変態の双子の兄弟として   作:篠白 春夏秋冬

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Life.18 鎮火

 ライザーは炎を防いだ天魔に視線を向けると鼻を鳴らし、嘲笑とともに告げる。

 

「来たのか、だが、お前が加わった程度ではどうにもならんぞ」

 

「うるせぇ。ちょっと黙ってろ」

 

 天魔の言葉とともに複数の魔法が発動し、ライザーが多数の結界に覆われると共に大爆発が起きる。衝撃波などは結界が防いだが、閃光までは防げず一誠たちの目がくらむ。

 

「い、いったい何が……」

 

「魔法で出した氷を溶かして、できた水を電気分解してやったんだ。生まれた水素と酸素をばらまいてあいつの炎で反応させたんだが……思ったより威力出たな。結界が何枚か割れたぞ」

 

 目をこすりながら一誠が何が起きたのか聞くと、天魔曰く水素爆発らしい。天魔が腕を振ると結界が解除され、立ち込める水煙の中で影が落下した。

 

「アーシア、頼みがある」

 

「なんでしょう?」

 

 天魔の依頼にアーシアが驚く。

 

「確かにご用意できますが……あまりしっかりとしたものは……」

 

「大丈夫だ。足りないところは補うやつがいるからな」

 

「ああ、任せろ!」

 

「わかりました。頑張ります!」

 

「頼むぞ、アーシア。とりあえず、あいつがどうなったか確認しないとな」

 

 天魔が一誠の左手に目を向けると、一誠も強くうなずいた。天魔はアーシアの頭をなで、水煙の方へと歩いていく。

 

 天魔が水煙へと踏み入れた瞬間に、天魔の足元から火柱が上がり、包み込んだ。その火の勢いに水煙が晴れ、ライザーが姿を見せる。

 

「フハハハハ、馬鹿め! あの程度で俺を倒せると思っていたのか⁉ はぁ、確かに消耗はしているが、俺を倒すには至らんぞ。さて、あとは、力を使い果たした赤龍帝とリアス、戦闘力のない「僧侶」一人。こいつら程度片付けるなど(次のお前のセリフは)「「赤子の手をひねるようなものだ」―だ!」

 

「なんだと⁉」

 

 ライザーのセリフにかぶせ天魔の声が響く。

 

「さらにお前は「なぜ俺の炎をまともに受けて生きていられるんだ?」という」

 

「なぜ俺の炎をまともに受けて生きていられるんだ? ……っは!」

 

 天魔は火柱の上がった場所には立っておらず、少し離れた場所に立っていた。

 

「やはり消耗しているな。この程度の幻術にも引っかかるとは…注意散漫だぜ?」

 

「ハッ、俺はフェニックスだぞ。この程度何ともない」

 

「そうか? 本来なら広範囲に炎を打ち出して一誠達もろとも焼きにいけるんじゃないか? それなのにピンポイントで俺を燃やしに来たってことは、もう後先考えずに乱発できないから、防がれたときのことを考えてしまったんだろ?」

 

 天魔の指摘にライザーは舌打ちすると、翼を出して飛び上がる。その翼の勢いは先程と比べて明らかに衰えており、消耗は明らかだった。

 

「何を企んでいるのかは知らんが、さっきのような手の込んだ真似はそうそうできまい!」

 

「さすがに情報共有の時間はなかったみたいだなっ!」

 

「くっ!」

 

 天魔が結界を足場に跳び上がり、爪で切りかかる。ライザーは予想外の移動方法に反応しきれず、腕を落とされた。

 

「また再生する必要ができたな。さぁ、どこまで耐えられる?」

 

「いつまでだろうと耐えられるわ!」

 

 天魔は空中を跳びまわり、ライザーの身体を刻みにかかる。ユーベルーナの時とは違い、閉じ込めると熱気で余計な体力を消耗するため球形の結界は張らず、足場にするたびに張りなおしていく。直線的ではあるものの、素早く動く天魔をライザーは捕らえることはできず、回避を試みるも全身を切り刻まれ、傷口から火を噴き出していた。

 

「クソ! だが、貴様を落とせずとも、リアスを倒せばいいだけだ!」

 

