〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い 作:やままん
鷹夜とトーヤ。
2人はお互いの思いをぶつけ合い、この戦いに対する気持ちを語り合った。
その一方、別行動をとっていたあげはとツバサ、そして芽吹は「闇の種」によって、心の闇を解放された子供と出会う。
闇の大樹によってバラまかれたそれは、世界に多大な影響を及ぼし始めていた…。
あたしは、最強の保育士を目指している。
それは、幼少期に両親が離婚して保育園に通っていた時に決めたこと。
雨の日も晴れの日も、ずっと気にかけて傍に居てくれた先生。
ぎゅっと、握ってくれた手がとても暖かくてそれで救われた…自分は独りぼっちじゃない…そう思わせてくれた先生が居た。
いつか大人になったら、あの先生のように悲しんでる子の為に傍に居てあげられるような人になりたい。
その夢が「最強の保育士」だった。
その夢を叶えるためにあたしは…強くなるんだ。
誰もが笑顔でいられるような世界にするために…子供が元気に笑って過ごせる世界にするために…。
あたしは夢に向かって走り続ける…泣いている子供たちの涙を拭うために…。
―――――――――――――――
~ソラシド市、繁華街~
あげは「やっぱり、みんなここを離れちゃったんだね…。」
いつもは賑やかなこの繁華街。
繁華街の特徴的である喧噪も響かないその光景はとてもじゃないが現実的には思えなかった。
それほど、世界の状況は悪いという事になる。
この異常事態に、人々は安心できる地に逃げている事だろう…今、ソラシド市に居るのは極少数の人達のみ。
この地を離れたくない者…医療従事者…警察官…そして、自衛隊の人達。
そんな人達のみ、ソラシド市には残っている。
だからこそ、早くこの事態に決着を付けなければならない賑やかで活気のあるソラシド市に戻すためにも。
そう思いながら、あたりを散策をするあげは達。
その時、繁華街の隅から物音がした。
芽吹「…今の何…?。」
経過しながら、その報告へと歩を進める芽吹。
すると、その陰から一人の子供がゆっくりと姿を見せる。
ツバサ「こ…子供…!?。」
こんなところに何故…そう思いながら、駆け寄るツバサは子供に問いかける。
ツバサ「君、お父さんとお母さんは一緒じゃないのかい?。」
目線を合わせて尋ねるツバサ。
しかし、子供は何も答えない。
年齢的に見て年長者だろうか…それに、男の子。
だが何故か、目線は明後日の方向を向いていた。
あげは「とりあえず、警察の人に保護してもらう?。」
そう提案するあげは。
しかし、芽吹だけは警戒心を解かない。
芽吹「…待って。何かおかしいわ…はぐれたにしても、何でこんな場所に子供が一人で出歩いているの?。」
あげは「え…それは…。」
その時、子供の表情が変わる。
???「…何もかも…消えればいいんだ。」
ツバサ「…え…?。」
悍ましい声…その異変にいち早く気付いた芽吹が子供の手を握るあげはの手を強引に振り払った。
バランスを崩して転ぶ子供…芽吹のいきなりの行動にあげはは怒声をあげようするが、その子供から瘴気のようなのもがあふれ出しては3人を吹き飛ばしてしまう。
あげは「な…何…ッ!?。」
ツバサ「待ってください…あの子からとんでもない気配が…!。」
この感じは…知っている。
ましろの時とすごく似ている状況だ。
だが、決定的に違うものがある。
それは、子供の身体から「黒い何か」がゆっくりとはい出てくる様子。
直後、子供の意識が途絶えた。だが、その「黒い何か」はずっと蠢くように。
芽吹「…なによこれ…!。」
「「人の心の闇」から這い出てきた異形だ。」
声の方向を振り向く3人。その目線の先にはリオンが居た。
ツバサ「リオンさん!。」
リオン「…お前たち、よく見ておけ。これが現在の状況で…この世界を震撼させている現状だ。」
蠢く「黒い何か」は徐々に形を作っていく。
それはやがて、巨大な犬の形へと変貌していった。
「グオオオオオオオオオオッッ!!。」
