RWBY mission・ダストも無い田舎でサバイバルしながら長期任務 作:はぐれファウナス
「ハァイチームRWBYの諸君!! ナルムダルム派遣任務は楽しんでる!?」
チームRWBYのリーダーである私、ルビー・ローズはチームメイトの皆を鼓舞すべく、檄を飛ばした。
「正しくはナールダ“ロ”ムですわよルビー」
チームメイトの一人、お嬢様ワイスがチクリとお皿に残ったビーンズをつっつく様な真似をしてきたけど私はスルーを敢行。
「遂に長期任務も1週間が過ぎた訳だけど−−」
「うっわ、あと2週間と5日あるじゃん最悪〜」
ヤンお姉ちゃん! リーダーの言葉を遮らないでよ…頑張って精一杯大きな声出してるんだから。それでなくてもお姉ちゃん声大きいんだからさ!
「あーー、ゴホン、大自然の中で生活するのも慣れた頃だと思いまーす! ってことで、そろそろここいらで息抜きも兼ねて1日フリータイムで−−」
「食料が残り少ないし、先生に話通さずフリータイム設けて大丈夫?」
これまたチームメイトの猫耳ミステリアスガール、ブレイクが至極真っ当なことを言ってくる。
言いたい事は分かるよ分かる…今は任務の最中だもん。
拠点といえば手作り感満載の掘っ建て小屋だし。
シャワーも無ければお風呂もなく。
ご飯や水は現地調達。
挙げ句の果てには携帯端末スクロールの電波さえ来ていない。
まあ、私達の中で一番色々あったブレイクは、こんな環境でも耐えられるのかもしれないよ?
でもね…
なーんにも娯楽が無いんだから任務ばっかりじゃパンクしちゃうでしょー!!
ああもう、どうしてこうなっちゃったんだろ…
−−1週間と少し前
「突然だがチームRWBY、君達にはナールダロムに向かって貰いたい」
私、ワイス、お姉ちゃん、ブレイクの4人は、ビーコンアカデミー学長執務室へと呼び出されるなり、オズピン学長からこう通達された。
「ナールダロムといえば、あの辺境の…?」
と、ワイス。
相変わらずワイスは色々と知っている。
大企業令嬢故に、こと地理に関しては博識なんだよね。
「あそこはダスト配備の遅れているような地域ですわ。向かうだけで大変なのではないでしょうか」
「ダスト配備が遅れてるってことは…伝書鳩が飛び回ってたりして」
パタパタ〜、ってお姉ちゃんがからかう様に軽口を叩くが
「あながち冗談ではありませんわよ、ヤン」
と真剣な表情で返す彼女に
「え、マジ?」
一転、戦々恐々とするお姉ちゃん。
「確かにナールダロムは、ダスト文明以前の様相を色濃く残す地域ではあるね」
ティーカップを優雅に持ち、オズピン学長はさらりと言った。
ダスト文明以前ってことは…
「えっと、つまりダストそのものが無い?」
私は思わず訊いていた。
今、人類がグリムと呼ばれるモンスターから文明を取り戻せたのも、このダストと呼ばれる結晶体のお陰なのだ。
戦うの為の牙、であるだけじゃない。
ダストはエネルギーの塊でもある訳だから、それが無い可能性があるという事は、機械なんかはどうやって動かすのだろう。
それだけじゃない。
私達の武器にだってダストは使われているんだから、不意の事態が起きれば使用不能になる可能性だってゼロじゃなくない?
「無くはないだろう。しかし見付けるのは大変だろうね」
「だとしたらあまりに危険だわ」
うん、ブレイクの言う通りだと私も思うな。
「ふむ。確かにそうだ。だが…目的が違うよ。私は別にナールダロムへと向かい、グリムを退治するよう言っている訳じゃないんだ」
「だったら何でわざわざ行くのかな?」
「簡単だよヤン・シャオロン君。そこで君達はおおよそひと月、生き延びればいい。なぁに、ちょっとしたサバイバルキャンプとなるだろう」
「「「「えぇっ!?」」」」
チームが一丸となった瞬間だった。
「待って待ってサバイバルキャンプって文字通り命がけじゃん! じゃあ私達ナールなんたらに放り出されて大昔さながらに着の身着のまま暮らさなきゃいけないワケ? 冗談じゃない」
「目的が分かりませんわ。我々はハンターになるべくビーコンにて研鑽を積んでおりますのよ!? それが僻地でキャンプだなんて…!」
「簡単に言うけど野山ではちょっとした油断が命取りになるわ。わからない筈はないですよね」
うわぁーお…皆、口々に、矢継ぎ早に学長へ疑問をぶつけてる。
私の言いたい事どんどん言われちゃってるなぁ。
「ナールダロムは自然豊かで水も豊富だ。グリムが出たという話も聞かない。君達にはきちんと専門家を同行させるよ。勿論、手出しは最小限にして貰うがね。そして目的だが…まあ、チームの結束の強化、といったところかな」
「そんな曖昧な−−」
「ルビー・ローズ君」
ワイスの反論を遮り、オズピン学長はこちらをじぃっと見てきた。
「はい」
「リーダーとして、君はどう思うかね」
リーダーとして。
リーダーとして、かぁ。
こう言って来た時のオズピン学長は、いつもの優しさとか憂いの様なものを帯びた視線を向けてはこない。
これは私に、的確な判断を求められている。
お姉ちゃんならこう言うだろう「やってらんないよ~せめてもっと詳しくさぁ」って。
楽観主義なお姉ちゃんがこうなんだから、慎重派のブレイクやワイスも勿論、否定的な意見をするだろう。
当然ながらリーダーの私にも、相応のものを求められている筈だ。
でもこの場合、オズピン学長の求めてる答えって、勿論…
「やります」
だよね。
「「「ルビー!?」」」
わぁ、またしても息ピッタリ!
