〜ひろプリ×勇者であるシリーズ〜世界の壁を超えた出会い   作:やままん

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前回のあらすじ。

風の代わりに勇者部を存続させた園子。
咲かせた「意思の華」によって、蓮を退けた園子は欠けたピース達が帰ってくるこの場所を守り切ると強く決意を秘める。

そしてそれは、烈火も同じだった。

「酒呑童子」の影響によって片目の視力と聴力を失った烈火は、本来の戦闘能力を発揮出来ずにいたのだ。

感覚を取り戻す為に鷹夜と特訓を繰り広げる烈火。

強敵が待ち構えるこの先の戦いに、彼の力は必要不可欠だ。


第96話 閃光の烈火。

烈火「がは…ッ…!?。」

 

何度も地面を転がったのだろう、傷だらけとなった烈火の身体は土で汚れ切っていた。時折、血も流す…そう、これは限りなく実戦に近い限りの「特訓」だった。

 

その相手はキュアアグニ。

 

「酒呑童子」の影響で視力と聴力に障害を持ってしまった烈火は普段の戦闘能力を発揮出来ないでいたのだ。

ソラシド市に渡ってからは、いつものような前線では戦ってはいない。

しかし、風が離脱してしまった今の勇者部は園子のおかげで何とかなってはいるが、それでも課題は残っている。

 

自分が役に立たないわけにはいかない…烈火は感覚を取り戻す為にあえて実戦形式で特訓を申し出たのだ。

その相手として、鷹夜を選ぶ。

 

だが、懸念通りだった。いつもなら反応出来る攻撃に対応が出来ない。

おかげで、アグニの一撃を何度も受けては土を被る羽目になる。

 

<完全勇者外装>の防御力を以ってしても、強くなったアグニの打撃は軽減してもこの威力…それを知っていたからこそ、烈火は本気で立ち向かって来て欲しいと懇願した。

 

もう何度目なんだろうか、いい加減に足元が覚束なくなる。

そんな様子を見たアグニは、特訓の中止を申し出た。

 

アグニ「中止だ烈火。このままじゃ、マジでダウンしちまうぞ?。」

 

 

烈火「待ってくれよ鷹夜!。あともう1セットだけ頼むッ!。」

 

 

ましろ「ダメだよ、烈火君。それ以上は本当に危ない、無理は禁物だから。」

 

制して来たましろの言うことを聞いてか、烈火はメイスを下げた。

 

烈火「くっそぉおお…これで8敗目だぞ…。」

 

 

アグニ「いや、もう勝敗とかどうでもいいだろ…。」

 

 

ソラ「でもやはり、見えていない部分と聞こえていない部分の反応が鈍ってますね…いつもなら貰わない攻撃も簡単に受けちゃってますし…。」

 

 

シャララ「戦闘能力は凄まじいが、受け続けは推奨出来ないな。その感覚を戻すのは至難の業と見る。」

 

 

友奈(if)「烈火さん…。」

 

もう1人の友奈は心配してか、治療道具を持って来ては怪我した部分にガーゼを当てて包帯を巻く。

 

烈火「…やっぱ、感覚が戻らねェ…支障なんて何もねェと思ってはいたが…クソぉおお、甘かったかなぁ…。」

 

 

友奈(if)「…それなのに、あまり悔しそうじゃないね?。どうして?。」

 

 

烈火「そんなことしてる暇がありゃ、前に進む為だけの考えを巡らせるさ。どこまで行っても、俺はバカだ。だから、こうするしか最適解を導き出せねェ。」

 

烈火は常に前向きだ。例え、自分が死ぬかもしれない状況下に置かれても前を進むことを諦めない。

それ故に、感覚を取り戻す為だけにここまでやる。そうでもしないと、最適解を得られないからだ。

 