繁華街のガラス戸を砕くほどの咆哮を放つ異形。
それは、とてつもないスピードで接近してくる。
あげは「ッ…少年、芽吹ッ!!。」
芽吹「ええッ…!。」
変身した3人は、突撃する異形を見据える。
バタフライがシールドを形成。正面からその攻撃を受け止めた。
バタフライ「ぐっ…押し切られる…ッ…!?。」
ジリジリと、牙を突き立ててはそのままシールドを押していく。
やがてヒビが入ると同時に、ガラスのように砕けては眼前にその異形がいて。
ウイング「まずい…!。」
芽吹「この…やらせるか…ッ…!。」
突き付けた銃剣のトリガーを引く芽吹。
それは眼球に当たる部分に直撃。仰け反る形で異形は後退する。
バタフライ「サンキュー、芽吹…!。」
芽吹「礼には及ばないわッ!。けど…何かしらコイツ…!。」
モゾモゾと動き出すその異形は、背中から手が生えてきては掴み掛かろうとする。
ウイング「手が生えて来た…!?。」
リオン「その少年の心の闇が具現化した怪物だ。その形は、少年の心の闇そのもの…抱えている闇が形となり、それが姿形となるものだ。おそらくだが、この少年は犬に対して何かしらの闇を抱えている…。」
バタフライ「ッ……!。」
伸びて来た手をシールドで弾き飛ばすバタフライ。
そして、そのまま突撃しては異形を蹴り上げた。
バタフライ「…何が心の闇だ…人の心を抉るような事を…そんなの…許されるはずがない…ッ!。」
怒りが込み上げてくるバタフライ。
子供の心でさえ、利用するのか…。
そう思うと、力が込み上げてくる…そして、怒りが滲み出る。
バタフライ「ましてや、子供の心を!!。待ってて、今すぐにその闇から解放してあげるからッ!。」
芽吹「バカッ!。無闇に突っ込まないで…!。」
怒りで冷静な判断ができないバタフライは、伸びてくる手に気付かない。
そして……。
バタフライ「ぐあああ…ッ!。」
まるで、跳ね飛ばされたかのように宙を舞うバタフライ。
伸ばされた異形の手は拳の形となっていた。
身体がバラバラになりそうなほどの衝撃で殴り飛ばされたバタフライは、繁華街の店を巻き添えに突っ込んでいく。
ウイング「バタフライッ!!。」
異形「グオオオオオオオオオオッッ!!。」
大口を開けた異形のその咆哮はまるで大砲のようで。
両腕を交差して耐えるも、その威力故に押し負けてしまう。
ウイング「うわぁあああッッ!!。」
芽吹「ッ…一気に2人も…!?。」
リオン(こうなれば、私も出るしかないか…!。)
残されたのは芽吹のみ。
この異形を相手に戦力的に不利と見たリオンは剣を取ろうと、柄に手を添えた。
だが……。
バタフライ「ッ…がは…まだまだ…!。」
覚束ない足取りで、バタフライは瓦礫の中から現れる。
血を流しながらも、目は死んでいない。
芽吹「無茶よ!休んでなさい、ここは私が…!。」
バタフライ「ううん、あたしがやる…いや…あたしがやらなきゃいけない…!。」
芽吹「何故ッ!?。この子供のことを知っているのッ!?。」
バタフライ「…知らないよ?。」
芽吹「だったら…ッ!。」
バタフライ「それでもやらなきゃ…だよ。だってあたしが目指すのは…「最強の保育士」だから。」
そう語るバタフライ。
その瞳には、並ならぬ闘志が宿っていた。
それを見たリオンは剣から手を離す。
バタフライ「子供は笑って過ごすのが一番…あんなに悲しい顔をしていてるのを黙ってるなんて出来ない…!。」
拳を握り締めるバタフライ。
その時、両手に光が籠る。
バタフライ「哀しみに暮れた子供の心を癒してあげられる大人になりたい…あの先生のように、あたしは…悲しい心にも寄り添えるようなあんな保育士になりたいんだッ!。だからあの子の心を救う…それができなければあたしは…保育士失格だからッ!。」
凄まじい光に包まれたバタフライ。
その瞬間、異形が背の手を伸ばしてくるが片手で開いたシールドは難なくその攻撃を防ぎ、逆にその威力を跳ね返した。
芽吹「跳ね返した…!?。」
リオン「…心の闇があるならば、その逆の力…「心の光の力」もある。」
ウイング「心の…光…?。」
