〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

95 / 146
前回のあらすじ。


内なる闇を受け入れ、共に生きていくと強く決意したましろ。

それは奇跡を起こし、可能性を凌駕した。

闇の支配から脱し、身体を取り戻したましろは一同の元に帰ってきた。


ようやく、揃った。

ここから…反撃の時だ。


第92話 ーキュアプリズムー

 

光に包まれ、ゆっくりと瞳を開けるプリズム。

ボロボロの仲間たちを見て、微笑みを向ける。

 

そして、一言…。

 

プリズム「…ただいま、みんな。」

 

その瞬間、これまで抑え込んでいた感情が一気に流れ出したスカイ。

声を殺しながら、まるで小さな子供のように大粒の涙を落としていく。

 

あんな別れ方をしてからずっと、抑え込んでいたソラ。

強がりだけで、これまで凌いで来た。

 

いつか、取り戻せる。

 

そう信じて、突き進んできた日々。

それがようやく、実を結んだ。

 

今すぐにでも、抱きしめたい。泣き叫びたい。

 

そう思うも、眼前にはましろと分離した闇の大樹の意思が形の無いまま蠢いていて。

 

 

―グオオ…何故だ…光と闇の感情を封印したはず…その身体は…私が支配したはず…!!―

 

 

狼狽える闇の大樹の意思。

想定すらしていなかったその奇跡に、初めて取り乱した。

 

友奈「貴女が…本当のましろちゃん…。」

 

 

プリズム「結城友奈ちゃん…貴女の声はちゃんと届いていたよ?。ありがとう、貴女が私の闇の認めてくれたからこうして私も…自分の闇と向き合うことが出来た。」

 

 

バタフライ「もう…大丈夫なの…?。」

 

 

プリズム「うん、もう大丈夫。ソラちゃん、あげはちゃん、ツバサ君、エルちゃん…そして、鷹夜君。」

 

5人の元に、歩み寄るプリズム。

そして、頭を下げた。

 

プリズム「ごめんなさい…私、みんなにたくさんの迷惑をかけた…。」

 

 

アグニBF「お前…。」

 

 

プリズム「だけど、今は…あれをどうにかしよう。」

 

蠢く闇の大樹の意思を見る。

 

スカイも涙を拭い、静かに頷く。

 

スカイ「はい、あれを放置するわけにはいきません…ましろさんを取り戻した今、やることは一つ…!。」

 

 

アグニを除いた5人が並び立つ。

 

マジェスティ「闇を祓うだけ…!。」

 

飛び出したマジェスティ。

闇の大樹の意思は対抗すべく、その形を人型に変えた。

 

徐々に形作っていくその姿…それは、「器」として利用していたましろを模した姿に変わる。

 

マジェスティ「どこまでもましろに固執して…!。」

 

 

―「器」を…私の「器」をぉぉぉぉぉッ!!―

 

 

渇望するように、腕を伸ばす闇の意志。

ましろという「器」を無くした今はただの闇に集合体。

 

その戦闘能力は先ほどとは比べ物にならないほどにまで弱体化していて。

 

マジェスティの打撃をまともに受けてしまう。

 

 

―ぐがあああ…!―

 

 

ウイング「ましろさんは渡さない!!。お前を倒してこの世界に光を取り戻す!!。」

 

手刀で空を切る。

それは、三日月型の斬撃へと変わって、腕部に当たる部分を斬り飛ばした。

 

痛みが無い闇の意思は気にすることなく、もう片方の腕を伸ばす。

そこへすかさず、バタフライが介入してきてシールドで弾き飛ばした。

背中合わせに並ぶウイングとバタフライ。

 

互いに信頼しているからこそ、背中を任せられる。

その強い意志は、闇の意志をさらに弱体化させる。

 

―強大な闇を前に、絶望しないだと!?―

 

 

バタフライ「当たり前だよ、あたし達は明日が欲しいから頑張れる!!。」

 

 

ウイング「未来を求めるから、闇に抗える!!。僕たちの意思は…闇に染まらない!!。」

 

 

スカイ「はああああッ!!。」

 

とんでもないスピードで突っ込んでくるスカイ。

繰り出した肘鉄は、闇の意志の懐に突き刺さる。

 

その打撃自体の衝撃は凄まじく、後方に吹き飛ばした。

 

スカイ「「劇団」の目論見はここで破壊します!。私たちの世界と友奈さん達の世界に「明日」を取り戻すためにッ!!。」

 

光に包まれたスカイ。

それは、バタフライが発現させた「心の光の力」だった。

 

闇の意思に唯一、対抗できるその力…元々あるスカイの意志の強さがさらに増幅させる。

 