そしてチーム一丸のアツイ叱責を喰らうのは私の番という訳だ。
が、予想に反して反発は少なかった。
ルビー!? の続きは様々だが、
…はぁ、そう言うと思いましたわ。うんうん。
みたいなやり取りはどういうこっちゃだ。
「はぁ〜あ〜行くのかぁ〜…宿舎くらいあるんだよね?」
「ない」
「ウソでしょ…物質や必需品は?」
「最低限は許可しよう。だが基本は現地調達だ」
「はいはい! おやつはいくらまでですか!?」
重苦しい空気を紛らわす為にも、リーダーがこうやってジョークの1つや2つ言ってあげないとダメだよねいやぁリーダーって辛い!
「おバカ」
ワーイース違う、違うよ!
コレはワザとなの。私だってこの状況でおやつなんて言い出す訳がないじゃない!
「ははは、持てる荷物は限られる。スイーツの入る余地があればいいが」
「携帯ダストコンロと予備カートリッジでしょ、ホイッスルにタオルケットもあとシャンプーリンスに…」
「調味料は必須よ」
「あいあい。ブレイクはハンモック要るでしょ?」
「ええ。それは私が持っていくわ。何なら人数分あるけど」
「わたくし、アレで寝るのはちょっと…」
「この機会にフカフカのベッド以外で眠れるようにしておいた方がいいんじゃな〜い?」
「まぁ! わたしだってその気になれば床でも寝れますわ!」
「あはは…床すら無いかもよ?」
もう皆切り替えてる。
よーし私ももっと提案していこう!
いまのところおやつ持って行こうとしてるパーな子みたいになっちゃってるし挽回せねば、だ!
「あの! サバイバルなら犬は? ツヴァイはオッケーですか?」
「許可しない」
ええ〜な、なんで?
「それでは色々あるだろうが細かい部分については後日知らせよう。それまでにチームの方針を決めておいてくれたまえ」
オズピン学長はそう言い微笑んだ。
−−そして現在
と、いう訳でそこから準備に追われていた訳だけど。
結果的に言えば私達の用意がほとんど無駄になりかけたのが現実だった。
初日こそ大自然の雄大さにリフレッシュしたり、色んなサバイバル飯に舌鼓をうったり、満天の星空を堪能したりしたけれど…
やがて表面化したのは羽虫や害虫の類との奮戦や、突然の雨への対処、食料の確保に身体を洗う場所探しもそうだし。
それに……
「……………」
「あ、あの、トルーデ先生?」
私は、チームRWBY仮拠点から少し離れた場所で一人、焚き火をしている先生に話しかけた。
トルーデ先生は、オズピン学長の言っていた【同行させる専門家】だった。
最大の問題がこの人だった。
「…………」
先生は返事の代わりに、腰に提げたナイフの様な視線をこちらに向けた。
先生の顔で露出している部分が目元しかなくて…布のマスクの様なものを被っている顔面フル装備状態だから表情は目から察するしかない。
しかも無口なんだから!
これでスムーズにコミュニケーションが取れるのはテレパシー能力者くらいのものだ。
分かっているのは女性であること。
移動のヘリの中で、一言「私はトルーデです」と自己紹介をされた時の声色と、体付きからの判断だ。
顔もそうなら身体も肌を一切出さないサバイバルなフル装備だから確証はないけどね。
「あ、あのですね…明日、スケジュールもいいけど、皆疲れてるし…えぇと」
説明に詰まる私に、先生はもう視線を空に向けている。
「つ、つまりその、完全にフリータイムにしたいんですけど、ど、どう、です…?」
トルーデ先生は、返事をするでもなく、ただ空を見上げるだけだ。
肯定とも否定とも取れない態度にやきもきする私を見て、彼女は何を考えているのだろう?
(ダメだこりゃ…)
まあ、でも、悪い人じゃないのは分かる。
初日にチームRWBYの拠点作りをしようとした時も、彼女が既に準備してくれていたし…だからワイスは地べたじゃなく床に寝れた訳なんだけど。
あ、あとついでに最近、害虫避けの香り? を発しているらしい植物を配置してくれてるみたいだ。
無言の圧に耐えかねた私は、これを良しと捉えて「失礼しました〜」と拠点に帰ろうとした時だった。
「動作しないで」
先生が静かにそう言った。ていうか喋った!
「え、な、なんで−−」
言いかけた私の口を人差し指でスッと縫い付け、先生は音もなく立ち上がった。
「間もなく終了します」
彼女はそう言い…腰に提げた二本の大型ナイフを、シースから引き抜いた。
そしてそれらの刃は畳まれ、二本のナイフは合体して一本の長いバーになり…ピンと張られたワイヤーを見れば、それが何か直ぐに分かった。
(ナイフが、弓になった…!?)
自分の持つ大鎌、クレセント・ローズなんかと似た様な変形機構付きの武器だ。
そしてつがえられたのは、弓矢は弓矢でもダストエネルギーで構成された赤色の矢だった。
先生は片目をつぶって、左に右にと微調整をし…そして、放った。
煌々と煌めく真紅の矢は、あっという間に闇に消えた。
すぐに、獣の悲鳴が微かに聞こえた。
「え、あ、あ…」
「恐れる必要はない。私の行動の結果は良い効果を生み出すでしょう」
恐らく気を遣ったトルーデは、ルビーをなだめる様にそう言った。
が、ルビーは驚くどころか目を輝かせ
「わ、わ、カッコいい武器ですね!!」
と興奮気味に武器をマジマジと見ていた。
これには、トルーデも首を傾げた。