変態の双子の兄弟として   作:篠白 春夏秋冬

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Life.39 若手悪魔

「は……え? マジで言ってます? それ……」

 

 天魔たちが冥界へと到着した翌日。会合に合わせて出発する予定のグレモリー眷属に先んじて旧首都ルシファードに転移した天魔は告げられた事実にあっけにとられていた。

 

「無論だ。これほどの事を偽装するのはリスクが高すぎる。昨日の彼らの反応も、これで腑に落ちるのではないかな?」

 

「……ははは、これはまた、ずいぶんとでかい爆弾が掘り起こされたようで……」

 

 サーゼクスが先ほど言ったことが真実であると再度念押しすると天魔は乾いた笑いしか出なかった。

 

「まぁ、こっちとしては同盟を考えていた以上、お前と接触した時点でこうなることはわかっていたことだった。むしろ、あいつを含めていい土産になると思ってたんだがな」

 

「このあとリアス達若手悪魔の会合があるが、君のデビューはもう少し先になる。君の素性が知れれば後見人に名乗りを上げる悪魔は大勢いるだろう。すでに何人も動き出しているだろうが、混乱を引き起こすわけにはいかないからね」

 

「まぁ、最終的には今とそう変わらず、基本的には俺の預かりとなるだろう。そのうえでサーゼクスやミカエルたちがバックアップにあたり、お前は三大勢力の同盟を象徴する立場になる。あの会談の裏でひっそりと決まっていたことだ。お前の素性を表に出すのは、根回しが済み次第ってことになるな。まぁ、夏休みが終わるぐらいには済むだろ」

 

 サーゼクスとアザゼルの言葉に天魔は目を閉じ長く息を吐くと、ゆっくりと目を開く。

 

「承知しました。その大役、見事果たしてご覧に入れましょう」

 

「よろしく頼むよ。さて、今日のことだが、会合への参加はできないが、雰囲気を掴むためにもこちら側として出席してもらう。とはいえ、発言は控えて欲しい。顔が見えないように仮面もつけてもらったほうがいいかもしれないな」

 

「そこら辺はお任せします」

 

 サーゼクスは天魔の答えにうなずき、この日の予定について詰め始める。その手の事がよくわからない天魔はされるがままになることを選ぶのだった。

 

 

 

 一方その頃。

 

 一誠は社交界のことや悪魔の文字についてミリキャスとともに学んだ後、リアス達と共に列車によって会合の行われる建物へと到着していた。

 

「皆、もう一度確認するわ。何が起こっても平常心でいること。何を言われても手を出さない事。上にいるのは将来の私達のライバル達よ。無様な姿は見せられない」

 

 地下鉄によって建物へ直接乗り入れ、エレベーターで上がっていく中、リアスが眷属達と見回して告げる。その表情は臨戦態勢のそれであり、一誠とアーシアはその雰囲気に生唾を飲み込んだ。この場には天魔がいないため自力で緊張を解し、普段楽観的な態度で緊張を解す天魔のありがたさを感じながら目的の階層に到着したエレベーターから降りた。

 

「ようこそ、グレモリー様。こちらへどうぞ」

 

 エレベーターの先は大きなホールになっており、使用人が待っていた。彼らの案内に従い進んでいくと一角に複数の人影を確認する。リアスはその中のひとりに目を留めると呼びかけた。

 

「サイラオーグ!」

 

 その声に人影もリアス達を認識したのか振り向くと近づいて来る。先頭を歩くのは黒髪短髪の大柄な男性であり、引き締まった肉体をしていた。その瞳は紫色でありあまり目にするものではなかったが、その整った容貌はどことなくサーゼクスのそれを思い起こさせた。

 

「久しぶりだな、リアス」

 

「ええ、懐かしいわ。変わりないようで何よりよ。初めての者もいるわね。彼はサイラオーグ。私の母方の従兄弟でもあるの」

 

 リアスの眼の前に立ったサイラオーグはリアスと握手し、懐かしそうに僅かに目を細めた。リアスからの紹介に彼の纏うサーゼクスに似た雰囲気に得心いった一誠だったが、続く言葉に驚愕する。

 

「俺はサイラオーグ・バアル。バアル家の次期当主だ」

 

 最近詳しく学んだ元七十二柱の筆頭であり、大王として政治に関わる一族の登場に無意識のうちに居住まいを正す一誠をよそにリアスとサイラオーグは会話を続ける。

 