 ライザーは天魔を一度無視し、リアスに狙いを絞りって炎を放つ。とはいえ、リアスもいまだ健在であり、天魔の結界の補助もあって、ダメージなく防御できた。

 

「貴様、どこまでも邪魔を!」

 

「するに決まってんだろ。お前を倒さないと、こっちの望んだ形にならないんだから」

 

 言葉を交わしながらも天魔はライザーの体を削ぎ落し、力を削いでいく。時間がたつにつれて、背中の炎が小さくなっていく中、アーシアが声をあげる。

 

「天魔さん!」

 

「できたか!」

 

 アーシアの声に反応し、天魔の意識が僅かに逸れる。その次の脇腹を切り払いながら抜ける軌道の一撃をライザーは避けずに、むしろ体に突き刺させるように受け止めると、天魔の手を両手でつかんだ。

 

「どうやら、俺には覚悟が足りなかったらしい。敗北の可能性を目の前にして腹が決まるというのは少々癪だが、それでも間に合ったといえるだけいいのかもしれん。これで逃げることはできんぞ。このまま焼き尽くしてくれる!」

 

「なるほど、いい顔になって来たじゃないか。だが、一手遅いな。みんな耳をふさいでろ!」

 

 ライザーと顔を見合わせ天魔はニッと笑うと一誠達に耳をふさぐように言い、息を大きく吸い込み、離れるどころかライザーへ組み付いた。その行動をいぶかしみながらも呪文の詠唱が完成する前に炎によって焼こうとするライザーだったが、その炎の制御は崩れることになる。

 

 天魔が発したのは呪文ではなく、歌だった。その歌の意味を理解したライザーの表情が驚愕に染まる。

 

「な、なんだと……これは……」

 

「これって……」

 

「聖歌です……」

 

 ライザーが呻きながら炎を揺らめかせ、翼の輪郭が崩れて高度が下がっていく。リアスたちも影響を受け、その原因を思い描き、聞き覚えのあるアーシアが断言した。

 

 歌う天魔にも影響があるため、顔色が優れないものの、声を震わせることなくはっきりと歌いあげていく。

 

「バカな……俺は、上級悪魔だぞ……こんなものが効果を及ぼすはずが……」

 

 本来であれば、聖歌を一人が歌うだけでは上級悪魔に効力を及ぼすことはない。人数を集め、儀式を行うなど何らかの手段が必要である。しかして、天魔にはその手段があった。

 

 一誠達からは見えないものだったが、天魔の胸元が輝いていた。それは、天魔の首に下がった、底面がたこ型の四角形でできた角錐の形をした緑色の宝石がはまったペンダントであり、天魔の歌に共鳴するかのように発光するペンダントがこの結果を生んでいることは明らかだった。

 

「クソ……やめろ……その歌をやめろぉ!」

 

 ライザーは歌を止めようと拳を繰り出すが、動き始めを結界によって防がれ、天魔を止める事には至らない。そうしている内に背中の翼も形をゆがめ、とうとう浮力を失った。

 

「……終わったか。イッセー、あとは頼む」

 

「おう、わかった……クソ、頭いてぇ。こっちにも影響出てんだけど」

 

「悪い悪い。この方が良さそうだったからな」

 

 ライザーの抵抗力がかなり緩んだのを見て天魔は歌うのをやめ、ライザーから離れる。その表情は真っ青であり、ふらついていた。呼ばれた一誠も頭を押さえながらライザーに近寄ると手に持った小瓶の中身を左の拳に振りかける。そんな一誠に天魔はペンダントを外して渡した。

 

「こいつは神器「祓魔の願い(エクソキスティ・エプリティア)」。その力は、想いの力に応じて、近くで働いている聖なる力を増幅させるというものだ。こいつの近くで聖歌を歌えば効果は増幅し、儀式を行えば本来祓えないような位階の悪魔も払うこともできる。聖水に近づければ、その力を強化することもな」

 

 小瓶の中身は聖水だった。もちろん事前に用意していたものではない。水素爆発の前に水を分けておき、それを使ってアーシアが作ったものだった。

 

「こいつと一緒に聖水の力を高めてやれば、完全に戦闘不能に追い込めるだろ」

 

 天魔は一誠にペンダントを渡し、その場に座り込むと、表情を緩めて告げる。

 