リオン「勇者が「意志の華」を咲かせるならば、プリキュアは…「心の光」を輝かせることが出来る…か。」
芽吹「意志の華と…心の光…。」
バタフライ「…必ず、助けるから…!。」
一気に飛び出すバタフライ。
光に包まれながらも、美しい軌跡を描いては異形の速度すらも凌駕するスピードで顎を蹴り上げた。
バタフライ「闇に負けちゃダメだよ!。君のその心は闇に染まってはいけない!。未来を信じて、絶望なんてしないでッ!。」
放たれる咆哮は片手で作ったシールドで弾き、まるで踊るように打撃を与えていく。
この子の心を救いたい…。
その一心で、バタフライは駆け抜けていく。ただ、ひたすらに。
バタフライ(すごい…身体が軽い。これがあたしの心の光…これがあれば、きっとましろんにも…!。)
繰り出す攻撃の一発一発が今までとは違う威力に。
そして、異形の攻撃はまるで歯が立たないほどにまで強化されたシールドがその全てを弾いていく。
バタフライ「芽吹ッ!少年ッ!。」
芽吹「…ええ、了解したわ…!。」
バタフライの意図を読んだ芽吹は銃剣から伸びるワイヤーを自在に操っては異形の身体に巻きつける。
芽吹「キュアウイング!。私を持ち上げて空を駆け抜けて!。」
ウイング「はい、わかりましたッ!。」
芽吹の身体を抱えて宙を舞うウイング。
巻きつかれたワイヤーは次第に異形の体を拘束していき、背中の手を伸ばさないように全体に張り巡らせる。
芽吹「強力な攻撃は、撃たせなければいい…!。」
バタフライ「ナイスよ、2人ともッ!!。」
縦横無尽に巻き付かれたワイヤーは複雑に絡み合い、異形の動きを完全に止めていた、
そして、飛び上がったバタフライは両手を空に掲げる。
バタフライ「保育士はね、心の拠り所になるもの!。泣いている子供がいれば寄り添うし、苦しんでる子がいればその心を受け入れるッ!。その闇を利用して子供から笑顔を奪うことは絶対に許せない!そんなの、あたしが全て潰してあげるッ!。子供の心を…利用するな…!。」
掲げられた両手に、巨大な蝶のシールドが形成される。
バタフライ「ひろがるッ!。バタフライ…ギガントプレスッッ!!。」
巨大化した蝶形のシールドをキックの要領で上空から叩き込んだバタフライ。
「バタフライプレス」よりも強化された「バタフライギガントプレス」は異形の闇を徐々に浄化していく。
バタフライ「はあああああッッ…!!。」
全身を包み込む光を放出し、蝶形シールドに注ぎ込むとそれはさらに巨大化。
遂に押し潰された異形はその闇と共に完全に浄化された。
異形が消えたと同時に、少年はそのまま眠りにつく。
それを抱えたリオンは、安堵の表情を浮かべる。
リオン「…よかった。息がある…どうやら、心が死ぬ前に助け出せたようだな。」
バタフライ「心が…死ぬ…?。」
リオン「ああ。心の闇は鎮まらない、増幅していきそれはやがて、精神をも食い殺す。そうなれば、もう生きているとは言えない…肉体が先に限界を迎えてそのまま死んでしまうのだ。」
ウイング「なっ…!。」
リオン「それがこの世界の現状…心の闇は単なる闇の解放というわけではない。こうして、具現化するまでに増大すればそれは命の危険性すら考えられる。実際に、間に合わなかった者もいるほどだ…だが、心の光を放てる者がいるのならば希望はある。「意志の華」と「心の光」…それが、あの黒い大樹に対抗できる手段になり得るだろう。」
バタフライ(なら、必ず届く…ましろんにも。)
自分が手にした新たな力に、バタフライはグッと握り拳を作る。
子供の笑顔を守りたい。
最強の保育士を目指すあげはは、心の光を胸に秘めて夢に向かっていく。
あの先生のように。
そう思って。
……………………end。
子供の心を守るために、バタフライは新たな力を手に入れた。
それは、心の闇で蔓延するこの世界の現状をひっくり返すための手段でもある。
そしてその一方で、片目が見えない烈火の代わりに行動を起こす友奈ともう1人の友奈。
その時、彼女達の前にましろが現れて…。
次回
第90話 友奈VSキュアプリズム、光と闇の戦い。