RWBY mission・ダストも無い田舎でサバイバルしながら長期任務 作:はぐれファウナス
「この子は、私の弟のネズです」
先生が紹介しているそれは、服を着た骸骨だった。
先生よりもずっと小さく、背丈は、頭頂が私の顎ほどもない。
強いて言うならば…年端も行かない子供のスケルトンに見えなくもなかった。
「あ、ああ、あの…」
「ルビー、あなたの言いたい事は理解しています。しかしこの子はこうして動き、喋り、私を姉と呼んでくれます。この子は誰が何と言おうと、私の弟、ネズに間違いありません」
先生がそう言う間も、ネズと呼ばれた骸骨は、穴の空いた…丁度眼球が収まっているべき場所をこちらに向けていた。
目線、といってもいいものか分からないが、それが合った途端トルーデ先生の後ろに隠れるネズ。
『お姉ちゃん、あの女の人は怖い…』
トルーデ先生は、翻訳ヴェールを取り、ネズのしゃれこうべを優しく撫でながら
『大丈夫よ。あの人はルビー・ローズ。お姉ちゃんの学校の生徒で、私のお友達なの』
『そう、なの?』
『ええ。ほら、試しに握手でもしてみましょう』
『う、うん。お姉ちゃんがそう言うなら』
二人が何かしらやり取りをした後、ネズが骨格だけの手を…おずおずとこちらに伸ばして来た。
私はトルーデ先生を見た。
先生は「ルビー、どうかこの子の手を取って貰えませんか?」と言った。
私は慎重に、差し出された手を取った。
ひんやりとした手だった。
かつては熱があったであろう…私の手でもスッポリ包める小さな手だ。
「ありがとうございます」
そう先生が言った刹那だった。
ヒュンと、風を切り裂き、何かが私目掛けて飛んで来たのだ。
――「学長」
オズピン学長の執務室。
グリンダ・グッドウィッチ教諭が入室するなり、不機嫌顔で続く発言しようとした。
しかし――
「ナールダロムの件、かい?」
視線をティーカップに落としたままのオズピンの口から出たのは、今、正に自分が発そうとした言葉だった。
グリンダは「ええ」としか答えられなかった。
「何故彼女らを行かせたのですか?」
「ふむ…君は、どう思っているかね?」
「質問に質問で返されるのは良くないわ。貴方は学長であり、全ての生徒を平等に扱うべき人間です。しかし、チームRWBYを、特にルビー・ローズを特別視し過ぎてはいませんか?」
「…君の指摘はその通りかも知れないね。だが、あの地はルビー・ローズにとって因縁浅からぬ場所でもある。是非行かせておきたかったんだ」
「――だからといって、それで特定の生徒を贔屓すべきではないと言いたいのです。第一オズ、彼女らはまだ子供なんですよ!」
「しかし」
オズピンはゆっくりと立ち上がり、グリンダを見据えて口を開きかけた。
が、すぐに訂正し
「いや、確かに君の言う通りかもしれないな。次回からは善処するとしよう」
と言った。
微笑を貼り付けた彼の表情からは、長い付き合いになるグリンダを持ってしても、思惑を汲み取ることは出来ない。
だがそれでも――
オズピンがこれまで、盛大に間違えた事など一度もない。
その実績が彼女から追求の糧を奪い去ってゆくのだ。
(この人は…いつも、どこか遠くを見ている)
比喩などではなく。
ビーコンの学長。
彼の、次代のハンター育成に取り組むという、使命は明白である筈だ。
しかしながらいつでも…違和感を覚えるのだ。
「是非お願いします。便宜を図った風に取られては、無用なトラブルが彼女らに降り掛かる可能性もありますから」
「はは、そうだね。彼女らは何かと目立っている様だからね」
呑気に微笑むオズピンには、グリンダも呆れてこそいたが、反論する気にもならなかった。