「さぁ、決めちまえよ、イッセー。これで決着だ」

 

「ああ……」

 

 一誠は天魔から受け取ったペンダントを握りこむとゆっくりとライザーに近づいていく。

 

「アーシアが言っていた。十字架と聖水は悪魔が苦手だって。弱点の聖水を複数の神器の力を使って、強化して食らわせてやれば、悪魔には相当なダメージだよな」

 

 天魔による捨て身の聖歌の影響が抜けきらないライザーは後ずさるも、その動きは緩慢であり、少しづつ一誠との距離が詰まっていく。

 

「木場が言っていた。視野を広げて相手と周囲も見ろと」

 

 一誠が自身のオーラを左腕に集め、ドラゴンの力に変換するとそれらを聖水と握りこんだ神器に譲渡する。譲渡の力は外法により解放された力であり、使うのは初めてだったが、神器のサポートによりスムーズに行えた。

 

『Transfer‼』

 

 一誠の左腕から聖なるオーラが離れた場所からも感じられるほどに強まる。

 

「朱乃さんが言っていた。魔力は全体を覆うオーラから流れるように集める。意識を集中させて、魔力の波動を感じればいいと。ああ、ダメな俺でも感じられましたよ、朱乃さん」

 

 一誠はライザーとの距離が詰まるにつれて、ゆっくりと拳を構える。

 

「小猫ちゃんが言っていた。打撃は体の中心線を狙って、的確に抉り込むように打つんだと!」

 

 合宿の中で、それぞれとの特訓で教わった知識と技術を繰り返しながら一誠とライザーの距離がゼロになった。

 

「ま、待て! わ、分かっているのか! この婚約は、悪魔の未来のために必要で、大事なものなんだぞ⁉ お前のような何も知らない小僧悪魔がどうこうするようなことじゃないんだ!」

 

 眼前へと迫る一誠にライザーは最後の抵抗と言わんばかりに言い募るが、それが聞き届けられることはない。

 

「部長は言ってた。自分のことを、「グレモリー」のリアスじゃない、個人としての「リアス」を見てくれる人と添い遂げたいって。部長は俺にとって主で、恩人で、でもそれ以上に大切な人だ。この結婚が部長の心から望む婚約だっていうんなら、俺はいくらでも祝福するさ。でも、それが部長の望まないものだっていうんなら、俺は何を敵に回すことになってもそれを止めてやる。俺がお前をぶっ飛ばす理由は、それだけだ!」

 

 一誠の拳がライザーへと突き刺さる。ライザーは数歩たたらを踏みながら後ずさるとうつ伏せに倒れた。

 

『ライザー・フェニックス様の戦闘不能を確認。よってこのゲームは、リアス・グレモリー様の勝利です』

 

 グレイフィアのアナウンスが響き、リアスたちの勝利を告げる。力を抜き、あおむけに倒れて息を吐く天魔にアーシアが駆け寄り、助け起こして治療を始める。

 

「天魔さん、大丈夫ですか⁉」

 

「ああ、ありがとう、アーシア」

 

「全く、無茶するわね。下手をすれば、あなたが先にダメになるところだったわよ?」

 

「ほんとにな、ほら、返すぞ」

 

「おう、サンキュ。確かにあの方法じゃなくてもやれましたけどね。勝算はあったし、より良い結果にするための条件は整ってたんで、いけるかなと」

 

「より良い結果、ね……」

 

 天魔は一誠からペンダントを受け取り、リアスの言葉に苦笑しながら返す。その最中リアスの視線が一誠の腕に向き、そこから顔をあげて、わずかにほほを染めたのを見ると、足に力を込めて立ち上がった。

 

「っと、そういえば、搭城さんにこっちが片付いたらアーシアを連れていくって言ってたんだった。行くぞ、アーシア。運動場において来たんだ」

 

「はい! お任せください!」

 

「待った、アーシア。こっちの方が早い……じゃぁ、あとはごゆっくり~」

 

「ふぇ? あの? ひゃぁぁぁぁ!」

 

 天魔は階段へと向かおうとするアーシアを呼び止めると、横抱きにし、出入口を無視して運動場へと足を向ける。すれ違いざまにリアスにつぶやくとそのまま飛び降りた。アーシアの悲鳴が響く中、頬を紅潮させたリアスとアーシアを心配して天魔たちの下りた方を向く一誠がその場に残される。

