音読み・訓読み……28/30
書き取り……34/40
語選択・書き取り……8/10
四字熟語書き取り……18/20
四字熟語意味……10/10
熟字訓・当て字……9/10
熟語の読み・一字訓読み……9/10
対義語・類義語……12/20
故事成語・諺……14/20
文章題・書き取り……16/20
文章題・読み……9/10
167/200
結果:合格(通算18回目)
前回と比して難化した回であった。が、厥を加味しても前回から-19点は下がり過ぎである。対義語の「僭上」と類義語の「恣肆」は書けなければならない問題だった。特に「恣肆」は問題側の「放縦」と組み合わせて考えれば答えられる問題であった(「放」「縦」「恣」「肆」の4字は、総て「ほしいまま」と言う訓読みを持つ)。
そして、故事成語の[シンリョウを積むが如し(標準解答:薪燎)]は過去問であるが、過去と全く同じ誤答をしてしまった(薪糧)。
合格ではあるが、全く喜べない。
上澤上トレーナーと別れ観客席へと戻って来た。漸くスタートラインに立ててほっと一息吐く。僻陬の地から出て来た田舎娘が中央のトレーナーと1対1で契約出来たのだ。此の時点で既に可成り順調に事が運んでいる。然し目に見えぬ
戻ると、百人百様の表情が出迎えて呉れた。シャトルとブライトとは普段通りだが、ドーベルとフクとは
「
「へえ、然様で」
「ああ。フォームは未だ荒い部分が有るが、
「余り無垢な期待を寄せられると遣り難いですねぇ……。数ヶ月経ってから「え? 彼奴未だ走ってたの?」位の注目度で御願いします」
「自分で勧誘しておいて厥の扱いは薄情が過ぎるだろう。問題行動含めて、毎日目を光らせておくからな」
「じゃあ迂拙がレースに
「自分で言うのもあれだが、私に対して厥の態度を貫ける整備士が精神的に持ち崩す所を全く想像出来ない」
「何を仰いますか、こんな
「一度「孅い」の意味を辞書で引く事を御勧めする」
「所で、此の後は如何するんだ? もう走るレースは無いだろう」
「もう新規の申し込みは締め切られてますからねぇ。でも迂拙としては未だ走り足りないので、一っ走り行って来ます」
「未だ走るのか……」
「ウマ娘は走ってなんぼの生き物でしょう。御放神を。ちゃんと門限迄には帰って来ますので」
「……もう何も言うまい」
暗に門限迄帰って来ない蓋然性を明言しておいた上で走りに出る。今日走るのは国道20号。只管西進し甲府市を目指す。幹線道路だけあって一度青信号に成ると可成り先迄青信号が続く。最近は学園周辺の土地勘を養う為に近所許りを走っていたので気分爽快である。然し、迂拙の最終レースは選抜レース全体で見ても終盤であった為、甲府市迄は行かず手前で引き返した。夕食や風呂の時間も考えると、或る程度余裕を持って帰着せねばならない。帰着した時、夜の
「お、御帰りっ。
「ええまあ、走り足りなかったので。取り敢えず甲府を目指して走ってたんですけど、陽の
「山梨の方に行ってたんだ」
「折角なら行った事の無い所に行ってみようと思いまして」
「初めての所に行くって、
「国道20号をなぞるだけなんで、道に迷う心配は無いですよ」
「そ、然うなんだ。そ、厥でね、選抜レース、如何だった?」
「レースは捷てましたし、トレーナーと契約も出来ましたし、取り敢えず一旦落ち着けるかなと」
「契約出来たんだ、御目出度う。どんな人だった?」
「迂拙の走りを批評して呉れとトレーナー連中に問うたら、彼一人だけ進み出て来て呉れまして、色色議論して厥の儘契約という感じでしたね。
「新人さん? 厥ともベテラン?」
「とあるチームのサブトレーナーの経験が有るとは言っていたんで、新人を卒業して漸く独り立ちした位の年功だと思います」
「と言う事は、チームじゃなくて1対1?」
「然うです。実績は未だ其処迄無いと言っていたので、此れから如何なるかは
「大丈夫、アジちゃんなら上手く行くよ」
「大明神様に然う言って頂けると心強いです」
「だからライスは神様じゃないよぉ……」
此のライスさんの
「もう……恥ずかしいから止めてよぉ。ライスは神様じゃないから」
「ではライス如来様と……」
「神道だから気に食わないって訳じゃないからね? 仏教に鞍替えしても駄目だからね?」
「ううむ……然うなると、どの様にライスさんを崇め
「しなくて良いからね。御願いだから普通にして……」
ならばクローゼットの中に小さな神棚を設えて、ライス如来坐像でも拵えるか。天草の隠れ切支丹に
実に有り難い御姿を窺う事が出来、実に良い気分の儘
目が覚めたのは4時45分。夜の明け始めた
