どいつもこいつも気に食わねぇ
ただそう思っていた
金がねぇから、家がボロいから
ただそれだけで俺に価値をつけて見下してくるヤツらが嫌いだった
なんでもないような普通の日常だった筈のモンが、俺にとっては普通じゃなかった
蔑まれ陥れ嬲られる
そんな毎日に嫌気がさしていた
見ているだけの連中も、俺に危害を加える連中も
気に食わなかった
結局社会じゃ金か権力、地位名声がなけりゃまともに生きられねぇんだと気付いた
まあ、どっちもどうしようもねぇもんなんだが
だから……なんだ、えっと。ああ、そうだ
だから、気に食わねぇヤツらをまとめてブチ殺せるくらいの力があればあんな鬱屈とした毎日も少しは晴れるんじゃねぇかと思ったんだ
まぁ、都合が良く俺にはその力があった。俺がまだガキだった頃は良く母親だったヤツが人に暴力を振るうのはダメだとかよく言っていたが、母親も死んでからはその言いつけを行儀良く守る必要も全く無くなったワケだ。
それからは気に食わないやつは徹底的にのしてやった。
蔑んでくるヤツらは顔の原型がなくなるほど殴ってやった。
陥れようとするヤツらは根こそぎ足元をすくってやってから、また殴った。
俺の事を嬲っていたヤツらは気の晴れるまで三日三晩かけて殴って蹴って…………そうして初めて俺の前には誰も俺のことをバカにするやつは居なくなった。
ただ、それとは別に怖がられるようにはなった。別にそれに関してはどうでもいい、俺に危害を加えなけりゃそれで良かった。
そんな荒れた生活をずっと続けていた。俺はとうとう母親の死後俺を育てていた父親に家を追い出された。
面倒が見切れねぇだのどうだのと言って、俺を追い出しやがった。
まあ、妥当だろうとは心の底で思ってはいた。当たり前だろうな。あちらこちらで暴力沙汰ばかり起こす俺は父親にとっては目の上のたんこぶだったんだろう。
母親も死に、いなくなっているのもあって余計だっただろうといまでは思う。
まあ、いまではだが。
当時の俺からすりゃ、気に食わないことは全て暴力で解決してきたようなガキだ。
もちろん父親もボコボコに殴ったあとから家を出た。
いま思えばイカれてんなと思うぜ。力のあるガキの癇癪ほど恐ろしいモンはねぇからな。
いまじゃそれが身に染みて分かる。
まあ、なんだ。そうだな、そんなコトをやり続けていた俺の行き着く先は人が人であれないような非日常のような社会だけだ。
たまにテロも起こりはするが、前までよりはよっぽど清々しいな。
気に食わねぇなら、ぶっ壊す。
そんな単純な考えだけをもって生きてきた俺の最後の生きれる場所がココにはあった。
「──おーい、お客さんお金! お金貰ってないですよー!」
「あぁ? ……あー、そうだな。ツケといてくれ、請求先はそうだな。シャーレでどうだ?」