夜になり、ケータ、ソラ、ましろ、あげはが同じ部屋で眠っていた。元々ケータは自室で眠るつもりだったがソラとましろの要望で一緒の部屋に眠ることになった。
「ぐが~!」
あげはの大きないびきで3人は眠れずにいた。
「あげは姉、いびきデカすぎない?」
「怪獣みたいですね…」
「あげはちゃん、学校忙しいし、毎日車で通って大変そうだし、最後に顔出してくれて本当にありがとうだよ」
「最後…」
ソラはどこか寂しそうに呟く。
「…ぐが~!ぐが~!!」
あげはは3人をチラ見した後、更に大きないびきを出していく。実はあげはは寝たフリをしていていびきもわざと出しているのだ。
「あーもう!これじゃ眠れないよ!」
ケータがそう言って起き上がるとソラとましろも起き上がる。
「…ましろさん、ケータくん」
「ん?」
「どうしたの?ソラさん」
「ちょっと、外の空気を吸いに行きませんか?」
ソラの誘いでケータとましろは外に出る事にした。
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「たまには良いかもね、夜に外出るのも」
「そうだね」
「…初めてこの世界に来た時は、魔法の世界かと思いました」
「フフッ、そんな事言ってたね!」
「でも、今はなんだか、ここがもう1つの故郷のように思えます」
「そっか…ソラさんにとって、この世界はもう1つの故郷なんだね…」
ソラの言葉を聞いたケータはそう呟く。
「…あっ!ご、ごめんなさい!またすぐに遊びに行きますから!」
「う、うん!」
「え、えっと…明日!靴を譲ってくれた人を探しに行きませんか?トンネルが開くまで時間がありますし!」
「う、うん!そうだね!」
ソラとましろの会話はぎこちないものだった。それをケータはなんとなく感じ取っていた。
「2人とも、何だかぎこちないよ?やっぱり寂しいよね…」
「…ケータくんは、寂しくないの?」
「俺だって寂しいし、ソラさんやツバサくんともっと一緒にいたいよ…だからさ、もうちょっと自分の気持ちを出しても良いんじゃないかな?」
「ケータくん…」
「…そろそろ戻ろっか。眠くなってきたし…」
「「ケータくん!」」
するとソラとましろがケータの名前を呼ぶ。
「どうしたの?」
「ケ、ケータくんの部屋で一緒に寝てもいいかな?」
「わ、私も良いですか?」
「えっ?良いけど…もしかして、あげは姉のいびき?」
ケータの質問に2人は頷いて答える。こうして3人は一緒の部屋で眠ることになった。
「凄いね…ケーくんだって寂しいはずなのに…3人共、良い子すぎるよ…」
3人の様子を部屋の窓から見ていたあげははそう呟いた…。
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次の日、ケータ、ソラ、ましろ、ウィスパー、ジバニャン、フユニャンは靴をくれた女性を探しに来ていた。ちなみにツバサには靴がないことを悟られないようにエルの遊び相手をしてもらっている。
「いないね…」
「そうですね…」
「ここがダメだともう…」
「みなさ~ん!」
そこへ別行動をしていたウィスパーが飛んできた。
「あの靴をくれた女性を見つけたでウィスよ~!」
「本当ですか!」
「「「ウィスパーが役に立ってる(ニャン)!?」」」
普段全くと言って良いほど役に立たないウィスパーが女性を見つけた事にケータ、ジバニャン、フユニャンは驚きの声を上げてしまう。
「失敬ですね!ワタクシは常に役に立つ敏腕妖怪執事でウィスよ!」
「嘘つかないでよ!妖怪Pad依存症!」
「そうニャン!妖怪シッタカブリ!」
「…い、いい加減にしろよゴラァーーー!!」
散々な言われようにウィスパーの怒りが爆発し、身体の構造が変わっていく。ウィスパーは筋肉がある八頭身になってしまった。
アニメ妖怪ウォッチを見た事がある読者ならお分かりであろう…。
「ウィスー…」
「「で、出たぁぁぁぁーー!!」」
「「「っ!!」」」
ウィスパーのキモイ八頭身姿を見たケータとジバニャンは悲鳴を上げ、ソラとましろは警戒しながらミラージュペンを構え、フユニャンも戦闘態勢に入った。
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「無限にひろがる青い空!キュアスカイ!!」
「ふわりひろがる優しい光!キュアプリズム!!」
「「レディ・ゴー!」」
「「ひろがるスカイ!プリキュア!!」」
ソラとましろはプリキュアに変身する。
「スカイブルー!」
「プリズムホワイト!」
「あ、あのあーた達、何をしようと…」
「「プリキュア!アップ・ドラフト・シャイニング!!」」
ウィスパーは問答無用でディスクに吸い込まれていく。
「スミキッタでウィス~…」
こうしてウィスパーは浄化された。
ありがとうウィスパー、君の事はたぶん忘れないよ…。
「いや死んでねぇでウィスよ!」
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ウィスパーに案内され、ショッピングモールまでやって来た一同は誰かと電話している女性を見つけた。ケータ達は電話を終えた女性に話しかけ、喫茶店にやって来る。
