラ「…千景さんのこの改革とソラシド市で起こる事件…これは繋がってるという事でしょうか…なら、やるべき事は決まってますね。」
烈火「ああ。姉貴の計画をぶっ潰して終わらせる。そうすりゃ、今度はソラシド市に行って「劇団」の舞台もぶっ潰す。ついでに、ましろを取り戻しゃ俺達の勝ちだ。」
樹「簡単に行くのでしょうか…まだ、東郷先輩と蒼葉さんの事もありますし…。」
夏凛「あの2人なら大丈夫よ。きっと、帰ってくる。なら私達もやるべき事をやり遂げてしまいましょう。」
鷹夜(ソラシド市…そこでましろと決着を付けなきゃいけねェ…全く、因果なもんだな…そこで始まってそこで決着をつける…か…。)
烈火「鷹夜。ここまで、お前らは俺達の事情を手伝ってくれた。なら、今度は俺達がお前達の事情を手伝う番だ。姉貴と決着を付けた後が一番大変かもしれねェが…両方の世界をどうにかする為には「劇団」をぶちのめさなきゃならねェ。」
鷹夜「…わかってるさ、俺達は仲間だろ?。そういうのはナシにしようぜ?。お前らの事情も俺達の事情も…全て俺達のやるべき事だ。」
烈火「はっ…違いねェッ!。」
園子「うんうん、なんか改めて結束力を固めたって感じ?。」
洸「ああ、そうだな。決着をつける時が近い…ここからは気合い入れてくぞ、お前らッ!。」
円陣を組んで、気合を入れる一同。
反撃の時は来た…未来を勝ち取るための一大作戦は…開始された。
…………………end。
シャララから聞かされた事実…そして、ソラシド市で起こる事件。
千景の計画と「劇団」がこれから引き起こす事件はリンクしている…そして、双方に決着をつける為に一同は攻勢に出る。
優先すべきは楠芽吹の奪還…グループを分け、一同は「海祇機関」に乗り込むのであった…。
次回
第75話 夏凛と芽吹、最強の勇者達。