〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
キュアプリズムと対峙する新たな戦士・キュアスラッシュ。
彼の目的は「虹ヶ丘ましろの抹殺」。
もうじき、帰還するであろうソラ達の事を思うと複雑な心境となる。
そして、当の本人たちは…今まさに激動の地「ソラシド市」に帰還しようとしていたのだった…。
トーヤ「俺の目的は…虹ヶ丘ましろを抹殺する事です。」
――――――――――――――
スカイランドからやってきた「トーヤ・タイフーン」は元「青の護衛隊」隊長であるリオン・ドラグネスから手解きを受けている剣士。
彼はプリキュアの力を宿しており、風の剣士「キュアスラッシュ」へと変身出来る能力を持っている。
本来なら、喜ぶべきなのだろう。しかし、どうも素直には喜べないでいる。
それは彼がここにやってきた目的にあった。
「虹ヶ丘ましろの抹殺」。
どういうわけか、彼はましろの命を狙っている。
という事は、ここに帰ってくるソラ達と激突する可能性が高い。
今の現状、内輪揉めしている余裕などないし、している場合でもない。
そこで、シャララは聞くことにした。
何故、ましろの命を狙うのか…。
その真意を問いたくて。
――――――――――――――
シャララ「トーヤ、なぜ君はキュアプリズム…ましろの命を狙う?。彼女が闇に支配されていることは知っているだろう?。」
真剣な面持ちで問うシャララ。
同郷の者だ…その気持ちを汲んであげたいがどうにも引っかかる。
ましろはソラ達にとっても大切な仲間であり、大切な存在だ。
だからこそ、どちらかというとソラ達の思いに力添えしたい…今はああなってしまっているが、彼女はスカイランドの民を救い、そしてアンダーグ帝国からエルを守るために尽力してくれていた。
だからこそ、彼の言動に納得がいかない。
そんなシャララの問いに、トーヤは並みならぬ気迫を放った。
トーヤ「…頼まれたんです。奴が焼き払った村の者から。」
…正直、驚いた。
ある程度の答えは予測していた。しかし、私怨ではなく頼まれ事だったとは…。
しかし、その村は彼に縁るものなのか?。
これほどにまで放つ気迫に、もう少し踏み入ってみようと思うシャララは続けた。
シャララ「それは君の出身の地か?。こんなことを言うのは大変失礼だが、君の身なりを見るに王都の者ではないな?。ソラと同じ、少しはずれた地の出と見える。」
トーヤ「はい。俺は王都からかなり離れた浮島の出身です。今話した村は関係ありません。ただ…頼まれたから俺は引き受けたまでです。」
シャララ「…友人から…か?。」
トーヤ「いえ…村民からですよ。今言った通り、俺はただ頼まれたから…それだけですよ。」
シャララ「…そうか。私の率直な気持ちを告げよう。私はあの子を助けたいと考えている。君の思いとは反する事だ。知っているだろう…彼女は王と王妃、そしてプリンセスをアンダーグ帝国から守ったプリキュアの一人だ。そして、アンダーグ帝国との戦いはここからさらに苛烈になっていくと思う…これから先、あの子は必要となるんだ。それは、ソラ達の友としても…だ。」
トーヤ「もちろん、理解しています。奴がもたらした功績はとても大きいことだと。しかし、それはそれ…シャララ隊長、焼かれた村の者達の無念はどうなりますか。」
シャララ「…それは…。」
トーヤ「闇に支配され、自我でなくとしても罪は罪だ。王と王妃、そしてプリンセスの安全と辺境の地の村民の命を天秤にかけられますか?。青の護衛隊の隊長である貴女は…それでも、奴がしたことを咎めないつもりですか?。闇に支配されているからといって…しょうがないと割り切ってもいいのですか?。」
トーヤのその問いにシャララは…言葉を詰まらせてしまう。
青の護衛隊はスカイランドの守護を担うシンボルでもある。
それは王都のみならず、スカイランドという世界そのものを守る為の精鋭たちだ。
それを束ねる隊長である自分が、突き付けられたこの問いの重さに何も言えないのはどういうことなのか…。
