元は末裔達の中でも異形に興味の薄いキャラにする予定で話し方を賢王様っぽくしたのですが、クロスオーバータグを入れてマジの賢王様を採用するべきなのか思案中です。
fgoやってないしUBWを昔見ただけで後は二次創作知識なのが悩ましいところ…
一応アンケートをつけておきます
グレモリーとシトリーの対決前夜。
天魔はシトリーチームのミーティングに参加していた。
ただ、天魔の纏う気配はまるで通夜のような沈鬱とした雰囲気であり、見かねた匙が声をかける。
「お、おい、ほんとに大丈夫か?」
「……問題ない。ただ、ちょっと心が疲弊仕切っているだけだからな」
「あんな事があったばっかじゃねぇ……しょうがないわよ」
天魔の声には張りが無く、明らかに沈んでいる。手元に抱えた黒猫からも憐れむ声が上がり、天魔は深い溜め息をついた。
ちなみにこの黒猫は黒歌である。妖気をコントロールして猫の姿を取っているが、ソーナたちにも正体は伝えられている。現在は天魔のアニマルセラピー中なのだ。
「では、明日のゲームについて、作戦の打ち合わせを始めます」
「まず始めに言っておく。決戦前日にいうようなことではないとわかってはいるが、あえて言わせてもらう。今回の勝負、勝ち目は薄い。特に赤龍帝の禁手が痛い。まだ練度が低いから禁手である鎧の具現化に時間がかかることが弱点となるがそれでも脅威であることには変わりない。それぞれの駒の特徴も活かされれば危険だ。だからこそ、奮戦がより輝き、それが主の能力を喧伝する要素になる。気張れよ」
「「「はい!」」」
天魔の言葉にシトリー眷属が声を上げる。ネガティブな言葉にも怯むことのない毅然とした態度に頷くとミーティングは続いていった。
そして、ゲーム当日。
魔王や神も座るVIP席で天魔も観覧していた。
「お主が噂の白龍皇じゃな? 赤龍帝と兄弟のくせして敵に回るとは、直接戦わんとはいえ、やはり因縁からは逃れられんか?」
「はじめまして、北欧の主神オーディン殿。因縁というほどのものでもありませんよ。確かに代理戦争と見るものもいるようですが、実際に戦えば私が勝ちますので、彼女達を代理とするなら勝敗はさほど重要ではないかと」
「ほほう? お主はこの試合、どう見る?」
オーディンの言葉に天魔は考えるように少しだけ時間をおくと、口を開いた。
「やはり注目すべきは赤龍帝でしょう。しかし、本人というわけではなくその周囲。シトリーが赤龍帝をどう落とすか。赤龍帝を落とされたグレモリーがどういう反応を示すか。そのあたりが注目するところでしょう」
「まるで赤龍帝が落とされるのは確実とでも取れる言い方じゃな」
「落ちますよ。俺がコーチしたんです。赤龍帝一人落とせぬ道理はない」
天魔の言葉に驚いたのはアザゼルだった。
心情的にあまり深くかかわらないだろうという予測が外れ、与えるアドバイスを間違えたかと苦い顔をしていると天魔が小さく笑った。
「まずったって顔だな、アザゼル。シトリーチームのコーチをしたのは契約だぞ? 求められれば応じるもんだぜ」
「ホッホッホ、これは主の負けじゃな、アザゼル。しかし、身内というのにえげつないのぅ。流石はあの血筋じゃな」
「そろそろ開始のようですよ」
サーゼクスの言葉に会話を中断し、モニターへと集中する。
両チームが転移した場所を見て、天魔は笑みを深めるのだった。
グレモリーとシトリーのゲームの舞台となったのは駒王学園近くのデパートだった。
リアス達が二階東側、ソーナ達が一階西側に転移しており、そこが本陣となる。
また、今回はフェニックスの涙が各チーム一つづつ、更に作戦を練る時間が三十分用意されていた。
更に、追加ルールとして「フィールドの大規模な破壊の禁止」と「ギャスパーの神器の使用不可」が加わり、グレモリー側には不利なルール設定となっていた。
「ずいぶんとルールが偏ったのぅ」
周知されたルールにこぼしたのはオーディンだった。その視線がサーゼクスに向き、視線の意図を察したサーゼクスが苦笑を浮かべる。
「ルールへ干渉はしていませんよ。魔王が干渉しては公平性に欠けますから。
