「そうか、シトリー家と対決とはな」
会合を終え、グレモリー家に返ってきた一誠達を迎えたのはアザゼルだった。アザゼルは日取りを聞き現在の日にちを確認すると口を開く。
「人間界の時間では現在七月二十八日。対戦日まで約二十日間か」
「しゅ、修行ですか?」
不安そうにする一誠に対し、アザゼルは頷いた。
「当然だ。明日から開始予定。すでに各自のトレーニングメニューは考えてある」
「でも、俺達だけ堕天使総督のアドバイスを受けてていいのかな? 反則じゃないんですか?」
他のチームに対して堕天使の総督という陣営のトップによる直接の指導というアドバンテージが有ることに不公平感を感じているとアザゼルは嘆息した。
「別に。俺はいろいろと悪魔側にデータを渡したつもりだぜ? それに天使側のバックアップ体制をしいているって話だ。あとは若手悪魔連中の己のプライド次第。強くなりたい、種の存続を高めたい、って心の底から思っているのなら脇目も振らずだろうよ。うちの副総督も各家にアドバイスを与えてるぐらいだ。ハハハ! 俺よりシェムハザのアドバイスの方が役立つかもな! まあいい。明日の朝、庭に集合。そこで各自の修行方法を教える。覚悟しろよ」
そう言って笑うアザゼルに一誠は不安そうな顔になる。そこに更に声がかかった。
「確かにシェムハザのほうが真面目だしな。このバカよりも役に立つかもな」
グレモリー眷属が一斉に振り向くとその先には天魔が立っていた。少し前にも似たような状況になったことにわずかに苦々しい表情になると、リアスが話しかける。
「おかえりなさい。天魔も帰っていたのね。でも、そんなに静かに入って来なくてもいいのではないかしら。やはりあなたはアザゼルに似ているわね」
「俺が、こいつに……⁉」
「おいこら! そんなにショックを受けることか⁉」
リアスの言葉に四つん這いになってショックを受ける天魔にアザゼルが突っ込みその様子に一誠たちがわずかに笑うとグレイフィアが入ってきた。
「皆さま、温泉のご用意が出来ました」
その報告に一誠の目の色が変わり、天魔はため息をつくのだった。
脱衣所にて。
さっさと入りにいったアザゼルと一誠に続き、祐斗も出ていき、天魔とギャスパーが残されていた。
「そういえば、お前とサシで話すことってなかったよな」
「きゅ、急になんですか?」
すでに下着の天魔に対し、脱衣をためらっていたギャスパーは突然話しかけられたことに体をビクつかせるが、天魔は落ち着くのを待って話しを続ける。
「初対面のときは押し倒しちまったし、あの時は悪かったな。全員が急に動かなくなって心の余裕がなかった。お前が怯えた顔をしてたから本意ではないことはわかったが、混乱して軽率な行動を取ったと思っている。本当に悪かった」
「へ……? あ、頭を上げてください! 僕が自分の力をコントロールできないのが原因なんです! 天魔先輩が謝るようなことじゃ」
天魔の謝罪にギャスパーは目を瞬かせると状況を理解して慌てだした。ギャスパーが言い募るのを聞き、ひとまず天魔も顔を上げ、ギャスパーも落ち着いた。
「今回の謝罪は自己満足だ。まぁ、これから先もっと大変になるから、過去のことは今のうちに謝っておこうと思ってな」
「へ? それってどういう?」
「それより、服脱がないのか?」
「それはそのぅ―きゃあぁぁぁぁ!」
ギャスパーは未だに一枚も脱いでいなかった。天魔は近くに自身がいるためかためらいが残り、手を彷徨わせるギャスパーに近寄ると、一瞬で全裸に剥き、自身の服も脱ぐとギャスパーにタオルを巻き付け、抱えて脱衣所を出ていった。
ギャスパーが悲鳴を上げたことで男湯にいた一誠達の視線を集めつつもそのまま湯船へと近づき、湯の中へと落とした。
「いやぁぁぁぁん! 熱いぃぃぃ! 溶けちゃうよぉぉ! 天魔先輩のエッチぃぃぃ!」
「何やってんの、お前?」
