〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
シャララから聞かされた「スカイランドの剣士」と「劇団」のナイアルの関係性。
他の防人達が居るとさせる「ソラシド市」にて、大きな事件が起きようとしていた。
ソラシド市はシャララ達に任せるとして、一同は千景と決着をつけるために「海祇機関」に乗り込むことを決意する。
決戦の時は来た…未来を勝ち取る為、前へと進む…!。
かつて、「勇者」の座を賭けて戦った2人の少女が居た。
「勇者候補生」として集められた数人の少女達…彼女たちは迫りくる「お役目」の為に日々、鍛錬を積んでいた。
そして、訪れた最終選考の日…候補生の中でも群を抜いていた当時の夏凛と芽吹は決闘の場に立つ。
選ばれるのはたった一人…勝ったものが勇者となれる。
この時を待っていたかのように、2人は出し惜しみ無し全力でぶつかり合った。
……………勝者は夏凛。
こうして、2人の道は分岐する事となった。
立場は違えども、目的は共通…この世界を守る為。
死と隣り合わせの戦いの中、やっと手にした平和。
しかしそれは、すぐに崩れ去ってしまった。
初代勇者・郡千景による反乱…そう、勇者達の戦いは「人と「人」の戦いへと移行してしまった。
このまま、激化すれば沈黙を貫いている「天の神」が人類に失望して再び攻め込んでくるかもしれない。
300年かけて手にしたこの平和を…ずっと、守っていかなければならない。
託された思い…流した涙の数だけ、「今」を生きる自分たちが今度は「平和」というバトンを託していく番…。
私たちの戦いは…自分たちの未来の為の戦いだ。
その為には…人類が一つとなって、この平和への道を続かせていかなければならない。
夏凛の責任感は…より一層、強くなった。
―――――――――――――――
友奈「…ここ最近の夏凛ちゃん、いつにも増して凄い迫力だよね。」
毎日、夜遅くまで鍛錬に出ている夏凛。
この日も帰ってきてはすぐに入浴を済ませて眠りに就いた。
ソラ「きっと、大切なお友達を救いたいからでしょう。疑似勇者の力は勇者にとって有効打…対策されているなら、あとは己の鍛錬のみで補うしかありませんから。」
雀「メブの処刑が掛かってるから、失敗できないんだよね…。」
鷹夜「根詰めすぎて、支障が出なけりゃいいけどな。」
翌朝…外は大雨だった。
早朝から降り止まないそれは次第に強さを増していく。
そして…事態は急変した。
亜耶「た…大変ですッ!。」
ずぶ濡れになりながら、走って帰ってきた亜耶。
慌てた様子のその表情と共に、泣きそうな顔をしていた。
雀「ど…どうしたの!?。あやや!?。」
亜耶「芽吹先輩の処刑が確定してしまいましたッ!。日にちは…今日ですッ!。」
その一言に、慌てる一同。
向こうの方が行動が早かったか…どうする、まだ何も作戦は練られていない…。
夏凛「くッ…もう四の五の言ってられないでしょッ!。」
鷹夜「ああ、こうなりゃ乗り込んで行くしかねェッ!。」
友奈(if)「みんな。私は何もできないけど…ここで亜耶ちゃんと待ってるね?。」
もう一人の友奈は心配そうに一同を見る。
烈火は歩み寄り、頭に手を置いた。
烈火「ああ、必ず全員で帰る。だから、待ってろ。良い報告が出来ると思うから。」
友奈(if)「…うん、信じてる。必ず、帰ってきて。」
ソラ「行きましょうッ!。今日、この日で千景さんと決着を付けますッ!。」
勢いよく出て行った一同を見送るもう一人の友奈と亜耶。
その背中を見届ける。
亜耶(…全員が、無事に帰ってきますように…。)
……………………………………。
~大赦本殿「海祇機関」~
大雨の中、多数の神官と共に「海祇機関」の疑似勇者達が総出で立ち並んでいた。
その数はとても多く、一人の処刑の場とは思えないほど厳重な警備体制を敷かれていた。
千景「壮観ね…どう、貴女を見送る人たちはこんなにもいる…よほど、愛されていたのね?。」
芽吹「…敵の情けなんていらないわ。この世界は平和への道を歩んでいた…それなのに、お前たちという存在が再びこの世界に戦乱を持ち込んだのよ…ッ!。」