今、自分に出来ることを全力でやり遂げる…烈火の性格からして矛盾しているが、それでも前に進む為ならどんな無茶だってやり遂げる。

こんな荒療治にも近い方法が良いわけがない…それは誰にだって分かるだろう。しかし、それでも傷付きながらその答えを模索する。

 

だから、彼の花のモチーフは「ガーベラ」となる。

花言葉は「常に前進」「希望」。まさに彼を体現する花言葉そのもの。

 

迫り来る強敵との戦いに備え、烈火は死力を尽くすつもりだ。

 

友奈(if)「…私が本来の力を持ってたとしても、持っていかれたものを取り戻すことは出来ない。散華システムとは違って、貴方のそれは…悪魔に持っていかれたも同然だから…。」

 

 

烈火「いいさ、絶望してねェ。これは俺が自分自身で導いた答えだ。だからこそ、俺は体に刻み込んで思い知るのが手っ取り早いのさ。必死こいてりゃ、いつかは報われる。俺の自由論はそこから来てるからな。」

 

 

アグニ「…一休みしたら、また再開するか。」

 

 

ましろ「えっ…本気なのッ!?。」

 

 

アグニ「ああ、こいつはそう思ったら身勝手だからな。付き合ってやる方が早いのさ。」

 

 

烈火「面倒くさいのさ、俺は。さて、恩に切るぜ鷹夜。」

 

それからまた2人は特訓を始める。

 

ましろはその様子を静かに見届けており、隣には友奈がやってくる。

 

友奈「あれ、まだやってたんだ?。」

 

 

ましろ「友奈ちゃん。」

 

 

友奈「頑張ってるね、烈火君。」

 

打撃音が響く中、2人のぶつかりあいを見る友奈。

どこか楽しそうにも見える、だがやはり烈火の方がダメージは負っていた。

 

友奈「感覚、まだ取り戻せないのか…。」

 

 

ましろ「みたい。片目が見えてないのと聴こえていないのはあんなにも影響するんだね。」

 

 

友奈「うん…反動が大きすぎたんだ。烈火君は偽物の勇者…純粋な勇者の力をその身で受けるのは流石に限界があったんだと思う。」

 

 

ましろ「…そっか。私、勇者の事はあまり知らないけど神様の力なんだよね、ずっと辛い戦いをして来たんだなって。」

 

 

友奈「…そうだね。辛かったし、たくさん泣いた。出来れば戦いたくなんてなかったけど…お役目だったから仕方ないかなって。それに…誰かが助かるならそれも良いよねってそう思ったんだ。だから、これで良かったんだと思う。ましろちゃん達にも出会えたし…私達はこれから、お互いに知っていけば良いと思う。」

 

2人の特訓を見守る友奈の横顔はとても凛々しくて、それはましろにとっても惹かれるものがあった。

 

内なる闇の自分も受け入れてくれた友奈…その存在は彼女にとっても大きいものだった。友奈がいなければ、闇の自分がまだ支配していたかもしれない…こうして戻って来れたのも彼女の影響が大きかったと、ましろはそう思う。

 

その時、烈火が初めてアグニから先手を取った。

 

メイスによる打撃を受けたアグニは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。いくら実戦形式といえどもそれは大怪我を負うレベルのものだ。

 

だが、アグニは笑う。

 

戦友からの一撃の重さ…決して弱くなってはいないとそう感じて。

 

アグニ「…何度目の正直ってやつだな。ようやく俺に一撃を入れられたか…いてて…。」

 

 

烈火「はは、散々殴られたんだ。これでイーブンだろ?。」

 

 

アグニ「言ってくれるぜ全く…よし、これで終いにしよう。これ以上は支障が出るぞ?。」

 

 

烈火「そうだな。」

 

変身を解く2人。お互いにボロボロになりながらも掴めるものがあったとそう感じる。

 

鷹夜(少しずつだが、反応が戻って来てる気がする…コイツ、感覚だけで何とかしやがったか。だけど、まだまだかもな。)

 

……………………………。

 

千景「烈火。」

 

