学園での生活は
先ず学生。此れに就いては本業である為、
続いて競技者。トゥインクル・シリーズを走る競走ウマ娘となる以上、毎日のトレーニングは、此れ又忽諸に付する事は出来ない。限られた時間の中で自分を高みへと
最後にアイドル及び歌手。此の二つに就いては
偖、今日も今日とて午前中の授業を終え殢ゐ*19した体を引き摺り
「えっと、混ざっても宜しいので?」
「うん、一緒に食べよ?」
「アジさん、御譏嫌よう」
「どうも、マックイーンさん。あれ、パフェグラスが無いですね」
「いや毎回食べている訳では有りませんからね」
「5個位持って来ましょうか?」
「結構です!」
「何? マックイーンもう後輩にイジられてんの?」
「元を辿れば貴方の所為ですわよテイオー! 私がスイーツバイキングに行った事をえらして、入学式の日にパーマー経由でバラされて、私の株がガタ落ちですわ!」
「マックイーンがスイーツバイキング行って太るのなんてもうテンプレに成ってんじゃん。これで何回目?」
「うっ、そ、それは……」
「トレーナーも完全に呆れ顔だったじゃん、マックイーン、此れで何回目だって」
「……そんな頻繁に太ってるんですか?」
「うん、毎年1回は必ずあるかな……。マックイーンさん、スイーツが絡むと途端に……ね……」
「ライスさん!? 此処はフォローして呉れる場面ではありませんの!?」
「ライス、毎回心配してるんだよ? マックイーンさんが調整失敗して、太め残りの儘出走して来るんじゃないかって」
「うごふっ……」
「マックイーン、ライスに此処迄言わせるなんて相当だよ?」
「厥だけ食べても、胸の方は……ドーベルもブライトも
「胸の話は今は関係無いでしょう!?」
「厥は、胸と言うには余りにも平た過ぎた。小さく、低く、薄く、そして大雑把過ぎた……」
「何ですの厥の腹立つナレーションは!? 大雑把な胸って何ですの!? と言うか、胸ならアジさんも人の事言えないでしょうに!」
「然うですよ。御前の体で何人前のカレー作れんだって位の寸胴ですよ。デカいのは尻だけです」
「
「デリカシーは持ち合わせていませんがデカシリーは持っています」
「会長みたいな事言わないで下さいまし」
「まぁまぁ、迂拙は越後平野、其方は関東平野、同じ平野同士、傷の舐め合いと洒落込みましょうや」
「誰の胸が関東平野ですって!?」
「ら、ライスは遠慮しとくね……」
「キミ凄いね……。もうマックイーンをイジれるなんて」
「
「阿婆擦れを自称するだけあって容赦が無いんですのよ……。初対面の時のしおらしさは何処へ行ったのですか」
「ブライトが初っ端
「ブライトぉ……何故
「厥に、いざと言う時はライスシャワー大明神様が守って下さいますから」
「だから厥は恥ずかしいから止めてぇ……ライスは神様じゃないよぉ……」
「マックイーンとライスがこんなになるなんて、大物だねぇ」
「でも権力には勝てません。本気で気分を害したなら
「距離を詰めてくる基準が良く解りませんわ……」
厥に就いては迂拙も良く解っていない。我乍ら実に解せない性格をしている。
「と言うか、普通に会話していますけど、アジさんとテイオーって会った事有りますの?」
「いえ、初対面です」
「アジちゃんって、話を変な方向に持って行き易いから、一度タイミングを逃すと自己紹介出来ない儘話が進んじゃうんだよね……」
「アジさん、言われてますわよ」
「簡単に矯正出来りゃ誰も苦労はしないんですよ」
「開き直らないで下さいまし」
「マックイーンさん、
「もう言って良い? 紹介出来ない儘会話続けるの何か気持ち悪いんだけど」
