男女比の狂った世界で俺は幸せになりたい   作:まかろにサラダ

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[朗報]ここ、貞操観念逆転世界だった

先生から詳しい話を聞こうとすると、廊下からバタバタと走る音がする。

その音は徐々に俺の病室に近づいてきて、勢いよく扉を開けた。

そこには20代後半あたりと思われる黒髪ロングストレートの和服が似合いそうな美人が焦った表情で立っていた。

驚きのあまり固まっていると、その女性はこちらに走り寄ってきて…

 

「よ゛か゛っ゛た゛よぉぉぉぉぉ!!黎ちゃんんんんんんん!!!」

 

と、泣きながら抱きついてきた。

 

(やべぇ!!多分この人は俺の家族なんだろうけどやべぇ!!めっちゃ美人に抱きつかれてるこの状態でも興奮してやべぇのに!おっぺえが!お胸様が顔に!!!)

 

前世で年齢=恋人いない歴の人間にとってあまりにも刺激が強く、下半身に血が集まる感覚があった。

 

(やめろ!立ち上がるな愚息!今ここでお前が起立しようものなら俺はこの病院に恥ずかしくて居られなくなる!落ち着け!今俺の顔面に押し付けられているのは横綱の腹…!横綱の腹…!)

 

己の社会的地位を守るため、全力で自己暗示をかけることにより愚息の無力化に尽力する。

そんな馬鹿なことをやっていると、抱きついていた女性が急に離れた。嬉しいような名残惜しいような…

 

「ご…ごめんね?黎ちゃん…目が覚めたって聞いて嬉しくて…お母さん抱きついちゃって…気持ち悪かったよね…?ほんとにごめんね…?」

 

何を言っているのかわからなかった。こんな美人に抱きつかれて気持ち悪いわけないでしょうに。というかお母さん⁉︎どう見てもちょっと歳の離れた姉にしか見えないんですが⁉︎ちくしょう、羨ましいぞ黎夏くん…!こんな超絶若々しくて美人なお母さんがいて…!

 

そんなことを考えていると、先生が咳払いをした。

 

「お母様、落ち着いてください。今から竜胆様の状態についてご説明致しますので、どうか冷静にお聞きください」

 

そう言うと先生は問診の結果、俺が自分の名前もわからないほどの重度の記憶喪失になっていることを丁寧に説明した。

 

「そ、そんな…黎ちゃんが記憶喪失…⁉︎家族のことも…わからないのね…」

 

そう言うと静かに泣き出してしまった。

俺はこの人のことを何も知らない。母親と言われても見た目の若さから実感が全く湧かないが、泣いている人間を放っておくなんてできなかった。

 

「!!れ、黎ちゃん⁉︎」

 

「大丈夫、俺は大丈夫だから」

 

とりあえず安心させるために手を握って、平気だということを伝えるしかない。美人の手を握れて口角が上がりそうになるのを抑えて慰める。

その光景には今度は母親含めて全員驚いていた。

だからなんでこの程度で驚くんだ…

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

えー、あの後無事に母親は落ち着いたのだが…衝撃の事実が判明した。俺の行動に疑問を抱いた先生が、社会や常識に関する質問をしてきたのだが…なんとこの世界、男女比が驚異の1:49とかいう狂った世界だった。そのせいで男性は太古より搾取され続け、本能的に女性を忌避しているとのこと。さらに男性の性欲はほとんど枯れ果てており、年に2、3回ほどしか性的興奮を感じず、愚息を臨戦体制にするができないそうだ。

例に漏れず前の俺も女性を忌避しており、家族に対する当たりが強かったようである。

男性がそんな状態になってる反動なのか、女性の性欲は天井知らずらしい。

前世と違って性犯罪は女性が犯すものであり、竜胆黎夏が入院する原因も性犯罪に巻き込まれたからだった。

 

入院の原因を伝えるのを最初は先生も母親も渋っていたのだが、なんとか説得して話してもらった。

どうやら黎夏くんは1人で町に出たらしく、路地裏に連れ込まれて強漢(誤字じゃないよ!)されかけたらしい。ただ、そのときに抵抗した際、足を滑らせて地面に頭を強く打ちつけたらしく、血を流して意識を失ったそうだ。

血を流して倒れる黎夏くんを見て犯人たちは逃走したがすぐにお縄に。重罪が確定したが、当の本人である黎夏くんの意識はずっと戻らず、先生たちも半ば諦めていたらしい。

 

(ふむ…もしかしたら黎夏くん自身はもう亡くなってしまった可能性があるな…魂…というものがあるかはわかんないけど、魂の抜けたこの身体に俺が入り込んだ…そう考ることができるな)

 

黎夏くんの肉体に俺が無理矢理入り込んで、黎夏くんの魂を押し潰して殺してしまった可能性もあるが、それからは目を逸らすことにする。

 

(少なくとも俺がイケメンになったのは事実。満たされない人生だった前世と違って、今世では絶対に幸せを掴んでやる…!)

 

 

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