〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

「心の闇の力」に相反する力「心の光の力」を発現させたキュアバタフライ。

その光は心の闇に支配された者の心を浄化する力であり、この戦いにおいて決定打になるものであった。


その頃、「劇団」側にも動きがあった。

ましろが単独行動を起こし、ソラシド市に聳え立つ「闇の大樹」の成長を促していた。

それに気付いたもう一人の友奈もまた、行動を起こすのであった…。


第90話 友奈VSキュアプリズム、光と闇の戦い。

 

~「劇場」~

 

 

アデル「…ましろさんが見当たらない?。」

 

アリスから報告を受けたアデルは、その内容に少し驚く。

 

アリス「そうなのよね…ここ最近、あの子が帰って来ないのよ。」

 

ましろがいつも座っている椅子を見つめながら言うアリス。

アデルは状況を冷静に分析する。

 

アデル「まずいですね…今の彼女の様子だと、精神的に不安定な要素が多すぎる。」

 

 

ナイアル「つまり、生きていた「主人格」が蘇ると?。」

 

 

アデル「はい。そうなれば、この「演目」もだいぶ遠回りとなるでしょう…。」

 

 

蓮「全く…自由奔放なお姫様だな。」

 

 

アデル(…主人格が蘇れば、「破滅の姫君」も消滅する…ここに来て、誤算が発生してしまいましたか…。)

 

…………………。

 

〜ソラシド市、闇の大樹〜

 

 

ましろ「〜〜〜〜♪。」

 

大樹の枝に座り込み、鼻歌を歌うましろ。

 

ゆっくりと目を開けると、本来のエメラルドグリーンの瞳と闇に堕ちた際の真っ赤な瞳が左右に分かれたオッドアイとなっていた。

 

そう…本来のましろの主人格は生きていたのだ。

 

だが、体の支配権は植え付けられた闇のましろにある。

不安定なその様子は不気味さがより増しており、優しさが入り混じった狂気さが滲み出ている。

 

鼻歌を止め、ソラシド市を見下ろすましろ。

 

ましろ「…なんか、全てがつまんなくなってきたな…やりたいことは一通りやったし…。」

 

大樹の枝に手を当てると、その部分だけ発光し始める。

そしてそこから花が咲き、種が落ちていく。

 

ましろ「…まだ足りないか…やっぱり、ソラちゃん達が帰って来てから少しおかしくなってるね…今まで以上に成長速度が下がってる。」

 

ミラージュペンを取り出すましろは、大樹に文字を刻んだ。

 

「光あるところに闇あり」。

 

そう描き、一呼吸すると共に右手を幹にあてる。

すると、大樹の幹が輝いては未だ芽を出していない場所から葉が生えてくる。

 

ましろ「光と闇は表裏一体…相反する力は逆に弱める要因にもなる…。」

 

そのまま、枝から飛び降りては自由落下しながら空を仰ぐ。

 

ましろ(一気に始めようかな…主人格の私がしゃしゃり出てくる前に。)

 

…………………………。

 

友奈(if)「…この感じ…。」

 

何かを感じたもう1人の友奈は、待機している鷹夜の家から闇の大樹を見る。

 

友奈「…どうかしたの、もう1人の私?。」

 

 

友奈(if)「ううん、なんでもないよ。少し、外の空気を吸ってくるね?。」

 

カーディガンを羽織り、部屋を出るもう1人の友奈。

 

その様子を見届けた友奈にも、異変が起きる。

 

友奈(何かな…この感覚…なんか…「呼ばれてる」気がする…。)

 

 

烈火「どうかしたか、友奈?。」

 

友奈は感じた違和感を、烈火に告げようとする。

しかし、彼の片目は「酒呑童子」の影響で見えていない。

 

…千景との戦いで相当無茶をした…自分の異変を告げればきっとまた、無茶をする…。

 

そう感じた友奈は烈火の顔を見て。

 

友奈「大丈夫だよ、烈火君は待ってて?。鷹夜君が帰ってくるし…流石に家を空けるわけにはいかないからね?。風先輩を見てて欲しいんだ?。」

 

そう言って、友奈も駆け出していく。

 

友奈(…烈火君に負担はかけられない、この違和感を調べないと…もう1人の私の事もあるし…。)

 

…………………………。

 

駆け出したもう1人の友奈は、高台まで足を伸ばす。

 

その視線の先には……。

 

ましろ「…やっぱり、貴女が来たんだね?。」

 

 

友奈(if)「…相反する力……私…いや、「私達」と貴女は表裏一体のようだね。」

 

その時、友奈も走ってやってくる。

 

引き寄せ合うかのように、3人は目を合わせる。

 

友奈「…ましろ…ちゃん…。」

 

 

ましろ「分かってたよ、貴女と私はちょっと似てるって。だから、私は貴女を呼んだんだ?。」

 