「アッ、ハイ」
「ボクはトウカイテイオー。無敗で二冠取ったんだけど、知ってるよね?」
「ええ勿論。で、迂拙はキョクアジサシ事バ鹿Aです」
「言うに事欠いてバ鹿Aはないでしょう」
「片や押しも押されもせぬ名バ、片や入学式でやらかしたバ鹿。何も間違ってはいませんよ」
「凄かったよね、
「依頼して来たのは理事長ですし、GOサインを出したのも理事長です。迂拙は謝りませんよ」
「最後、理事長の思い付きだって盛大に暴露してたもんね」
「面倒事寄越して来た事に対する意趣返しです」
「あんな大勢の前でするって、凄い度胸だよね」
「読んでる最中に思い付いたんで。思い付きには思い付きで返してやろうと」
「だからって普通実行に移します?」
「実行に移しちゃうのがアジちゃんだから……。マックイーンさんと会った時も、お財布差し出して土下座しようとしたし」
「アジさんにプライドと言う物はありませんの?」
「そんなもん母親の
「せめて最低限は持っていて慾しいものですわ……」
「中途半端に持っていた所で邪魔にしかならんのですよ。迂拙みたいに才能が無くて、ちまちま積み重ねる事しか出来ない奴は、プライドなんざ
「まあ、厥の考えは解るっちゃ解るけど、もう鳥渡如何にかなんないの?」
「小物が小物なりに考えた生き残る術です」
ネットで騒いだり正義(笑)を振り翳している連中も、結局は此の如何でも良い様なプライドなり承認慾求に衝き動かされているのだと迂拙は考える。御大層な御題目を掲げていたり、評論家を気取ったりしている連中も、畢竟自分が気に入ったか気に入らなかったかの下らない二択をプライドで隠蔽し、真面の皮を被っているのだ。実に阿呆臭い。斯様な連中を見る度に、もう少し真面な時間の使い方は出来んのかと思う。
「偖、アジ、君には訊きたい事が有るんだ。ボクにとって非常に重要な事が、ね」
「何ですか急に。わしい*23言い方して」
「カイチョーとアジって、如何言う関係なの」
「只の生産者と顧客ですよ」
「噓だ。絶対他に何かあるでしょ。然うでなきゃ
「会話上の成り行きで然う成っただけですよ。と言うか、綽名で呼び合っているって何故知ってるんです?」
「ライスから聞いた」
「ご、御免ねアジちゃん。つい言っちゃって」
「いや、厥は別に構わないんですが、綽名呼びってそんなに重要な事なんですか?」
「テイオーさん、会長さんの事凄く慕ってて、でも綽名で呼ばれた事なんて無いから、アジちゃんの事が羨ましいんだよ」
「テイオー、貴方粘着質で面倒臭い女みたいになってますわよ」
「ダッテダッテ、ボクですら綽名で呼んで呉れないのに、何で交流の浅いアジが綽名で呼ばれてるのさ~! 可笑しいでしょ!」
「まあ、ルドっさんの事は散散弄り倒しましたからねぇ」
「ホラソレ! ルドっさんて何!? ズルイズルイズルイ!」
「会話の流れに任せて適当に呼んだら、本人も特段訂正も嫌がりもしなかったんで、厥の儘流れで。まあ、彼の時はメジロ家の援護射撃も有りましたけど」
「メジロ家!? 何、マックイーンも関係してるの!?」
「いや、私は何も知りませんが……」
「此れに就いては美浦寮内で箝口令が敷かれているので、迂拙の口からは何も言えません。気になるのならどうぞ御本人の口から聞いて下さい」
「ライスさんは知っていますの?」
「う、うん、厥の場に居たから……」
「ライス、ボクとライスって友達だよね、ね?」
「ら、ライスの口からも言えないかな……」
「守秘義務に違反したらシンボリ家と言うかルドっさん本人が消しに掛かって来そうですよね」