ならば一度無心に成ろうと、地を蹴り登り出す。峠道でも然うだが、緩やかな勾配が延延と
少少出遅れた感が有り、迂拙が食堂に着いた時には既に席の大半が埋まっていた。仕様が無いので独り隅で
「如何も皆さん御揃いで。誂えた様に一席空けて
「そりゃあ昨日の選抜レースを荒らし回った台風の眼だからな。皆話を聞きたがっていたんだが、肝腎の整備士がレース終了後にランニングに行って、夕食の時間に成っても帰って来ないもんだから、訊きたい事も訊けず
「へえ、然様で」
「選抜レースで合計6400mも走ったって聞いて呆れてたのに、走り足りなくてランニングに行ったって聞いた時はもう何も感想が出て来なかったわ」
「夕食の時間に成っても戻って来られなかったですけど、何方迄走られたのですか?」
「甲府迄行こうと思ったんですけど、門限に間に合わないと判断して、途中の
「然も当然の如く県境を跨いでいるけど、山梨の方に行ったって事は、峠越えしてるわよね?」
「渋峠と較べれば何て事有りませんよ」
「……標高2000m級の峠を
「今朝はアジちゃんにしては結構遅目に出て来たけど、昨日の頓れが出て一杯寝ちゃった?」
「いえ、坂路でシャトルランをしていて、不図気付けばこんな時間になってました」
「坂路ってシャトルラン出来る様なコースじゃあないと思うのだけれど」
「脚が丈夫なのは良い事ですわ。
「アルダン、問題は其処ではないのよ。どんな鬼トレーナー迚、坂路でシャトルランしろなんて言わないわよ。自主トレの段階でそんな常識の埒外の強度のトレーニングをしていたら、トレーナーが頭抱えるわよ」
「中央のトレーナーに成っている時点で、多かれ少なかれ頭の
「一番頭の捩子が吹っ飛んでいる整備士にだけは言われたくないだろうな」
ラモーヌさんに呆れられ、ルドっさんには辛辣な評価を加えられる始末。慾の赴く儘に走っているだけで何故斯うも迂拙の評価はガタガタになるのだろうか。……まあ、散散一般的なウマ娘との乖離を指摘されている現状を鑑みると、迂拙の株を、平生の言動
話は変わるが、会話を重ねる度にアルダンさんの
結局、洗い浚い
トレーナーに指定された空き教室へ向かうと、既に相手は待って居た。チームに所属したり、個人でも
「おっ、ちゃんと時間通りに着いたな。偉いぞ」
「此れから
「トレーナーはウマ娘に振り回されるのが宿命みたいな部分が有るからな。俺もサブトレーナー時代は色色と
「厥を承知の上で此の職に就いたのでは?」
「厥は然うなんだが、実際に遣ってみると想像以上でな……。まあ、もう慣れたもんだ」
ウマ娘の扱い難さは既知の通りである。そんな性質を表す語として
「偖、俺とアジは此れから一緒にトゥインクル・シリーズを走って行く訳だが、御互いの考えを知らなければ何も出来ない。なので、此れから色色と質問をしていく」
「何なりとどうぞ」
「早速だが、昨日俺と別れてから、そして今朝、合計でどれ位走ったんだ?」
「昨日は……国道20号を山梨の塩山迄往復しました。今朝は……坂路でシャトルランを都合2時間程」
然う言うと、トレーナーは手を
「覚悟はしていたが、矢張りとんでもない走行距離だな……。選抜レースで合計6400m走った後に厥だけ走れるのは素直に凄いが、普通のウマ娘がそんな分量を毎日走ったら容易く脚が
「でも、現に微塵も故障する気配は無くピンピンしてますよ」
「身体の内部に蓄積する疲労は自覚し難い。そしてコンディションに諸に影響するんだ。然う、影響する筈なんだが……」
「
「普通は数日掛けないと取れないんだがな……。サブトレーナー時代を経て、ウマ娘に対する眼は或る程度肥えたと思っていたが、アジに対しては一度固定観念を棄てる必要が有るかもな」
「まあ、遣り易い様にして下さい。迂拙は好き勝手走りますんで」
「厥の事に就いてなんだが、定期的に触診させて慾しい。自主練に就いて口煩く言わないのは、然う言う約束だから守る。だが、厥を理由に管理を
「別に構いませんよ。気が済む迄幾らでもどうぞ」
「……後から言うのも何だが、年上の異性に触られるんだぞ? 本当に良いのか?」
「ウマ娘を運用する上で必要な措置なのでしょう? なら
「
「諒解です」
「アジは前例の無いウマ娘と言えるから、少少慎重を期させて貰う。今迄故障した事が無いと言っていたが、此れからも絶対故障しない保証は無いからな」
全く以て厥の通りである。過去の実績は未来の保証たり得ないのだ。酢豆腐*44の迂拙と違って相手は本職。知識量は
「次にだが、レースはどれ位の頻度で走りたい?」
「連闘上等、引退迄毎週でも走りたいですね」
「いや有繫に厥は……」