 

「バカね」

 

 リアスは紅潮した顔を落ち着かせると一誠の頬に手を触れながら声をかける。

 

「腕を。左腕をドラゴンに支払ってあの力を借りたのね?」

 

「はい。お得だったんですよ。才能なんてない俺の腕一本で最強の力が手に入ったんです! おかげでライザーのやつを倒すこともできました!」

 

 一誠が明るく声を出すも、左腕を見る目は不安が多分に含まれており、無理をしているのは明らかだった。

 

「もう、この腕は元に戻らないのよ?」

 

「あー……ちょっと困りましたね。コスプレアイテムって言い訳が通じるわけがないですし、どうしたもんか」

 

 リアスは痛ましそうな顔で一誠の左腕を見つめると一誠はおどけるが、悲哀に満ちた声は止まらない。

 

「……今回は破談にできたかもしれない。でも、また婚約の話が来るかもしれないのよ? 次の機会にも天魔が関われるという確証はないし、同じようなことをして解決できるとは限らないのよ」

 

「確かに今回勝てたのは天魔の存在が大きいかもしれません。でも、次が来るならそれより早く強くなるだけです。間に合わなかったら右腕でも目でもくれてやります。何度だって助けに行きますよ。俺はリアス・グレモリーの「兵士」ですから」

 

 拳を握り、後悔はないといわんばかりに宣言する一誠とリアスの影が重なる。

 

 そのまま一分ほど影は重なり、離れると一誠の叫び声が響いた。

 

 

 

 天魔がアーシアを抱えたまま運動場に着地し、小猫たちの近くに寄ると、アーシアを下ろした。

 

「よっと、到着。アーシア、よろしくな」

 

「はい、お任せください!」

 

「……お疲れ様です、先輩」

 

「ああ、疲れた。搭城さんもごめんね、おいて行っちゃって」

 

「いえ、私が行っても足を引っ張るだけでしたので」

 

 アーシアが小猫の治療をはじめ、傷が治るのを見ながら小猫は天魔をねぎらった。

 

 そんな風に和やかに話していると、レイヴェルが天魔に話しかけてきた。

 

「本当に、お兄様を倒したんですのね」

 

「おう、勝ったぜ。ライザーの奴に伝えといてくれよ。「真正面からくるってんなら、いつでもリベンジマッチは受けてやる。文句があるならいつでも来い」ってな」

 

「……ええ、伝えさせていただきますわ。ごきげんよう、兵藤天魔様。貴方の名は心の隅にでも留め置いて差し上げますわ」

 

 天魔がライザーに対するメッセージを伝えると、レイヴェルはふっと笑って転移によって去っていく。

 

 グレモリーとフェニックスのお家騒動は決着したのだった。

 

 

 

 

 

 レーティングゲーム観戦室のとある一室にて、二人の男性が話をしていた。

 

「フェニックス卿。今回の婚約、このような形になってしまい、大変申し訳ない。無礼を承知で申し訳ないのだが、今回の件は」

 

「みなまで言わないでください、グレモリー卿。純血の悪魔同士、いい縁談だったが、どうやらお互いに欲が強すぎたようだ。私のところも貴方のところもすでに純血の孫がいる。それでもなお欲したのは悪魔ゆえの強欲か。それとも、先の戦争で地獄を見たからか」

 

「……いえ、私もあの子に自分の欲を重ねすぎたのです」

 

 紅髪の男性が申し訳なさそうに告げようとするのを金髪の男性が遮り、自嘲するかのように告げる。それは、紅髪の男性も同様であった。

 

「一誠君と天魔君といったかな? 彼らには礼を言いたいところだが、今行動に起こすわけにはいかんな。息子に必要なものを与えてくれたのだがね」

 

「必要なものですか」

 

「息子に足りなかったのは敗北だ。あれは一族の才能をあまりにも過信しすぎた。フェニックスといえど絶対ではない。それを学べただけでも今回の婚約は十分でしたよ、グレモリー卿」

 

「フェニックス卿……」

 

 朗らかに笑う金髪の男性に紅髪の男性は何も言えなくなった。

 

