〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

ソラシド市に帰還した一同。

その場所は、ソラ達にとっても因縁がある場所…そこに待ち受けていたのはアデルだった。

あの日の敗走を思い出すプリキュア達…。

止まった時間を進めるため、プリキュア達はアデルと対峙する。


第86話 時を進めろ、VSアデル。

スカイ「はああああッ!。」

 

先手を取ったのはスカイ。

アデルは後ろに飛びのきながら、スカイの拳を受け止めるがその重さに少し驚いた顔をする。

 

その背後に迫るのはマジェスティ。

アデルの背中に掌底を当てる。

 

アデル「ぐぬうううう!?。」

 

 

アグニ「どうだアデル!。これが…世界を渡ってきた俺たちの今の力だ!。」

 

炎を纏い、肉弾戦を仕掛けるアグニ。

さすがに連続攻撃はもらいたくないのか、投げナイフによる迎撃を繰り出す。

そこへ、バタフライが割って入ってバリアを形成。その脇を通ってきたウイングが蹴り飛ばした。

 

そのコンビネーションに、アデルは自身の油断を反省し始める。

 

アデル「…どうやら、腕を上げたようですね…。」

 

 

スカイ「当然です!。私たちは2つの世界を巡って色々経験しました…!。」

 

 

ウイング「辛いことも苦しいこともたくさんありました…けど…!。」

 

 

バタフライ「その度に仲間たちと一緒に乗り越えてきたのよ!!。」

 

 

マジェスティ「そして今度は…!。」

 

 

アグニ「5人揃うように、あいつを…ましろを取り戻すんだ!!。」

 

全力で掛け始めたアグニ。

それに反応するように、他の3人も続く。

 

激しい攻防が繰り広げられる…この世界に戻ってきたことでスカイたちの士気は上がっている。

自分たちの世界を…そして、他の世界を巻き込んだことが許せない。

 

その思いとましろを救いたい気持ち…それが力となる。

 

アグニとスカイの打撃は以前とは比べ物にならないほど、力強い。

そこに、バタフライの防御力とウイングのアシスト、そしてマジェスティの搦手がアデルを翻弄する。

だが、アデルもやられっぱなしではない。

 

投げナイフと魔術を駆使し、4人に攻撃。

その攻撃をいなしながらも少しずつ傷を負っていく。

 

アデル「ククク…これはこれは…厄介なことになりましたねェ…。」

 

 

アグニ「へ…仮面の下で言われてもな…!。」

 

 

アデル「これでもとても困っているのですよ…まさか、ここまで力をつけているなんて思いもしませんでした…。」

 

それでも、アデルの余裕はまだ見えるように思える。

他の一同も戦おうと、身構えるもそれを止めたのは…スカイだった。

 

スカイ「皆さんは手出ししないでください!。ここでアデルを倒すことに意味があります!。それは私たちの…「止まった時間」を進めるためですから!。」

 

 

友奈「ソラちゃん…。」

 

 

アデル「止まった時間…ですか。それに、私を倒すなど…少し甘く見られたものですねェ?。」

 

その時、アデルの中からとてつもない「何か」が溢れ出した。

それはとても冷たくて…そして、アデルは仮面を取り外す。

 

それを見たアグニは驚愕する。

 

アグニ「な…!?。」

 

 

アデル「驚きました?。」

 

その素顔は…鷹夜と瓜二つ。

まさに合わせ鏡…驚くアグニを見てアデルの笑いはさらに高まる。

 

アデル「滑稽ですねェ…その慌てふためく様子が見たかったのですよ…。

 

 

アグニ「テメエは…「誰」だ…?。」

 

 

アデル「…ふむ…ここいらで明かしてもよろしいでしょう…。」

 

トランプを取り出し、空中に投げるとそれは大量のアデルへと姿を変えた。

 

アデル「アデルという個体は存在しない。私は…「劇団」の概念そのもの…。」

 

 

友奈(if)「そっか…分かった。この世界に蔓延しているこの「無」は…あなたのものだったんだね?。」

 

 

アデル「流石ですね…やはり、貴女は見破ってましたか…そう、我々の「舞台」は「無」を追求するもの…そして、私はそれを体現するための概念そのもの…「劇団」は私そのものであり、私は「劇団」そのもの…。」

 

すると、その場にいるアデルたちが一斉に仮面を取る。

その下はその場にいる全員の顔に変わる。

 