「あんまりにも脱ぐのをためらうから脱がしてやっただけだ」
『天魔、ギャスパーにセクハラしちゃだめよ?』
ギャスパーの絶叫にリアスからからかい混じりの注意が入り、ついで他の女子の笑い声が小さく聞こえた。天魔はそれに適当に返事をすると、湯船に浸かり体を伸ばす。
「あ゙ぁ゙〜、面倒極まる会談も終わったし、ようやく気が休まるぜ」
「なんかおっさん臭くねぇか?」
「それはお前のほうだろ? 実際におっさんじゃねぇか」
「てめぇ、言ってくれんじゃねぇか」
湯に浸かりくつろぐ天魔にアザゼルがからかうが、天魔の反撃にいきり立つ。が、一誠が壁に耳をつけて女湯の様子を伺っているのを見てそちらに向かった。
「イッセー、女湯を覗きたいのか?」
「せ、先生! これはその!」
仮にも教師であるアザゼルに目論見を見透かされた一誠は慌てるが、アザゼルはニンマリと笑った。
「別にいいじゃねぇか。男同士なんだしよ。温泉で女湯を覗くのはお約束ってもんだぜ。しかし覗くだけじゃ、スケベとしては二流以下だな」
「二流ですか! じゃぁ、どうすれば一流に!」
「それ、一流を目指すもんか?」
アザゼルの言葉に一誠が慟哭し、天魔が呆れ声を出す。そんな二人を前に少し考えると一誠の腕を掴んだ。
「そうだな。こんな! 感じかな! 男なら混浴だぞ、イッセー!」
「なっ! てめぇ!」
「お前も行って来い!」
一誠が投げられたことに天魔はアザゼルに詰め寄ろうとすると、そのまま腕を掴まれ同様に投げられた。空中で体制を立て直しきれないように簡易な魔法封じまでかける周到さに驚きつつ天魔も一誠に遅れて着水した。
「ぶはっ! あの野郎!」
「む? イッセーだけでなく天魔も来たのか。ちょうどいい、親睦を深めるためにも裸の付き合いというものをためそうじゃないか」
「ゼノヴィア……桐生の言うことは話半分に聞いておくことを勧める。あいつは面白がってるだけだぞ」
「いや、私はアーシアから聞いたが」
水面から立ち上がりアザゼルへと怒りを向ける天魔だったが、よってきたゼノヴィアに毒気を抜かれつつ、その肢体を目に収めないように顔を覆う。ゼノヴィアの言動から友人である三つ編みにメガネの少女へ怒りを向けるが、思わぬ下手人にがっくりと項垂れるのだった。
そして、その横で一誠は興奮により意識を失っていた。
翌朝。
一誠たちはグレモリー家の庭の一角へと集まっていた。アザゼルを含め、全員がジャージ姿であり、真剣な顔でミーティングに臨んでいた。
「先に言っておく。いまから俺が言うものは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。直ぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。ただ、お前らは成長中の若手だ。方向性を見誤らなければ良い成長をするだろう。さて、まずはリアス。お前だ」
自身がまとめたデータらしきものをめくりながらアザゼルがまず呼んだのはリアスだった。呼ばれたリアスが進み出るのを見てアザゼルが続ける。
「お前は最初から才能、身体能力、魔力の全てが高スペックの悪魔だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。だが、将来よりもいま強くなりたい、それがお前の望みだな?」
「ええ、ライザーの件も、コカビエルの件も、収めたのは天魔だった。他人頼りだなんて言われるのはゴメンだわ」
「なら、この紙に記してあるトレーニング通り、決戦日直前までこなせ」
アザゼルの問いかけに強い意思を持って応じるリアスに紙が渡される。その内容をみてリアスは首をかしげた。
「……これって、特別すごいトレーニングとは思えないのだけれど?」
