RWBY mission・ダストも無い田舎でサバイバルしながら長期任務   作:はぐれファウナス

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実習の終わりは突然に

「へぇぇ〜〜やっぱりトルーデ先生ってハンターではあるんだ」

 

チームRWBYの仮拠点に戻った私は、ダストランプの下でトランプゲームに興じるメンバーに先程の出来事を告げた。

ってか私が先生と話してる間に遊ばないでよ。

 

「まあそうでしょう…貴女の番でしてよヤン」

 

トランプ束を差し出すワイスは興味無さそうだ。

 

「ルビー、先生は弓矢を放ったって言った?」

 

対してブレイクは私にそう質問した。

 

「うん。こう…シャッ、と!」

 

「なんで貴女はこうっ!! ぐぬぬぬぬ」

「ワイスが表情に出し過ぎだからだよ。ポーカーフェイスってご存知?」

 

「明かりのない暗闇に向かって、よね?」

 

「そうだよ…あ、そっか」

 

なるほど、私はようやく気が付いた。

ブレイクがそう言うのにも納得だ。

 

「トルーデ先生はファウナスかもしれない」

 

そう、その通り。

ウチのチームだとブレイクがそのファウナスだ。

ごくごく簡単に言ってしまえば、肉体に獣の特徴を残す人間の事で、ブレイクは頭に猫耳がある。それをリボンで隠している訳だけど。

 

で、そのファウナスの特徴の一つに、夜目が利く、というものがある。

つまり暗闇を凝視し、何かしらの獲物を仕留めたトルーデ先生は、闇中のターゲットを視ていた、という事になる。

 

「とはいってもさぁ〜ファウナスだからって不都合はないでしょ。寧ろ頼もしいじゃん。はい、ブレイク、カード引いて」

 

ヤンお姉ちゃんが言うように、私達にとっては、だから何だ程度の事でしか無いのも事実だろう。

 

そりゃあ私達が、ごく一般的な市民であったとしたなら、ファウナスに対して無自覚の悪意を向けたかもしれない。

世間では未だにファウナスは差別される傾向にあるしね。

 

特に…

 

「なんです皆でわたしを見て? …教諭がファウナスと聞いてアレルギーを起こすとでも?」

 

「いいや。ワイスはもうそんな事は無いでしょ」

 

「当然ですわ」

 

ワイスなんかは実家のシュニー・ダスト・カンパニーがちょくちょくファウナスの襲撃に遭ってたから、差別的な目で見ていた時期があった。

働く環境が劣悪だったから反逆を受けた、とも言われてるからおあいこ、なんだけど。

 

今は勿論大丈夫だよ?

私の相棒は、ブレイクをキチンと受け入れて、自分の目でしっかり相手を判断してるし。

 

「ふふん…あ・が・り・ですわ!! はい、ジャックのペア!」

 

「うっそ!? 絶対あっちだと思ったのに!」

 

「ポーカーフェイスじゃないとのご指摘頂きありがとうございました。しっかりと利用させて貰いましたわ!」

 

「ちぇ~…ブレイクはい」

 

「あがりよ」

 

「ええっ、アタシの負けか〜うーん、もう一勝負しない? ルビーも帰って来たんだし」

 

「私はパス」

 

ブレイクは真っ先にそう言うと、身軽に自分のハンモックへとよじ登った。

 

「わたくしも、遠慮させて頂きます」

 

ワイスも、床に敷かれたブルーシートにクッションを置いて寝床を整えている。初日の四苦八苦した様子から考えれば上出来過ぎる手際だ。

 

「えぇ〜ま、でも起きてても他にすることないか。アタシも寝よ」

 

お姉ちゃんも床だ。寝相のよろしく無いお姉ちゃんが、ハンモックで寝てしまった初日は悲劇だった。

にしても皆、あっという間に寝ちゃうんだもん。慣れって怖い。

 

ふぁ〜あ…ねむ。私も寝ようかな…ダストランプの灯りを落とし、私のスペース、ワイスとお姉ちゃんの間に滑り込んだ私もすぐに意識が遠退いた。

 