サーゼクスの言葉に一応の納得をしたのかオーディンはモニターへ視線を戻す。ちょうどその頃、各チームがフィールドの散策を始めた。
そして、ゲーム開始五分前。
シトリー眷属は本陣付近に集合していた。
「会長、生鮮食品売場の商品は本物でした。散策前に話していた作戦は実行可能そうです」
「駐車場の車等はハリボテでした。攻撃による誘爆の心配はなさそうです」
「天井なんかの強度も十分ですね。動き回るのに不便はなさそうです」
眷属達の報告を聞き、ソーナたちの作戦が組み立てられていく。全員に作戦が共有されたタイミングで戦闘開始時間となり、ゲームが始まった。
「桃と憐耶は予定通りに。椿姫、翼紗、巴柄は立体駐車場へ。おそらく「騎士」の二人がいます。十分に警戒しなさい。サジと留流子は店内へ。ここが鬼門です。サジ、覚悟はいいですね」
「勿論です、会長! やり遂げて見せます!」
「よろしい。今回のゲーム、私達の勝利を信じるものはほとんどいません。ですが、それが間違いだったと知らしめて見せましょう!」
「「「はい!」」」
ソーナの声に眷属が声を揃えて返す。
全員が動き、本陣に残されたソーナは緊張を解すように瞑目し、長く息を吐くのだった。
匙と留流子は店内を高速で移動していた。
匙が留流子をおぶり、「黒い龍脈」の先を天井につないで、それを巻き取る反動で空中を移動する。
そうして何度か移動していると、ゆっくりと移動する一誠と小猫が視界に移り、まだ気づかれていないようなのを見て取ると、そのまま飛び出した。
「兵藤か、まずは一撃!」
奇襲の直前で小猫に気づかれたので、狙いを明確にして一誠へ確実に初撃を当てるため、声をあげながら蹴りを放つ。
その声に反応した一誠が籠手で防ぎ、その隙に「黒い龍脈」の何本かを繋いだ。
「よー、兵藤」
匙は無事にラインを繋いだことで、作戦通りに事を進められていることに内心ガッツポーズをしながら話しかける。
自分の状態を確認した一誠の視線が自分の神器に向いていることを確認すると、苦笑して時間稼ぎも兼ねてぐちをこぼす。
「俺も修行したってことさ。ほんとに、何回も死ぬかと思ったよ。あいつの知り合いの堕天使に光の槍持って追い回されたり、全身泥塗れになっても転がされ続けたり……まぁ、おかげでこれだ。で、天井から店内の様子を見ようとラインを天井に引っ付けて上がってみたら、遠くの物陰に隠れている二人が見えたんだ。気付いてないし、チャンスとばかりにターザンごっこで奇襲さ」
「ああ、俺も経験あるぜ、だから、キツさはよく分かるよ。でも、修行したのは俺も一緒だ。大半をドラゴンとの追いかけっこに費やしたけどな!」
修行の体験を話す内、匙の背から降りた留流子も含めてやや遠い目をしていると、似たような経験をしていた一誠と小猫が同情を込めた目になる。
とはいえ、今はゲーム中であり、会敵していることを思い出したのか、一誠が軽く首を振って気持ちを切り替えていると、流れたアナウンスに目を見開くことになった。
『リアス・グレモリー様の「僧侶」一名、リタイヤ』
「やられたのはギャスパー君だよ」
唐突に流れたリタイヤの宣言に驚く一誠たちにこれ幸いと解説をしていく。
できる限り会話を長引かせつつ、神器を封じられているギャスパーが吸血鬼としての能力を使って本陣近くを偵察をしていたところで策を弄してにんにくを使ったことを話すと、一誠は愕然とした。
「スタート!」
『Count Down!』
思わず頭を抱えかけた一誠だったが、今一度気持ちを切り替え、一瞬迷った後に禁手の開始を宣言した。
宝玉に映った数字が減少を始め、一誠が距離を取ろうとするのをみて、天魔の語った通りだと確信した匙が距離を詰める。
右手のラインを引っ張りながら前進し、体勢の崩れた一誠に前進とラインでの引き寄せの二つを上乗せした蹴りを放つ。腕での防御は間に合わなかったが、腹筋を締めることでダメージを抑え、動きの鈍る様子のない一誠に匙は苦笑した。
「へえ、結構マジで蹴ったんだけどな。お前も半端じゃないトレーニング積んだようだな」