「下手に制限すると、何
「……余り連闘させ過ぎると、御上が煩いんだよ。厥に、アジも記者連中に尾け回されて根掘り葉掘り訊かれるかもしれないぞ。無理矢理走らされているんじゃないかとか、不本意では無いのかとか」
「迂拙は聞屋とか然う言う連中が嫌いなんで、適当にあしらいますよ。部外者の阿呆連中に一一構ってたら
「……なら、俺の触診の他に、定期的に病院でも検査を受けて貰うぞ。厥でも良いか?」
「良いですよ。別に病院は苦手では無いので」
「……分かった。
「と、言いますと?」
「アジの実力を鑑みると、未捷利戦で燻り続ける様なウマ娘ではない。直ぐに捷ち上がって、グレードの高いレースにも出られるだろう。だが、然う言う彊いウマ娘が出走すると、競走相手がレースを迴避して定員割れを起こす事が有る。然うしてレース自体が中止になれば、どれだけ走りたくとも走る事は出来ない。捷利を重ねて実力が知れ渡れば、出走迴避をされる可能性はどんどん高くなるからな。此れ許りは俺一人の力では如何にもならんから、厥の時は順に諦めて呉れ」
「成程、然う言う事ですか。まあ、原因が不可抗力であれば文句は言いませんよ」
「聞き分けが良くて助かる。次に、レースで走る距離と戦法に就いてだが……
「経験が無い故に比較出来ないって理由も有りますけど、
「……総てのバ場、総ての距離、総ての戦法を身に着けたいと?」
「あ」
「然うなると、練習量がとんでもない事に成るが……」
「即ち沢山走れると言う事ですよね? 良い事じゃあないですか」
「……アジは然う言うタイプのウマ娘か……。1人しか担当していないのに、チームを持っているトレーナー並みの仕事量になりそうだな……」
「なら未だ熟せる範疇の仕事量と言う事ですね。宜しく御願いします」
「他人事みたいに言うな。厥に、余り多くに手を出し過ぎると、器用貧乏に成って仕舞うリスクが有るが、厥でも遣りたいのか?」
「自分でも自分の適性が分からないから、取り敢えず一通り遣りたいというのも有ります。トレーナーの目線で、明らかに適性が無い、失当であると思われたら
「解った」
「厥と、可能であればなんですが……」
「何だ?」
「障害も、走ってみたいなぁと思っていまして……」
「……何を言っているのか解ってるのか?」
「勿論、普通であれば無理無茶無謀、頭の捩子が外れている所の騒ぎでは無いと言うのは重重承知しています」
「解っているのなら何故、厥の考えを俺に伝えた?」
「只でさえウマ娘の現役期間は短い。厥の間に、レースと言う
平地競走の芝とダートとを、距離、戦法を問わず走れる様にする。此の時点で既に
然し、物に必至あり事に固然あり*58。既に和讒を要求している所に、和讒を上乗せした所で肯諾なんぞ得られる筈も無い。現に、トレーナーは眉根の皺を深くし、腕を組んで黙りこくっている。
「まあ、障害競走も遣りたいのは本心ですが、今直ぐに、メイクデビューに向けての練習と同時進行で指導して貰えるとは微塵も思っていませんので。そして、彼是手を出し過ぎると器用貧乏に
「詰まり、如何言う事だ?」
「先ずは平地競走の練習に集中します。そして、或る程度平地競走での実績を積んだ上で、トレーナーが、障害競走の練習を追加しても大丈夫だと判断したら、障害競走にも手を出す、と言う流れで御願い出来たらな、と考えています」
選抜レースの結果を鑑みるに、迂拙の実力は、少なくとも未捷利戦で燻り続ける程度の物では無いと考えられる。今迄は謙抑を是としてきたが、此れからは
「飽く迄、現時点で迂拙が勝手に考えている事ですので、真面目に受け取らず、頭の片隅に留める程度の認識で大丈夫です」
「……じゃあ、暫くは平地競走の練習だけをさせるぞ。芝、ダート、障害の三刀流なんて、前例が全く無いからな。色色と考えたい」
「我儘で申し訳有りません」
「ウマ娘の我儘に振り回されるのは、トレーナーの宿命みたいなものだが、有繫に此のレベルの物は初めてだ。俺が扱い切れるか不安になってきたぞ」
「現時点での迂拙の考えは以上です。
現時点で胸次に在る成竹*68は総て
厥の後も、幾らか質疑応答を
「良し、有難う。此れからトレーニングメニューを考える。明日から厳しく行くぞ。遣る事は山積しているが、妥協する気は一切無いからな」
「御願いします」
「あ……厥と一つ、トレーニングとは別件なんだが……鳥渡頼みたい事が有ってな……」
豪く
「今年の新入生代表で挨拶をしただろ? 厥に就いてのインタビューの依頼が……」
「御
「ぐっ、返事が早過ぎないか……?」
「大方ルドっさん辺りに頼まれたんでしょう?