寝静まった私達を、監視する目があるとも知らずに。

 

(銀色の目…間違いない)

 

 

 

 

−−翌朝。私は自然に目を覚ます事が出来た。

というのも連日は早朝五時キッカリに凄まじい音で叩き起されるのだから。

 

「ふぁぁ…」

 

スクロール端末をチェック。

相変わらず電波はないが、時間は六時を廻る。

何だかんだ早起きになったもんだ。

 

あちこちがチクチクする身体を起こして、私は表に出た。

貯めてある水をすくい、顔を洗い、ブルブルと雫を飛ばすと爽やかな気分。

陽は既に顔を出していて、綺麗なエメラルドグリーンの山肌をこれでもかとライトアップしていた。

 

軽く伸びをする。

派手なモーニングコールが無かったということは、フリータイムの要望が通ったという認識でいいのかな? なんて考えていると

 

「う〜ぅ…ぁぁぁ…」

 

と、酷い声が聞こえた。

 

「ワイスまたぁ? 背中擦ってあげよっか?」

 

「おだまりなさい…」

 

ノロノロと、普段の優雅な立ち振る舞いからは想像も出来ない動きで、ワイスも顔を洗っていた。

 

「せっかくだし今日はベッド作っちゃう? フワフワなのも敷き詰めてさ」

 

持ち込みタオルで顔を拭き、美容液を塗り込むワイスに提案をしてみるが

 

「やるなら全員分で」

 

との返答。

でも大変だよ〜ろくな道具もないし…材料はそこら中にあるけれど。

 

よーしそれじゃあ早速、お姉ちゃんとブレイクも起こして今日の計画を−−

 

「ルビー・ローズ」

 

うわぁっ!? し、心臓が飛び出るかと思った!

音もなく背後にトルーデ先生が立っているんだもん…

 

「は、ハァイ…トルーデ先生」

 

「あなたは私と来て下さい。特別な用事があります」

 

どこか硬い語り口調で先生は言った。

え、えぇ〜私だけ?

特別な用事って何だろう?

 

「あ、あの、先生、それは私一人じゃないとダメなんでしょうか」

 

「そう言いました」

 

ワイスの方をチラリと見れば、「ご愁傷さまですわ」と言わんばかりの憐れみを感じる仕草。

うぅ…仕方ないよね。先生の言う事だもん。

 

「分かりました…じゃあワイス~お姉ちゃんとブレイクをよろしくね!」

 

と、私はチームRWBYを離れて先生と行動を共にした。

この選択肢は最悪だった。

 

先生は慣れた足取りで、山中をどんどん進んで行く。

どこまで行くんだろう?

 

「気を付けて。そこは足場が良くない」

 

そう言い、正しいルートを進んで見せる先生。

外れた所を木の折れ枝でつつけば、落ち葉に隠れた天然の落とし穴、という訳だ。

さすが専門家だけはあるな~私は着いていくのに精一杯だ。

 

「あ、あの~あとどのくらいですか?」

 

三十分は歩いた頃、私は我慢出来ずに尋ねた。

 

「……この辺りでいいでしょう。ルビー・ローズ、一つだけ質問があります」

 

「はい?」

 

「サマー・ローズという人物は貴女の肉親にあたりますか?」

 

ドクン、と心臓が高鳴ったのを感じた。

何故、どうして先生がその名前を? という当然の疑問を彼方に追いやり口が勝手に語る。

サマー・ローズは私の、私の……

 

「……亡くなった、お母さんです」

 

「そうでしたか。申し訳ないことを聞きました。すみません」

 

振り返ったトルーデ先生の顔はフェイスヴェールに隠れていてよく分からなかったが、それでも目は…とても、悲しそうだった。

目線を落とした私の視界に屈んで入り込んだ彼女は、続けてこう言った。

 

「サマー・ローズはとても勇敢で卓越した素晴らしい戦士で、私の憧れでした」

 

「お母さんとは、どういう−−」

 

「昔話をしましょう。ここでは一度だけグリムが大量に発生した事があります。それは当時私の住んでいた村の近辺でした」

 