そう言って、ミラージュペンを取り出すましろ。

戦う気だ…そう思いながら、友奈も端末を取り出した。

 

ましろ「貴女を倒せば、私の中の「ノイズ」も少しは収まるかな?。スカイミラージュ、トーンコネクトッ!。ひろがるチェンジ!。プリズムッ!。」

 

友奈「…私を倒してもそれはきっと、晴れたりはしないよ。だってそれは…貴女の心そのものの影響だもん!。」

 

変身し、対峙する2人。

一斉に飛び出しては激しくぶつかり合う。

もう一人の友奈は静かに見守る。

 

プリズムSF「引き寄せあう者同士なら、片方の存在が消えれば何かが起こるはず!。だから私は貴女を倒す!!。」

 

友奈「負けない!。ソラちゃん達のためにも!!。」

 

互いの拳がぶつかり合うと、周辺は嵐のような衝撃が吹き荒れる。

直後、プリズムの放つ闇にエネルギーが友奈の頬を掠った。

 

直感で避けた友奈は反撃として、光に包まれた拳でプリズムに顔面を打ち抜いた。

 

先手は友奈、プリズムは思わずよろける。

 

だが、すぐに態勢を立て直したプリズムは流れに乗るように右足で友奈の左腕にキックを入れる。

その威力に、痺れが生じて歯を食いしばる友奈。

 

友奈(if)「…光と闇の戦い…勝者はどっちかしかない…か…。」

 

叫び合いながら互いに攻撃を入れていく2人を見て、少し哀しみの表情を向けるもう一人の友奈は「決して相容れない存在」と感じてしまう。

 

ましろを取り戻すには、今の彼女の人格を「消す」必要性がある。

 

だがそれはきっと、容易ではない…闇に支配されているとはいえ、この一面も「ましろそのもの」だからだ。

優しさの果てに芽生えた闇…それが今のましろ。

 

自分でも気づかないほどにまで膨れ上がった闇が今の感情を支配している。

そして、光と闇は表裏一体であり必ず相反するものでもある。

 

友奈が負けるかましろが負けるか…。

 

この戦いの行方はそれしかない。

 

拮抗状態にあるこの戦いの天秤は徐々にプリズムに傾き始めていた。

闇に塗れたソラシド市の影響もあってか、ましろの「心の闇」がより強く、放出されているためである。

 

一瞬の油断が命取りとなる…友奈は防御の姿勢からその隙を逃さまいと冷静に受け流していた。

 

だがその瞬間…。

 

プリズムSF「ぐうう…!!。」

 

攻撃の手を止めたプリズムは突然、頭を抱えて苦しみだす。

 

そんな様子を見て、友奈も手を止めた。

心配そうに駆け寄るも、その眼光はとても冷たくて。

 

プリズムSF「…「出てくるな」!。私は…私なんだ…!。」

 

 

友奈「え…何が…?。」

 

 

友奈(if)「本来のあの子だよ。」

 

 

友奈「本来の…ましろちゃん…?。」

 

 

友奈(if)「うん。「闇の花」が開花した時に、人格を上塗りするために主人格は殺されたはず…だけどそれは、彼女の深層意識でずっと生きていたんだ。鷹夜さんやソラさん達の呼びかけが功を成したのか、虹ヶ丘ましろという存在はまだ…「生きている」。」

 

もう一人の友奈は、プリズムSFに近寄る。

 

友奈(if)「もう、返してあげたらどうかな。貴女もその苦しみから逃れられるよ。」

 

 

プリズムSF「…何を…!。」

 

 

友奈(if)「もう限界なんだよ。貴女という人格は作られた人格…ましろさんの闇の部分である貴女が人格を維持するのは無理がある。元々、人格として芽生えていたものじゃなくて、感情の一つとして存在していたにすぎない。思う所があっても、彼女はその優しさを優先して生きて来たんだと思う。だからなんだよね…その苦しみから逃れたいから貴女は…あの樹を育てるんでしょう?。」

 

闇の大樹を見上げるもう一人の友奈。

それにつられるように、プリズムも見上げる。

 

友奈(if)「今あるその感情も間違いなく「貴女」だよ?。でも…本当の貴女がそれを抑えようとしている。闇に身を委ねないで、一緒に生きればいいと思う。」

 

 

プリズムSF「うるさいッ!!。」

 

咄嗟に放った手刀が、もう一人の友奈の右肩を貫く。

舞い散る鮮血と激痛に顔を歪めるも、彼女の手を掴んでは離さない。

 

友奈(if)「ッう……本当は…分かってるんでしょ…このままだと自分を維持できない…それに…「劇団」に良い様に利用されてるって…。」

 

 

プリズムSF「そうだよ…だから私は…元の人格を消して自由に生きるんだ…!。」

 

 