「……厥の通りだ。シンボリルドルフに呼び出された時は何事かと思ったぞ」
「先述の通り、迂拙は聞屋と言う連中が嫌いなんで、インタビューは全部突っ撥ねて下さい。場に引き摺り出されても何も喋りませんから」
迂拙は聞屋連中の事を
「どうせ新たなカモが来た位にしか思ってないでしょう。「話題に成る!」ではなく「金に成る!」程度の認識の連中なんざ相手にするだけ時間の無駄です」
「又豪く辛辣だな。何か厭な思いでもした経験が有るのか?」
「別に有りゃしませんが、嫌いなもんは嫌いなんですよ。人間の好き嫌い総てに、明確に根拠や理由が有るなんて事は無いんですから」
「だが、ウマ娘は人気商売の側面もあるから、今の内に世間に知られておいた方が良いと思うが……」
「世人にちやほやされたいが為に此処に入学した訳じゃあ無いので、応援するも嫌うも好きにしろと思ってます。SNSの類は一切遣っていませんし、エゴサも全くしないので、ネットでどれだけ誹謗中傷されようが
「宝塚記念みたいに、人気投票で出走の可否が決まるレースもあるが、厥のスタンスだと出走出来なくなる可能性が高くなるぞ」
「なら他のレースを探す迄です。厥の日に開催されるレースは1つだけではないのでしょう?」
「……まあ、インタビューに殆ど受け答えしないウマ娘も居るには居るから、其処迄炎上する事は無い……と思いたい」
嫌いな連中にのこうとせず、自発的に距離を置こうとしているのだから、厥の点に就いては如何斯う言われる筋合いは無い。迂拙の態度に就いて、誕辰*83を聞いて鼻で嗤った何処ぞの阿呆と大差無いと思うかもしれないが、迂拙は別に反論も否定もしない。迂拙は聖人君子でも、
「はぁ……。如何したものか……」
「例年通り普通の代表挨拶をしていたら、そんな依頼なんて来なかった訳でしょう? なら
「アジの代表挨拶はテレビで流れたからな。ネットだとアジは結構話題に成っているぞ。
「そんなん迂拙の知ったこっちゃ無いので。騒ぎたけりゃ勝手に騒いで下さい。迂拙は一切関知しませんので」
「他人事みたいに言わないで呉れ。何処から情報を仕入れたのか知らんが、アジの担当に成ってから取材依頼の電話が煩いんだ」
「なら依頼の一切合切を
「連中の
「なら、今の内に刑事訴訟と民事訴訟の準備でも始めておきましょう。碌で無しの阿呆は社会的に殺すに限ります」
「名誉毀損をされる前提で話さないで呉れ」
「えっ、一度も名誉毀損も侮辱もした事が無い聞屋なんて居るんですか?」
「どれだけ嫌いなんだ。前世から続いている因縁でもあるのか」
「さあ?」
「はぁ……。まあ、取り敢えず今の段階では総て
「金積まれても嫌ですねぇ」
遂にトレーナーが頭を抱えて仕舞った。少しでも快適な現役生活の為、此処はずたせて*86貰う。御多分に洩れず、迂拙も駻突のウマ娘である。上澤上トレーナー、今一度、御覚悟を。