「ホントに何があったらそんな事に成るの~!? 気になる~!」
「まあ、言ってしまえばルドっさんに「此奴は名前で呼ぶ程の奴じゃない」って認識される位、負の実績を積み重ねれば綽名で呼んで貰えますよ」
「ワケワカンナイヨ~!」
有繫に滅多な事でも無い限り自らの恥部を晒すような真似はしないだろうから、本人の口を割らせるのは至難の業であろう。何処からか洩れた噂が浸潤し、耳に這入るのを
「テイオー、貴方程の親密さなら、自分から綽名で呼び合う事を提案すれば宜しいのではなくて?」
「うん、厥が一番手っ取り早いと思うな」
「うっ、厥は……然うなんだけど……カイチョーから呼んで慾しいって言うか……」
「面倒臭いですわね。何で何時も肝腎な所でヘタれるんですの。厥だけ羨ましいのなら自分から動きなさいな」
「然うですよ、自分から動いてカロリー消費しないと、太め残りの儘出走する事に成りますよ」
「何故厥の話を蒸し返すのです!?」
迂拙は陰乍ら応援するに留めるので、如何か頑張って慾しい。
「所でアジちゃん、もうジャージに着替えてるけど、午後は外なの?」
「えーっと何つってたっけ……ああ、ゲート訓練です」
「新入生最初の関門ですわね」
「果たして、アジは一発クリア出来るかな~?」
「押し入れの中で
「え゛、押し入れの中で寝たの?」
「某猫型ロボットに触発されて、押し入れの中の寝心地はどんなもんかと気になって試したんです。そしたら此れが存外居心地が良くてですね、厥の儘夕飯迄ぐっすりですよ」
「押し入れの中ってすっごい狭いよね?」
「狭いですよ。迂拙が這入って丁度良いか鳥渡広めって感じです」
「そんな所で寝るなんて信じられませんわ」
「ライスも無理。ゲートは苦手じゃないけど、押し入れの中は……」
ウマ娘と言う種族は基本的に閉所を嫌う。そして発走のタイミングを揃える為のゲートは却却に狭い。故に、ゲートを嫌うウマ娘はどの年代でも必ず一定数は存在する。中には親の仇の如く
「で、
「……そりゃ普通、ウマ娘がそんな狭い所で寝るなんて考えないもん」
「然うみたいですね。で、今迄何処に居たんだって言われたんで、押し入れん中で
「アジって、本当にウマ娘なの?」
「正真正銘、ウマ娘ですよ。普通の」
「普通のウマ娘はそんな狭い所で寝らんないっての」
「え~、あんなに居心地良いのに。襖の御蔭で光は這入ってこないし、外の音も軽減されるから最高ですよ?」
「……考えるだけで寒気がしてきましたわ……」
「今度ルドっさん誘ってみるか」
「もう会長さんを苛めないであげて……」
そんなこんなで、
「ウーン、矢っ張りアジの抱き心地はパーフェクトデース!」
「タイキさま~、少ししたらわたくしにも~」
「アジは抱き枕か何かなの?」
「ドーベルも如何ですか~? 癒やされますよ~」
「ア、アタシは別に……」
「ならドーベルも一緒デース!」
「ちょ、タイキ? わぷっ……」
何故かハイテンションなシャトルにドーベルも巻き込まれた。むぎゅむぎゅと遠慮無しに抱き寄せられるもんだから窒息しそうである。有繫K2、非情の山と呼ばれるだけはある。ぺしぺしと胸の横を叩いてギブアップを宣言し、漸く解放された。
「もう、タイキ、いっつもアジが窒息しそうになってるんだから、手加減してよ」
「Oh,sorry. ジャストフィットするからつい……」
「ドーベル、逆に考えるんだ、この山脈に合法的に顔を埋められるんだから役得だと考えるんだ」
「オッサン臭い事言わないでよ。アジは平気なの?」
「何時も堪能させて貰っております」
「タイキさまのは一際大きいですからね~」
「自慢のマイボディデース!」