「貴方の娘さんはいい下僕を持った。これからの冥界は退屈しないでしょうな」

 

「……しかし、よりにもよって私の娘が拾うとは思いませんでした」

 

「赤い龍。忌々しいあれがこちら側に来るとは実際に目にするまでは信じがたいものでした」

 

「次はやはり」

 

「ええ、でしょうな。いえ、すでにいるやもしれません」

 

白い龍(バニシング・ドラゴン)。赤と白が出会うのは時間の問題か」

 

 言葉を切ると二人は視線をモニターに移す。

 

「それにしても、あの悪魔……見れば見るほどあの方によく似ている。私が考えている通りであれば……騒がしくなりますな」

 

「ええ、このことは慎重に扱わねばならんでしょうな」

 

 モニターには、自分のした無茶について詰められ、苦笑いを浮かべる天魔が映し出されていた。

 

 

 

「と、そのような感じで、私、リアス・グレモリーもこの兵藤家に住まわせてもらうことになりました。不束者ですが、どうぞよろしくお願いしますわ。お父様、お母様」

 

 兵藤家のリビングでは一誠の隣でリアスが両親に挨拶をしていた。

 

 一誠とアーシアは驚いていたのだが、天魔は落ち着いていた。事前に聞いていたわけではないが、ゲーム終了時のリアスの表情と一誠がなにかと騒がしかったことで何となく予測していたのだ。

 

 リアスとライザーの婚約は無事に破談となった。リアスは喜んでいたが、ライザーは初めての敗北のショックによって寝込んでしまったのだった。これを聞いたときには、リベンジマッチの際には徹底的に心を折りにいこうと考えていた天魔は拍子抜けした気分だった。

 

「まぁ、どうしましょう。アーシアちゃんにリアスさん、娘が二人もできちゃうのね」

 

「うんうん。男の夢だよな。女の子がいっぱいって! 俺の若いころの夢をお前たちなら叶えるかもしれないな!」

 

「ああ、うん。あんたは間違いなくイッセーの親だな。間違いないわ」

 

 浮かれる母はともかく、号泣する父に対し、呆れたように呟く天魔であった。

 

 一誠の左腕は結局ドラゴンの腕から元の腕には戻らなかった。しかし、ドラゴンの力を散らすことで見た目を人間のものにできることが天魔から伝えられ、リアスと朱乃の協力のもと、日常生活では人間の腕に戻っていた。ドラゴンの力を散らすための作業は数日毎に行わなければならず、その作業に関しては一誠も喜んでいた。

 

「さぁ、二人とも。ご両親の許可は得たわ。これで今日から私もこの家の住人ね。早速、部屋へ荷物を運んでくれるかしら?」

 

「は、はい!」

 

「了解です」

 

 リアスの指示に従い、玄関前に積まれていた荷物を運び入れる。動き始めた天魔たちにアーシアが駆け寄った。

 

「私もお手伝いします」

 

「じゃぁ、アーシア、これ頼む。おら、イッセー、さっさと進め。道が塞がるだろうが」

 

 天魔はアーシアに小さめの箱を渡し、大きな箱を抱えた一誠をせかす。荷物を一通り運び込むと、再びリアスから指示が出る。

 

「アーシア、その装飾品はこっちよ。イッセー、天魔、それはこっちに置いてちょうだい」

 

「はい」

 

「イッセー、そっち持ってくれ」

 

「おう、……せーのっ!」

 

「これが終わったらお風呂にしましょうか……イッセー、背中を流してあげましょうか?」

 

「マジっすか⁉」

 

「い、いっちょに入浴⁉わ、私も大胆にした方がいいのでしょうか……」

 

「アーシア、そこから先は考えちゃいけない。焦りすぎてかんでるし」

 

 リアスの言葉に一誠が激しく反応し、それにつられてアーシアが焦りだす。場の空気をなだめつつもにぎやかになっていく日常に天魔も表情を緩めるのだった。

 

 

 

 

『しかし、解せんな。外法の発動にその後の対処、何よりどこからか持ち出してくる神器。奴は何が目的なんだ?』

 

 

 

 




感想・お気に入りありがとうございます。

「譲渡」の開放が、外法による副産物になっていました。次で必要になりますので、仕方がないと思います。
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