少し、情けなく思う。
そんなシャララを見たトーヤは、放っていた気迫を消す。
トーヤ「…俺は師匠から学びました。「個人の救いを優先するな、万人の救いを優先しろ。そうすれば、いずれは個人も救えるはずだ…それがどんな形となろうが。」っと。」
シャララ(…リオン元隊長の救済の概念は恐らく…過去の事が原因だ。そうか…闇に堕ちたものを断罪することはある一種の救済ともいえる…私は…そのことも理解しなければならないのか…よもや、この少年に教えられるとは…。)
だが、シャララの答えは決まっていた。
シャララ「それでも私はましろを救う事は諦めない。どんな形であれ、犯した罪を償わせることが命を奪う事なんて間違っている。怨みは必ず連鎖する…だから、断ち切らなければならないのだ。だが、君の言う通りどんな形であれましろが犯した罪は払拭できないだろう…だから、私なりのやり方で償わせるさ。」
剣を突き立て、空を見上げる。
シャララ「生きることで…な。」
……………………………。
その頃、勇者世界では…。
ソラ「…ようやく、ソラシド市に戻れますね…。」
動かない海を見ながら、ソラは一人呟く。
もう一つの故郷とも言えるその世界に戻れることにソラは、今までにない気持ちで考える。
ソラシド市から可能性世界に向かった最後の記憶は…敗走の記憶。
ましろを奪われ、そしてましろの手によって両方の世界の星が止まったあの時にあった自分たちの選択肢は逃げる事しかなかったのだ。
伸ばした手が全く届かなかったあの時…悔しさと悲しさで泣いたあの時…思い返せば思い返すほど、あの時の記憶が戻ってくる。
だからこそ、今度こそは…と思う。
そして何の因果か、ましろはちょうどソラシド市に居る。
取り戻す最後のチャンスだ…ソラは意を決する。
そんな中、鷹夜がやってきては飲み物を投げ渡す。
ソラ「鷹夜さん。」
鷹夜「夜…でいいのか?。ったく…星が動いてねェと感覚が分かんねェな。」
隣で同じく、動かない海を見る鷹夜。
飲み物を一気に口に運ぶ。
鷹夜「…いよいよだな。」
ソラ「…はい。なんだか、昨日のように思えます。昨日まで…ましろさんが居た気がして。」
鷹夜「はは、確かにな?。あの時の悔しさ…今でも思い出す。」
ソラ「…きっと、あげはさんやツバサ君も同じ…ですよね?。それに、エルちゃんだって。」
鷹夜「ああ。それに、今度は俺達だけじゃねェ。友奈達も一緒だ。だから必ず…取り戻せる。」
握り拳を作り、力を込める鷹夜。
並みならぬ思いを秘めたその瞳に映るのは、ましろの姿。
自分が初めてキュアアグニになった時を思い出す。
あの時は、街で噂されている戦士の正体が分かった時…そして、自分を守るためにましろが変身して戦った時。
まだ未熟だったが、必死さで何とか乗り切っていたあの時。
今は違う…たくさん経験した。
辛いことも…悲しいことも…そして、嬉しかったことも。
きっと、今が一番強い時だろう…鷹夜はそんな思いを込めて握り拳を作っていた。
だからこそ、次は出来ると自信に満ち溢れる。ここまで来たんだ…自分の思いを全てぶつけるだけ。
烈火と千景のように、思いをぶつけあえばきっと戻れる。
そう信じて。
ソラ「これまでの旅と経験を胸に、あの世界に帰りましょう。」
鷹夜「おうよッ!。」
拳をぶつけ合う2人。
互いに切磋琢磨してきたんだ、あの時とは違う。
そして今度こそ…。
―あの手を掴むんだ―
ソラと鷹夜の思いは同じだった。
…翌朝。
しっかりと眠った一同は、天井に映るソラシド市へと向かう準備をしていた。
友奈「東郷さんと蒼葉君がまだ戻ってないけど…待ってる余裕はなさそうだね。」
亜耶「私がここに残ります。きっと、お役に立てないでしょうから…。」
芽吹「亜耶…。」
夏凛「あんた、腕は大丈夫なの?。」
先に戦いで蓮に弾かれた腕は見事に引っ付いていた。
感覚もすべて取り戻し、戦闘に影響の出ない程度にまでは回復していた。
……最も、常人離れしたリハビリで無理矢理回復させたに違いないが…。