救急箱を持ってやってくる千景。血で滲んだ包帯を交換してあげる。

 

千景「無茶しすぎよ。なぜ、ここまでするの?。貴方はもう十分に頑張った、それに…。」

 

 

千景(…視力と聴力の事は私のせいでもある。私を止める為に高嶋さんの力を使った代償…代わりに私が戦えば良い。この子にはもう…。)

 

 

烈火「…風先輩が居なくなって、園子が臨時部長として勇者部は何とか形を保ってる。けどそれは、形でしかねェ。」

 

包帯を巻かれながらも、烈火は静かにそう答える。

少しずつだが、勇者部は崩れて来ている…東郷と蒼葉の行方はいまだに分からず、そして樹は闇の力に手を染めてしまった…その責任を感じた風は全てを自分1人で解決しようと自分達の前から去ってしまった。

 

ギリギリで踏ん張ってはいるが、必ず限界というものは訪れる。

そしてそれは、園子達に降り掛かるだろう。

 

だから烈火は自分に出来ることをやろうと考える。

そしてそれは…力になることだった。

 

烈火「男として俺はやれることをやるだけさ。それだけ…今までも散々無茶してんなら今更ここで大人しくなんてしてらんねェしな。」

 

立ち上がった烈火は、拳を打ち鳴らす。

 

千景は意外そうな顔をするも、そんな烈火の性格を知っているので否定はしなかった。

 

烈火「それにな、姉ちゃん。俺は自分で望んで視力と聴力をくれてやったんだ。その結果、姉ちゃんが帰ってきたし他のみんなも無事だった。そして、擬似勇者の奴らも大赦預かりになってまともに生きる道を見つけた。だったら安いもんさ、手前の身体は手前の問題だ。俺は後悔なんてしてねぇから…自分がやろうだなんて思うなよ?。」

 

 

千景「全く…敵わないわね。」

 

 

千景(乃木さんが瓦解する心を繋ぎ止めた…そして烈火はその綻びをカバーしようとしている…なら私は…私を救ってくれたこの子達の為に力を振るおう。)

 

穏やかな顔をしながら、千景は胸に思いを秘めた。

 

その翌日…事態は急変する。

早朝に響くサイレンの音、それに目を覚ました一同は外に広がる光景に絶句する。

 

それは、大量の星屑達が押し寄せてくる光景…大口を開けてやってくるその星屑は「怨嗟の星屑」だった。

 

何故、この世界に?そんな疑問を抱きながらも、迫り来る怪物に街は阿鼻叫喚が響き渡る。

 

先に出たのはソラ達。

住民を避難させながらも、怪物と対峙していく。

 

友奈達も続いて変身し、プリキュア達と合流する。

 

プリズム「みんなッ!。」

 

 

雀「あわわわ…何でコイツらがここにぃッ!?。」

 

 

夕海子「知りませんわよ全くッ!。」

 

 

マジェスティ「彼らの空間は他の世界と繋がってる…「DM」と同じく、門を開いてやってくるのかもしれない…!。」

 

 

プリズム「…私のせいでもある。だから…その責任を取る為に戦わなくちゃ…!。」

 

飛び出したプリズムは、高速突進してくる星屑の速度に順応。

回避と同時にプリズムショットで撃ち抜いていく。

空中に飛び出し、隙があるようにも見えたがその全てを必要最低限の動きで回避し続けていく。

 

だがそれでも、物量の暴力には勝てない。

圧倒的な物量差により、プリズムの手数は失われていく。

 

そしてまともに攻撃を受け、地面に叩きつけられた。

 

園子「ましろんッ!。」

 

 

プリズム「うぅ…ッ…この程度で…!。」

 

弱々しく立ち上がるプリズムは、戦意を高揚させる。

息遣いが荒々しくなる中、拳を握り締めては額から流れ落ちる血を拭う。

 

だがその時、一際巨大なゲートが開く。

 