「それで、こんな通路で何をしていたの?」

 

「ああ、くだらんから出てきただけだ」

 

「……くだらない? 他のメンバーも来ているの?」

 

「アガレスもアスタロトも既に来ている。あげく、ゼファードルだ。着いた早々ゼファードルとアガレスがやり合い始めてな」

 

 二人の会話に口を挟むことはできず、心底嫌そうに告げるサイラオーグの様子に疑問を深める一誠達だったが、そこに建物を揺らす大きな破砕音が響き渡った。

 

「全く、だから開始前の会合などいらないと進言したんだ」

 

 呆れたように告げるサイラオーグと音の発生源を気にしたリアスが歩き始めたのに続き、両者の眷属も近くの部屋に向かうとその内部は破壊し尽くされた大広間だった。

 

 中央には二方に分かれた悪魔達が向かい合っており、すでにお互いに武器を手にしていた。

 

 部屋の隅には未だ無事なままのテーブルで優雅にしている悪魔が座っており、その周囲にはその眷属と思しき者たちがいた。

 

「ゼファードル、こんなところで戦いを始めても仕方なくてはなくて? 死ぬの? 死にたいの? 殺しても上に咎められないかしら」

 

 向かい合う悪魔の一方―上級悪魔と思しき女性悪魔が殺気とともに口を開き、オーラをたぎらせる。その声とオーラの冷淡さに一誠は震えるが、相対する男性悪魔は鼻で笑い飛ばした。

 

「ハッ! 言ってろよ、クソアマッ! 俺がせっかくそっちの個室で相手してやろうって言ってやってんのによ! アガレスのお姉さんはガードが堅くて嫌だね! へっ、だから未だに男も寄ってこずに処女やってんだろう⁉ ったく、魔王眷属の女共はどいつもこいつも処女臭くて敵わないぜ! だからこそ俺が相手してやろうと言ってんのによ!」

 

 その言動は下品そのものであり、身体にジャラジャラと音を立てる装飾品を身に着け、体の各所にタトゥーを彫り込んだ出で立ちはまごうことなきヤンキーのそれだった。

 

 この諍いの原因が男性悪魔の言動によるものだと一誠が察していると後ろからサイラオーグの解説が入った。

 

「ここは時間がくるまで待機する広間だったんだがな。もっと言うなら、若手が集まって軽い挨拶を交わすところでもあった。ところが、若手同士で挨拶したらこれだ。血の気の多い連中を集めるんだ。問題の一つも出てくる。それも良しとする旧家や上級悪魔の古き悪魔達はどうしようもない。無駄なものに関わりたくなかったのだが、仕方ない」

 

 そう言って言葉を切るとサイラオーグはにらみ合う両者の視界に入るところまで進んでいく。あまりに無造作に近づいていくサイラオーグを慌てて止めようとする一誠にリアスからの静止が入った。

 

「イッセー、彼―サイラオーグをよく見ておきなさい」

 

「え? は、はい。でもどうしてですか? 従兄弟だから?」

 

「彼が若手悪魔のナンバーワンよ」

 

 リアスの言葉に目を丸くすると、すぐに視線を前へと向ける。こういった時天魔であれば決して目をそらさないであろうと瞬きすらも惜しむように凝視する。

 

「アガレス家の姫シーグヴァイラ。グラシャラボラス家の凶児ゼファードル。それ以上やるなら、俺が相手する。いいか、いきなりだが、これは最後通告だ。次の言動次第で俺は拳を容赦なく放つ」

 

 後ろからの視線を知ってか知らずか、実に威風堂々とした様子で両者の間に割り込むと、そのまま警告を発する。その声に女性悪魔の方は引く姿勢を見せたものの、男性悪魔は青筋を立て怒りの色を濃くした。

 

「バアル家の無能が」

 

 男性悪魔の罵倒は最後まで発されることはなかった。言い切るよりも早くサイラオーグの拳が炸裂したのだ。その一撃で男性悪魔は壁へと吹き飛び、しばらくの間をおいて床へと落ちる。先程の一撃で気絶したのか全く受け身を取らず落ちるのを見て、一誠はその拳の重さに驚愕する。

 

「言ったはずだ。最後通告だと」

 

「おのれ!」

 

「バアル家め!」

 

 サイラオーグの堂々とした様子に男性悪魔の眷属と思しき者たちはいきり立つが、その勢いは当のサイラオーグによって諌められた。

 