ラインを繋がれていることで逃亡は不可能と感じた一誠が逃げるのではなく迎撃に動く。匙はその拳を難なく避けると、懐からサングラスを取り出した。
「仁村! さっき取ってきたサングラスだ!」
唐突にサングラスを用意した匙と留流子に訝しげな視線を送る一誠だったが、その視界が強い光で塗りつぶされる。
思わず目を覆い、隙だらけになった一誠の腹に匙の拳が突き刺さった。動きの止まったままの一誠に追撃を加え、その身体を吹き飛ばす。
壁に背を打ち付け、苦しげにうずくまる一誠へ向けて、雷撃が放たれる。
動けない一誠を小猫が押し倒しながら転がり、なんとか回避に成功すると、目標を失った雷撃が床を砕く。魔力が低いと聞いていた匙の雷撃の威力に一誠は目を見開いた。
「兵藤程じゃないにせよ、魔力の少ない俺がお前にトドメをさせるだけの一撃を打てたのが意外か? まぁ、これも天魔大先生のご教示だけどよ。事前に儀礼なんかを済ませておくことで魔法や呪術を簡単に発動させる事ができるようになるんだとよ。分不相応なものを扱うから、連続でそう何発も打てば危険だし、やるべき儀礼に触媒と時間が必要だからゲーム中に補充も出来ない。今のを外したのはけっこう痛いな」
「……ずいぶんと準備がいいじゃねぇか、匙」
小猫が割って入ったため、匙は追撃を諦め、次の攻撃の準備を悟らせないように種明かしをしていると、一誠が足を震わせながら立ち上がった。その瞳にまだ力がある事を見て取ると、攻撃の準備を急ぐ。
「最初は命を掛けるつもりだった。「黒い龍脈」を俺に繋いで生命力を魔力に変えるつもりだったんだ。それが俺に出来る精一杯で覚悟をもって挑めることだと思ってた。けど、天魔に思いっきりぶん殴られてな。「覚悟とは、犠牲の心ではない。犠牲の上で叶えた夢を会長は喜ばない」って諭されたよ。そのときに伝えられたのがこれだ。命を張るわけじゃなくなったけど、俺は本気だよ、兵藤。俺は全力で、赤龍帝と呼ばれるお前を倒す」
匙の決意の籠もった言葉に呼応して、匙の攻撃の邪魔にならぬよう、留流子が小猫を引き剥がしにかかる。
今まで静観していた留流子が攻撃してきたことで、小猫も応戦せざるを得なくなり、一誠から距離を取らされた。
味方との距離が空いた一誠へ、再び雷撃が襲いかかるが、一誠はギリギリで避けきった。
「なぁ、兵藤。お前に夢をバカにされた俺達の悔しさがわかるか? 夢を信じる俺達の必死さが分かるか? この戦いは冥界全土に放送されてる。俺達をバカにしてた奴らの前でシトリー眷属の本気を見せなきゃいけない!」
ギリギリとはいえ、追撃を避けた一誠に匙が殴りかかる。
その気迫と目に宿る意思に、一誠はライザー戦での自分を思い出しつつ応戦する。
そこからはやや一方的な戦いが続いた。
主に匙が攻撃し、一誠が避ける。
その近くで小猫と留流子の戦いも激化していた。
体格はそう変わらない二人ではあるが、「戦車」と「兵士」という差が少しづつ留流子を追い詰めていく。しかし、小猫は勝負を決めきれずにいた。
「「兵士」だと甘く見ましたか? 私だって、あの地獄をくぐり抜けて来たんですよ!」
そう言って果敢に攻める留流子の四肢は僅かに仙術のものである白色のオーラを纏っていた。小猫の纏うそれとは密度も大きさも劣るものだったが、それでも小猫の攻撃の軽減には一役買っていたのだ。
仙術のオーラを纏った攻撃は受ければ内部を破壊され、気脈を乱してオーラの根本を折られる。
その防御は魔力などでは十分には出来ず、同質以上の仙術による防御でしか為し得ない。
留流子は天魔が施した訓練によって不十分ながら仙術を扱えるようになっていた。無手で小猫に相対するなら必須である仙術に対する防御手段を身に着けさせたのも、小猫なら克服できるという信頼によるものだった。
その信頼を喜べばいいのか、それが小猫の苦戦を呼んでいることに腹を立てるべきなのか悩みつつも小猫は留流子へと拳を振るう。
その一撃で腕が跳ね上げられ、がら空きになった胴にこれまでよりも濃く集めたオーラでの一撃を打ち込んだ。