「そりゃそうだ。基本的なトレーニング方法だからな。お前はそれでいいんだ。全てが総合的にまとまっている。だからこそ、基本的な練習だけで力が高められる。問題は「王」としての資質だ。「王」は時によって、力よりも頭を求められる。魔力が得意じゃなくとも、頭の良さ、機転の良さで上まで上り詰めた悪魔だっているのは知っているだろう? 期限までお前はレーティングゲームを知れ。ゲームの記録映像、記録データ、それらすべてを頭に叩き込め。「王」に必要なのは、どんな状況でも打破できる思考と機転、そして判断力だ。眷属悪魔が最大限に力を発揮できるようにするのがお前の仕事なんだよ。ただ、これも覚えておけ、実際のゲームでは何が起こるかわからない。戦場と同じだ」
リアスが納得したのか下がり、期限までの過ごし方を考え始めたのを見て、アザゼルは更に紙をめくる。
「次に朱乃」
「……はい」
呼ばれた朱乃は明らかに不機嫌だった。リアスに対するアドバイスが理にかなうものであったためか、真っ向から反抗するような態度ではなかったものの、続いた言葉に顔をしかめた。
「お前は自分に流れる血を受け入れろ。フェニックス家との一戦、記録映像で見せてもらったぜ。なんだありゃ。本来のお前のスペックなら、敵の「女王」を苦も無く退けられたはずだぞ。ましてや、相手は本気を出してないんだからな。なぜ、堕天使の力を振るわなかった? 雷だけでは限界がある。光を雷に乗せ、「雷光」にしなければ、お前の本当の力は発揮できない」
「……私は、あのような力に頼らなくても」
朱乃は自身が嫌う力であるためか、表情を歪めたまま吐き捨てるように言葉を放つが、アザゼルは構うことなく続ける。
「否定するな、自分を認めないでどうする? 最後に頼れるのは己の力だけだぞ? 否定がお前を弱くしている。辛くとも苦しくとも、自分を全て受け入れろ。お前の弱さの要因は今のお前自身だ。決戦日までにそれを乗り越えて見せろ。じゃなければ、お前は今後の戦闘で邪魔になる。「雷の巫女」から「雷光の巫女」になってみせろよ」
アザゼルの言葉に朱乃は何も答えなかった。歯を食いしばり拳を握る姿にこれ以上言えることはないと感じたのか、アザゼルは朱乃から視線を外し、祐斗へと視線を移した。
「次は木場だ」
「はい」
「まずは禁手を解放している状態で一日保って見せろ。それに慣れたら、実戦形式の中で一日保たせる。それを続けていき、状態維持を一日でも長く出来るようにしていくのがお前のトレーニングの目的だ。あとはリアスのように基本トレーニングをしていけば十分に強くなるだろうさ。剣系神器の扱い方は後でマンツーマンで教えてやる。あとは剣術だが、もう一度師匠に習うんだったな?」
「はい、一から鍛え直してもらうつもりです」
自信あり下に頷く祐斗にアザゼルも頷く。祐斗の師匠に一誠が思いを馳せているとアザゼルの視線はゼノヴィアへと移った。
「次、ゼノヴィア。お前はデュランダルを今以上に使いこなせるようにすることだ。それともう一本の聖剣にも慣れてもらう」
「もう一本の聖剣?」
「ああ、ちょいと特殊な剣さ」
アザゼルの言葉にゼノヴィアは首をかしげるが、アザゼルはニンマリと笑うだけだった。一誠もともに首を捻っていると、アザゼルの視線はギャスパーへと移った。
「次にギャスパー」
「は、はいぃぃぃぃぃ!」
声をかけられギャスパーが叫び声を上げる。明らかにビビっている様子にわずかに嘆息すると口を開いた。
「そうビビるな。お前の最大の壁はその恐怖心だ。何に対しても恐怖するその心身を一からきたえなきゃいかん。元々、血筋、神器共にスペックは相当なものだからな。「僧侶」の特性、魔力に関する技術向上もお前を大きく支えてくれている。専用の「引きこもり脱出計画!」なるプログラムも組んだから、そこでまずは真っ当な心構えを出来るだけ身につけて来い。全部が無理でも人前に出ても動きが鈍らないようにしろ」