「そらご苦労さんやったなぁ…でも、お金払ったのはそっちやし、それにあの赤ちゃん、この靴気に入っとったやん。そっちこそ大丈夫なん?」
「大丈夫…ではないです。正直なところ…」
「俺達、おばさんが”これで良かった”って言ってたのが気になったんです…だからちゃんと訳を聞きたいんです!」
「心の声が漏れてまったか。おばちゃん恥ずかしいわ~…この靴な、孫に買うてやろと思っとったんや。子供ってホンマに可愛いなぁ…未来しかない…でもなぁ、仕事の都合で外国に引っ越してしまう事になってな…空港まで見送りに行って、そこで渡そうと思ってたんや…でも、こんなん渡したらおばちゃん、絶対泣いてまう…そしたらおばちゃんも息子も、みんなしんどい気持ちになるやろ。だからこれで良かったんや…」
「「「そんなのダメだよ(です)!」」」
ケータ、ソラ、ましろが言葉を重ねて女性に言う。
「きゅ、急にどないしたん?」
「ホントの気持ちを言わないとダメです!」
「嫌だって、寂しいって、ずっと一緒に暮らしたいって!」
「泣いたって良い!駄々をこねたって良いんだよ!」
「そうしたら、きっとその後は本当に笑ってお別れが出来るはずです!」
「ケータくん…」
「ソラ…」
「ましろ…」
そばにいたウィスパー、フユニャン、ジバニャンがそれぞれの名前を呟く。
「おばさん!今からでも息子さんやお孫さん達に会いに行こうよ!」
「…ありがとうな…でももう遅いんや、じきにテークオフや…だからその靴はあの赤ちゃんにあげてほしいんや」
そう言って女性は立ち上がって代金を払い、店を出ようとする。
「待って!」
ケータは女性を呼び止める。
「俺達がおばさんを空港まで送り届けるよ!ましろ姉、テークオフまでまだ時間ある?」
「えっと…まだ大丈夫だよ!」
「良かった!ちょっと来て!」
「えっ、ど、どないしたん?」
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ケータ達は女性を連れて人気のない場所までやって来る。
「おばさん、目を瞑ってて!」
「こ、これでええんか?」
女性が目を瞑るとケータは妖怪メダルを取り出した。
「俺のともだち!出てこいうんがい鏡!妖怪メダル、セットオン!」
『オット!ショウカンノカマエ!』
『ヨウカーイ!』
『フシギ、ショウカンデアリマス!』
「うんがい鏡!」
ケータはうんがい鏡を呼び出し、小声で話しかける。
「うんがい鏡!俺達をこの街の空港まで連れてって!」
「お安い御用ぺろ~ん!」
うんがい鏡は光を放ち、ケータ達を空港までワープさせる。
「おばさん、もう目を開けても大丈夫だよ」
「…えっ?ここって空港やん!なんで…」
「おばさん!早く行こ!まだ間に合うよ!」
「行ってください」
ケータとソラの言葉を聞いた女性はひとまず考えるのをやめ、空港の中に入っていく。女性は息子一家を見つけ、女性が息子の名前を呼んだ。
「お母さん?」
「どうしたん?さっき電話で急用が入ったって…」
「ばぁば!あい~!」
女性の孫が嬉しそうに手を伸ばす。女性はプレゼントの靴を差し出した。
「これ、プレゼント…ファーストシューズ…」
そう言ってプレゼントを渡す女性は涙を流しており、女性の息子が女性に寄り添う。
「良かった…」
その光景を見ていたケータはそう呟く。そしてケータの頭の中ではソラシド市に来てからの思い出がフラッシュバックしていた。
ましろとあげはとの再会…ソラとツバサとの出会い…ソラと特訓をした日々…ましろと2人でお出かけした日の事…いつのまにかケータの目から涙が流れていた。
(あれ?俺、なんで…っ)
ケータだけではない。ソラとましろもこれまでの日々を思い出し、涙を流していた。3人は手を繋いで涙を流していく。
「…今は、3人だけにしておこう」
「そうニャンね…」
「ウィス…」
ウィスパー、ジバニャン、フユニャンは気を利かせて3人から離れていった…。
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「える!えるぅ~!」
「お似合いですよ!プリンセス!」
エルはあの靴と同じ物を履いてご機嫌だった。
「それにしてもケータくん、まさか昨日ヒキコウモリにこの靴を買ってもらうよう頼んでいたとは驚きでウィス!」
「ヒキコウモリなら買えるかなって思ったから。ネットにも強いし」
どうやらケータはヒキコウモリにあの靴と同じ物を注文するように頼んでいたようだ。
そうしている内にミラーパッドの調整が終わり、いよいよスカイランドに出発する準備が出来た。
「ヨヨさん、本当にお世話になりました!」
「ありがとうございました!」
「ここまでお世話になり、感謝する!」
ソラ、ツバサ、フユニャンがヨヨにお礼を言う。
「ボタンはあなたが押せば良いわ」
ヨヨに言われ、ソラがミラーパッドのボタンを押す。するとスカイランドのトンネルが開いた。
「ましろん!ケーくん!お土産よろしく~!」
「「は~い!」」
「気を付けていってらっしゃい」
『はい!』
こうしてケータ達はトンネルを潜り、スカイランドへと向かっていった…。
次回はついにスカイランドへ…楽しみに待っていてください!