「エルちゃん!これなんかどうですか?とっても頑丈そうで防御力も高そうです!」
ある日、ケータ達はエルがよちよち歩き出来るようになった記念にファーストシューズとなる靴を買いに来ていた。まずソラが頑丈そうな靴を見せる。
「える!」
ソラが選んだ靴はお気に召さなかったようでエルは首を横に振る。
「えぇっ!?」
「気に入らなかったみたいだね…」
「そうか…防御力がありそうだから良いと思ったのだが…」
「いやいや、赤ちゃんの靴に防御力は必要ないと思うでウィス…」
フユニャンの発言にウィスパーがツッコミを入れる。そんな中ましろが靴を持ってきてエルに見せる。
「これはどうかな?ピカピカ光ってるよ!」
「える!」
ましろの選んだ靴も気に入らなかったらしくソラの時と同じ反応をする。
その後もソラとましろがエルに靴を見せてあげるがどれも気に入らなかったらしく、首を横に振った。
「え~る!」
「どれも気に入ってないニャン…」
「エルちゃん!好き嫌いはダメですよ?」
「いえ、プリンセスは悪くありません。足りてないんですよ、お2人のセンスが」
「ツバサくん、なんか自信満々だね…」
ツバサの強気な発言を聞いてケータはそう呟く。
「エルちゃんはスカイランドのプリンセス…キラキラ輝く一番星…国民のアイドルです。そんじゃそこらデザインでは満足しませんよ」
ツバサはそう言いながら豪華そうな靴を持ってくる。
「さぁ!お受け取りください!プリンセス!」
「える!」
「えぇ~!?」
自信満々に持ってきた靴もエルのお気に召さなかったようだ。これにはツバサもショックを受けてしまう。
「ツバサくんのもダメだったじゃん…」
ケータはジト目でツバサを見る。
「じゃあケータくんが選んでみてよ!」
「えっ、俺?」
「そうです!先程からケータくんだけ何もしていません!」
「わ、わかったよ…」
ソラとツバサに言い寄られ、ケータは渋々靴を持ってくる。ケータが持ってきたのは至ってシンプルな紫色の靴だった。
「ケータくんらしいフツーの靴でウィスね~」
「別にいいでしょ…エルちゃん、どうかな?」
「える……える!」
「やっぱりダメだった…」
「でも、私達と違って即答じゃなかったから一歩前進したんじゃないかな?」
「ましろ姉…それもそっか!」
「ケータもやる時はやるニャンね!」
「”やる時は”は余計だよ…とにかくもうちょっと探してみよ?」
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あれからエルに靴を見せていったがどれもお気に召さなかった。
「他の店を探しましょうか…」
「そうだね…」
「…せっかくのファーストシューズです、妥協は許されません!こうなったら、エルちゃんの欲しい靴が見つかるまで、この世界の靴屋さんを全て回りましょう!」
「終わる頃にはエルちゃん大人になっちゃうよ~!」
ソラの発言にましろは叫んでしまう。
「とにかく、他の靴屋にも行ってみるしかなさそうだな」
「フユニャンの言う通りです!」
「える…える!えるぅ~!」
するとエルが何かに反応する。反応を示したのは他の人が買おうとしている靴だった。
「あれは人のですよ?」
「べつのにしよ!ね?」
ソラとましろがエルにそう言う。すると靴を買おうとしていた年配の女性がこちらにやって来る。
「どえらい可愛い赤ちゃんやな~。これ、気に入ったんか?」
「える!」
「すみません…エルちゃん、あの靴は諦めよ?」
「えるぅ~!」
ケータがエルに靴を諦めるように言うがエルは諦めきれないのか女性が持っている靴に手を伸ばす。
「ええよ。これ、あげるわ」
「「えっ!?」」
女性のまさかの発言にケータとましろは驚きの声を上げてしまう。
「でも…」
「遠慮せんでええんよ。まだお会計済ませる前やしなぁ」
「わぁ~!ありがとうございます!」
ソラは嬉しそうにお礼を言う。
「こない気に入ってもらえて、靴も喜んどるわ。逆におおきに」
「ヒーローです!ヒーロー発見です!靴の気持ちまで考える優しさ、それがヒーロー!」