―なんという光の意志だ!。このままでは私が…瓦解する!?―

 

 

友奈(if)(…相反する力はお互いに弱点同士…だけど、ソラさんの意思がその常識を遥かに凌駕してる…懐かしいな…向こう側で私とソラさんが一緒に戦ったあの頃を思い出す…。)

 

 

スカイ「私は託されました…もう一人の私と、若葉さん達に!。2つの世界の戦士達が、未来を生きる私たちに全てを託したんです!!。だから、絶対に負けない…この意志が闇に堕ちることは絶対にない!。抗って見せる…未来をつかみ取るその瞬間まで!!。」

 

 

―だとしても…闇の意志が2つの世界に対して優勢なのは変わらない!。見よ、空から来たるあの「災厄」を!!―

 

割れた空から、雪崩れ込むように現れる「DM」。

今までにない勢いで、落ちてくるそれはこの世の終わりを感じさせるものでもあった。

 

しかし、その場にいる者達は諦めない。

 

押し返すように、いくつかの光がそれらを消していく。

 

 

烈火「まさか…みんなが!?。」

 

 

友奈「うん…気持ちは同じだよ。「明日」が欲しいから、全力で頑張れる…私たちが築いたこの絆は決して、闇になんて負けない。」

 

片腕を抑えながら、ゆっくりと立ち上がる友奈。

闇の意志と激戦を繰り広げるプリキュア達に視線を送る。

 

 

―たった小さな光が、膨れ上がった闇に敵うはずがない!。諦めよ、全ての世界は闇に沈むのだ!!―

 

 

アグニBF「黙れよ!!。例え、テメエらがとんでなくデカい壁だとしても、俺達は諦めねェッ!。闇の意思だかなんだか知らねェが…!!。」

 

勢いよく飛び出したアグニは、その感情に比例するほどの熱量を持った炎を宿す。

 

アグニBF「俺達の絆を汚すことなんて出来やしねェッ!!。人間の力を…舐めんなよッ!?。」

 

その炎は、闇の意思を焼き払うかのように纏わりつく。

そこに、硬い拳を打ち付けたアグニ。

 

物理的ではない、その強い意志は闇すらも焼き払っていく。

 

やがて、力が弱まりもう成す術もない状態となった闇の意志。

その目の前には、プリズムが立っていた。

 

「器」である彼女を見た闇の意志は、弱々しく手を伸ばす。

 

―「器」…私に見合った最高の「器」!。欲しい…その全てが欲しい…寄越せ…寄越せェェェェェッ!!―

 

手を伸ばしてくる闇の意志。

しかし、プリズムの目の前で飛散し始める。

 

当のプリズムは…悲しい目をしていた。

 

プリズム「…貴方は…悲しいね。」

 

 

―なんだ…と…―

 

 

プリズム「光と闇は一緒にはなれない…だから、貴方はずっとその陰で存在していかなきゃいけない…私、分かったんだ。ずっと、閉じ込められている時に闇の私が好き勝手していた。当然、耐えられなかったよ?。でも…気づいたんだ。」

 

形を維持する事すらままならない闇の意思に歩み寄るプリズム。

 

プリズム「闇もまた、「存在」しているんだと。表と裏は絶対に必要なんだ…どっちかが、表立ってしまえばそれは調和を乱す…だから、光も闇もお互いを認め合いながら、同じ立ち位置で存在しないといけない。「劇団」はそれを崩そうとしている…光と闇の天敵は「無」。彼らは…私たちの存在を否定してる。」

 

手を広げ、俯く闇に意志に向けるプリズム。

そこからは、優しい光が溢れ出して。

 

プリズム「光は「絆と意志」、闇は「孤独と感情」。「無」はそれを壊す存在…私たちの本当の敵は…「無」なんだ。」

 

 

―黙れ…光こそ、我々の怨敵!!。光と共に歩むなどあり得ぬ!!―

 

 

プリズム「貴方たちは「劇団」に利用された…闇は「無」を助長させる要因になる…光がずっとそれを抑え続けていたから、その「調和」は維持されたの。逆に、光は絶対的な正義…行き過ぎた正義は「均衡」を崩してしまう…貴方たちが居てくれたから「均衡」が保たれた。だから、光と闇は表裏一体なんだ。私たちは、手を取り合うんじゃなくて、お互いを認めながら「存在」し続けなければならない…「無」に取り込まれないように…。」

 

プリズムの優しい光が、ソラシド市全体に響き渡る。

 

プリズム「…私は闇に堕ちて分かったの。どっちの私も私…良い私も悪い私も同じ存在なんだ。だから、認めたんだ。表と裏を…。」

 