千景「今のうちに言いたいことは言っておくといいわ。あの祭壇に立てば、この世との別れになるのだから。」
芽吹「なら、聞かせなさい…初代勇者・郡千景…貴女のその「怨嗟」はどこで終わりを迎えるというの…?。」
その質問に、千景の纏う怨嗟がより濃くなった。
千景「終わりなんて無い…「永遠」よ。」
悍ましいその気迫に、芽吹は言葉を発せなかった。
一言で言うと「畏怖」。
そんな感情が駆け巡る。
千景に促され、疑似勇者達に祭壇へと連れていかれる芽吹。
自身の終わりを悟ったのだろう、思い返すのは大切な仲間たち。
芽吹(雀…あんたは強い。そのうち、ちゃんと理解できるから…しっかり生き残りなさい。しずく…ああ見えても貴女は頼りになる…「シズク」と一緒に仲良くね…そして、弥勒さん…貴女の諦めないその姿勢、私は少し憧れてました。大丈夫、必ず弥勒家の再興は成し遂げられます。亜耶…貴女のその優しさに何度、救われたことか…ちゃんと逃げ切れたようだし、今度は勇者達を支えてあげて…そして…。)
歩きながら、空を見上げる芽吹。
最後に思い浮かぶのは…。
芽吹(三好さん。)
…夏凛だった。
芽吹(貴女とまた戦いたかった…貴女と剣を交えている時が一番、楽しかったわ…どうやら、私はここまでのよう…お願いがある。防人達を見つけて、この世界に本当の平和を取り戻して。貴女なら…託せる。共に競い合った…「戦友(とも)」なのだから…。)
祭壇に鎮座し、正座の姿勢をとる芽吹。
情けない姿で最後を迎えたくない…せめて、この世界を滅茶苦茶にした奴らを睨んだまま、死んでやる。
凛々しく、そして力強く…自分が生きた証を残せるように…この、姿を焼き付けてくれ。
そう思いながら、死を受け入れようとしたその時…。
「楠ィィイッッッ!!!。」
芽吹「!!!。」
鳴り響く少女の声。するとその瞬間、本殿の門が激しく吹き飛んだ。
この展開を分かっていたのだろう…千景は驚くこともなく。
千景「…やはり、来たわね。」
烈火「その処刑、ちょっと待ったァァァッ!!。」
慎也「…菱崎烈火…性懲りもなく…ッ!。」
アグニ「はは、すっげェなこれッ!!。全員、大赦の神官と疑似勇者達かよッ!。」
スカイ「どうやら間に合ったようですねッ!。」
雀「メブぅぅぅぅぅッ!。迎えにきたよぉぉぉおおッ!。」
芽吹「雀!?。それに三好さん達…!。」
夏凛「随分としおらしい姿ね、楠ッ!。…助けにきたわよ。」
芽吹「…貴女にだけはこんな姿、見られたくなかったわね。」
慎也「侵入者を追い返せッ!。神聖な儀の邪魔をした蛮族めッ!。」
その号令に、一斉に武器を抜く疑似勇者達。
だが、一同の戦意は高揚していた。
烈火「へへ、楽しくなってきたァァァッ!!。」
先手を取った烈火。
高嶋友奈の勇者の力で強化された<完全勇者外装>を纏っている烈火の一撃はもはや別格。
「紅迅雷」で数十人をあっという間に戦闘不能にした。
慎也(なッ…以前とは全然違うッ!?。)
千景(あの手甲…高嶋さんの…。)
ガーベラの真紅色に、淡い桃色が混ざり合ったそのカラーリング。
そして、その手には「天ノ逆手」。その驚異的な攻撃力が烈火の振るうメイスの威力を上げていた。
烈火(この力…馴染んできた…!。)
友奈「夏凛ちゃん、あの人をッ!。」
夏凛「ええ…ッ!!。」
一同の援護もあり、夏凛は直進する。
出来るだけ、死傷を与えない様、峰で捌いていく。
零「行かせないってのッ!。」
振るう鞭を軽やかに躱して、回し蹴りで零を蹴り飛ばす。
夏凛「あんた達とは、鍛錬の差が違うのよッ!。」
バタフライ「いっけェェェッ!!。夏凛!!。」
夏凛「はああああッ!!。」
跳躍し、祭壇までたどり着いた夏凛。
抵抗する神官を峰打ちで気絶させる。
芽吹「見事ね。また強くなったんじゃない?。」
夏凛「まあね。世界を渡り歩いて強い奴と戦ってきたから。」
刀の切っ先で錠を破壊する夏凛。
解放された芽吹は首を鳴らす。そして、夏凛が事前に入手していた端末を手渡して。
夏凛「腕、落ちてないでしょうね?。」
芽吹「当たり前よ。あなたたちが消えてから誰がここを守っていたと思う?。」