「「なんでやねん」」
手帳に女性の事を書きながらそう言うソラにツバサとウィスパーが関西弁でツッコミを入れる。
「あの!本当に良いんですか?これって、誰かにプレゼントする物じゃないんですか?」
ケータが女性にそう聞く。すると女性はどこか寂しそうな表情をする。
「これで良かったんや…」
そう言いながら女性は店から出ていった…。
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「断るべきでした…」
「えっ?」
家に帰った後、ソラが突然そう口にする。
「きっと何か事情があったんです…なのに私…未熟です!」
「…ねぇ、この靴、あの人に返さない?このまま貰うのはなんか良くない気がするし…」
「そうですね!そうと決まればさっそく探しに行きましょう!」
ケータの言葉にソラが賛同する。
「とは言いましても、あの人がどこにいるのかわからないじゃないですか。それにエルちゃんもあの靴を気に入っていますし…」
「そうだよね…どこに行けば会えるんだろ…」
「う~ん…」
ウィスパーの言葉を聞いてケータとましろは考える。
すると突然物音が聞こえてきた。
「な、何ニャン!?」
「ヨヨの部屋からだ!」
「行ってみよう!」
「はい!」
ケータ達はヨヨの部屋へと向かっていった。
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「おばあちゃん!大丈夫!?」
一同はヨヨの部屋に入って来る。そこにはゲートのような穴が開いていた。
「な、何でウィスこれ~!?」
「…あっ!もしかしてスカイランドの?」
「ケータさんの思っている通り。約束通り完成させたわよ」
そう、このゲートはスカイランドに通じるトンネルなのだ。
「ソラ、これでエルちゃんを帰してあげられるな」
「はい!エルちゃん、もう少しでおうちに帰れますよ!」
ソラは嬉しそうにエルにそう言う。するとスカイランドの国王と王妃と通信をしていたヨヨがケータ達の方を向く。
「みんな、聞いてちょうだい。アンダーグ帝国はこれからもエルちゃんを狙ってくるでしょう…戦いの舞台はソラシド市からスカイランドに移る…でも、ましろさんとケータさんはスカイランドでは暮らせない…ソラシド市で学校に通わなくちゃいけない、勉強もしなくちゃいけない。それに…」
「大丈夫だよ!」
ヨヨの話を聞いているとケータが声を出した。
「たとえ一緒に暮らせなくなっても、俺達がともだちだって事に変わりはないよ。だからどんなに離れてても、絶対にエルちゃんを助けにいくよ!」
「ケータくん…私も、ランボーグがエルちゃんを襲ってきたら、トンネルを使ってスカイランドまで助けに行くよ!」
ましろもケータに続いてそう言う。
「そうね…そうしてあげて。でも一つ屋根の下で暮らすのは明日でおしまい。寂しいけれど…後であげはさんも呼んで、夜はごちそうにしましょう」
こうして、あげはも呼んで夜はごちそうを食べる事になったのだった…。
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「そっか、帰っちゃうんだ…」
夜ごはんの時間になり、ケータ達から話を聞いたあげはは少し寂しそうに呟く。
「ケーくんとましろん達は明日どうするの?」
「明日は一緒にエルちゃんを送り届けて、ちょっと観光してから帰るよ」
「スカイランドかぁ…どんなところなのか楽しみだな~!」
ケータは子供らしくソワソワしながらそう言う。
「確かにそうでウィスね~」
「…少し良いか?」
ウィスパーがそう言うとフユニャンが話しかけてきた。
「フユニャン?」
「どうかしましたか?」
ケータとソラがフユニャンに聞く。
「俺もしばらくスカイランドでソラと暮らそうと思ってるんだ」
「えっ!?そうなんですか!?」
「ああ。良いだろうか?」
「もちろんです!家族にもフユニャンを紹介したいです!」
ソラは嬉しそうにそう口にする。そう言った感じで一同は夜ごはんを食べていった。
次回も楽しみに待っていてください!