「……まあ、本人が嫌がってないなら良いの……か?」
「ドーベル、気にしたら
「所でシャトル、何時にも増してテンション高いけど、そんなにゲート訓練楽しみなの?」
「寧ろ逆じゃない? ゲートが恐いから、無理にテンション上げて取り繕ってるとか」
「ドーベェル……厥は言わないオヤクソクデス……」
「図星であったか」
実際、
「ウー、ロンリーも狭いのも嫌デース……」
「此れ許りは慣れるしかないねぇ。ゲートに這入れなかったら抑抑レースに出られないし、1枠1番なんて引こうものならゲートの中で随分待たされるだろうし」
「然う言うアジは平気なの?」
「迂拙は押し入れの中で黒甜出来るから、どんだけ狭かろうがばっちこい」
「押し入れの中でなんて噓でしょ」
「信じるか信じないかは、貴方次第。と、言う訳でシャトルさんや、気の済む迄どうぞもモフって下せぇな」
「サンキューデース……」
今度はあすなろ抱きでモフられる。頭に乗る二つの西瓜の重さは、迂拙の地元から程近い
「どもどもタイキさん、先程振りです。御呼びでしょうか?」
「フクキタルも一緒に居まショウ! 4人より5人の方が楽しいデース」
「そんなにゲートが不安か。別に一発合格する必要は無いんだから、もう鳥渡肩の力抜けば?」
「ウー、不安なのは不安なのデス」
「ややっ、其方にいらっしゃるのはキョクアジサシさんでは!?」
「確かに迂拙はキョクアジサシですが、えっと、何方様で?」
「おっと失礼、私はマチカネフクキタルと言います。タイキさんのクラスメイトです」
「験担ぎの権化みたいな名前だな……」
「早速ですがキョクアジサシさん、拝ませて頂いても宜しいでしょうか?」
「何故」
「首席で入学したキョクアジサシさんを拝めば絶対に御利益が有る筈です。今日のゲート訓練も上手く行く事でしょう!」
「迂拙を拝んだ所で悪態位しか出ませんが」
「アジの事だから、寧ろ祟られそう」
「疫病神、貧乏神、
「本当に祟ろうとしないでよ」
「此の御地蔵様を彷彿とさせる小さな体……有難や~」
「此方は此方で勝手に始めてるし。てか、今の科白的に、諠譁売られたか?」
「本人に悪気は無さそうだから勘弁してやって」
「良し! 此れで今日のゲート訓練はバッチリです!」
「実に根拠に乏しい自信だ事」
「本人が良ければ厥で良いんじゃない?」
厥の後、ドーベルとブライトとも紹介し合い、
ゲート訓練は主に3つの段階に分けられる。即ちゲート入り、ゲート内待機、発走である。此の3つ全てに於いて合格の水準に達しなければ修了とはならない。今回は2基のゲートを使い、
そして、遂に迂拙の番が回って来た。一緒に呼ばれた4人は、一様に不安を表情に滲ませている。初めて相対したゲート。金属製であり高さもあるので却却の威圧感を放っている。成程怯えるのも一理ある、抔と思うも迂拙は一瞬で慣れてしまった。教官に促され、一切躊躇する事無くゲートへと収まる。すると、後ろの鉄扉が教官の手に依って
そして、愚図つく4人がゲートへ収まる迄5分程待たされた。豪く待たされた感じではあるが、此処からが第二段階、ゲート内待機である。訓練初回なので今回は1分だけであるが、他の4人は実に居心地が悪そうにしている。此れ位はさっさと慣れて慾しいものである。8枠18番迄あるレースで1枠1番なんて引こうものなら待機時間は1、2分所では済まない。此の間に集中力を切らそうものなら盛大に出遅れる。間も無く1分に
ドーベルとブライトの所へ行くと、流れる様にブライトに抱えられた。表情は変わらずのほほんとしているが、偖はシャトルと同じ口か?