今までに見たことがないほどの巨大なゲート…その中から、とてつもない大きさの「異形」の一部が出てくる。

 

それを見た友奈と夏凛は目を見開いた。

そう…バーテックスの中でも「最悪」な存在。

 

ゆっくりと現れてきたそれは巨大すぎて現実世界に出てくることが出来ない。

 

園子「…あれ…まさか…ッ!!。」

 

 

芽吹「ええ…よりにもよって、あんなヤバいのが出てくるなんて…ッ!!。」

 

芽吹はその中心が光り輝いたのを見逃さなかった。

 

…とんでもない一撃が来る…!。

 

そう感じた芽吹は雀とバタフライに声を上げた。

 

芽吹「全力で結界を張りなさいッ!!。あげはさんは雀の結界を被せるぐらいにまでバリアを広げてッ!!。急いでッ!あれを受けたら…全滅するわッ!。」

 

雀「ひぃいいいいッ!!。」

 

 

バタフライ「ッ…ヤバいっしょあれはッ!!。」

 

膨れ上がるエネルギーはやがて、巨大な「火球」を形成する。

その瞬間、耳を貫くほどにまで大きな轟音と共に火球が放たれた。

 

規格外の大きさ…まともに受けたら消し炭と化してしまうほどの熱量。

しかし、避けてしまえば街が吹き飛ぶ…まるで、核兵器を相手にしているかのような恐ろしさ。

 

その攻撃の正体は最強のバーテックス「獅子座」であり、怨嗟の星屑によって再現された個体「シン・レオ・スタークラスター」。

 

あまりにも巨大な体躯を誇るそれは、ゲートの外から攻撃を繰り出してきた。

 

眼前に広がる死の太陽…その時、赤黒い雷と共に閃光のような速さで火球に突っ込んでいく影が一つ…烈火だ。

 

夏凛「あのバカ…まさか…ッ!!。」

 

 

友奈「ダメェエエエエエエエエッッ!!。」

 

 

烈火「唸れ雷光ッ!一撃必倒ッ!ー雷霆ーッ!。」

 

たった1人で太陽を思わせるほどにまで大きな火球に立ち向かう烈火。

 

弾き返せるはずがない…誰もがそう思っていたが…。

 

烈火「ぬぅぅうりゃあああああッッ!!。」

 

赤黒い雷が火球を包んだと同時に、なんとそれを半分に叩き割ったのだ。

 

上部に当たる部分は上空に弾き飛ばされ、残りの半分は雀とバタフライが掲載したバリアに当たる。

 

それでも、その衝撃は凄まじく防ぎきったが周辺の地面が焼け焦げていた。

 

シズク「何だあの出鱈目な打撃はッ!!。」

 

 

スカイ「それが烈火さんですよッ!。あれを叩き割れるなんてッ!。」

 

 

夕海子「油断は禁物ですわッ!。今、私たちが相手をしているのは世界を破壊する存在…最強のバーテックスなのですからッ!!。」

 

ゲートの外に見える「シン・レオ・スタークラスター」の身体の一部を見て、息を呑む一同。

しかし、烈火は違った。

 

烈火「超弩級のバーテックスだろうが関係ねェッ!。あいつを押し返すぞッ!!。全員、気合を入れろッ!。」

 

メイスを突き付け、号令をかける烈火。

それに呼応するように、一同も気を引き締める。

 

ソラシド市の存亡をかけた「防衛戦」が今、始まる…!。

 

……………………end。

 

 

 

 

 

 

 

 




遂に現れた最強のバーテックス「シン・レオ・スタークラスター」。

超弩級の体躯を誇るこの個体は異界から攻撃を仕掛けてくる。

これが現実世界に現れたら、その影響力は計り知れない…。

討伐は無理に等しい…しかし、撃退なら可能だ。

時間を取り戻したソラシド市の命運は勇者とプリキュアに委ねられた…。

次回
第97話 防衛戦、VSシン・レオ・スタークラスター。
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