「主を介抱しろ。まずはそれがおまえらのやるべきことだ。俺に剣を向けてもお前達に一つも得はない。これから大事な行事が始まるんだ、主をまずは回復させろ」

 

 その一言にハッとしたように動き出し、持てる手段を尽くして回復を行う。それを見届けるとサイラオーグは女性悪魔へと向き直り、目を合わせられた女性悪魔はわずかに肩をはねさせた。

 

「まだ時間はある。化粧し直してこい。邪悪なものを纏ったままでは行事もままならんからな」

 

「わかっています」

 

 女性悪魔が踵を返し、部屋をあとにするのを見届けるとサイラオーグは自身の眷属へと指示を出す。

 

「スタッフを呼んで来い。広間が滅茶苦茶すぎて、これじゃ、リアスと茶も出来ん」

 

 それを聞き、去っていくサイラオーグの眷属を見送りつつ、一誠がサイラオーグの強さに驚いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「あ、兵藤!」

 

 その声に振り返るとそこにいたのは匙であり、先行する彼の後ろにはソーナたちの姿があった。

 

「匙じゃん、会長も」

 

「ごきげんよう、リアス、兵藤くん」

 

「あれ? もう一人の兵藤はいないのか?」

 

「ええ、あの子は別行動よ」

 

 シトリー眷属の到着で出席者が建物内には揃ったのだった。

 

 

 

「私はシーグヴァイラ・アガレス。大公、アガレス家の次期当主です」

 

 諍いが落ち着き戻ってきた女性悪魔が自己紹介する。

 

 広間はスタッフの魔力によって復元され、今はサイラオーグによって気絶した男性悪魔とその眷属を除いた者たちがテーブルを囲んでいた。

 

 ひとまず揃ったことにより、各々自己紹介をし、無事なテーブルに座っていた男性悪魔が現ベルゼブブを輩出したアスタロト家次期当主のディオドラ・アスタロト、未だ戻ってこない男性悪魔が現アスモデウスを輩出したグラシャラボラス家次期当主のゼファードル・グラシャラボラスだと判明した。

 

「グラシャラボラス家は先日、御家騒動があったらしくてな。次期当主とされていた者が不慮の事故死をとげたばかりだ。先程のゼファードルは新たな次期当主の候補ということになる」

 

 以前現魔王はプライベートがひどく軽いためにその弟妹は真面目という話しを聞いていたため、ゼファードルの言動と整合性が取れないと何人かが感じているのがわかったのか、サイラオーグから補足が入る。

 

 一誠が次期当主がそんな状態で大丈夫なのかと考えつつも他の家系の話しに首を打っこむこともないと頭を振り、この場に集まったメンバーの豪華さに改めて驚いていると、横から匙がこっそりと話しかけた。

 

「おい、兵藤。間抜けな顔を見せるなよ」

 

 横に立つ匙に話しかけられたことで一誠も応答し、こっそりと話し出す。

 

「だってよ、上級悪魔の会合だぜ? 緊張するじゃないかよ。皆、強そうだ」

 

「何言ってるんだよ。お前は赤龍帝だぞ? もう少し堂々とすればいいじゃないか」

 

「そんなこと言ってもよ……って、なんで匙がキレてんだよ?」

 

「眷属悪魔はこの場で堂々と振舞わないといけないんだ。相手の悪魔達は主を見て、下僕も見るんだからな。だから、お前がそんなんじゃ、先輩にも失礼だ。ちったぁ自覚しろ、お前はグレモリー眷属で、赤龍帝なんだぞ。お前は先輩自慢の眷属だからな。……俺だって、会長の自慢になってみたいさ」

 

 匙に強面で意見され、一誠はわずかに驚いた。そこに続いて匙が一誠に苦笑しつつ告げた意味を理解する前に、案内の悪魔が入ってきて思考は中断された。

 

「大変長らくお待ちいただきました。皆さまがお待ちでございます」

 

 

 

 案内の悪魔に連れられ、若手悪魔とその眷属は広間へと通された。広場を見下ろす位置に席が配置されており、そこには上級悪魔と思しき者たちが座っていた。更にその上の段にも同じように席が、更に上にはサーゼクスとセラフォルーに加え、二人の悪魔が座っており、その位置から最上段の四人が現四大魔王だと察せられた。

 

 しかし、一誠の視線は魔王達よりも先にサーゼクスの後ろに立つコウモリと騎士を組み合わせたような仮面を被った悪魔に目が留まるのだった。

 