「凄いわね……。スッとゲートに這入るし、あれだけ待たされても全然動じないし、スタートのタイミングも完璧……」
「いや、ゲートの開放音にビビッて踏み込みが甘くなったから駄目だね」
「そんな事言われたら他の子達の立つ瀬が無いじゃない。ほら、今度の5人なんて全員出遅れてるわよ」
「此れに関しては骨も何も無いから慣れるしかない。最初から巧く行くなんて思わないで、回数
「然う簡単に割り切れたらこんなに苦労してないわよ。はぁ……アジの余裕が羨ましいわ」
「アジさま~、何でも良いからアドバイスは無いですか~?」
「適当に何か御褒美でも設定すれば? 一発で行けたらカフェテリアでパフェ食べるとか」
「じゃあ、アジさまに頭を撫でて貰いたいですわ~」
「え、迂拙が?」
「御願いしますわ~」
「まあ、別に構わんけど」
結局、ブライトの名前が呼ばれる迄撫で回された。途中からドーベルも加わった辺り、彼女も又強がっていたらしい。斯う言う時プライドというものは邪魔立てしかしてこないのだから厄介である。矢張りプライドは捨て置くに限る。2人の名前が呼ばれゲートに向かう前に、「気楽にやって来い」と背中をポンと軽く叩いて送り出した。此の御蔭か、
訓練終了時、今回合格した者の人数だけ発表されたが、2クラス併せても両の手で足りる程度であった。そして厥の儘解散、放課と相成った。同時に涙目のシャトルが突進してきた。頼むから加減して呉れ。迂拙じゃ身長差が有り過ぎて全く踏ん張りが利かず受け止められん。様子を鑑みるに、シャトルは一発合格とは行かなかったようである。
「アジ~、ダメデシタ~」
「ドンマイドンマイ、次頑張れ」
「私も駄目でした~。何で御三方は一発合格なんて出来るんですか~」
「まあ、アジの御蔭かな。肩の力抜いて呉れたから、何とか行けた」
「アジさまの御蔭です~」
「キョクアジサシさん!」
「骨なんざ無い。回数累ねて慣れてくれ」
「回答が早いですよ! キョクアジサシさんは何で出来るんですか~! 鳥渡教えて下さいよ~!」
「押し入れの中で
「おうふ、絶対に真似出来ないワードが……」
「掃除用具入れの中に30分位居れば慣れるんじゃない?」
「拷問は止めて下さい!」
表情がころころ変わってゑい奴である。
「別にそんな焦らんでも良いでしょ。教官連中だって一発合格出来るなんて
「ウ~、でも矢っ張り悔しいデス」
「下らんプライドなんざ犬にでも喰わせりゃ良い。厥のプライドの所為で成長が
「ホイッポ?」
「1歩ずつ、少しずつって事。余程の天才でもない限り一気に段階を飛ばす事なんて出来やしないんだから」
「じゃあ一発合格したアジは天才って事?」
「迂拙は階段じゃなくて縄梯子登ってるだけだから。手段が違うだけ」
或る奴にとっては
「迂拙を真似て極端に狭い所に這入って慣れようとするのも本人の勝手だけど、厥が原因で却って苦手意識が増幅したら本末転倒だし、素直にゲート訓練を累ねて慣れるのが一番無難でしょ。
「な、成程」
「今G1レース捷ってちやほやされている先輩だって、全員が全員一発でゲート訓練合格出来た訳でもあるまいし、一旦
「何だ
「仲良く御手手繫いでゴールなんざ出来ないけど、だからと言って初っ端から蹴躓いている奴を見捨てる程薄情ではない心算」
「じゃあ
「鬱陶しさが勝ったから。あんな十重二十重に取り囲んで好き勝手ぎゃぁぎゃぁ言って来たら頭に来るでしょ」
「道理ね」
「と、言う訳でシャトル、今日得た感覚を活かして次頑張れ。大丈夫、日本語の勉強と
「解ったデース! 次こそ合格してミセマース!」
「入れ込み過ぎるなって。気楽に気楽に」
「キョクアジサシさん! 私にも何か一言御願いします!」
「マチカネフクキタル氏に関しては
「何故急にそんな他人行儀に!?」
「
「むむむ、確かに……じゃあ一緒に走りましょう! 皆さんも一緒に!」
「迂拙は良いですよ。丁度タイム計りたかったし」
「ア、アタシ達も?」
「イエース! 皆で走りまショー!」
「わたくしも御一緒させて頂きますわ~。走ってスッキリしましょ~」
矢張りウマ娘、走りの事となると目の色が変わる。ゲート訓練で溜まった
「キョクアジサシさんはどの距離が得意なんですか?」
「分からない。だから一通り走って計っておきたいんだけど」
「え? 自分の適性が分かんないの?」
「真面な芝コース走ったのが此処の入学試験である位、真面にレース走った事無い」