「はいぃぃぃぃぃぃっ! 当たって砕けろの精神でやってみますぅぅぅ!」
駒王協定締結時の会談で起こった事件の際に一誠の血を吸ってからは暴走しづらくなっていたギャスパーだったが、段ボールへと逃げ込みながらの叫び声に一誠は不安になった。
「同じく「僧侶」のアーシア」
「は、はい!」
アザゼルの言葉にアーシアも気合充分に返事をする。自身に戦闘能力がないことを気にしていたアーシアにとって、ゲームを見据えた修行はとても重要だった。
「お前も基本的なトレーニングで、身体と魔力の向上。そして、メインは神器の強化にある」
「アーシアの神器は最高ですよ? 触れるだけで病気や体力以外は治せますし」
「それは理解してる。回復能力の速度は大したもんだ。だが、問題はその「触れる」って点だ。味方がケガしてるのに、わざわざ至近距離にまで行かないと回復作業ができない」
すでに回復能力としては十分以上の速度と能力に、最初こそ何を目指しているのか見当のつかない様子だったリアス達だったが、アザゼルの言葉から言おうとすることを感じ取ったのか、口を開いた。
「もしかして、アーシアの神器はその効果範囲を広げられるの?」
「御名答だ、リアス。こいつは裏技みたいなものだが、「聖母の微笑」の真骨頂は効果範囲の拡大にある」
「アーシアの神器は遠距離回復も可能ってことですか?」
一誠がリアスとアザゼルの会話から修行の目的を察し、驚愕していると、アザゼルは頷いて話しだした。
「俺達の組織がだしたデータでの理論上だがな。神器のオーラを全身から発して傷ついた味方をまとめて回復なんてこともできるはずだ。だが、こいつは両刃の剣になりかねない」
「どういうことです? 一度に何人も回復できるならすごいことじゃないですか」
「まぁ、アーシアの気質が故だな。アーシアの場合、敵味方区別なく回復してしまう可能性が高い。とはいえ、そのデメリットに目を瞑ってでも範囲回復は覚えるべきだ。それと、回復のオーラを飛ばす方法の模索も行ってもらう」
「飛ばすって言うと、俺のドラゴンショットみたいにですか?」
「ああ、直接回復するよりも効率は落ちるだろうが、アーシアを守るメンバーを配置しとけば、前線の耐久力は圧倒的に向上する。ゲームにおいて回復の手段は数の限られた「フェニックスの涙」と調合された回復薬ぐらいなものだ。前者は今しがた言ったが回数が少なく、後者は効力がさほど高くない。悪魔をも直せる能力はこのチームの特性の一つだ。そこを高めるに越したことはない」
アザゼルの言葉にアーシアの頬は紅潮しその表情はやる気に満ちていく。その様子にアザゼルも満足そうにすると、視線を次に写した。
「次に小猫」
「はい」
「お前は申し分のないほど、オフェンスとディフェンス、「戦車」としての素養を持っている。身体能力も問題ない。だが、リアスの眷属には「戦車」のお前よりもオフェンスが上の奴が多い」
「……わかっています」
「リアス眷属でトップのオフェンスは、現在木場とゼノヴィアだ。禁手の聖魔剣、聖剣デュランダル、悪魔にとっちゃ凶悪な兵器を有してやがるからな。ここに予定だが、イッセーの禁手が加わると、今のお前では一歩劣る」
「……」
「小猫、お前も他の連中同様、基礎の向上をしておけ。その上で、お前が自ら封じているものを曝け出せ。自分を受け入れなければ大きな成長なんて出来やしねぇのさ」
アザゼルに声をかけられた際には妙に張り切っていた様子だった小猫だったが、話が進むにつれて沈んでいく。特に「曝け出せ」という一言には大きく消沈したように見えた。
「大丈夫、小猫ちゃんならソッコーで強くなれるさ」
「……そんな、軽く言わないでくださいっ」
一誠は消沈した小猫の頭を撫でようとするが、その手は払いのけられ、険しい表情で返される。その様子に自身のやらかしを悟った一誠だったが、アザゼルの言葉に意識を引っ張られた。