芽吹「ええ、問題ないわ。あの借りは奴に返す。2度の敗北を味わされたんだ。このまま負けたままでは終われない。」
雀「もう無茶しないでよぉ?。」
鷹夜「お前もついてくるのか、雀?。」
雀「あはは…たった一人でこの世界に残ったところでなんか来たら終わっちゃうしね?。それに…大事な仲間があの上の世界にいるんだ。ちょっとは頑張りたい…かな。」
鷹夜「そっか、成長したなお前?。」
風「恋する乙女は強いのよ?。」
鷹夜「は?なんだって?。」
雀「だからダメェェェッ!!。変な事言わないでェェェ!!。」
烈火「よっし、今度は鷹夜達を助ける番だ!。大船に乗った気でいろよな!?。」
鷹夜「豪華客船の間違いだろ?。」
千景「気を引き締めなさい、きっと「劇団」も本腰を入れてくるはずよ。」
友奈「千景さんも来てくれるんですよね?。」
千景「ええ。少しでも…あなた達の役に立てるように。」
樹「いえいえ、この上ないぐらい頼もしいです!!。」
慎也「千景様。こちらは我々にお任せください。」
千景「ええ、頼りにしているわ。その…様つけはもうやめて頂戴?。「海祇機関」はもう解体したし…貴方たちも大赦預かりとなった身よ。」
慎也「分かりました。では、行ってらっしゃいませ…千景さん。」
まだまだ安心できないこの状況…。
それでも、昨日の敵が今日の味方となることは大変頼もしい。
だからこそ、任せられる。
この世界には<疑似勇者>が居る…。
そして、自分たちは次なる世界「ソラシド市」へと。
眼前に開くゲート。
その前に、防人の2人とリオン、千景を交えたメンバーが並び立つ。
あげは「…頑張ろう、少年にエルちゃん。ましろんと…あたし達の世界を取り戻すために。」
ツバサ「はいッ!。」
エル「えるぅぅぅぅうッ!。」
ソラ「行きますッ!。」
ゲートの中に入っていった一同。
その場にはもう誰もいなかった。
希望達の旅立ちを見送り、亜耶は願うように。
亜耶「…皆さんが無事に戻ってきますように…そして…大切な人を取り戻せますように…。」
……………………………。
~ソラシド市~
途中、何事もなくソラシド市へとたどり着いた一同はその光景に絶句する。
街の中心に聳え立つ巨大な漆黒の大樹。
それは、ここを起点に世界中に伸びるように広がっていて、その禍々しさは見る者に絶望を与えるように。
その惨状から見てわかる…最悪な状況だと。
あげは「…少し見ない間にこんなことになってるなんて…。」
風「ねェ…私たちの世界より深刻じゃない、これ…。」
友奈(if)「…なんだろう…闇というより…「無」を感じる…。」
もう一人の友奈はこの世界に蔓延する気配を感じ取る。
その瞬間、拍手の音が聞こえる。
ソラ「この感じは…!。」
アデル「おかえりなさい、希望の諸君。お待ちしておりましたよ?。あなた方がこの世界に戻ってくるのを。」
不敵な笑みを浮かべるアデル。
そして、自分たちが戻ってきた場所を確認する。
アデル「お気付きになりましたか…そう、ここはあの日にあなた方がましろさんを失い、敗走したあの場所…。」
忘れもしない、あの日から「時」が止まったあの場所…目の前でましろが串刺しにされ、そして…闇に堕ちたあの場所…ましろが入院していたあの病院。
ここから始まった…全ての災いが。
神経を逆撫でするように、アデルは仮面の下で薄ら笑いを繰り返す。
そしてソラ達は…あの日から止まった時を進めるために変身。
アデルに立ち向かう。
スカイ「アデルッ!!。この場所は私たちにとっても意味がありますッ!!。私達を惑わすためにここに誘導したのかもしれませんが…好都合ですッ!!。私達はあの日から止まった時間を動かします、貴方を倒してッ!!。」
………………………end。
ソラシド市に帰還した一同。
そこに待ち受けていたのはアデルであった。
そして、その場所は敗走したあの場所…ましろが入院していた病院だった。
今度は負けない…そして、時間を進めて先に行く。
いま、プリキュア達の怒涛の反撃が始まる…!。
次回
第86話 時を進めろ、VSアデル。