烈火「な…俺たちの顔!?。」

 

 

アデル「はははは!。私は無限に近い…さあ…この事実を知ってもなお、私を倒すと言えますか!?。」

 

高らかに笑うアデル。

しかし、一同の戦意は…消えなかった。

 

スカイ「それでも構いません!!。私たちは…それを超えて先に進みます!。」

 

 

アデル「…面白くありませんね。ならば…!。」

 

空にばらまかれたトランプが怪しく輝く。

するとそこから、大量のツタが放たれる。

 

友奈達も即座に変身。

トランプから放たれたツタの対処に移る。

 

アグニ「正体が分かったなら好都合!。その概念であるテメエを倒せば、「劇団」も崩れるってことだよな!?。」

 

 

アデル「できるなら…ね…?。」

 

無数の剣が雨のように降り注ぐ。

バタフライが頭上にバリアを張るが、その数と威力にバリアにヒビが生じる。

 

その窮地に雀が乱入し、その上にバリアを張る。

 

バタフライ「ありがと、雀!。」

 

 

雀「危なかったぁぁ…崩れるまでに間に合ってよかったよぉ。」

 

 

アグニ「アデル!!。こいつを喰らえ!!。」

 

頭上に飛んだアグニは、火の粉の雨を降らせる。

その場は火の海となり、アデルを取り囲む。

 

アデル「ふむ…逃げ場を無くしたということですか…。」

 

 

アグニ「あのツタは友奈達が抑えてくれてる…俺たちはテメエに集中するぜ!。」

 

両腕に炎を宿し、ゆっくりとアデルに歩み寄るアグニ達。

燃え盛る炎の中には、プリキュア達とアデルしかいない。

 

お互いに睨み会う中、先に仕掛けたのは…アデルだ。

 

アデル「フフフ…必死ですね…そこまでして私を倒したいのですか…やれやれ…。」

 

 

スカイ「私たちだけじゃない…貴方を倒さなければ世界が大変なことになる…!。」

 

ナイフの連撃に、スカイは身を削りながらアデルに打撃を入れていく。

服に血が滲む中、瞳が死んでいないスカイの打撃は徐々に勢いを増していく。

一瞬の瞬きですら、致命傷に繋がるかもしれないその攻防はさらに苛烈となっていく。

 

アデル「もう無駄ですよ。こうなれば後は滅びに向かうだけ…ましろさんの放った闇があの樹を育てる…もう時間の問題ですよ。加えて、千景さんの開いた世界の壁の穴…これがさらに闇を引き込んでいく…この世界を起点に、全ての世界が無に堕ちていく…。」

 

 

スカイ「く…!!。」

 

左肩にナイフが突き刺さり、勢いが弱まったスカイ。

その隙を突いてきたアデルは投げナイフをスカイの眉間に向かって投げつけたが、マジェスティの蹴りがそれを弾いた。

 

マジェスティ「貴方の放つ無は危険すぎる!。」

 

 

アデル「フフ…「運命の子」…貴女が相手ですか…。」

 

マジェスティを見るアデルの目が、少し興味深そうに見えて。

 

マジェスティ「聞かせなさい、アデル!。どうしてそこまで「無」を求めるの?。」

 

 

アデル「「無」こそが心地良いではないですか。光も闇も相容れない存在…歴史上、闇が淘汰される運命にあるのは納得がいかないでしょう。」

 

 

マジェスティ「真面目に答えなさい!!。」

 

仕掛けるマジェスティは、光を纏った拳を振るう。

だが、アデルはそれを受け止める。

 

アデル「真面目ですよ…「無」こそが何も生まない…悲しみも…憎しみも…あなた方の嫌う戦いも全て、何も生まない。それでいいではないですか。」

 

 

マジェスティ「そんなの…生きているとは言えない!!。」

 

一瞬の速度で懐に入るマジェスティはアデルの顔面に拳を叩きつけた。

 

その勢いで吹き飛ぶアデル。

吹き飛んだ先にはバタフライがいた。

 

バタフライ「もらった!!。」

 

2枚のバタフライシールドで飛んできたアデルを挟み込む。

 

 

アデル「ぐぬうう!?。」

 

 

バタフライ「手応えあり!。どうよ!!。」

 

挟み込まれたアデルはその場に倒れたかのように思えた。

だが、無数のトランプに化けてはその場を切り抜ける。

 

