本編原作開始までにちょいちょいこういう話入れときます
こことこういう関係があるよーみたいなのを
「それで結局受けちゃったんだぁ」
「あぁ、まあな」
「とーじも大変だねぇ……」
甚爾が先日、連邦生徒会長から言い渡された連邦生徒会長、その後任になる『先生』と呼ばれる人物を滞在中護衛するという仕事を受けたと隣に座る少女に話す。
彼のことを少し間の抜けた呼び方で呼び捨てにするのは、ミレニアムサイレンススクール『ゲーム開発部』に所属するキヴォトスの生徒である 才羽モモイ だ。
「小耳程度で聞いてたけど、それ私たちに言っても大丈夫なやつだったの? 連邦生徒会長が居なくなるなんて、辺りに知れたら大騒ぎだと思うけど……」
手元にあるタブレットから目を離し、甚爾の方へそう言ってくるのは先程の才羽 モモイと似た容姿をした少女。
背格好も同じようで、2人の特徴的な猫耳のヘッドセットを頭に装着し、臀部からは機械的なしっぽが生えていた。
名前は、才羽 モモイの双子の妹である才羽 ミドリ 姉であるモモイがどことなくピンクカラーを主張するのに対しミドリは名前の通り緑色がイメージに色濃く出ている。こちらも『ゲーム開発部』に所属しており、キヴォトスの生徒の1人だ。
「あぁー…………まぁ、お前らが外部に喋らなけりゃ問題はねぇよ。多分な」
「めちゃくちゃ適当じゃん!」
「なんというか、相も変わらずというか……」
「そもそもお前らが知ったところでどうにかなる話でもねぇしな。それにさっきも言ったが後任も来る、お前らが心配することは何一つねぇ」
「いや、確かにそうなんだけどさぁ……。なんだろう、貶されてるのか、信頼されてるのかわかんないよ……」
「いや、お姉ちゃんコレ貶されてるでしょ」
「まぁ、お前らが目下心配するべきことなのは、この部の存続のことだろ。またせっつかれてるらしいな」
「ヴッ……! そ、それは言わないでよ……」
甚爾に突かれたくないところを突かれた、と言わんばかりにモモイは苦虫を噛み潰したような顔で甚爾を睨む。そしてそれを見て肩を竦め、やれやれと言わんばかりにため息を吐く妹のミドリ
そんな様子を見ても甚爾は無表情のまま淡々とモモイに更なる追撃を与える。
「ゲーム開発部だなんだと言ってはいるが、いまのところまともに売りに出せるようなクオリティのものは一切ねぇ上、挙句の果てにいやあそもそも部員の数が足りなくて大往生。こりゃ絶望的だな」
「もーっ! そんな事言うんだったら、とーじが部員になって手伝ってよー! ただでさえうちの部室に入り浸ってるんだからさー!」
「バカか、俺は飽くまで雇われてるだけで生徒じゃねぇんだよ。ゲーム作りなんてもんはお前らガキだけでやってろ」
「うぅ、とーじが冷たい……」
「お姉ちゃん……」
「部員を増やしたいなら地道に実績を積むんだな。活用出来るもんは全部使え、SNS、動画サイト。ネットの中だけじゃなくてもいい、人伝に活動を広告していくのも良いな」
「とーじ!」
「もっとも、そのためにはお前らがもっとまともなモンを作らなきゃ話にならねぇけどな」
「とーじ……」
「……はぁ、つーか、その話をするのは俺じゃねぇだろ。いまそこで無敗の女王様じゃねぇのか?」
甚爾がそう言うのは、甚爾がこの部屋に入ってきてからも、モモイやミドリが話している間も常に部室にあるテレビモニターに向いてジッとコントローラーを抱えて対戦ゲームをする『ゲーム開発部』の部長のことだった。
赤みがかった長髪に、少しダボついたジャケットを着たどことなく少し幸薄そうな少女。
彼女の名前は、花岡 ユズ 2人と同じくミレニアムサイレンススクール 所属のキヴォトス生徒だ。
甚爾が彼女のことを無敗の女王様だと揶揄っているのは、彼女のゲームでのPNが『UZQueen』であるのと、彼女が対戦ゲームでは負け無しの超実力者で甚爾自身が彼女が負けているところを見たことがないからだった。
いまでも彼女が見ている画面では、対戦相手が1歩も手も足も出ずで、モニターからは頻繁に『KO』『WIN』などの音声が流れている。
「…………ふん」
どれほどやっていたのか──甚爾から見れば大体1、2時間程度──ようやく満足したかのように、息をついてその手からコントローラーを下ろした。
そうしてユズが画面から目を離し、後ろを振り向けばユズにとってよく見知った顔のモモイの隣に
何時ものように人相の悪い甚爾がこちらをじっと見ていて思わず「……ヒッ」と呻き声を洩らしてしまう。
ユズの表情は来ていたのか……と言わんばかりに歪められ少し腰を抜かしていた。
甚爾もそれを察したか、大きくため息をついて肩を落としたのだった。
To Be Continued