その一撃で防御が突破され、留流子は四肢のオーラを霧散させて膝をつく。
「匙先輩、すみません」
留流子が絞り出すように謝罪を口にして、光に包まれていく。
『ソーナ・シトリー様の「兵士」一名、リタイヤ』
リタイヤが完了したことで小猫は残心を解くと、小さく息を吐いて気持ちを切り替え、一誠と匙の間に入った。
「イッセー先輩、加勢します」
「ダメだ、小猫ちゃん。匙とサシでやらせてくれ」
「ダメです。これはチーム戦です。協力しましょう」
「ああ、小猫ちゃんの言うことはもっともだ。けどな、小猫ちゃん。匙は、あいつは俺と戦っている間、小猫ちゃんに直接的な攻撃は加えてこなかった。その気になれば、ラインを飛ばして力を吸う事も出来た筈だ。それでもそうして来なかったのは何故だと思う?」
一誠の問に小猫が答えに詰まる。回答ができない小猫に声を欠けたのは、他でもない匙だった。
「……悪いな、塔城小猫ちゃん。俺はタイマンで兵藤に、赤龍帝に勝ちたいんだ。言ったろ? 俺達の夢は本気だ。学校を建てる。差別の無い学校を冥界に作る。そして俺は先生になるんだ……それが、俺の夢……この戦いは冥界全土に放送だ。だからこそ意義がある。「兵士」の俺が! 同じ「兵士」である赤龍帝・兵藤一誠に勝つことがよッッ! 俺は赤龍帝に勝つ! 勝って堂々と言ってやる! 俺は先生になるんだッ!」
「てなわけだ。こいつの挑戦から逃げたらさ、俺、格好悪いじゃん? やらないと。だから、やらないといけないんだ。ダチだからさ、こいつを本気で倒してやらないとしょうがないんだよ。やってやらねぇとよっ! 俺が部長に顔向けできねぇんだよッ!」
熱く語る二人に小猫は構えを解くと壁際へと歩いていく。
「「ありがとう」」
二人の戦いを静観する構えを取る小猫に揃って礼を言うと一誠と匙が構え直す。
「イッセー先輩。一旦は静観はしますが、危なくなったら入ります。譲渡の力は必要になるかもしれませんから。もしそうなったらイッセー先輩の負けだと納得してください」
「了解だ。流石にそこに文句をつけることはできねぇな」
小猫の言葉に苦笑すると、改めて構える。匙も小猫の言葉に何も言わないことから、個人的な勝負とゲームの勝敗はある程度分けて考えているようだ。
「俺はお前が羨ましかったんだ。主である先輩の自慢。赤龍帝。誰もがお前を知ってる。けど、同じ時期に「兵士」になった俺には何もねぇ。何もねぇんだよッ! だから自慢を、自信を手に入れるんだよッ! 赤龍帝のお前をぶっ倒してよッ!」
匙は咆哮とともに準備していた雷撃を放つ。それと同時に一誠へと繋いでいたラインを自分の後方の床に貼り付け、一誠の回避を制限する。
突然動きが制限されたことで回避ができなくなった一誠は、覚悟を決めて右腕を前に出した。
「発動しろぉ!」
『Divide!』
一誠の右腕に現れた白い籠手が輝き、雷撃を減衰する。それでもその余波が一誠の身体を焼くが、一誠は耐えきった。
「白龍皇の力! やっぱり発動できるようになってたのか!」
「まあな。とはいえ、ちゃんと発動して半減できるのは一割以下。あとは籠手だけ出てすぐ消えたり、今みたいないくらかの減衰が精々。天魔のお陰で実用性は上がってこれだもんな。天魔の方はだいぶ扱えるようになってるのによ」
そう言っている間に白い籠手が姿を消す。
一誠はチラリと籠手を確認し、話の間にカウントダウンは終わっていることを確認すると、叫ぶ。
「俺だって負けるわけにはいかねぇんだ! 匙! いくぜぇぇぇ! 輝きやがれ! ブーステッド・ギアぁぁぁ!」
『Welsh Dragon Balance Bleaker‼‼』
一誠の身体が赤いオーラに包まれ、それが鎧と化す。
ゲーム開始から十分。
「兵士」同士の意地の張り合いは激化していく。
感想・評価・お気に入りありがとうございます。
かなりの数誤字報告をいれてくださった方が居られまして、この場を借りて御礼申し上げます。
Life.43登場の「金髪の男」について
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