アデル「ふうう…危ない危ない…圧殺されるところでした。」

 

 

バタフライ「…抜け目ないね…やれたと思ったんだけどな…。」

 

 

アデル「いえいえ、完璧なコンビネーションでしたよ。ただ…私でなければ…のお話ですが。」

 

 

バタフライ「あたし達の街をこんなに滅茶苦茶にして…許せないね…!。」

 

 

アデル「ククク…何も、適当にチョイスしたわけではない…勇者世界は神樹の残滓の影響が大きい…ここまでの侵攻は叶わなかったでしょう。だが、この世界であれば我々の悲願を達成できる。そして意外にも、この樹を育てるのにふさわしい心の闇の持ち主までいた…これは意外な収穫でしたよ。当初の予定はソラさんだったのですがね…。」

 

 

バタフライ「…そのましろんの心の闇を祓うために帰ってきたのよ!。そして、この世界…いや、全ての世界をあんた達の手から守るんだ!。」

 

 

アデル「耳にタコができるくらい聞きましたねェ…。」

 

 

ウイング「この樹はましろさんの心の闇を解放させたあの種…まさか…!。」

 

 

アデル「気づきましたか。我々の「舞台」は次の段階に進んでいる…そう、次は…この世界の人間たちの心の闇を解放させること…そうすればあの樹は花を咲かせる…そうなると、勇者世界もろとも完全に星が止まる。自転が止まった次は…公転が止まる。そうすれば星そのものは死に向かうでしょう。これこそが「舞台」が終幕を迎える最後の仕掛け…私が描いた「破滅の姫君」が完成する!。」

 

 

アグニ「ふざけんなあああ!。」

 

猛進してきたアグニが、アデルの懐に拳を入れる。

打ち上げられたその瞬間を逃さない、眼前にはスカイが。

 

スカイ「ヒーローガール!。スカイパンチッ!。」

 

完全に虚を突いたその攻撃。

それはアデルの顔面を打ち抜いた。

 

地面に激しく激突したアデルはそのまま陥没した地面に突き刺さっていた。

 

やっと…あのアデルに一撃を当てた。

そう考えると、あの時の借りを返したかのように感じる。

 

 

アデル「ごは…ククク…これは…やってしまいましたねェ…。」

 

 

スカイ(まだ意識が…でも次は…!。)

 

そのまま落下しながらもう一撃のスカイパンチを繰り出す。

だが、アデルは空中に飛んでは回避した。

 

 

アデル「…なるほど…あなた方の力があの時以上というのが確認できました。これでいいでしょう。」

 

 

アグニ「テメエ…逃がすかよ!!。」

 

炎を投げるように、空中にいるアデルに向かって豪炎を放つも避けられる。

 

 

アデル「私をここまで追い詰めたご褒美です。教えて差し上げましょう、現在のましろさんは不安定となっております。」

 

…どういうことだ、何故ましろの状態を今ここで…?。

 

不信感を抱きながらも、一同はその話に耳を傾ける。

 

 

アデル「厄介なことに、主人格が生きている可能性がある…光と闇が彼女の中でせめぎあっている…。」

 

 

アグニ(やっぱりか…あの時流した涙は…本当のましろの涙…!。)

 

 

アデル「だが、時間の問題でしょう…この世界の闇が主人格を覆うのは。ククク、そうなれば今度こそ…ましろさんはもう「戻れません」ねェ?。」

 

薄ら笑いを浮かべながら、アデルは撤退。

倒せはしなかったが、あの日に止まった時計の針は進み始めた。それはなによりも、大きい一歩だ。

 

ましろを取り戻す最後のチャンス。

 

それはもう…すぐそこにまで迫っていた。

 

……………………end。

 

 




アデルを撃退し、自分たちの「時計の針」を進めたプリキュア達。


アデルの口からましろの状態について語られ、主人格が生きていることに希望を見出す。


戻ってきた一同は、虹ヶ丘邸にいるシャララと夕海子、しずくと合流する。

リオンもその場に居合わせ、合流した一同はソラシド市を本格的に救い出すために動き始める。

東郷と蒼葉の行方が分からない状況は改善できず、そして蒼葉に密かな想いを寄せる樹は何もできないことに心を痛めていた。

だが、その心の余裕の無さに「劇団」のアリスが目をつけて…樹に危険が迫っていた。


次回
第87話 樹の闇、心の闇の解放。
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