 

 

 

−−「ヤン、そこの木がいいわ」

 

「オッケー! オラァァァ!!」

 

シャウトと共に放たれたヤンの拳が、低木の幹を一撃で粉砕。

バキバキと断末魔と共に倒れる樹木を、ワイスのセンブランス【グリフ】による魔法陣が支えた。

 

「ハアアアア!!」

 

そこにブレイクが切り込む。

超速枝打ちにより、木は瞬く間に木材へと変わった。

 

「さっすがブレイク!」

 

「ふふ、ありがと。だけどまだ材料が揃っただけよ」

 

「確かに。あ〜四つ作るの面倒だし、いっそキングサイズベッドにしちゃう?」

 

「でしたら貴女やルビーの身体をベッドに縛り付ける必要がありますわね」

 

「どういう意味よソレ」

 

「言葉の通りですわ。貴女の妹にここ数日で何度蹴られたか分かりません。転がってみたり変な寝言を言ってみたり…」

 

それを聞いたヤンは何故かニヤニヤしていた。

首を傾げるワイスに、

 

「妹の寝癖の悪さはよーーーく知ってる。でもワイスは蹴られてもルビーを起こさないように、静かに布団を掛け直してあげてるんだよね〜」

 

と言った。

ブレイクもウンウンと頷く。

 

「ちょっ、ちょっとなんですの!? 想像で話をするのはやめて頂戴、超人的な理性を働かせて許してあげているわたくしならではの紳士的対応ですわ本当なら前述した様にベッドにくくりつけてでも−−」

 

「はいはい。でも実際、ワイスが居なきゃ拠点の外まで転がり出る勢いでしょ」

 

「ひ、人を壁みたく言うのはやめて!」

 

「ハハハよーし雑談終わり! さっさと木の加工を−−」

 

――グォオオオオオ!

 

ヤンの言葉は、けたたましい獣の唸り声に掻き消えた。

同時に三人の顔に緊張が走る。

自然と手は武器へ伸びていた。

 

「ッ!? あっち!」

 

発言と同時にブレイクは飛び退き、茂み目掛けて【ガムボール・シュラウド】をガンモードにし、弾を断続的に放った。

刹那、巨大な漆黒の熊型グリム、アーサが、それを外殻で弾きながら飛び出す。

 

「グリム!? 何故…」

 

「出ないんじゃなかったの!?」

 

文句を言いながらも、少女らは既に迎撃準備を完了している。

 

「やああ!」

 

ワイスが、レイピア状の武器【ミルテンアスター】を振るうと、展開された複数のグリフから、氷の礫が雹雨の如く降り注ぐ。

全身にそれを受けて怯むアーサ。

 

「ハァ!!」

 

その隙を見逃さずブレイクが肉薄した。

反射的に敵は腕を振るう。

 

風切るアーサの巨腕。

その鋭い爪がブレイクを斬り裂い−−いや、裂かれた筈のブレイクは、霧散し消滅した。

 

彼女のセンブランスであるシャドウは、自身の分身を生成することが出来る。

切り裂かれたのは分身だったのだ。

それに気を取られたアーサに斬撃を見舞い、一撃離脱。

 

「オラァ!」

 

入れ替わり、ヤンの重い拳がアーサにめり込んだ。

 

更には腕に装着された篭手状の武器【エンバー・セリカ】が、インパクトの瞬間に弾丸を打ち込んだ。

これがトドメになったのだろう、アーサは塵となり消滅。

 

「っしゃ!! って、違う違う、そもそもここにグリム確認されてないって言ってたじゃん。バリバリ居るし」

 

「そうなると…話が変わります。マズいですわね」

 

ワイスの言葉に二人も頷く。

何が起きたのかはわからないが、安全と思われた領域に、人類の天敵が出没している。

異常事態だ。

 

本来であればすぐさま、ビーコンアカデミーへと連絡を取りたい所だが…

あいにくスクロールは圏外。

 

三人はすぐに、この場の責任者トルーデと、合流するべく行動を開始した。

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