その言葉を聞いて、闇の意思は何も言わなくなった。

 

そして、諦めるようにか細い声で告げる。

 

―…ならば、それを体現してみせよ。互いを認め合うというのであれば、我ら「闇」を受け入れて進むがいい。「調和」と「均衡」を保ちたいのであれば、我々は貴様の言う通り、認め合う必要があるのだろう。我々は消えない…もし、それが偽りであったその時は…貴様の導き出した答えが間違っていたという事になる。見せて見ろ、その答えが真であるかどうかを―

 

 

プリズム「…わかった。プリキュア、ホーリーソング。」

 

歌うように、優しい光が溢れ出す。

それはやがて、闇の大樹を包み込んでは徐々に浄化させていく。

 

その時…世界に「時間」が戻った。

 

動かなかった雲が動き、生命の源である太陽が姿を現す。

混沌としたソラシド市に降り注ぐ陽の光。

 

それは、上空の勇者世界でもそうだった。

 

 

………………………。

 

 

亜耶「…海が…動き出した…?。」

 

祈るように、一同が旅立ってから毎日訪れていた海岸。

止まった水面が再び、動き出す。

 

そして、風が吹いては当たり前の光景が目の前に広がる。

 

亜耶「皆さん…やり遂げたんですね…!。」

 

 

………………………。

 

「DM」と戦っていた他のメンバーもまた、傷だらけの姿となってはいたが再び動き出したその世界の光景見ていた。

 

夏凛「…世界が動き出した!?。まさか…!!。」

 

消えていく闇の大樹を見ながら、太陽の光を浴びて歓喜に浸る。

 

シャララも剣を下ろし、微笑を浮かべた。

 

シャララ「…ひとまずは安心…か。」

 

 

シズク「は…流石だぜプリキュア!。」

 

 

芽吹「ええ…彼女達が私たちの世界も救ってくれた。」

 

 

雀「すごいよ…すごぉぉぉぉいッ!!。」

 

 

夕海子「はあ…一難は去りましたわね。この化け物たちも消えていくことですし…。」

 

 

園子「ようやく、私たちの時間が帰ってくるね~?。」

 

 

スレイヤー「はは…あいつら、やりやがった!!。」

 

 

スラッシュ「………………。」

 

 

スラッシュ(だが…罪からは逃げられないぞ…虹ヶ丘ましろ…。)

 

 

………………………。

 

闇の大樹が完全に消え、ソラシド市に再び光が戻った。

 

風が吹き、木々が揺れる。

街はまだ、荒れたままだ。しかし…これからでも間に合う。

 

奪われた時間はまた…動き出したのだ。

 

プリズムは目を開き、靡く髪を抑えながらその光景を見る。

 

そして、感じた。

 

自分がやってきたことへの…罪の意識を。

 

それを察してか。プリキュア達が歩み寄る。

 

プリズム「…みんな…。」

 

 

バタフライ「ましろんが考えていることはわかるよ。」

 

 

ウイング「でも今は…喜んでもいいんじゃないでしょうか?。」

 

 

マジェスティ「ええ…かけがえのない仲間が帰って来たんだ。私、すごくうれしい!!。」

 

 

スカイ「…おかえりなさい…ましろさん。」

 

手を伸ばすスカイ。

プリズムはそれを…受け取る。

 

プリズム「ただいま…みんな?。」

 

その瞬間、崩れ落ちたスカイは大声を上げて泣き始めた。

 

 

烈火「お前はいいのかよ、鷹夜?。」

 

 

アグニBF「いいさ、俺よりもあいつらの方が付き合いが長ェし…今はその時間を大事したい。」

 

 

抱き合うように、目尻の涙を溜めて喜び合う5人を見届けるアグニ。

 

やっと…全員が揃った。

 

欠けていたピースが再び一つとなり、完成した。

 

 

―ひろがるスカイプリキュアー

 

 

ここに復活。

 

 

…………………end。

 

 

 

 




帰ってきたましろ。

そして、闇の意志との対話の末に「調和」と「均衡」の為に戦っていくと答えを出した
ましろ。

戦いのベクトルは光と闇の戦いから、全ての元凶である「無」との戦いへと変わっていく。

ようやく、真の敵との戦いに乗り出す一同。
しかし、ましろの犯した罪を許すことが出来ないトーヤは彼女に襲い掛かる。

「積み重ねてきた罪はそう簡単に清算できない。」


その問いと共に刃を振るうトーヤ。
突き付けられた己の罪に、ましろが出す答えとは…。

次回
第93話 拭えない罪、ましろの答え。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。