現在時刻は午前2時、丑三つ時と呼ばれる時間帯に当たる。
俺はそんな時間など知る由も無いが、少なくとも今が夜中であろうということだけはなんとなくわかる。
(目を瞑っているからよくわからないが、窓から光をほとんど感じないこと…そして外が静かであることを鑑みるに夜中の2時から4時くらい…か…?)
なぜこんなことを考えているのかというと、ふと眠りから覚めるとベッドの隣に人が立っている気配がするのだ。寝起きではあるが一瞬で目が覚めるほどの恐怖を感じ、しかし目を開けて確認する勇気もなくどうでもいいことを考えて己の恐怖心を誤魔化しているのである。
「お兄様……」
隣からそう呟く声が聞こえた。
呼び方と声から考えて間違いなく碧だろうということがわかり、一先ずは恐怖心も吹っ飛び安心したが今度は疑問が湧いてくる。
(碧とわかって安心したはいいが、なぜ碧が俺の部屋に…?しかも今は多分夜中だろうし…)
そう考えたところで、そもそもさっきまでは幽霊や侵入者の類だと思っていたから目を開けなかっただけで、碧とわかった以上直接聞いても問題はないと思いつき、目を開けようとしたところで碧が俺の頬に手を添えた。
「お兄様、寝顔もカッコいい…寝てるからちょっとはいいよね…?」
そう言うと碧は俺の顔を撫で始めた。
頬、唇、耳、額と顔中を優しく撫でられ、くすぐったくて反応しそうになるが、ここで反応してしまうと寝ている兄をベタベタ触ったことがバレたことで碧が罪悪感を感じて気まずくなってしまうかもしれない。
しばらく我慢していると、ようやく顔から手が離れた。
(やっと終わった…いや、美少女から触られることを考えたら役得なのか…?)
もしかしたら今まで虐げられていた分甘えたかったのかもしれない、そう思っているとまたもや顔に何かが近づいてくる気配がした。
(え、また?いや…でもこれはまさか…)
ちゅ…と音がしたわけではない。
本当に唇が頬に触れただけの、しかし確かにしっとりと柔らかな感触が伝わるキスだった。
「まだ起きないなら…大丈夫だよね」
そう言うや否や、撫でる時と同じように頬や額にキスをされ、耳に至っては唇で啄むような甘噛みをされた。
正直くすぐったさもあるが、それ以上に自身が天使のように可愛らしいと思っている妹に何度もキスをされているというこの状況に興奮してしまう。
布団のおかげでまだバレてはいないが、すでに自身の分身は8割方勃っており、これ以上続けられるようなら完全形態へと移行してしまうだろう。
碧は黎夏の顔を一通りキスし終わると、あえて最後に残していた唇をジッと見つめていた。
碧の中では”これ以上はダメだ”、”こんなことは強漢となんら変わらない所業だ”と理性が警告を発していたが、それ以上にこの優しい兄に、自分を可愛がってくれるこの無防備な兄に自分の卑下た欲望をぶつけたいと思ってしまっていた。
碧は黎夏の唇を奪った。さっきまでのような軽く肌に触れるようなものではなく、しっかりと。そしてそれだけでは飽き足らず、碧は自身の舌を黎夏の口内に入れようと試みた。
(ちょ、マジかよ⁉︎そこまでするのか⁉︎)
黎夏は碧の行動に驚いた拍子に口を少し開けてしまい、碧の舌が口内に侵入することを許してしまった。
舌、頬の内側、歯茎の裏…と自身の口内を蹂躙されることに黎夏は我慢ができなくなり、己の分身はすでに完全に勃起してしまっていた。
一体どれ程の時間が経ったのか。1分か、10分か、もしかしたら10数秒ほどだったかもしれないが、碧は黎夏の唇から離れた。
本来はこのようなことをするために部屋に入ってきたわけではなかった。
兄の膝に座っているとき、自分の尻に感じたものが兄の男性器であるのかということを確かめに来たのだ。
もっとも、この部屋に入るまでは実際に確認する勇気などなかった。もしバレてしまえば嫌われるばかりか家族からも冷たい目で見られるだろう。もしかしたら家から追い出されるかもしれない…。そんなことを考えるととても確認することなどできなかった。
しかし兄の部屋に入り、その寝顔を見ると理性は脆くも崩れ去ってしまう。
今ならなんでもできる、今なら何をしてもバレない、今なら…
(お兄様を…自由にできる…)
そう考えた碧の行動により、碧は気づかないが黎夏は興奮の頂点に達していた。
しかしここで起きてしまうと今後の自分達の関係に亀裂が入ってしまうという懸念が拭きれず、「実は起きていました」などと言う気にはとてもなれなかった。
しかしそんな黎夏の思いとは裏腹に、碧はより大胆な行動を取ることになる。
パサリ…と、何か軽いものが床に落ちる音がする。そして碧が何やらモゾモゾと動いている音も。
(いやいやいやいや、碧さん⁉︎服脱いでらっしゃいます⁉︎え、どうすればいい⁉︎俺はどうすればいいんだ⁉︎)
ここで理性を手放すのは簡単である、むしろもうゴールしてもいいんじゃ?と思ってしまうが、ここで理性を手放すと今まで寝たフリを続けてきた意味が無くなる。そう考え、意地でも寝たフリを続けようとする。
碧は服を脱ぎ終わったのか、衣擦れの音が止んだ。
次は一体何をする気なんだと、黎夏はビクビクしながらも下半身は別の意味でビクビクしていた。
碧は徐に布団の中に手を入れ、黎夏の腕を布団の外に出した。
一体何を…そう黎夏は思った瞬間、指先に柔らかくしっとりしたものが触れた。
「…っん…はぁっ…♡」
そして聞こえる碧の艶めかし声で、一体自分が何に触れているのか、そして碧が何をしているのかを理解した黎夏は、先ほどの意地を捨て理性を手放した。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「………んっ…」
窓から差し込む光の眩しさで目を覚ます。
時計を見ると朝の7時、別に二度寝しても文句は言われないため、もう一眠りしようとする。
だが、その時自分の隣にいる人物と目が合った。
「……いつから起きてたの?というかずっと寝顔見てた?」
「お兄様の寝顔はずっと見てても飽きないから…。それに…好きな人の寝顔を同じベッドで寝ながら見れるって幸せなの」
そう言って恥ずかしいのか布団で顔を隠す碧に俺まで照れてしまう。
「そろそろ起きて学校の準備しないと…」
「今日も朝ごはん作ってあげようか?」
「ん、大丈夫。ほら…シた後は男性は疲れるっていうし…とにかくお兄様はゆっくり休んでて」
そう言って碧はベッドから降りようとする。
朝っぱらから兄の部屋から出ていく姿を目撃されると、家族からどんな追求をされるかわからないので、足音を立てず慎重に出て行こうとする碧を俺は引き留めた。
碧が振り向いた瞬間、碧の唇に自身の唇を重ねた。昨日碧がやったのと同じように、軽く触れるだけのものだが。
「行ってきますのキスってやつだよ。気をつけてね」
そう言って俺は真っ赤になった碧を部屋から送り出した。
後から聞いた話、リビングに行くと綾音に熱があるのかと疑われたそうだ。
え?2人がしたことの詳しい内容?残念ながらカットです!!!