変身。
銃剣を2本、両手に構えて夏凛と背中合わせに立つ。
その姿、正に圧巻。
雀「やったぁぁ!。メブの復活だよッ!。」
芽吹「前は後れを取ったけど、今度は負けないわッ!。」
飛び出す2人。
かつての競い合いを思い出すかのように同時に疑似勇者達を戦闘不能にしていく。
アグニ「すげェな…。」
樹「鷹夜さん、ボーっとしてたらやられちゃいますよッ!。」
夏凛「あんた達は千景を追いかけなさいッ!。」
芽吹「ここで決着をッ!。ここは私と三好さんで充分ッ!。」
風「でもあんた達、この数は流石にヤバいわよッ!。」
夏凛「この数?。フン、バーテックスに比べたら朝飯前よッ!。」
その啖呵通り、2人はこの戦場を支配しつつある。
幹部クラスの疑似勇者ではないにしろ、対策されている以上は手の通じない場面も出るはず。
にも拘らず、圧倒的な戦闘力で討ち倒していく。
それは、鍛錬で培った経験の差。この戦いにおける覚悟が全く違う。
全ては自分たちの未来の為…この戦いで命を懸ける思い。
それが、スペックすらも凌駕していた。
夏凛「これが…人間の力だぁぁあッ!!。」
その時、夏凛の「意志の華」が開花する。
友奈「まさか…!。」
夏凛「やっとお目覚めッ!?。さあ、早く行きなさいッ!。」
「満開」を発動。巨大な2振りの剣を振るって周囲を薙ぎ払う。
芽吹「この戦いは負けられないわッ!。勝鬨を上げて帰りましょうッ!。」
アグニ「任せたぜ、お前らッ!。」
先を急ぐ一同。
夏凛は烈火を呼び止める。
夏凛(満開)「烈火!。あんたのお姉さん…助けてきなさいよ?。」
烈火「任せとけッ!。」
笑顔でサムズアップ。
先を急いだ一同についていく。
芽吹「…あれが新しい部員?。へぇ…なかなか良い逸材ね?。」
夏凛(満開)「当たり前よ。あいつは友奈と同じ…そこにいるだけで人が付いていく。あいつなら絶対に大丈夫…何の心配も要らない!。」
溢れ出てくる疑似勇者達。
しかし、その脇から斬撃が降り注いでくる。
その軌道を見切っていた芽吹は銃剣のワイヤーギミックで弾き飛ばした。
芽吹「…ちょうどいいわ、リベンジマッチをしたいと思っていたのよ。」
蓮「へぇ…今度は負けないって?。」
脇から現れた蓮。
アグニから受けた傷は火傷の跡となっており、まるで拍が付いたかのような出で立ちだった。
夏凛(満開)「あんたは…鷹夜にボコボコにされたんじゃなかったっけ?。」
蓮「まあな。卑劣な手が通じないと分かった今なら、敗北の味はもう堪能している。なら、あとは決まってるさ…純粋に戦いを楽しめばいい。そうだろう?。」
芽吹「…狂人が。お前のような人間をのさばらせるわけにはいかないわよ…!。」
蓮が日本刀を握り締めると、凄まじい闇の力が放出された。
夏凛(満開)「何、その力…あんた…なッ…!?。」
蓮の腕を見る夏凛は驚愕する。
それは、シャロの腕に刻まれたタトゥーと同じ…「劇団」の団員である証。
蓮「ああこれ?。キュアアグニに負けた後、変な道化師が現れてね…戦うことが好きなら、一緒に世界を盛り上げようと勧誘を受けたのさ。これで晴れて俺は「劇団」入りを果たしたってわけ。もう「海祇機関」の疑似勇者じゃない…千景さんの改革は面白いけど、俺は「劇団」の方が乗るに値してるって思ったのさ。一応、自己紹介しておこうか。」
―「劇団」№Ⅵ…<殺陣>東上蓮―
蓮「<殺陣>といっても、演技じゃない…本当の殺し合いさ。さあ、三好夏凛に楠芽吹。周辺の雑魚は黙らせておくから…俺と楽しい<殺陣>を繰り広げようじゃないか…ッ!。」
………………end。
芽吹を救出した夏凛。
2人は一同に全てを託し、その場に残って戦うことにした。
この戦いの中で、夏凛は「意志の華」を咲かせて「満開」を発動。
天秤は二人に傾く…かと思われた。
直後に襲い掛かってきた蓮。
闇の力を放出させる彼はなんと、アデルの勧誘を受けて「劇団」へと寝返ったのだ。
「劇団」№Ⅵ…<殺陣>東上蓮。
かつてない強敵に、夏凛と芽吹は対峙する。
そう…彼は自らの欲求を満たすため、悪魔に魂を売ったのであった…。
次回
第76話 凶刃の猛攻。