友奈(if)「それじゃダメだよ…それにきっと、遅かれ早かれ貴女という人格は不安定になる…そうなれば、今度は…世界中に振り撒く「闇」になるだけだよ…!。」

 

 

プリズムSF「成りはしない!。今の私は純粋な虹ヶ丘ましろだよ!。優しさの果てにある苦しみを理解した本当の私!。」

 

 

友奈「違うッ!!。」

 

プリズムの攻撃を受け止めた友奈。

力強い眼差しで、プリズムの目を見る。

 

友奈「…確かに、苦しいよ…優しさの裏にはそれ以上の大きな苦しみがある…それは、私も分かるよ…だけど、苦しいからってそれを理由にして他の人を傷つけていいはずがない!!。」

 

 

プリズムSF「だったら、本当の思いを押し殺してまで過ごせというの!?。貴女だって、たくさん苦しんだんでしょ!?。その小さな身体で、人が到底抱えきれないほどのものを背負ったんでしょ!?。」

 

訴えかけながら、プリズムの攻撃は苛烈さを増す。

その一発一発はとても重く、そして…必死さが伝わってきた。

 

友奈は受け止めながらも、その目は何かを訴えるような眼差しとなっており。

 

友奈「私はそれでも…誰かを傷つけてまで得ようとは思わなかった。」

 

握り拳を一つ、作って。

 

友奈「だって私は…"勇者"だから。」

 

渾身のパンチが、プリズムの頬に突き刺さるように当てられる。

 

その一撃はとても重く、そして信念が籠っていた。

 

地面を転がるプリズム。視線を伏せたまま何も言わない。

 

見れなかった…自分と同じ境遇にあっても、絶望しなかった友奈を。

 

生まれ持った優しさ故に、苦しみが蓄積されるのは常人よりも遥かに多い。

言いたいことはたくさんあった…だけど、いつも優しさが勝ってしまう。

だから、本音で話せないこともたくさんあった…自分は「闇の花」によって作られた人格だ。

 

だが、それは本来のましろが抱えていた闇そのもの…アデルによって、人格化されたその感情は爆発するかのようにこれまでの思いを表に出せる良い機会でもあった。

 

だが…生きていた「本来の自分」が抵抗している。

 

つまり、この感情そのものを否定しているのだ。

だとしたら、今の自分はどうなる?。抱えてきたこの感情が否定されてしまえば存在そのものですら消えてしまう。

 

<破滅の姫君>としての新しい自分は…消えてしまう。

 

今まではただただ、闇の部分が表に立った喜び故の行動だった。

しかし、度重なる鷹夜やソラ達の必死な呼びかけにより、死んだはずの「虹ヶ丘ましろ」が抵抗し始めた。

 

そこからだった。

愉しむ事よりも…「消えたくない」という渇望へと変わっていったのが。

 

もしあの時、キュアマジェスティと戦わなければ…もっと早くに、鷹夜達を始末していれば…。

 

例え、生きていたとしてもその絶望から「本当の虹ヶ丘ましろ」が再び出てくることは無かった。

 

こんなはずじゃなかった。

 

プリズムは頭の中でそう思い続ける。

 

友奈「…貴女も…ましろちゃんそのものだよ。その感情も必要なもの…だけど、それでも誰かを傷つけていいはずなんてない。一緒に生きればいい、「本当のましろちゃん」と。」

 

手を伸ばす友奈。

プリズムは無意識にその手を取ろうとする。

 

だが、その時…闇の大樹が激しく輝き始める。

直後、プリズムが叫び声をあげる。

 

直感で危機を感じたもう一人の友奈が肩の怪我を気にすることなく友奈を引っ張る。

 

 

―ニガサナイー

 

 

2人の友奈の頭の中で響く。

 

莫大な闇のエネルギーに包まれたプリズムは「サタナキアフォーム」から、「本来のキュアプリズム」に戻る。

 

だが…"何かが決定的に違う"。

 

ゆっくりと目を開けるプリズム。

それは…本来のましろでもなく、反転した闇の人格でもない…。

 

プリズム「…光と闇の人格は封印した…私は「闇の大樹の意思」。この身体は…渡さない。」

 

 

闇の大樹の意志…。

 

2つの人格を封じられたましろ…。

 

そして、恐怖する。

 

純粋なる闇そのものに。

 

 

………………………end。




友奈とましろ。

相反するもの同士の戦いは、「本来の虹ヶ丘ましろ」の抵抗により友奈に軍配が上がった。

消えたくないと訴える闇の人格…それを受け入れ、本当のましろと共に生きることを思った友奈が手を差し伸べるも、それも叶わない。

闇の大樹が彼女を解放させない…。

純粋なる闇そのものとなってしまったましろを、取り戻せるのか…。

そしてそれは…ましろを取り戻す最後の戦いとなる。

次回
第91話 ―虹ヶ丘ましろ―
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