 そうこうしているうちに若手悪魔たちがそれぞれの眷属から離れ、一歩前に出る。一誠がそれに反応して改めて上の席に座る悪魔をみて、その見下すような視線に不快感を感じていると、初老に見える男性悪魔が話しだした。

 

「よく集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認する為、集まってもらった。これは一定周期ごとに行う、若き悪魔を見定める会合である」

 

「早速やってくれたようだが……」

 

 一人の男性悪魔が呆れたように口を挟み、ゼファードルが僅かに顔を歪めた。その顔には先程のサイラオーグの一撃の痕が残っており、何かしら諍いがあったのは明らかだったのだ。

 

「君達六名は家柄、実力共に申し分ない次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めてもらおうと思う」

 

 そんな空気の変化を感じさせないようにサーゼクスが告げる。競い合うという言葉に一誠がアザゼルの言葉を思い出しているとサイラオーグが口を開いた。

 

「我々もいずれ『禍の団』との戦に投入されるのですね?」

 

「それはまだわからない。だが、できるだけ若い悪魔達は投入したくはないと思っている」

 

 単刀直入な問いにサーゼクスは否定に近いことを告げる。そのことがサイラオーグは納得しきれないのか更に言い募る。

 

「なぜですか? 若いとはいえ、我等とて悪魔の一端を担います。この歳になるまで先人の方々から厚意を受け、なお何も出来ないとなれば」

 

 しかし、その言葉はサーゼクスによって遮られた。

 

「サイラオーグ、その勇気は認めよう。しかし、無謀だ。何よりも成長途中の君達を戦場に送るのは避けたい。それに次世代の悪魔を失うのはあまりに大きいのだよ。理解して欲しい。君達は君達が思う以上に我々にとって、宝なのだよ。だからこそ、大事に、段階を踏んで成長して欲しいと思っている」

 

 サーゼクスの言葉にサイラオーグは一応の納得を示したが、その表情からは不満が伺えた。

 

 その後、席に座る悪魔達や魔王からゲームのことも交えた話が長く続き、一誠の頭がパンクしそうになってきた頃、サーゼクスが口を開いた。

 

「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私達は若い君達に私たちなりの夢や希望を見ているのだよ。これだけは理解して欲しい。君達は冥界の宝なのだ」

 

 その言葉に会合の終わりが見えたように考え、一誠がホッとしていると、再びサーゼクスが口を開いた。 

 

「最後にそれぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」

 

「俺は魔王になるのが夢です」

 

 サーゼクスの問にいち早く答えたのはサイラオーグだった。その堂々とした態度に席に座る悪魔たちからも感嘆の息がもれるなか、一人の悪魔が口を開いた。

 

「大王家から魔王が出るとしたら前代未聞だな」

 

「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」

 

 誰が発したかもわからない言葉にもサイラオーグは即座に断言し、その場が一度静まりかえる。続いて口を開いたのはリアスだった。

 

「私はグレモリーの次期当主として生き、そしてレーティングゲームの各大会で優勝することが近い将来の目標ですわ」

 

 それについでそれぞれ夢や目標を口にし、最後にソーナが残った。

 

「冥界にレーティングゲームの学校を建てることです」

 

 その言葉に一誠は関心していたが、席に座る悪魔たちは眉を顰めていた。

 

「レーティングゲームを学ぶ所ならば、既にあるはずだが?」

 

「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行くことが許されない学校のことです。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔も通える分け隔てない学舎です」

 

 首をかしげているかのような声音で尋ねる悪魔にソーナは淡々と答える。その様子に匙は誇らしげにしていたが、その場に響いたのは同意を示す声ではなく嘲笑だった。

 

 悪魔たちが口々にソーナを馬鹿にするような言葉を発するのに一誠が戸惑っていると、祐斗がいまだ差別意識は根深いのだと説明する。フェニックスを例に出され、絶句する一誠の前でソーナはまっすぐと答えた。

 

「私は本気です」

 

 その様子にセラフォルーも深くうなずき、「よく言った」と言わんばかりの様子だったが、その様子の見えない悪魔からソーナへと声がかかる。

 

「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出されるのが常。そのような養成施設を作っては伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰すこととなりますぞ? いくら悪魔の世界が変革の時期に入っていると言っても変えていいものと悪いものがあります。まったく関係のない、たかが下級悪魔に教えるなどと……」

 