「さて、最後はイッセーだ。お前は……ちょっと待ってろ。そろそろなんだが……」
そう言って空を見上げるアザゼルにつられ、一誠達も上空へと視線を向ける。雲一つない快晴だったが、突如巨大な影がその場を覆った。
轟音とともに巨大な影が着陸し、轟音と衝撃が撒き散らされる。普段であれば天魔が防ぐそれらを無防備な状態で食らったことで転がる一誠は、影の主を視界にとらえて驚愕する。
「ドラゴン!」
影の主は一誠達が身に宿すものに酷似した姿をしていたのだ。
「そうだ、イッセー。こいつはドラゴンだ」
「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだな」
「ハッ、ちゃんと魔王様直々の許可を貰って堂々と入国したぜ? 文句でもあるのか、タンニーン」
「ふん。まあいい。サーゼクスの頼みだというから特別に来てやったんだ。その辺を忘れるなよ、堕天使の総督殿」
「ヘイヘイ。てなわけで、イッセー。こいつがお前の先生だ」
タンニーンと呼ばれたドラゴンと見知った顔であるかのように話すアザゼルにぼうっとしていた一誠だったが、あっさりと告げられた事実に再び驚愕した。
「えええぇぇぇぇ! この巨大なドラゴンが⁉」
「久しいな、ドライグ。聞こえるのだろう?」
『ああ、懐かしいな、タンニーン』
一誠をよそにタンニーンがドライグに語りかけると一誠の左腕が変わり、赤龍帝が応対する。一誠が知己であるのかという問いにドライグが肯定を返すとタンニーンの素性を語りだした。
『こいつは元龍王の一角だ。「五大龍王」のことは以前少しだけ話したろう? タンニーンは「六大龍王」だった頃の龍王の一匹だ。聖書に記された龍をタンニーンと言うのだが、コイツを指している』
「タンニーンが悪魔になって、「六大龍王」から「五大龍王」になったんだったな。いまじゃ、転生悪魔の中でも最強クラス。最上級悪魔だ」
転生悪魔の中でも最強クラス、最上級悪魔と言う言葉に一誠が転生悪魔でも成り上がれることを実感し、表情が明るくなる。一方で一誠の地獄へのカウントダウンが進んでいった。
「『
「俺がしなくても、ドライグが直接教えればいいのではないか?」
「それでも限界がある。やはり、ドラゴンの修行といえば」
「元来から実戦方式。なるほど、俺にこの少年をいじめ抜けと言うのだな」
『手加減してくれよ、タンニーン。俺の宿主は想像以上に弱いんでな』
「死ななければいいのだろう? 任せろ」
「え?」
「期間は人間界の時間で二十日間ほど、それまでに禁手に至らせたい。イッセー、死なない程度に気張れや」
「ええ⁉」
「さて、各自各々に修行メニューをこなすこと。いいわね」
「「「はい!」」」
タンニーンの不穏な言葉に一誠は抗議も込めて声を出すが、誰も聞き入れることなく解散していく。
「イッセー、気張りなさい!」
リアスの親指を立ててのエールに愕然としていると、一誠はタンニーンによって摘み上げられた。
「リアス嬢。あそこに見える山を貸してもらえるか? こいつをそこに連れていく」
「ええ、鍛えてあげてちょうだい」
「任せろ。死なない程度に鍛えてやるさ」
「部長ぉぉぉぉ!」
タンニーンに連れられ一誠は山へと連れて行かれた。ギャスパーに負けないほどに絶叫しながら必死に手を伸ばす一誠にリアスは手を降って見送ると、感慨深そうにつぶやいた。
「元龍王に白龍皇。この夏のイッセーの師匠は豪華になるわね」
そのつぶやきが聞こえたのか、アザゼルは立ち止まるとリアスへと振り返った。アザゼルの口から告げられた事態にその言葉が聞こえる範囲にいた者たちは目を見開くことになる。
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色々と立て込んでいるので、来週は間に合わないかもしれません。