「イカれた距離ランニングする位走るのが好きなのに、レースはしなかったの?」
「普通に、ランニングと自己研究で満足出来たって言うか、地元のレースクラブには三行半叩き付けたし」
「何が有ったのよ」
「色色とね、色色と。取り敢えず芝とダートで1200、1600、2000、2400を走っておきたい」
「8本も走るんですか? 有繫のキョクアジサシさんと
「コイツ、ランニングと称して午前中で240km走るバケモンよ」
「240km!? 24kmではなく!?」
「ええ、240kmよ。頑丈にも程があるわよね」
「でもランニングと全力疾走とでは
「そんな事言って、後で「芝の3000も走るか」みたいな事言い出しそうで恐いんだけど」
「合計何km走る気でいるんですか……」
「有繫に休憩は挟むよ」
走る順に関しては、迂拙、ドーベル、迂拙、ブライト……の様に
「ドーベルさん……私の目が可笑しくなってしまったのでしょうか、それとも此のストップウォッチは壊れているのでしょうか」
「……フクキタル、此れが現実よ。眼を背けたくなるのは解るけど」
「Wow! So fast!」
「アジさまは矢っ張り凄いウマ娘ですね~。わたくしも頑張らないと~」
「只走っただけで、此の反応の差は何だ」
「メイクデビューで余裕で打っ千切れるタイム出しといて厥の科白は無いでしょ」
「今から、キョクアジサシさんに対する作戦を考えておかないと……」
「いや只のタイムアタックでしょ。実際にバ群に埋もれたりしたら如何なるかは分からんよ」
「絶対弱点とか放置しないタイプでしょアジは。てか、距離もバ場も違うのに、何で全部で良いタイムが出せるのよ」
「走れるレースは多い方が良いなぁって思ったから、
「どの距離にも出て来る可能性が有るとか勘弁してよ。
「偖、次は3000走るか」
「案の定言って来たわ」
「インターバルも短いのに……頑丈さに加えて、恢復力もバケモノ染みてますね」
「もうバケモン呼ばわりですか。マチカネフクキタル氏に対し、遺憾の意を表明します」
「あああ! 違うんです違うんです貶める心算は……」
「実際バケモンでしょ。今日だけで何km走ってるのよ」
「知らん」
「普通これだけ走ったらスタミナ切れるでしょ。何でピンピンしてるのよ」
「毎日峠を走った結果です」
「顔色一つ変えずに言い切る辺り、矢っ張りバケモンよアンタ」
「メジロドーベル氏に対し、不満のフを表明します」
「遺憾のイって然う言う事じゃ無いでしょ」
「ド、ドーベルさんは何でそんなズバズバ言えるんですか?」
「フクキタル、アジは基本的に変な事を言っても気にしないから。厥所か「事実ですし」とか言って平然と受け容れる位だし、気にしたら輸けよ」
「謂れの無い批難は当然受け付けませんよ」
「そりゃ普通でしょ」
「そ、然うですか」
「して、マチカネフクキタル氏の得意距離は如何程で?」
「な、長い方が走り易いかなぁと。厥と……あの……氏って言うのは止めて呉れませんか? フクキタルで良いですから」
「フクキタル……さん?」
「呼び捨てで良いですよ。同期なんですから」
「アタシやブライトとは違って、フクキタルには豪く慎重じゃない」
「友達少ないんだよ。察して」
フクキタルは2000mを走っていたが、何処か本調子ではなさそうな印象を受けた。ブライトも同様……と言うよりもスタートダッシュが苦手な感じか。マイペースにスタートして、レース中にスイッチが入り、最後に一気に抜き去る。観戦している側からしてみれば豪快な捷ち方で興奮するだろうが、安定して捷てる走りとは言い難い。バ群に埋もれたり
一方、シャトルとドーベルは二人に較べて適正距離は短い。適正距離が長いウマ娘は、体が出来上がっていない内は得意距離を走らせて貰える機会が少ないのに対し、適正距離が中距離以下だと走れる機会は多くなる。二人共既に自分の走りを完成させているような感じがした。トレーナーが付いてより最適化されれば、迂拙の前に立ち開かる
「アジさんは何でこんなに色色な距離を走れるんですか? 此処迄適性が広いウマ娘って先ず居ませんよ」
「迂拙の場合は、自分の走りが定まる前に色色手を出したから、結果として適性が広くなったって感じかな」
「厥の結果が、此のバケモノ染みた強さって事……」
「早く一緒にレースしたいデース!」
「暢気ね……」
是非とも厥の気楽さを、ゲート訓練で活かして貰いたいものである。