 その冷徹な言葉に匙が歯を食いしばり、感情のままに前へ出ようとする。

 

 その瞬間、会合の場を圧倒的な重圧が支配した。

 

 殺気にも似た重圧に匙の足がすくみ、緊張で喉が締まりうめき声すらも出なくなる。席に座る悪魔の何名かも同様の状況なのか苦しそうにする中、一誠が重圧の発生源へと目を向けると、サーゼクスの後ろに立つ騎士風の仮面の男だった。

 

 その男にサーゼクスが目配せすると、重圧もゆっくりと引いていき、自由に呼吸ができるようになった者たちが大きく深呼吸をする。全員の息が整うのをみてセラフォルーが怒り心頭という様子で口を開いた。

 

「もう! おじさま達はうちのソーナちゃんを寄ってたかっていじめるんだもの! 私だって我慢の限界があるのよ! あんまりいじめると私がおじさま達をいじめちゃうんだから! なんなら! うちのソーナちゃんがゲームで見事に勝っていけば文句もないでしょう⁉ ゲームで好成績を残せば叶えられるものも多いのだから!」

 

 セラフォルーの感情任せの物言いに当の怒りをぶつけられた悪魔達は反応に困っており、ソーナは恥ずかしいのか顔を覆っていた。一方、一誠を含めた何人かはスッキリとした表情を浮かべていた。

 

 そして、雰囲気が和らいだのを見てかサーゼクスが口を開いた。

 

「ちょうどいい。では、ゲームをしよう。若手同士のだ」

 

 その言葉に若手悪魔に緊張が走る。その様子にサーゼクスは満足そうにすると続ける。

 

「リアス、ソーナ、戦ってみないか?」

 

 その言葉に両者が顔を見合わせ驚愕をあらわにしていた。

 

「元々、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲームファンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね、だからこそ、ちょうどいい。リアスとソーナで1ゲーム執り行ってみようではないか」

 

 サーゼクスの言葉をようやく飲み込み始めたのかリアスは一つ息を吐くと挑戦的な笑みを浮かべ、ソーナ冷笑を浮かべる。

 

「公式ではないとはいえ、私にとって初レーティングゲームの相手が貴方だなんて運命を感じてしまうわね、リアス」

 

「競う以上は負けないわ、ソーナ」

 

 両者が火花を散らし始めるのを見てセラフォルーも怒りが薄れたのか楽しそうにしていた。それをみて、サーゼクスも口元を緩め、決定を告げる。

 

「対戦の日取りは、人間界の時間で八月二十日。それまで各自好きに時間を割り振ってくれて構わない。詳細は改めて後日送信する」

 

 その言葉を最後に会合は終わりを告げ、解散となった。

 

 

 

 そして、会談を終え、旧き悪魔も去った会場にてサーゼクスは息をついた。

 

「ふぅ、全くヒヤヒヤしたよ。まさかこんなことになるとは」

 

「申し訳ありません。どうにも我慢ができなくて」

 

 サーゼクスの言葉に答えたのは騎士風の仮面をつけた男だった。その男が仮面を外すとその下からは天魔が現れた。

 

「まぁまぁ、いいじゃない。サーゼクスちゃん。天魔君が怒らなければ、もっとひどくなってたかも知れないのだし」

 

 セラフォルーがそう言ってなだめるのを聞き、サーゼクスはもう一度息を吐き、笑みを浮かべる。

 

 ちなみに現アスモデウスは今後のことを眷属に指示を出すため、現ベルゼブブはゲームの日程調整のため退出している。

 

「責めているわけではないんだ。ただ君の力を示す機会が早まってしまっただけだからね。今後のことがスムーズに進むだろうことに対する安堵と仕事が増えることに対する諦念が会談が終わった安堵で漏れただけだよ」

 

 サーゼクスの言葉に諦念の原因が自分にもあることを知っている天魔は微妙な表情をし、それを見たセラフォルーは楽しそうにしていた。

 

 と、そこにノックの音が響き、一人の悪魔が入室した。

 

「おや、なにか御用ですか?」 

 

 入室した悪魔に笑顔で天魔が応対する。その悪魔は自身の予測が間違っていなかったことに安堵するように息を吐くと要件を話し始めた。

 

 




感想・評価・お気に入りありがとうございます。

天魔の事情が気になる方もいらっしゃると思いますが、しばらくお待ち下さい。

焦らしてしまい、本当に申し訳ないです。
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